- 「可動コイル形」「可動鉄片形」「電流力計形」……名前が似すぎて区別できない
- どの計器が直流用?交流用?交直両用? 暗記してもすぐ忘れる
- 「平均値を指示」「実効値を指示」の違いがわからない
- 過去問で計器の正誤問題が出るたびに、自信が持てず失点してしまう
- 指示電気計器7種類すべての動作原理と特徴
- 「直流?交流?両用?」を一覧表で整理
- 試験で即答するための覚え方のコツ
指示電気計器は、電験三種の理論科目でほぼ毎年出題される超頻出テーマです。
しかも嬉しいことに、ほとんどが「知っていれば即答」の知識問題。計算は不要で、各計器の特徴を正しく覚えているだけで5点がもらえます。
逆に言えば、ここを落とすのは非常にもったいない。この記事で7種類の計器を一気に整理し、確実な得点源にしましょう。
目次
🔰 そもそも「指示電気計器」って何?
指示電気計器とは、電圧や電流などの値を「針の振れ」で表示するアナログ計器のことです。
家の壁にかかっているアナログ時計をイメージしてください。あの時計は針が動いて時刻を示しますよね。指示電気計器も同じで、針が動いて電気の値を教えてくれるのです。
この「針を動かす仕組み」が計器ごとに違っていて、その違いによって7種類に分類されます。
「指示電気計器の種類」とは、「針を動かす仕組み(=動作原理)の違い」による分類です。仕組みが違うと、測れる電気の種類(直流 or 交流)や、針が示す値の意味(平均値 or 実効値)が変わります。
🗂️ まずは3つのグループに分ける|直流・交流・両用
7種類もあると覚えきれない……と感じますよね。でも安心してください。まず3つのグループに分けると、一気に整理しやすくなります。
直流専用(1種類)
可動コイル形
交流専用(3種類)
整流形
可動鉄片形
誘導形
交直両用(3種類)
電流力計形
静電形
熱電形
直流専用は「可動コイル形」だけ。 これは絶対に覚えてください。試験で「可動コイル形は交流も測れる」という選択肢が出たら、それは100%ハズレです。

🔋 グループA:直流専用の計器
① 可動コイル形(永久磁石可動コイル形)
7種類の中で最も基本的で最も重要な計器です。
仕組みはシンプル。永久磁石の磁界の中にコイルを置き、コイルに電流を流すと、フレミングの左手の法則によって力が生じてコイルが回転する——これが針を動かす原理です。
| 動作原理 | 永久磁石の磁界+コイルの電流 → 電磁力で回転 |
| 使用回路 | 直流のみ |
| 指示値 | 平均値 |
| 用途 | 電圧計、電流計 |
| 特徴 | 感度が良い。直流用計器の代表格 |
永久磁石の磁界は一定方向です。直流なら電流も一定方向なので、針は一方向に振れます。しかし交流は電流の向きがコロコロ変わるため、針が行ったり来たりして値を読み取れないのです。
「可動コイル形は実効値を指示する」→ ❌ 正しくは「平均値」
「可動コイル形は交流も測定できる」→ ❌ 正しくは「直流のみ」
この2つは過去問で繰り返し出題されています。

🔌 グループB:交流専用の計器(3種類)
② 整流形
整流形は、ダイオード(整流素子)で交流を直流に変換し、それを可動コイル形で測定する「合体技」の計器です。
中身は「ダイオード+可動コイル形」なので、指示値は「平均値」です。可動コイル形と同じ「平均値」を示すのがポイント。
| 動作原理 | ダイオードで整流 → 可動コイル形で指示 |
| 使用回路 | 交流 |
| 指示値 | 平均値(目盛は実効値換算) |
| 特徴 | 感度が良い。ただしひずみ波で誤差が大きい |
③ 可動鉄片形
固定コイルの磁界で鉄片を磁化し、鉄片どうしの反発力(または吸引力)で針を動かす計器です。
「コイルに流れる電流の2乗に比例」する力が発生するため、電流の向きが変わっても力の向きは変わりません。だから交流でも使えるのです。
| 動作原理 | コイルの磁界 → 鉄片を磁化 → 反発力で回転 |
| 使用回路 | 交流(直流も可だが主に交流で使用) |
| 指示値 | 実効値 |
| 特徴 | 丈夫で安価。商用周波数(50/60Hz)の測定に広く普及 |
④ 誘導形
電力量計(家庭の電気メーター)に使われている計器です。渦電流で円盤を回転させ、回転数で電力量を計測します。
| 動作原理 | 渦電流による回転力 |
| 使用回路 | 交流のみ |
| 指示値 | 実効値 |
| 特徴 | 主に電力量計(積算計器)として使用 |

