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電験三種の法規で絶対に落とせないのが「電路の絶縁性能」、特に絶縁抵抗値の3つの数字です。0.1MΩ・0.2MΩ・0.4MΩ…数字だけ見ると地味で、丸暗記しても試験当日に「あれ、どっちが0.2だっけ?」となりがちですよね。実はこの3つの数字、ジュース缶のサイズ(100mL・200mL・400mL)とイメージするだけで一生忘れません。
こんな悩みはありませんか?
- 0.1・0.2・0.4MΩと使用電圧の組み合わせがごちゃごちゃになる
- 「150V以下」「300V以下」の境界が試験中に思い出せない
- 漏えい電流1mAという数字がどこから来たのか意味がわからない
- B問題で絶縁抵抗の計算が出題されると一気にパニックになる
この記事を読めばわかること
- 電技第58条の絶縁抵抗値「3段階」を5秒で思い出せるイメージ術
- 漏えい電流1mA以下の物理的な意味と「使用電圧÷絶縁抵抗」の計算法
- B問題で出題される計算パターンの完全攻略
- 過去問(令和6年度上期 問8・平成26年度 問6)でレベル確認
結論:絶縁抵抗値は「電圧が高くなるほど厳しくなる」3段階
最初に結論をまとめます。電気設備に関する技術基準を定める省令(電技)第58条で定められている、低圧電路の絶縁抵抗値は次の3段階です。
電技第58条の絶縁抵抗値(暗記必須)
| 使用電圧の区分 | 対地電圧 | 絶縁抵抗値 |
|---|---|---|
| 300V以下 | 150V以下 | 0.1MΩ以上 |
| 300V以下 | 150V超〜300V以下 | 0.2MΩ以上 |
| 300V超 | ― | 0.4MΩ以上 |
ポイントは「電圧が高くなるほど絶縁性能を厳しく求める」という一貫した思想です。電圧が高いほど感電・漏電のリスクが大きいので、絶縁の壁を分厚くしなさい、というシンプルな話です。次の章から、これを忘れない覚え方を紹介します。
「ジュース缶」で覚える絶縁抵抗値の3段階
この3つの数字、丸暗記しようとすると本番でこんがらがります。そこで私が独学時代に編み出した、一発で頭に入る覚え方を紹介します。
イメージ:ジュース缶の容量=絶縁抵抗値
- 100mL缶(ミニ缶) → 0.1MΩ(150V以下)
- 200mL缶(小缶) → 0.2MΩ(150V超〜300V以下)
- 400mL缶(普通缶) → 0.4MΩ(300V超)
「電圧が大きくなるほど、缶も大きくなる」というイメージで結びつけます。「150Vまでは小さなミニ缶、300Vまでは小缶、それ超えたら普通缶」とリズムよく口に出して覚えると、本番でも一瞬で出てきます。
境界値の罠に注意
ここで一つだけ罠があります。「150V以下」「150V超〜300V以下」「300V超」という境界の含む・含まないが厳密です。試験では「対地電圧150Vの電路の絶縁抵抗値は?」のように、境界ピッタリの数字で引っ掛けてくることがあります。
| 電圧の例 | どの区分? | 絶縁抵抗値 |
|---|---|---|
| 100V(一般家庭) | 150V以下 | 0.1MΩ以上 |
| 150V(境界) | 150V以下 | 0.1MΩ以上 |
| 200V(エアコン等) | 150V超〜300V以下 | 0.2MΩ以上 |
| 300V(境界) | 150V超〜300V以下 | 0.2MΩ以上 |
| 400V(工場動力) | 300V超 | 0.4MΩ以上 |
「境界の数字は『以下』の側に含まれる」と覚えておきましょう。150Vは0.1MΩ側、300Vは0.2MΩ側です。
そもそも「絶縁抵抗」とは何か?
