電験三種の法規で「電線の接続」は毎年のように出題される頻出テーマです。でも「引張強さを20%以上減少させない」と言われても、なぜ20%なのか、そもそも何をどう測るのか、ピンとこないですよね。実はこの4つのルール、「電気的・機械的・物理的・絶縁的に大丈夫か?」という4方向のチェックとイメージするだけで一気に整理できます。
こんな悩みはありませんか?
- 「引張強さを20%以上減少させない」の意味がそもそもわからない
- 電技解釈第12条を読んでも、用語が硬すぎて頭に入ってこない
- リングスリーブと差込形コネクタ、現場でどう使い分けるのか曖昧
- 「電気抵抗を増加させない」って、当たり前すぎて逆に不安になる
この記事を読めばわかること
- 電技解釈第12条の「接続4大原則」を日常イメージで完全理解
- 「20%」という数字が出てきた物理的な背景
- リングスリーブと差込形コネクタの選び分け基準
- 過去問(平成22年度問9・平成23年度問4)で本番レベルの実力チェック
目次
結論:電線の接続には「4つのチェック」が義務付けられている
まず結論からいきます。電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)第12条で定められている「電線を接続するときのルール」は、たった4つです。これを一言でまとめると、「電線をつないだ後でも、つなぐ前と同じ性能を保て」というシンプルな話です。
電線の接続「4大原則」(電技解釈第12条)
- 電気抵抗を増加させない(電気的にOK?)
- 引張強さを20%以上減少させない(機械的にOK?)
- 接続管などの器具を使うか、ろう付けする(物理的にOK?)
- 絶縁効力を元の電線と同等以上にする(絶縁的にOK?)
電気・機械・物理・絶縁という4つの観点で、すべて「接続前と同等以上」を求められています。次の章から、それぞれを日常のイメージで噛み砕いていきます。
そもそも、なぜ電線の接続にルールが必要なのか?
電線の接続部分は、配線全体の中で最も事故が起きやすい「弱点」です。なぜでしょうか。
ホースを途中で繋いだ場面を思い浮かべてください。繋ぎ目から水が漏れたり、引っ張ると外れたり、その部分だけ細くなって水の勢いが落ちたりしますよね。電線もまったく同じです。接続部分は、何もしなければ次のような問題が起きます。
接続部分で起きる4つの事故リスク
- 抵抗増加 → 発熱 → 火災(接続が甘いと電気が流れにくくなり熱を持つ)
- 引張力で外れる → 断線・感電(人が引っかけたり風で揺れた時に切れる)
- 素線がバラける → 短絡・地絡(より線をそのまま捻ったままだと隣の線に触れる)
- 絶縁が破れる → 感電・漏電(接続部分の被覆処理が甘いと裸の銅線が露出)
だからこそ電技解釈第12条は、この4つのリスクをそれぞれ潰すように「4大原則」を定めているわけです。「ルールを丸暗記」ではなく、「接続事故の4大リスクを潰すためのルール」と理解すれば、頭に残りやすくなります。
私が工場勤務の頃、設備改造で動力ケーブルを途中接続した箇所で、3ヶ月後に発煙トラブルが発生したことがあります。原因は接続スリーブの圧着不足。接続部分の電気抵抗がわずかに増えていただけなのですが、大電流が流れた時に発熱して被覆が溶けたのです。「電気抵抗を増加させない」という条文が、いかに現場の安全に直結しているか身に染みました。

原則①:電気抵抗を増加させない
ホースを繋いでも水の勢いが落ちないように
電気抵抗を増加させない。つまり、接続する前と後で、電気の流れにくさが変わってはいけないということです。
ホースの例えで言うと、繋ぎ目で水の流れが細くならないように、しっかり同じ太さで繋ぐイメージです。電線の場合、接続が甘いとその部分で電気抵抗が増え、I²R(電流の2乗×抵抗)の発熱が局所的に発生します。これが火災の原因になります。
具体的にやってはいけないこと
- 銅線を素手で軽く捻っただけで終わらせる
- 異なる金属(銅とアルミなど)を直接接続する(電食が起きる)
- 圧着工具を使わずに、ペンチで握っただけのリングスリーブ
- 接続部分に酸化被膜・汚れがついたまま接続する

原則②:引張強さを20%以上減少させない
「20%」の意味を直感で理解する
電技解釈第12条の中で、最も試験に出やすく、最も誤解されやすいのがこの「20%」というキーワードです。意味を一言でいうと、こうです。
接続前の電線が100kgの力で切れるなら、接続後は最低でも80kgの力に耐えなければならない。つまり、接続によって失われていい強度は20%まで、ということです。
なぜ20%なのか。これは、電線が架設後に受ける「風圧」「氷雪」「自重」「温度変化による収縮」といった力に対して、安全率を確保するための工学的な余裕代です。逆に言うと、21%以上減少すると、台風や着雪で簡単に切れる危険があるということです。
引張強さが減少する典型パターン
- より線の素線を切ってしまう(圧着時にニッパーで切り過ぎる)
- 圧着が強すぎて銅線が痩せる
- はんだ付けの熱で銅が「なまる」(焼きなまし状態になり強度低下)
- ねじり接続だけで終わらせる

