機械科目の解説

【電験三種】自動制御の全パターン攻略|過去問の出題傾向と解法フローチャート

😣 こんな悩みはありませんか?
  • 自動制御は「出たら捨てる」分野だと思っている
  • 伝達関数、ブロック線図、ボード線図、ナイキスト線図……範囲が広すぎて何から手をつけていいかわからない
  • A問題(5点)は取れるけど、B問題(10点)になると手が止まる
  • そもそも「今回の問題がどのパターンか」を判別する方法がわからない
✅ この記事でわかること
  • 過去15回分の出題データから抽出した6つの出題パターン(A〜F)
  • 問題を見た瞬間に「どの解法を使うか」を判別するフローチャート
  • 各パターンの解法テンプレートと対応する学習記事リンク
  • 自動制御シリーズ全記事の学習ロードマップ(初心者が迷わない読み順)
  • 試験当日の時間配分戦略と「攻める順番」

この記事は、当ブログの自動制御シリーズの総まとめ記事です。

電験三種の機械科目で、自動制御はA問題(問13 or 問14)で5点、B問題の選択(問17 or 問18)で10点、合計最大15点を占めます。機械科目の合格ラインは60点。この15点は「捨てるにはあまりに大きく、取れれば合格にグッと近づく」ポイントです。

「自動制御は難しい」と思われがちですが、過去問を分析すると出題パターンはわずか6つしかありません。パターンを知り、それぞれに対応する解法テンプレートを体に染み込ませれば、試験本番で「この問題、見たことある」状態を作れます。

初めて自動制御を勉強する方はこの記事を「地図」として使ってください。すでに学習中の方は「抜けがないか」のチェックリストとして使ってください。

自動制御の全体像 ─ 機械科目の中での位置づけと配点

機械科目の出題構成と自動制御の配点

機械科目は全18問(A問題14問+B問題4問)で構成されています。自動制御の出題位置は年度によって多少変わりますが、おおむね以下のパターンが定着しています。

問題番号 区分 配点 自動制御の出題
問1〜問14 A問題(必須) 各5点 問13付近で1問出題
(用語・知識 or 簡単な計算)
問15〜問16 B問題(必須) 各10点 ほぼ出題なし
(4機・パワエレが中心)
問17〜問18 B問題(選択) 各10点
(2問中1問を選択)
高確率で1問出題
(ブロック線図 or ボード線図 or ナイキスト)
自動制御の最大獲得点数
A問題 5点 + B問題 10点 = 15点
合格ライン60点の25%に相当。「捨てる」にはあまりに大きい。

自動制御で学ぶ内容の全体マップ

自動制御で出題される知識は、大きく分けると以下の5つの柱に整理できます。

📖
柱①
制御の基本用語
(FB制御・FF制御・PID等)
|
🧩
柱②
ブロック線図
(等価変換・伝達関数)
|
🔁
柱③
過渡応答
(1次遅れ・時定数τ)
|
📈
柱④
周波数応答
(ボード線図)
|
🌀
柱⑤
安定判別
(ナイキスト線図)

「範囲が広い」と感じるのは、この5つの柱がバラバラに見えるからです。しかし、実際には「柱①が基礎→柱②③④⑤が応用」という構造になっています。基礎用語を押さえれば、応用問題も「どの柱の話か」を判別するだけで解法が決まります。

過去15回の出題一覧表 ─ データが語る「本当の出題傾向」

百聞は一見にしかず。R7上期〜H30(過去15回分)の自動制御の出題を一覧表にしました。「どのパターンが何回出たか」を数えてみてください。

年度 問番号 区分 出題内容 パターン 配点
R7上 問13 A フィードバック制御系における安定性評価(穴埋め) A 用語 5点
問18 B選択 一巡伝達関数およびナイキスト線図(計算) F ナイキスト 10点
R6下 問13 A PID制御に関する穴埋め A 用語 5点
R6上 問13 A 自動制御の分類と特徴(穴埋め) A 用語 5点
R5下 問13 A ボード線図の読み取り(計算) E ボード線図 5点
問18 B選択 ブロック線図における周波数伝達関数(計算) D ブロック線図 10点
R5上 問13 A RL回路の周波数伝達関数(計算) C 回路→伝達関数 5点
R4下 問14 A メカトロニクスの概要と構成要素(穴埋め) A 用語 5点
問15 B必須 RLC回路の伝達関数とボード線図(計算) E ボード線図 10点
R4上 問15 B必須 フィードバック制御系の一巡伝達関数(計算) F ナイキスト 10点
R3 問13 A RC回路の一次遅れ要素(穴埋め) B 過渡応答 5点
R2 問17 B選択 周波数伝達関数のボード線図とブロック線図(計算) D+E 複合 10点
R1 問13 A RL回路の周波数伝達関数(計算) C 回路→伝達関数 5点
H30 問13 A 自動制御に関する基礎用語(穴埋め) A 用語 5点
問18 B選択 フィードバック制御系のブロック線図と伝達関数(計算) D ブロック線図 10点