数字の暗記だけで終わると本質を見失います。「絶縁抵抗」とは何か、なぜ電圧が高くなると厳しくなるのか、ここでイメージを掴んでおきましょう。
絶縁抵抗=「電気の漏れにくさ」
絶縁抵抗とは、電線の被覆や機器の絶縁体が「電気を漏らさない力」を数値化したものです。本来、電気は導体(電線)の中だけを流れるべきですが、絶縁が劣化すると、ほんの少しずつ大地や他の機器に「漏れて」しまいます。
イメージ:水道管の防水コーティング
新品の水道管はピカピカで水が漏れません。でも経年劣化でコーティングが剥がれてくると、じわじわ水が滲み出します。電線の絶縁体もまったく同じ。新品時は絶縁抵抗が高く(電気が漏れない)、年数とともに低下していきます。
なぜ電圧が高いほど厳しくするのか
ここがポイントです。同じ絶縁体でも、かかる電圧が高ければ漏れる電流も増えます。これはオームの法則(V=IR)から明らかです。
漏えい電流 I = 使用電圧 V ÷ 絶縁抵抗 R
たとえば絶縁抵抗が同じ0.1MΩだとしても、100Vかけた場合と400Vかけた場合では、漏えい電流は4倍違います。だから電圧が高い電路には、より高い絶縁抵抗を求めるわけです。「電圧が4倍ならせめて絶縁抵抗も4倍にしてバランスを取れ」というのが、0.1→0.2→0.4MΩという数値の根拠になっています。

漏えい電流1mA以下のルール
電技第58条にはもう一つ重要なルールがあります。それが「漏えい電流は1mA以下」です。実は絶縁抵抗値の基準は、この「漏えい電流1mA」から逆算されています。
なぜ1mAなのか?
人体に流れた場合、1mA程度なら「ピリッ」と感じる程度で重篤な被害は出ません。これを超えると感電のリスクが急上昇するため、設備からの漏えい電流の安全上限として1mAが採用されています。
人体への電流の影響(参考)
- 1mA:ピリッと感じる程度(安全限界)
- 5mA:かなりの痛み、不快
- 10〜20mA:筋肉が硬直し、自力で離せない
- 50mA:呼吸困難、生命の危険
- 100mA以上:心室細動、致命的
絶縁抵抗値と1mAの関係を計算で確認
「漏えい電流1mA」と「絶縁抵抗値」のつながりを、実際の数字で確認してみましょう。オームの法則 R = V ÷ I を使います。
| 使用電圧V | 必要な絶縁抵抗R = V÷1mA | 電技で求められる値 |
|---|---|---|
| 100V | 100V ÷ 1mA = 0.1MΩ | 0.1MΩ以上 |
| 200V | 200V ÷ 1mA = 0.2MΩ | 0.2MΩ以上 |
| 400V | 400V ÷ 1mA = 0.4MΩ | 0.4MΩ以上 |
きれいに一致しますよね。つまり「漏えい電流が1mAを超えないように」という安全思想から、絶縁抵抗の基準値が決まっているのです。これを理解しておけば、もし数値を忘れても「使用電圧÷1mA」で導出できます。

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B問題で出る計算パターン
絶縁性能はB問題でも頻出です。計算パターンは大きく分けて3つあります。
パターン1:漏えい電流の計算
例題
使用電圧200Vの電路で、絶縁抵抗を測定したところ0.5MΩであった。この電路の漏えい電流は何mAか。
解法
I = V ÷ R = 200V ÷ 0.5MΩ = 200V ÷ 500,000Ω
= 0.0004A = 0.4mA
判定
0.4mA ≦ 1mA → 漏えい電流は基準値以下なのでOK。
また絶縁抵抗0.5MΩ ≧ 0.2MΩ(200Vの基準値)なので、こちらも基準クリア。
パターン2:必要な絶縁抵抗値の逆算
例題
使用電圧400Vの電路で、漏えい電流を1mA以下に抑えるために必要な最小の絶縁抵抗値はいくらか。
解法
R = V ÷ I = 400V ÷ 1mA = 400V ÷ 0.001A
= 400,000Ω = 0.4MΩ
判定
400V(300V超)の電路は0.4MΩ以上が必要。計算結果0.4MΩと一致。電技の基準と整合性が取れている。
パターン3:分岐回路の合成漏えい電流
例題
