電気の基礎

コイルとは?インダクタの仕組みと働き・インダクタンスを図解|計算ツール付き

コイルとは何かを表すアイキャッチ。導線を巻いたコイルのまわりに磁界ができ、重い水車のように電流の変化をいやがる

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お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • コイルとは何か、名前は聞くけれど結局よくわからない
  • 「電流の変化をいやがる」の意味がピンとこない
  • コンデンサとのちがいや、どこで使われているのか知りたい
この記事でわかること
  • コイルのしくみを「水車」のたとえで理解できる
  • レンツの法則と、インダクタンスの意味
  • コンデンサとの真逆の性格と、交流を通しにくい理由(計算ツールつき)
  • 身近な家電でのコイルの4つの役割
結論|まず30秒でわかる答え

コイル(インダクタ)とは、導線をぐるぐる巻いた部品で、電流を流すと磁界ができ、その磁界にエネルギーをためます。電流が変わろうとすると、それを打ち消す向きの電圧が生まれる(レンツの法則)ので、コイルは「電流の変化をいやがる」部品です。そのため直流はそのまま通し、向きや大きさが変わる交流ほど通しにくくなります。変化をいやがる強さをインダクタンスといい、単位はH(ヘンリー)です。

コイルとは何かを表すアイキャッチ。導線を巻いたコイルのまわりに磁界ができ、重い水車のように電流の変化をいやがる

コイルとは?導線をぐるぐる巻いただけの部品

まっすぐな導線に電流を流すとまわりに弱い磁界ができ、それをぐるぐる巻くと、1巻きずつの磁界が重なって強い磁界になります。

電子回路の基本の部品は、抵抗(R)・コンデンサ(C)・コイル(L)の3つです。抵抗は電流のじゃまをし、コンデンサは電荷をためます。コイルは磁界にエネルギーをためて、電流の変化をいやがります。実際の部品では、導線の内側に鉄やフェライトの芯(コア)を入れて、磁界をさらに強くしています。

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導線を巻くと磁界が強くなる図。まっすぐな導線では弱い磁界、巻くと磁界が重なり、芯を入れるとさらに強くなる

「電流の変化をいやがる」とは?水車のたとえとレンツの法則

コイルは、水路に置かれた重い水車のようなものです。動き出すのも止まるのもゆっくりで、今の状態を続けようとします。

場面水車ではコイルでは
流し始め(電流ON)重い水車はすぐ回らず、水はゆっくりしか流れない「増えるな」と逆向きの電圧が出て、電流はゆっくり増える
流れている間回り出せば、水はすいすい流れる電流が一定ならただの導線。磁界にエネルギーがたまっている
止めるとき(電流OFF)水車が勢いで回り続け、水を押し出す「減るな」と同じ向きの電圧が出て、電流を流し続けようとする
レンツの法則

コイルに生まれる電圧(誘導起電力)は、磁束の変化を打ち消す向きに生じる。

式では e = −L × (電流の変化の速さ)。マイナスが「逆らう向き」を表します。

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コイルを重い水車にたとえた図。流し始めは電流がゆっくり増え、流れている間はただの導線、止めるときは電流が流れ続けようとする

インダクタンスとは?コイルの「頑固さ」を数字にしたもの

インダクタンスLは、コイルが電流の変化をどれだけいやがるかを表す値で、単位はH(ヘンリー)です。水車でいえば「重さ」にあたります。

大きくする方法効き方
巻き数Nを増やすNの2乗で効く。2倍で4倍、3倍で9倍
鉄やフェライトの芯を入れる芯の比透磁率μrに比例して大きくなる
断面積Sを大きくする比例して大きくなる
長さlを短くする(同じ巻き数で)反比例して大きくなる
公式

L = μ₀ μr N² S ÷ l(長いコイルの目安)
ためるエネルギー W = ½ L I²
誘導性リアクタンス XL = 2πfL

コイルの計算ツール

入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。

はじめの例(巻き数100回・直径10mm・長さ20mm・空芯)では約49μHです。比透磁率を100にすると約4.9mHと100倍に、巻き数を200回にすると4倍になります。

