「電力需給ひっ迫注意報が発令されました」というニュース、最近よく耳にしませんか?電験三種の法規でも、この"需給ひっ迫時のルール"は近年の超頻出テーマです。条文を読むと長くて難しそうですが、実は仕組みは意外とシンプルなんです。
😩 こんな悩みはありませんか?
- 「電気の使用制限」と「広域的運営」の違いが分からない
- OCCTO(オクト)って聞いたことあるけど、結局何をする組織?
- 需給ひっ迫警報と注意報、発令基準がどっちがどっちか覚えられない
- 令和に入ってから頻出と聞いたけど、どう対策すればいい?
💡 この記事を読めばわかること
- 電気事業法第34条「電気の使用制限」が発動される条件
- 広域的運営推進機関(OCCTO)の役割と設立背景
- 需給ひっ迫警報(予備率3%未満)と注意報(5%未満)の覚え方
- 過去問パターン5問(H24・R2・R4上・R7上・R7下)の解答ポイント
目次
⚡ 結論:3つの数字と1つの組織だけ覚えればOK
電験三種で問われる「使用制限・広域的運営」は、究極的にはこの4点に集約されます。
| 項目 | 基準・内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 需給ひっ迫注意報 | 広域予備率5%未満の見込み | 経産省運用 |
| 需給ひっ迫警報 | 広域予備率3%未満の見込み | 経産省運用 |
| 電気の使用制限 | 経産大臣が発動できる法的措置 | 電事法第34条 |
| OCCTO | 全国規模で需給を調整する機関 | 2015年設立 |
語呂合わせ:「注意はゴー(5)、警報はサン(3)」と覚えるだけ。「ゴーサインを出す前に気をつけろ、警報は3つの数字でアウト」というイメージで定着します。
🔌 なぜ需給ひっ迫のルールが法規で問われるのか?
そもそも電気は「貯められない」という最大の弱点があります。これが電気事業の特殊性で、「使う量=作る量」を常に一致させなければ、周波数が乱れて大規模停電(ブラックアウト)が発生してしまいます。
2011年の東日本大震災では、福島第一原発の停止により東日本全体で電力不足が発生し、計画停電が実施されました。さらに2018年の北海道胆振東部地震では、苫東厚真火力発電所の停止が引き金となり、北海道全域でブラックアウトが発生。これを契機に、日本の電力安定供給の仕組みが大きく見直されました。
私の勤める工場でも、2022年3月の需給ひっ迫警報の際、本社から「自家発電設備を最大稼働させて、買電を抑えてほしい」という指示が来ました。電験の知識が「ニュースで聞く話」ではなく「実務で動く話」だと実感した瞬間でしたね。
こうした背景があり、近年の電験三種では「電力の安定供給」「需給調整」「広域連携」というテーマが頻繁に問われるようになりました。令和7年度の上期・下期で連続出題されたことからも、その重要度が分かります。

⚖️ 電気事業法第34条:電気の使用制限とは?
電気事業法第34条(正確には第34条の2)を一言でいうと、こうです。
「電気が足りなくて国民生活が大変なことになりそうなら、経産大臣が"電気の使い方を制限"したり、"供給を制限"したりできる」
📋 第34条の条文ポイント(噛み砕き版)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰が発動? | 経済産業大臣 |
| どんな時? | 電気の供給不足が、国民経済・国民生活に悪影響を及ぼすおそれがある時 |
| 何ができる? | 使用電力量・使用最大電力・使用時間・使用方法を制限できる |
| 対象は? | 電気を使用する者(=事業者・一般家庭) |
| 期間は? | 事態を克服するため必要な限度 |
過去の発動例として有名なのが、東日本大震災後の2011年夏に発動された「電力使用制限令」です。大口需要家に対して、ピーク時の電力使用を前年比15%削減することが法的に義務化されました。違反すると100万円以下の罰金という、れっきとした強制力のある制度です。

🌐 広域的運営推進機関(OCCTO)の役割
「OCCTO(オクト)」は、Organization for Cross-regional Coordination of Transmission Operatorsの略で、日本語では「電力広域的運営推進機関」と呼びます。
2015年4月1日、電気事業法の改正により設立された認可法人で、日本の電力会社すべて(一般送配電事業者・発電事業者・小売電気事業者)が会員になっています。
🎯 OCCTOの3つの主要役割
| 役割 | 具体的な仕事 |
|---|---|
| ①需給調整 | 全国の需給状況を監視し、電力が足りないエリアへ他エリアから「融通」を指示する |
| ②系統計画 | 送電網(特に地域間連系線)の整備計画を策定する |
| ③市場運営 | 容量市場・需給調整市場などを運営する |
💡 設立の背景:「もう東日本大震災のような事態を繰り返さない」
東日本大震災のとき、東日本では電気が足りないのに、西日本では電気が余っている状態でした。しかし、東日本(50Hz)と西日本(60Hz)の周波数の違いや、地域間連系線の容量不足のせいで、十分に電力を融通できませんでした。
この反省から、「平常時から全国レベルで需給を調整する司令塔が必要だ」という議論が起こり、OCCTOが設立されました。OCCTOは、いわば日本の電力ネットワークの「中央管制塔」のような存在です。
「OCCTOは国の機関ではない」「認可法人である」「すべての電気事業者は会員になる義務がある」の3点は頻出。「国の機関」と書かれていたら誤りです。