パターン別の出題回数ランキング

順位 パターン 出題頻度 難易度 優先度
🥇 A:用語・知識問題 ★★★★★ 最優先
🥈 D:ブロック線図(等価変換・伝達関数) ★★★★ 最優先
🥉 E:ボード線図(ゲイン・位相の読み取り) ★★★★
4 C:回路→伝達関数の導出 ★★★
5 F:ナイキスト線図(安定判別) ★★★
6 B:過渡応答(時定数・ステップ応答) ★★
💡 データから見える戦略
A問題(5点)はほぼ毎回「用語・知識問題」です。暗記で確実に5点取れます。B問題(10点)はブロック線図 or ボード線図 or ナイキストのいずれか。この3つのうち2つを押さえれば、B選択問題で「自動制御」を選べる確率が格段に上がります。

問題判別フローチャート ─ 10秒で「どの解法か」を判定する

試験本番で最も重要なのは、「この問題がどのパターンか」を瞬時に見抜くことです。以下のフローチャートを暗記してください。問題文を見た瞬間に分岐を辿れば、正しい解法テンプレートにたどり着きます。

判別フローチャート

🔍 問題文を見る
問題文に「図」はあるか?
図なし(文章のみ)
パターン A:用語・知識問題
・フィードバック制御 / フィードフォワード制御
・PID制御(比例・積分・微分)
・メカトロニクス / シーケンス制御
・安定性の評価(ゲイン余裕・位相余裕)
暗記で5点確保
図あり
何の図か?
🔌
電気回路図
パターン B or C
🧩
ブロック線図
G(s), H(s), Σ
パターン D
📈
ボード線図
ゲイン[dB]・位相[°]
パターン E
🌀
複素平面・(-1,j0)
パターン F
🔌 電気回路図がある場合の追加判別
「時定数」「ステップ応答」を問われる →
パターン B:過渡応答
「伝達関数G(s)を求めよ」と問われる →
パターン C:回路→伝達関数導出
🔧 現場の声
このフローチャートを試験前に3回復唱するだけで、本番の初動が変わります。自動制御の問題は「何を聞かれているかわからない」が最大の敵。問題を開いた瞬間に「図あり → ブロック線図 → パターンD → 等価変換の手順を使う」と判断できれば、あとは手を動かすだけです。

パターン別 解法テンプレートと対応記事リンク

ここからは、6つの出題パターンそれぞれについて「何を覚え、どう解くか」をまとめます。各パターンの詳細解説記事へのリンクも載せているので、苦手なパターンから潰していってください。

A 用語・知識問題(A問題 5点) 難易度:易 ★☆☆

出題頻度:ほぼ毎回出題。A問題として最も安定した得点源。

覚えるべきキーワード:

フィードバック制御 フィードフォワード制御 シーケンス制御 P動作(比例) I動作(積分) D動作(微分) オフセット ゲイン余裕・位相余裕 メカトロニクス

解法テンプレート:暗記のみ。過去問の選択肢を5年分読み込めば、ほぼ同じ文言で再出題される。

B 過渡応答(時定数・ステップ応答) 難易度:易 ★☆☆

出題頻度:数年に1回程度。A問題で出題されることが多い。

覚えるべき公式:

時定数 τ = RC(または L/R)
ステップ応答 y(t) = K(1 - e-t/τ)
t = τ のとき最終値の 63.2% に到達

解法テンプレート:回路のR, L, C値から τ を計算 → ステップ応答の式に代入 → 特定の時刻の出力値を求める。

C 回路図→伝達関数の導出 難易度:中 ★★☆

出題頻度:2〜3年に1回。RL回路やRC回路が頻出。

覚えるべき公式:

G(s) = Vout(s) / Vin(s)
インピーダンスで分圧の式を立てる
R → R, L → sL, C → 1/sC に置き換える

解法テンプレート:①回路の入出力を確認 → ②各素子をsのインピーダンスに変換 → ③分圧の式で伝達関数を導出 → ④s = jω に置き換えて周波数特性を求める。