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コイルとコンデンサは真逆の性格

コイルは直流を通して交流をじゃまし、コンデンサは直流を止めて交流を通します。

比べる点コイル(L)コンデンサ(C)
ためるもの磁気エネルギー(½LI²)電気エネルギー(½CV²)
いやがるもの電流の変化電圧の変化
直流通す(ただの導線)通さない(充電が終わると電流ゼロ)
交流周波数が高いほど通しにくい(XL=2πfL)周波数が高いほど通しやすい(XC=1/(2πfC))
電流と電圧のずれ電流が90°遅れる電流が90°進む

10mHのコイルのリアクタンスは、50Hzで約3.1Ωしかありませんが、100kHzでは約6,300Ωになります。だからコイルは、電源の電流は通しながら、高い周波数のノイズだけを止める「チョークコイル」として使えます。

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コイルとコンデンサのちがいの図。コイルは直流を通して交流を通しにくく、コンデンサは直流を通さず交流を通しやすい

コイルの4つの役割|身近な家電で何をしている?

役割使う性質身近な例
① ノイズを止める(チョークコイル)高い周波数を通しにくいACアダプター、電源回路
② 電圧を変える(トランス)2つのコイルの電磁誘導電柱の変圧器(6,600V→100V/200V)
③ エネルギーを一時ためる磁界にためて、放すパソコンの基板のDC-DCコンバータ
④ 周波数を選ぶ(フィルタ)コンデンサと組み合わせるラジオの選局

ほかにも、ワイヤレス充電器やIH調理器は、コイルが作る変化する磁界(電磁誘導)を使っています。

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コイルの4つの役割の図。ノイズを止めるチョークコイル、電圧を変えるトランス、エネルギーをためるDC-DCコンバータ、周波数を選ぶフィルタ

気をつけたい「逆起電力」と、よくある間違い

コイルに流れている電流を急に切ると、ためていたエネルギーの行き場がなくなり、一瞬だけとても高い電圧(逆起電力)が出ます。リレーやモーターの回路で、スイッチに火花が出たり、トランジスタがこわれたりする原因です。コイルと並列に逆向きのダイオード(フリーホイールダイオード)を入れて、電流の逃げ道を作るのが基本の対策です。

よくある間違い正しい考え方
コイルは電流をじゃまする抵抗じゃまするのは電流の「変化」。一定の直流はほぼそのまま通す
巻き数を2倍にするとLも2倍巻き数の2乗で効くので4倍
リアクタンスは熱になるリアクタンスはエネルギーを出し入れするだけ。熱になるのは巻き線の抵抗の分
芯を入れればいくらでもLが増える電流が大きいと芯が飽和して、Lが急に下がる
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コイルのエネルギーW=½LI²と逆起電力

逆起電力の図。コイルの電流を急に切るとスイッチに火花が出る。コイルと並列にダイオードを入れると電流の逃げ道ができる

よくある質問

Q. コイルとは簡単にいうと?

A. 導線をぐるぐる巻いた部品で、磁界にエネルギーをため、電流の変化をいやがる性質があります。

Q. コイルとインダクタの違いは?

A. ほぼ同じものです。形に注目するとコイル、インダクタンスを持つ部品としての役割に注目するとインダクタと呼びます。

Q. インダクタンスとは?

A. コイルが電流の変化をどれだけいやがるかを表す値で、単位はH(ヘンリー)です。巻き数の2乗に比例します。

Q. コイルはなぜ交流を通しにくい?

A. 交流は向きと大きさがたえず変わるからです。周波数が高いほど変化が速く、リアクタンスXL=2πfLが大きくなります。

Q. コイルは何をためる?

A. 磁界の形でエネルギーをためます。量はW=½LI²で、インダクタンスと電流の2乗に比例します。

Q. 逆起電力とは?

A. コイルの電流を急に切ったときに出る、一瞬の高い電圧です。ダイオードで逃げ道を作って部品を守ります。

まとめ
  • コイルは導線を巻いた部品。磁界にエネルギーをためる
  • 電流の変化をいやがる(レンツの法則)。重い水車のイメージ
  • インダクタンスL[H]は巻き数の2乗、芯の透磁率、断面積で大きくなる
  • 直流は通し、交流ほど通しにくい(XL=2πfL)。コンデンサと真逆
  • ノイズ止め・変圧・エネルギーの一時保管・フィルタに使う
  • 電流を急に切ると逆起電力。ダイオードで逃がす
コイルのまとめの図。磁界にエネルギーをためる、電流の変化をいやがる、交流ほど通しにくい、逆起電力に注意
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S
シラス
電験三種 / QC検定1級 / パワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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