🚨 需給ひっ迫警報・注意報の発令基準
2022年3月の東京エリアでの電力需給ひっ迫警報の発令を契機に、制度が整備されました。現在は経済産業省・資源エネルギー庁が運用しています。
📊 発令基準の比較表
| 区分 | 発令基準(広域予備率) | 発令タイミング | 節電要請 |
|---|---|---|---|
| 注意報 | 5%未満の見込み | 前日18時頃 | 節電の呼びかけ |
| 警報 | 3%未満の見込み | 前日16時頃 | 強い節電要請 |
🤔 「予備率」って何?
予備率とは、「電力供給にどれだけ余裕があるか」を示す数値です。
予備率(%)=(供給力 − 需要)÷ 需要 × 100
例えば、需要が100万kWで供給力が108万kWなら、予備率は8%です。一般的に、安定供給には「予備率8%以上」が必要とされており、3%を切るとブラックアウトの危険水準に入ります。
「注意(ちゅうい)」は5文字 → 5%未満。「警報(けいほう)」の"警"は3本線(䇂の上部) → 3%未満。こじつけでも、こうやって紐づけると忘れません。

🗺️ 使用制限・OCCTO・ひっ迫警報の関係を整理
ここまで3つの制度を見てきましたが、初学者がよく混乱するのは「結局これらはどう繋がっているのか?」という点です。電力不足が起きた時の「対応のステップ」で整理してみましょう。
🔄 電力不足時の対応フロー
| 段階 | 主体 | 対応 | 強制力 |
|---|---|---|---|
| ①平常時 | OCCTO | 全国需給を監視・地域間融通を指示 | 業務指示 |
| ②予備率5%未満 | 経産省 | 需給ひっ迫注意報を発令 | 呼びかけ |
| ③予備率3%未満 | 経産省 | 需給ひっ迫警報を発令 | 強い要請 |
| ④最悪の事態 | 経産大臣 | 電気の使用制限(電事法第34条)を発動 | 法的強制力 |
この表のように、OCCTOは"常時の調整役"、注意報・警報は"危険信号の発信"、使用制限は"最終手段の法的措置"という役割分担になっています。
私が客先監査で「御社の需給ひっ迫時の対応マニュアルは?」と聞かれたとき、この4段階のフローを説明したら「よく整理されていますね」と評価されました。電験の知識は、実は監査対応でもそのまま使えます。

📝 過去問パターン徹底分析
この分野は、ここ10年で5回も出題されている超頻出テーマです。出題年度を見ると、令和に入ってから明らかに頻度が増しています。
| 出題年度 | 問題番号 | 出題テーマ |
|---|---|---|
| 平成24年度 | 問1 | 電気の使用制限(震災後の出題) |
| 令和2年度 | 問1 | 広域的運営推進機関の業務 |
| 令和4年度上期 | 問9 | 広域連系系統の整備 |
| 令和7年度上期 | 問1 | 電気事業法の目的・使用制限 |
| 令和7年度下期 | 問1 | 需給ひっ迫時の運営 |
🎯 出題傾向の3つの特徴
特徴①:問1に集中
5回中4回が「問1」での出題。試験開始直後の精神状態でこの問題に当たるので、動揺せず確実に取ることが合格の条件です。
特徴②:穴埋め形式が主流
「( ア )大臣は、( イ )の使用を制限することができる」のような穴埋め問題が多いです。条文の主体・客体・条件を意識して覚えましょう。
特徴③:時事問題と連動
2022年の需給ひっ迫警報、2024年の電力需給対策など、その年のニュースと連動した出題があります。受験直前期は経産省・資源エネルギー庁のサイトをチェックしておきましょう。

🎯 理解度テスト(過去問チャレンジ)
📋 出題:令和2年度 法規 問1(一部抜粋・要約)
次の文章は、「電気事業法」に基づく広域的運営推進機関に関する記述である。空欄に当てはまる語句として、最も適切なものはどれか。
広域的運営推進機関は、電気事業者がその( ア )の供給についての適切な責務を遂行するために必要な業務を行うことにより、( イ )の効率的かつ安定的な供給を確保することを目的とする。
- (ア)電気 (イ)電気事業
- (ア)電力 (イ)国民経済
- (ア)電気 (イ)電気
- (ア)電力 (イ)電力
- (ア)電気 (イ)電力
▼ 解答と解説を見る
正解:3
電気事業法第28条の4(広域的運営推進機関の目的)より、「電気事業者がその電気の供給についての適切な責務を遂行するために必要な業務を行うことにより、電気の効率的かつ安定的な供給を確保することを目的とする」と規定されています。「電力」ではなく「電気」が正しい用語です。
本記事の「広域的運営推進機関(OCCTO)の役割」で解説した内容と直結します。OCCTOの目的は「電気の安定供給」であり、用語の正確さが問われる典型例です。
出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 公表問題
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📝 この記事を書いた人
シラス(@shirasusolo)
30代メーカーエンジニア。電気主任技術者・QC検定保有。「soloblog」で電験三種・統計学を中心に、現場で使える知識を発信中。
最終更新:2026年5月16日 / 本記事は2026年5月時点の法令に基づいています。最新の改正情報は e-Gov法令検索 で必ずご確認ください。
- 電気事業法(e-Gov法令検索)
- 電力広域的運営推進機関(OCCTO)公式サイト
- 資源エネルギー庁「2024年度以降の電力需給運用について」
- 経済産業省「最近の電力広域的運営推進機関の主な取組状況と役割の拡大について」
- (一財)電気技術者試験センター 公表問題