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- インピーダンスとは何か、抵抗とどう違うのかわからない
- R=30Ω、X=40Ωなのに、なぜ合計が70Ωではなく50Ωなのか腑に落ちない
- 「スピーカー8Ω」「入力インピーダンスが高い」の意味を知りたい
- インピーダンスの意味と、抵抗・リアクタンスとの違い
- Z=√(R²+X²)になる理由(直角三角形)
- 周波数でインピーダンスが変わるしくみ(計算ツールつき)
- RLC直列回路の計算と、身近なインピーダンスの例
インピーダンス(記号Z、単位Ω)とは、交流回路で電流の流れにくさを表す量です。抵抗Rと、コイルやコンデンサによるリアクタンスXを合わせたもので、RとXは向きが90°ちがうため、単純な足し算ではなく Z=√(R²+X²) で求めます。リアクタンスは周波数で変わるので、インピーダンスも周波数によって値が変わります。

インピーダンスとは?交流での「電流の流れにくさ」
インピーダンスは、交流回路で電流をどれだけ流しにくいかを表す量で、直流でいう抵抗を交流に広げたものです。英語の impedance は「じゃまをする」という意味の言葉から来ています。
| 量 | 記号 | 中身 | 周波数で変わる? |
|---|---|---|---|
| 抵抗 | R[Ω] | 電気を熱に変えながら電流をじゃまする | 変わらない |
| リアクタンス | X[Ω] | コイルやコンデンサが、電気をためたり返したりしながら電流をじゃまする | 変わる |
| インピーダンス | Z[Ω] | 抵抗とリアクタンスを合わせた、全体の流れにくさ | 変わる(リアクタンスがあれば) |
交流のオームの法則 V = I × Z
直流の V=I×R の R が Z に変わっただけです。Zがわかれば、直流と同じように電流や電圧を計算できます。
コイルとコンデンサの「交流抵抗」、リアクタンスとは
つまり、インピーダンスは「抵抗+リアクタンス」をまとめた交流の流れにくさです。抵抗だけの回路なら、インピーダンスは抵抗の値と同じになります。

なぜ R+X にならない?Z=√(R²+X²) は直角三角形
抵抗とリアクタンスは、電流をじゃまする「向き」が90°ちがうので、直角三角形の斜辺として合わせます。
公園で、東に30歩、そのあと北に40歩歩いたとします。歩いた数は70歩ですが、スタート地点からのまっすぐな距離は√(30²+40²)=50歩です。抵抗R(東向き)とリアクタンスX(北向き)も同じで、合わせた大きさは斜めの距離=50Ωになります。
抵抗では電圧と電流のタイミング(位相)がそろっていますが、コイルでは電流が電圧より90°遅れ、コンデンサでは90°進みます。この90°のずれが、図にすると直角になります。R・X・Zでできる三角形をインピーダンス三角形といいます。
Z = √(R² + X²) X = XL − XC cosθ = R ÷ Z
θ(シータ)は三角形の底辺Rと斜辺Zの間の角で、電圧と電流の位相のずれです。cosθは力率(電気が仕事に使われる割合)になります。
コイルのリアクタンスXLとコンデンサのリアクタンスXCは、向きが反対(北と南)なので、引き算で打ち消し合います。直列回路で両方あるときは、先に X=XL−XC を求めてから、Rと三角形で合わせます。

インピーダンスは周波数で変わる
コイルのリアクタンスは周波数が高いほど大きく、コンデンサのリアクタンスは周波数が高いほど小さくなります。だから、同じ回路でも周波数が変わるとインピーダンスが変わります。
| 部品 | リアクタンスの式 | 周波数が高くなると |
|---|---|---|
| コイル(L[H]) | XL = 2πfL | 大きくなる(高い周波数を通しにくい) |
| コンデンサ(C[F]) | XC = 1 ÷ (2πfC) | 小さくなる(高い周波数を通しやすい) |
たとえば L=0.1273H のコイルは、50Hzでは XL=2×3.14×50×0.1273 ≒ 40Ω ですが、60Hzでは 2×3.14×60×0.1273 ≒ 48Ω になります。東日本と西日本で、同じ機器でも流れる電流が少し違うのはこのためです。
インピーダンスの計算ツール(RLC直列回路)
はじめから入っている数字は、R=30Ω・XL≒40Ω(50Hz)・100Vの例です。Z≒50Ω、電流≒2A、力率0.6と出れば、次の計算例と同じです。周波数を60にすると、Zが大きくなることも確かめられます。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。