使用電圧100Vの分電盤に3つの分岐回路があり、それぞれの絶縁抵抗が1.0MΩ、0.5MΩ、0.25MΩであった。分電盤全体での漏えい電流の合計は何mAか。
解法
回路1:I₁ = 100 ÷ 1,000,000 = 0.1mA
回路2:I₂ = 100 ÷ 500,000 = 0.2mA
回路3:I₃ = 100 ÷ 250,000 = 0.4mA
合計:I = 0.1 + 0.2 + 0.4 = 0.7mA
判定
合計0.7mA ≦ 1mA → 全体としては基準内。
ただし回路3単独では絶縁抵抗0.25MΩ < 0.1MΩではないのでOKだが、劣化が進んでいるサインなので要観察。
実務で電気主任技術者として絶縁抵抗測定をするときは、必ず「メガー(絶縁抵抗計)」を使います。試験電圧は使用電圧に応じて選び、500Vメガーが最も一般的です。測定値が基準ギリギリ(0.15MΩ等)の場合、その時点ではセーフでも劣化進行中なので、次の点検まで持たないことが多いです。試験勉強で「基準値以上=OK」と覚えておけば十分ですが、現場ではマージンを持って判断します。
絶縁性能を測る「メガー」とは
絶縁抵抗を実際に測定する道具を「メガー(絶縁抵抗計)」と呼びます。電験三種では深い知識は問われませんが、現場イメージとして知っておくと条文が頭に残ります。
なぜ普通のテスターではダメか
普通のテスター(マルチメーター)の抵抗測定は、せいぜい数ボルトの低い電圧で測ります。これでは絶縁体に十分なストレスがかからず、MΩオーダーの大きな抵抗を正確に測れません。メガーは内部で250V・500V・1000Vといった直流高電圧を発生させ、実使用状態に近い条件で絶縁抵抗を測定します。
メガーの試験電圧の使い分け
| メガーの定格電圧 | 用途 |
|---|---|
| 125V〜250V | 電子機器、制御回路(低圧) |
| 500V | 一般的な低圧電路(最も汎用) |
| 1000V以上 | 高圧電路、ケーブル等 |
電技第58条は「低圧電路」の絶縁抵抗値を定めたものなので、現場では500Vメガーで測定するのが基本になります。

測定が困難な場合の例外規定
実は電技第58条には、絶縁抵抗測定が困難な場合の例外規定があります。試験でも時々問われるので押さえておきましょう。
例外規定(電技解釈第14条)
停電して絶縁抵抗を測定することが困難な場合は、使用電圧が加わった状態における漏えい電流が1mA以下であれば、絶縁性能を満たしているものとみなされます。
たとえば24時間稼働の工場で、ラインを止めるわけにはいかない設備の場合、絶縁抵抗計(メガー)での測定は実質的に不可能です。そんなときは「クランプ式漏えい電流計」を使って、稼働状態のまま漏えい電流を測定する方法が認められています。
ここでも「1mA以下」というキーワードが出てきます。絶縁性能の判断基準は、結局のところ「漏えい電流1mA」に集約されているわけです。

全体まとめ:5秒で思い出せる暗記カード
ここまでの内容を、試験直前にパッと見返せる形でまとめます。これだけ覚えておけば、絶縁性能の問題で迷うことはありません。
電技第58条 完全暗記カード
| 対地電圧 | 絶縁抵抗値 | 缶イメージ | 代表的な機器 |
|---|---|---|---|
| 150V以下 | 0.1MΩ以上 | 100mL缶 | 家庭の100V機器 |
| 150V超〜300V以下 | 0.2MΩ以上 | 200mL缶 | エアコン、IH等の200V機器 |
| 300V超 | 0.4MΩ以上 | 400mL缶 | 工場の動力電源(400V級) |
共通の合言葉:「漏えい電流は常に1mA以下」
導出公式:R(MΩ) = V(V) ÷ 1mA = V ÷ 1000 (MΩ)

理解度テスト(過去問チャレンジ)
出題1:平成26年度 法規 問6
問われたこと:電気設備技術基準(第58条)の低圧電路の絶縁性能。対地電圧が(ア)V以下の電路は(イ)MΩ以上、そのほかの300V以下の電路は0.2MΩ以上、300Vを超える電路は(ウ)MΩ以上、という表の空欄の組合せを選ぶ。
選択肢の要点:(ア)は100・150・200、(イ)は0.1・0.2、(ウ)は0.4・0.6 の組合せが5通り。