原則③:接続管などの器具を使うか、ろう付けする
「捻って繋いだだけ」は基本的にNGです。電技解釈第12条は、必ず専用の接続器具(接続管・スリーブ・コネクタなど)を使うか、ろう付け(はんだ付け等)することを求めています。
代表的な接続器具:リングスリーブと差込形コネクタ
低圧屋内配線で最もよく使われる接続器具が、リングスリーブと差込形コネクタです。第二種電気工事士の技能試験でもおなじみですね。両者の違いを表で整理します。
| 項目 | リングスリーブ | 差込形コネクタ |
|---|---|---|
| 施工方法 | 圧着工具で潰す | 差し込むだけ |
| 必要工具 | リングスリーブ用圧着工具 | 不要 |
| 絶縁処理 | ビニルテープ巻きが必要 | 本体に絶縁機能あり |
| やり直し | 不可(切り直し) | 難しい(基本不可) |
| 適用箇所 | 本格的な造営材内 | 手早く済ませたい箇所 |
| サイズの目印 | 小・中・大(刻印は◯・小・中・大) | 2本用・3本用・4本用 |
どちらも電技解釈第12条を満たす正規の接続方法です。違いは「機械的強度を重視するならリングスリーブ、施工スピードを重視するなら差込形コネクタ」というイメージで覚えてください。

原則④:絶縁効力を同等以上にする
4つ目の原則は、絶縁です。接続部分の絶縁性能を、元の電線の絶縁被覆と同等以上にしなければなりません。
リングスリーブを使って圧着接続をした場合、その上から必ずビニルテープを巻く、または絶縁キャップを被せる処理が必要です。これをサボると、銅線がむき出しのまま放置されることになり、感電・短絡・地絡の原因になります。
「同等以上」の意味
元のIV電線(ビニル絶縁電線)が600Vの絶縁性能を持っているなら、接続部分も600V以上の絶縁性能を保つこと。具体的には、絶縁テープを半幅ずつ重ねて2回以上巻くのが基本です(メーカー指定がある場合はそれに従う)。
差込形コネクタの場合は、コネクタ本体に絶縁機能が組み込まれているので、追加のテープ処理は不要です。これも差込形コネクタが現場で重宝される理由の一つです。

4大原則を1枚にまとめる(暗記カード)
ここまでの内容を、試験直前にパッと見返せるように1枚にまとめます。これだけ覚えておけば、A問題で問われる「電線の接続」は確実に得点できます。
| 原則 | キーワード | 日常イメージ |
|---|---|---|
| ①電気的 | 電気抵抗を増加させない | ホースの繋ぎ目で水量が落ちない |
| ②機械的 | 引張強さを20%以上減少させない | 引っ張っても切れない(最低80%維持) |
| ③物理的 | 接続管・ろう付け使用 | 捻るだけはダメ、専用部品で繋ぐ |
| ④絶縁的 | 絶縁効力を同等以上に | 接続後もテープ等で被覆を復活 |
「電気的・機械的・物理的・絶縁的」の4方向チェック。この順番で覚えてしまえば、本番でも瞬時に思い出せます。

補足:覚えておくと差がつく細則
電技解釈第12条には、4大原則の他にも知っておきたい細かい規定があります。過去問でちらっと問われることもあるので、押さえておきましょう。
コード相互・キャブタイヤケーブル相互の接続
断面積が8mm²以上のキャブタイヤケーブルどうしを接続する場合などは、接続箱その他の器具を使うことが求められます。「ただスリーブで繋いだだけ」では不十分なケースがある、ということです。
異種金属の接続(銅とアルミ)
銅線とアルミ線を直接接続すると、両者の電位差で「電食(ガルバニック腐食)」が起きます。電気抵抗が時間とともに増加し、最終的に発熱・断線につながります。やむを得ず異種金属を接続する場合は、電食を防ぐ専用のコネクタ(バイメタル端子等)を使う必要があります。
裸電線と絶縁電線・コードの接続
裸電線と絶縁電線を接続する場合も、接続部分は絶縁電線の絶縁効力と同等以上の絶縁効力のあるもので覆うことが必要です。「裸電線側だから絶縁不要」とはなりません。