⚡ グループC:交直両用の計器(3種類)
⑤ 電流力計形
固定コイルと可動コイルの2つのコイルを使い、それぞれに流れる電流の相互作用で針を動かします。
可動コイル形は「永久磁石+コイル」でしたが、電流力計形は「コイル+コイル」。磁石を使わないので、電流の向きが変わっても力の向きは同じ。だから交直両用です。
| 動作原理 | 固定コイル+可動コイルの電磁力 |
| 使用回路 | 交直両用 |
| 指示値 | 実効値 |
| 特徴 | 電力計として使われる。交直両用の高精度計器 |
名前が似ていて混同しやすいですが、決定的な違いは「磁石を使うか、コイルを使うか」です。
可動コイル形 = 永久磁石+可動コイル → 直流のみ
電流力計形 = 固定コイル+可動コイル → 交直両用
⑥ 静電形
帯電した2枚の電極の間に働くクーロン力(静電気力)で針を動かす計器です。
| 動作原理 | 固定電極と可動電極の静電気力 |
| 使用回路 | 交直両用 |
| 指示値 | 実効値 |
| 特徴 | 高電圧の測定に使用。低電圧では誤差が大きい |
⑦ 熱電形
電流が流れると発熱線が熱くなり、その熱で熱電対が起電力を発生。その起電力を可動コイル形で測定します。
熱は電流の向きに関係なく発生するため、交直両用。しかも直流から数十MHzの高周波まで測れるのが最大の特徴です。
| 動作原理 | 発熱線の熱 → 熱電対の起電力 → 可動コイル形で指示 |
| 使用回路 | 交直両用 |
| 指示値 | 実効値 |
| 特徴 | 高周波(数十MHz)まで測定可能。周波数特性に優れる |

📋 7種類の完全一覧表|これ1枚で試験に対応
ここまでの内容を1枚の表にまとめます。スクリーンショットで保存して、繰り返し見返してください。
| 計器名 | 動作原理(ひとこと) | 使用回路 | 指示値 | 主な用途 | 覚えるべきキーワード |
|---|---|---|---|---|---|
| ①可動コイル形 | 永久磁石+コイル | 直流 | 平均値 | 電圧計・電流計 | 唯一の直流専用 |
| ②整流形 | ダイオード+可動コイル | 交流 | 平均値 | 電圧計・電流計 | ひずみ波で誤差大 |
| ③可動鉄片形 | コイル→鉄片を磁化→反発 | 交流 | 実効値 | 電圧計・電流計 | 丈夫・安価・商用周波数 |
| ④誘導形 | 渦電流で円盤を回転 | 交流 | 実効値 | 電力量計 | 積算計器(電力量) |
| ⑤電流力計形 | 固定コイル+可動コイル | 交直両用 | 実効値 | 電力計 | 磁石不使用・高精度 |
| ⑥静電形 | 電極間の静電気力 | 交直両用 | 実効値 | 電圧計 | 高電圧測定用 |
| ⑦熱電形 | 発熱→熱電対→可動コイル | 交直両用 | 実効値 | 電圧計・電流計 | 高周波(数十MHz)対応 |
法則①:「平均値」を示すのは ①可動コイル形 と ②整流形 の2つだけ。残り5つはすべて「実効値」。
法則②:「直流専用」は ①可動コイル形 の1つだけ。
法則③:「電力計」として使われるのは ④誘導形 と ⑤電流力計形 の2つ。

🧠 試験で即答するための覚え方のコツ
7種類すべてを丸暗記するのは大変です。「例外」を覚える方が効率的です。
覚え方①:「平均値を示す計器」を覚える(2つだけ)
7種類のうち、平均値を示すのは「可動コイル形」と「整流形」の2つだけ。残り5つはすべて実効値です。
整流形は「ダイオード+可動コイル形」なので、本質的にはどちらも可動コイル形ベース。だから平均値を示すのです。つまり「可動コイルが関係する計器=平均値」と覚えましょう。
覚え方②:「直流専用」を覚える(1つだけ)
直流しか測れないのは可動コイル形だけ。理由は「永久磁石を使っているから」。磁石の磁界は一定方向なので、交流の行ったり来たりする電流には対応できません。
覚え方③:「特殊な用途」を1つずつ紐付ける
📌 高電圧の測定 → 静電形("静電気"="高電圧"のイメージ)
📌 高周波の測定 → 熱電形("熱"は周波数に関係なく発生する)
📌 電力計として使う → 電流力計形(名前に"電力"の雰囲気がある)
📌 電力量計として使う → 誘導形(家庭の電気メーター=クルクル回る)
📌 商用周波数で安価 → 可動鉄片形("鉄片"=頑丈で安い素材)
📌 ひずみ波で誤差 → 整流形(正弦波前提で変換するため、歪むと狂う)
✅ 可動コイル形 = 直流専用+平均値(唯一の直流専用)
✅ 電流力計形 = 交直両用+電力計(固定コイル+可動コイル)
✅ 熱電形 = 交直両用+高周波OK(数十MHz)
この3つが過去問の正誤判定の8割をカバーします。

📝 まとめ
指示電気計器7種類の要点を最終チェックしましょう。
直流専用
①可動コイル形
永久磁石+コイル|平均値
交流専用
②整流形(平均値)
③可動鉄片形(実効値)
④誘導形(実効値)
交直両用
⑤電流力計形(実効値)
⑥静電形(実効値)
⑦熱電形(実効値)
この記事の内容を覚えれば、計器の正誤問題は確実に得点できるようになります。過去問を解いて確認してみてください。
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