問題文は、電気技術者試験センターの公表問題を要約しています。原文は同センターの「試験問題と解答」で確かめてください。
▼ 解答と解説を見る
正解:(2)
(ア)150:対地電圧150V以下は0.1MΩ区分の境界
(イ)0.1:150V以下の電路の絶縁抵抗値
(ウ)0.4:300V超の電路の絶縁抵抗値
本記事の「ジュース缶イメージ」で覚えた通り、150V/300Vの境界と0.1/0.2/0.4MΩの組合せが完全一致するパターンです。
出題2:令和6年度上期 法規 問8
問われたこと:絶縁抵抗の測定が困難な場合は、使用電圧がかかった状態での漏えい電流が(ア)mA以下なら絶縁性能を満たすとみなす、という規定の(ア)に入る数値を選ぶ。
選択肢の要点:0.1・0.5・1・2・5 の5つ。
問題文は、電気技術者試験センターの公表問題を要約しています。原文は同センターの「試験問題と解答」で確かめてください。
▼ 解答と解説を見る
正解:(3) 1
本記事の「測定が困難な場合の例外規定」で解説した通り、停電して絶縁抵抗を測定するのが困難な場合は、漏えい電流1mA以下であれば絶縁性能を満たすとみなされます。「絶縁性能の判断基準は結局1mAに集約されている」というのが本問のポイントです。
出典:一般財団法人 電気技術者試験センターの公表問題(問題文は要約)

穴埋め式 最終チェック(本記事のまとめ)
本記事の重要ポイントを穴埋め形式で確認しましょう。記事を読まずに答えられれば完璧です。
- 低圧電路の絶縁性能を定めているのは、電技第( ① )条である。
- 対地電圧150V以下の電路の絶縁抵抗値は( ② )MΩ以上である。
- 対地電圧150V超〜300V以下の電路の絶縁抵抗値は( ③ )MΩ以上である。
- 使用電圧が300Vを超える電路の絶縁抵抗値は( ④ )MΩ以上である。
- 絶縁抵抗測定が困難な場合、漏えい電流が( ⑤ )mA以下であれば絶縁性能を満たすとみなされる。
- 漏えい電流の計算公式は、I = V ÷( ⑥ )である。
- 絶縁抵抗を測定する専用工具を一般に( ⑦ )と呼ぶ。
- 一般的な低圧電路の測定で最も使われるメガーの定格電圧は( ⑧ )Vである。
▼ 解答を見る
- 58
- 0.1
- 0.2
- 0.4
- 1
- R(絶縁抵抗)
- メガー(絶縁抵抗計)
- 500
8問中6問以上正解できれば、本記事の内容は完璧に理解できています。
メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
電路の絶縁抵抗は、絶縁抵抗計(メガー)で測ります。日置電機(HIOKI)のデジタル絶縁抵抗計 IR4052-50です。DC50V〜1000Vの5つの定格測定電圧で測れるJIS認証品で、合否をすぐ示すコンパレータ機能と、200mAの導通チェック機能を備えています。
絶縁抵抗値の決まりを、電技と電技解釈の条文で確かめたいときに向いています。電気設備に関する技術基準を定める省令(電技)と、その解釈(電技解釈)の条文をまとめた本です(2026年版)。
「電路の絶縁性能を完全図解」を試験の得点につなげるなら、法規科目の教科書で前後の決まりとあわせて押さえておくと安心です。TAC出版『みんなが欲しかった!』シリーズの、電験三種「法規」の教科書と問題集です(第3版)。フルカラーの教科書に重要な過去問が付いています。
「どこから手をつければいいかわからない」「計算問題で手が止まる」と感じたら、講義と問題演習がセットになった通信講座を使う方法もあります。SATの電験三種講座(第三種電気主任技術者講座)は、フルカラーのテキストと講義動画で学べて、メールなどで質問もできます。料金や内容は公式サイトで確かめてください。
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この記事の内容がわかったら、電気法規の次のテーマに進みましょう。続けて読むと、現場でそのまま使える知識になります。
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気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。