現場視点:自家用電気工作物での接続トラブル事例
工場の設備管理担当者として、電線の接続トラブルは「あるある」です。電験三種の試験対策としても、現場イメージがあると条文が頭に残ります。
事例1:制御盤内端子台のゆるみ → 焼損
端子台のネジが振動で緩み、接続抵抗が増加。長期間気付かれずに発熱が進行し、端子台ごと炭化していたケース。「電気抵抗を増加させない」原則違反の典型例です。定期点検での増し締めが重要です。
事例2:圧着不良 → 引き抜け
圧着工具の使い間違い(裸圧着用工具で絶縁被覆付き端子を圧着)で、引張試験で簡単に抜けてしまった事例。「引張強さを20%以上減少させない」原則違反です。正しい工具・正しいダイスでの圧着が必須です。
電験三種の法規は「机上の暗記」と思われがちですが、現場の安全に直結する超実務的な内容です。条文をイメージで理解しておくと、合格後に主任技術者として現場に出たときも本当に役立ちます。
理解度テスト(過去問チャレンジ)
出題1:平成23年度 法規 問4
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく電線の接続法に関する記述である。電線を接続する場合は、電線の電気抵抗を( ア )ようにするとともに、絶縁性能の低下(裸電線を除く。)及び通常の使用状態において断線のおそれがないようにしなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)に当てはまる語句として、最も適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
- 変化させない
- 増加させない
- 許容電流以下となる
- 負荷電流に応じた数値となる
- ±10%以内の増減となる
▼ 解答と解説を見る
正解:(2) 増加させない
本記事の「原則①:電気抵抗を増加させない」で解説した通り、電技解釈第12条は接続部分での電気抵抗の増加を禁じています。「変化させない」では減少もNGになってしまい不適切。実務的には減少することはないので、「増加させない」が正解です。
出題2:平成22年度 法規 問9
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、電線の接続法の記述の一部である。電線を接続する場合は、接続部分において電線の電気抵抗を増加させないように接続するほか、次によること。
- 電線の引張強さを( ア )%以上減少させないこと。
- 接続部分には、接続管その他の器具を使用し、又は( イ )すること。
- 絶縁電線相互又は絶縁電線とコード、キャブタイヤケーブル若しくはケーブルとを接続する場合は、接続部分の絶縁電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のある接続器を使用するか、又は接続部分をその部分の絶縁電線の絶縁物と( ウ )絶縁効力のあるもので十分被覆すること。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる語句又は数値の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
| 番号 | (ア) | (イ) | (ウ) |
|---|---|---|---|
| (1) | 10 | ろう付け | 同等以上の |
| (2) | 20 | ろう付け | 同等以上の |
| (3) | 20 | 圧着 | 十分な |
| (4) | 30 | 圧着 | 同等以上の |
| (5) | 30 | ろう付け | 十分な |
▼ 解答と解説を見る
正解:(2)
(ア)20:引張強さを20%以上減少させない(原則②)
(イ)ろう付け:接続管その他の器具使用 or ろう付け(原則③)
(ウ)同等以上の:絶縁効力は元の電線と同等以上に(原則④)
4大原則のうち、機械的・物理的・絶縁的の3つを一気に問う典型問題です。本記事の表で覚えた4大原則がそのまま答えになっています。
出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 公表問題
穴埋め式 最終チェック(本記事のまとめ)
本記事の重要ポイントを穴埋め形式で確認しましょう。記事を読まずに答えられればバッチリです。
- 電線を接続するときは、電気抵抗を( ① )させないようにしなければならない。
- 電線の引張強さを( ② )%以上減少させてはならない。
- 接続部分には接続管などの器具を使用するか、または( ③ )すること。
- 接続部分の絶縁効力は、元の電線の絶縁物と( ④ )絶縁効力のあるもので被覆すること。
- これらのルールは、電気設備の技術基準の解釈、通称「電技解釈」の第( ⑤ )条に定められている。
- リングスリーブは圧着工具で潰す方式で、接続後は( ⑥ )処理が別途必要である。
- 差込形コネクタは本体に( ⑦ )機能が組み込まれているため、追加処理は不要。
- 銅線とアルミ線を直接接続すると、両者の電位差で( ⑧ )(ガルバニック腐食)が起きる。
▼ 解答を見る
- 増加
- 20
- ろう付け
- 同等以上の
- 12
- 絶縁(テープ巻きなど)
- 絶縁
- 電食
8問中6問以上正解できれば、本記事の内容は完璧に理解できています。
電験三種・法規シリーズの全体地図
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この記事を書いた人
シラス(@shirasusolo)
30代メーカーエンジニア。電気主任技術者・QC検定保有。「soloblog」で電験三種・統計学を中心に、現場で使える知識を発信中。実務での設備管理経験を活かし、条文だけでは理解しにくい法規科目を「現場のイメージ」で解説することを得意としている。
最終更新:2026年5月25日 / 本記事は2026年5月時点の法令に基づいています。最新の改正情報は e-Gov法令検索 で必ずご確認ください。
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