D ブロック線図(等価変換・伝達関数) 難易度:中 ★★☆

出題頻度:B問題の定番。高配点10点の主戦場。

覚えるべき公式:

直列結合:G₁ × G₂
並列結合:G₁ ± G₂
フィードバック結合:G / (1 + GH)
(負のFBなら +、正のFBなら -)

解法テンプレート:①ブロック線図を「内側のループ」から縮退 → ②直列・並列・FBの公式で1つの箱に統合 → ③全体の伝達関数 C(s)/R(s) を求める → ④必要に応じて特定の周波数での値を計算。

E ボード線図(ゲイン・位相の読み取り) 難易度:中 ★★☆

出題頻度:A問題・B問題のどちらでも出題される重要パターン。

覚えるべきポイント:

ゲイン [dB] = 20log₁₀|G(jω)|
折れ点周波数 ω = 1/T
1次遅れ:-20dB/dec で降下、位相 0°→-90°
積分要素:-20dB/dec で降下(ω全域)、位相 -90° 固定

解法テンプレート:①伝達関数の次数と要素を分解 → ②各要素のゲイン・位相を重ね合わせる → ③折れ点周波数でグラフの形が変わるポイントを確認 → ④ゲイン余裕・位相余裕を読み取る。

F ナイキスト線図(安定判別) 難易度:難 ★★★

出題頻度:数年に1回のB問題。R7上期問18、R4上期問15で出題。

覚えるべきポイント:

ナイキスト線図が (-1, j0) を囲まない → 安定
ナイキスト線図が (-1, j0) を囲む → 不安定
負の実軸交点が (-1) の右 → GM > 0dB → 安定

解法テンプレート:①一巡伝達関数を確認 → ②始点(ω=0)を特定 → ③最終位相(分母の次数 × -90°)を計算 → ④虚数部=0のωを求めて実軸交点を計算 → ⑤(-1, j0)との位置関係を判定。

学習ロードマップ ─ ゼロから自動制御で15点を取るまでの全手順

「何から手をつければいいかわからない」方のために、当ブログの自動制御シリーズ記事をおすすめの学習順序で並べました。上から順に読み進めてください。

PHASE 1:基礎用語を押さえる(目安:2〜3時間)── これだけでA問題5点

STEP 2
フィードバック制御の仕組み|目標値・偏差・操作量・制御量

FB制御の各要素の名前と役割を覚える。

STEP 3
PID制御とは?|P・I・Dの役割を「車の運転」で理解する

R6下期で出題。P/I/Dそれぞれの効果とオフセットの概念。

PHASE 2:伝達関数とブロック線図を攻略する(目安:5〜8時間)── B問題10点の主戦場

STEP 4
伝達関数とブロック線図|「入力→箱→出力」の3パターンだけ覚える

パターンC・Dの核心。直列・並列・FBの3つの公式。

STEP 5
1次遅れ要素とは?|RC回路の時定数τと「63.2%の法則」

パターンB対応。ステップ応答の基本。

PHASE 3:周波数応答と安定判別を仕上げる(目安:5〜8時間)── ボード線図・ナイキスト線図

STEP 6
周波数伝達関数とボード線図|ゲイン[dB]と位相[°]のグラフを読む・書く

パターンE対応。折れ点周波数と重ね合わせの原理。

学習の目安時間
12〜19時間
全パターン完了まで
2〜3時間
A問題5点だけなら
時間がない方はPHASE 1(STEP 1〜3)だけでもOK。A問題5点は「暗記投資のリターン」が最も高い分野です。

試験当日の時間配分戦略 ─ 自動制御を「どの順番で解くか」

機械科目の時間配分(90分)

機械科目は90分で18問(A問題14問+B問題4問)を解きます。ただし、B問題の問17・問18は2問中1問を選択するため、実質17問です。

フェーズ 対象 目安時間 ポイント
① 最初 A問題の知識問題
(自動制御の問13含む)
20分 知識問題は「瞬殺」で通過。考えてもわからないものは飛ばす。
② 中盤 A問題の計算問題 30分 得意分野から解く。1問3〜4分を目安に。
③ 後半 B問題(必須)
問15・問16
20分 1問10分を目安。途中計算を丁寧に。
④ 終盤 B問題(選択)
問17 or 問18
(自動制御はここ)
15分 まず2問とも読み、パターンを判別。
「確実に解ける方」を選ぶ。
⑤ 最後 見直し・マーク確認 5分 マークミスが命取り。CBTでも確認は必須。