インピーダンスの計算例|RL直列とRLC直列
直列回路のインピーダンスは、X=XL−XCを求めて、Z=√(R²+X²)に入れる、の2ステップです。
例題1:R=30Ω、XL=40Ω、100Vをかけたとき
コンデンサがないので X = 40Ω。Z = √(30² + 40²) = √(900 + 1,600) = √2,500 = 50Ω。
電流 I = V ÷ Z = 100 ÷ 50 = 2A。
力率 cosθ = R ÷ Z = 30 ÷ 50 = 0.6(コイルなので遅れ)。
例題2:R=8Ω、XL=20Ω、XC=14Ω、100Vをかけたとき
X = XL − XC = 20 − 14 = 6Ω(XLのほうが大きいので誘導性)。
Z = √(8² + 6²) = √(64 + 36) = √100 = 10Ω。
I = 100 ÷ 10 = 10A。各部品にかかる電圧は、VR=10×8=80V、VL=10×20=200V、VC=10×14=140V。
例題2で、各部品の電圧を足すと80+200+140=420Vになり、電源の100Vより大きくなります。これは間違いではありません。VLとVCは逆向きなので打ち消し合い、合計は√(80²+(200−140)²)=√(6,400+3,600)=100Vになります。30・40・50(3:4:5)や8・6・10のような、きれいな直角三角形になる数の組み合わせは試験でよく出ます。

複素数で表すインピーダンスと、並列のとき
インピーダンスは、複素数で Z=R+jX と書くと、向きまでまとめて計算できます。jは「90°回す」記号で、Rが横向き、jXが縦向きを表します。
| 表し方 | 例題1(R=30Ω、XL=40Ω) |
|---|---|
| 複素数(直交形式) | Z = 30 + j40[Ω] |
| 大きさ | |Z| = √(30² + 40²) = 50Ω |
| 角度 | θ = tan⁻¹(40÷30) ≒ 53.1° |
コンデンサのリアクタンスは −jXC と書きます。並列回路では、インピーダンスの逆数(アドミタンス)を足すか、複素数のまま「積÷和」で計算します。並列のくわしい計算は、次の記事で扱っています。
交流でなぜ虚数jが出てくるのか、回転するベクトルで

身近なインピーダンス|スピーカー・ケーブル・入力インピーダンス
インピーダンスは、電気の試験だけでなく、音響機器や測定器、通信の世界でも毎日使われている言葉です。
| 使われ方 | 意味 |
|---|---|
| スピーカーの「8Ω」 | 音の周波数でのおおよそのインピーダンス(公称インピーダンス)。4Ωや8Ωが多い。アンプが対応する値と合わせる |
| 同軸ケーブルの「50Ω」「75Ω」 | 高い周波数の信号に対するケーブルの特性インピーダンス。測定器・無線は50Ω、テレビのアンテナ線は75Ωが一般的 |
| 測定器の「入力インピーダンスが高い」 | 測定器に電流がほとんど流れこまないので、測る回路への影響が小さい |
| 「ハイインピーダンス」「浮いている」 | マイコンの入力などが、どこにもつながっていないのと同じ状態。電圧が定まらずノイズを拾いやすい |
「ハイインピーダンス」「浮いている」はどんな状態?

インピーダンスでよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| Z = R + X と足し算する | 向きが90°ちがうので Z = √(R²+X²) |
| XLとXCも足し算する | 向きが反対なので X = XL − XC |
| テスターの抵抗レンジでスピーカーを測れば8Ωと出る | テスターは直流の抵抗を測る。コイルの直流抵抗は公称インピーダンスより小さく出ることが多い |
| インピーダンスはいつも同じ値 | リアクタンスがあれば周波数で変わる。何Hzでの値かをいっしょに確かめる |
| 各部品の電圧の合計が、電源電圧になる | 交流では向きを考えて合わせる(ベクトルの和)。単純な合計は電源電圧より大きくなることがある |

よくある質問
- インピーダンスZは、抵抗Rとリアクタンスを合わせた交流の流れにくさ(単位Ω)
- RとXは向きが90°ちがうので Z=√(R²+X²)。XはXL−XC
- 交流のオームの法則 V=I×Z、力率は cosθ=R÷Z
- XL=2πfL、XC=1÷(2πfC)。周波数でインピーダンスが変わる
- スピーカーの8Ω、同軸ケーブルの50Ωなど、身近にも使われている

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メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
次に読むべき記事
インピーダンスがわかったら、並列回路を楽に解くアドミタンス、θから求める力率、そしてリアクタンスが打ち消し合う共振へ進みましょう。
テーマ別に、もっと深く学ぶ
気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。
- 1 R-L-C素子の性質|抵抗・コイル・コンデンサの交流特性
- 2 コイルとコンデンサで位相がπ/2ずれる理由
- 3 リアクタンス(XL・XC)とは?周波数で変わる交流抵抗
- 4 インピーダンスとは?意味と求め方・抵抗との違い 今ここ
- 5 アドミタンスとは?並列回路の計算が10倍ラクになる逆数の魔法
- 6 力率(cosθ)とは?電気を無駄遣いしている度合いを完全理解
- 7 有効電力・無効電力・皮相電力の違い|電気代に関係するのはどれ?
- 8 交流電力の計算|P・Q・Sを電力三角形で一発理解