B問題(選択)の判断基準 ─ 「自動制御」を選ぶか「照明 / 情報」を選ぶか

B問題の問17・問18は、自動制御と「照明 or 情報 or 電熱」の2問から1問を選ぶ形式です。本番で迷わないために、以下の判断基準を持っておきましょう。

✅ 自動制御を選ぶべきとき

  • パターン(D, E, F)を判別でき、解法テンプレートが頭に入っている
  • ブロック線図 or ボード線図の問題で、過去問の類題を解いたことがある
  • 部分点ではなく完答を狙える自信がある

⚠️ 他の選択肢を選ぶべきとき

  • 問題を見て「パターンがわからない」場合
  • 分母の展開で計算ミスを連発しそうなとき
  • 照明(照度計算)や情報(論理回路)のほうが確実に解ける場合
⚠️ 最も避けるべきミス
B選択問題で「どちらも中途半端に解き始めて、どちらも完答できない」のが最悪のパターンです。問題を読んだ瞬間に「こっち」と決め、10分間はその1問に集中してください。迷う時間は1分以内です。

「時間がない人」のための最小投資戦略 ─ 3時間で5点を確保する

「自動制御に何十時間もかけられない」という方に向けて、コストパフォーマンスが最も高い学習プランを提案します。

最小投資プラン(3時間で5点)

1時間目

当ブログのSTEP 1〜3(自動制御の基本用語・FB制御・PID制御)の記事を通読する。

2時間目

過去5年分のA問題(自動制御の問13付近)を解く。答え合わせ後、間違えた選択肢の文言を暗記する。

3時間目

もう一度同じ過去問を解き直す。全問正解できるまで繰り返す。

この3時間でA問題5点はほぼ確実に取れるようになります。機械科目全体の学習時間が限られている場合でも、自動制御のA問題だけは「捨てない」が鉄則です。

フル投資プラン(15〜20時間で15点)

B問題(10点)まで狙う場合は、前述のロードマップ PHASE 1〜3 を全て消化し、さらに過去問のB問題を5問以上解いてください。ブロック線図とボード線図を優先的に攻略し、ナイキスト線図は余裕があれば取り組みましょう。

💡 コストパフォーマンスの比較
4機(直流機・誘導機・同期機・変圧器)の学習に100時間かけても追加得点は10〜15点程度。一方、自動制御は15〜20時間で15点を狙える。時間あたりの期待得点は自動制御のほうが高いのです。「4機で点が伸び悩んでいる」方こそ、自動制御に投資する価値があります。

まとめ ─ 自動制御攻略の全体像を30秒で振り返る

配点 A問題 5点 + B問題 10点 = 最大15点(合格ラインの25%)
出題パターン A:用語 / B:過渡応答 / C:回路→伝達関数 / D:ブロック線図 / E:ボード線図 / F:ナイキスト の6つ
判別方法 「図の有無」→「何の図か」で10秒で判別
最優先 パターンA(用語)とD(ブロック線図)。この2つで5点〜15点を確保。
学習時間 最小3時間(5点確保)〜フル20時間(15点狙い)
本番の戦略 B選択は「パターンを見た瞬間に判断」。1分以内に選び、残りは計算に全振り。

自動制御は「難しい」のではなく「範囲が整理されていないから難しく見える」だけです。この記事で全パターンの地図を手に入れた今、あとは各パターンの記事を読み、過去問を数問解くだけです。

「15点を捨てる受験生」と「15点を取りに行く受験生」。合格発表の日、どちらの側にいたいですか?

📚 まず読むべき記事(学習ロードマップ順)

📘 【STEP 1】自動制御とは?|シーケンス制御・フィードバック制御・フィードフォワード制御の違い →

自動制御シリーズの入口。まずはここから。パターンA(用語問題)はこれで5点確保。

📘 【STEP 4】伝達関数とブロック線図|「入力→箱→出力」の3パターンだけ覚える →

B問題の主戦場。パターンD(ブロック線図)の攻略に必須。

📘 【STEP 6】周波数伝達関数とボード線図|ゲイン[dB]と位相[°]のグラフを読む・書く →

パターンE(ボード線図)の攻略。ゲイン余裕・位相余裕の読み方もここで。

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仕事をしながら電験の勉強を続けるのは、正直しんどいですよね。「何のためにこんなことやってるんだろう」と思う夜もあると思います。でも、その地道さが必ずキャリアを変えます。もし「この資格を取ったら本当に何か変わるのか?」と迷っているなら、下の記事を読んでみてください。

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