理論科目の解説

【電験三種】二電力計法とは?|三相電力の測定原理を「レジの会計」で完全図解

😣 こんな悩みはありませんか?
  • 「二電力計法」って、なぜ2台で三相の電力が測れるの?
  • W1とW2の公式の「30°+θ」「30°−θ」がどこから出てくるのかわからない
  • ブロンデルの定理って名前は知ってるけど、意味がピンとこない
✅ この記事でわかること
  • 二電力計法が「なぜ2台で三相を測れるのか」を身近な例えで直感的に理解
  • W1・W2それぞれの公式の意味とベクトル図の読み方
  • 具体的な数値を使った計算例で、試験問題が解ける力がつく

三相交流の電力を測りたい。でも三相は電線が3本もあって、「全部測ったら計器が3台も必要じゃないの?」と思いますよね。

実は、たった2台の電力計で三相電力が測れる魔法のような方法があります。それが「二電力計法」です。電験三種の理論科目でほぼ毎回出題される超重要テーマなので、この記事でしっかりマスターしましょう。

なぜ「2台」で「3相」が測れるのか?

ブロンデルの定理:「n相は(n−1)台で測れる」

「2台で3相が測れる」根拠となるのが、ブロンデルの定理です。この定理をひとことで言うと:

📐 ブロンデルの定理
「n本の線式の電力は、(n−1)台の電力計で測定できる」
→ 三相三線式(n=3)なら、3−1=2台でOK!

身近な例え:「3人のレジ会計」で理解する

A・B・Cの3人が一緒に買い物をしたとしましょう。3人の合計金額を知りたいとき、3人分のレシートが必要でしょうか?

実は、Bさんを「基準(ゼロ)」にすれば、「AとBの差額」+「CとBの差額」を足すだけで、3人の合計がわかります。これがブロンデルの定理の本質です。

🧾
電力計W1
A−B間の電力
🧾
電力計W2
C−B間の電力
三相電力P
W1 + W2

三相三線式では、b相を基準にして、a-b間とc-b間の2つの「差」を測る計器を用意すれば、三相全体の電力が求められるのです。

二電力計法の接続方法|「どこに何をつなぐか」

接続のルール:b相を共通基準にする

二電力計法では、単相電力計を2台使います。それぞれの電力計には「電圧コイル」と「電流コイル」があり、以下のように接続します。

電力計 電流コイル 電圧コイル
W1 a相の線電流 Ia を測定 a-b間の線間電圧 Vab を測定
W2 c相の線電流 Ic を測定 c-b間の線間電圧 Vcb を測定
💡 覚え方のコツ
・電流コイル → a相とc相の2本に入れる(b相はスルー)
・電圧コイル → どちらもb相を共通にして、a-b間とc-b間を測る

bをハブ(中心)にして、aとcから見る」とイメージすれば簡単です!
📘 Y結線・Δ結線の違いを復習したい方はこちら
【電験三種・理論】Y結線とΔ結線の電圧・電流の変換 →

W1とW2の公式|「30°+θ」の正体

なぜ「30°」が出てくるのか?

ここが二電力計法の最大のポイントです。相電圧と線間電圧の間には30°のズレがあります。三相交流のベクトル図を描くと、線間電圧Vabは相電圧Eaよりも30°進んだ位置にあるのです。

電力計は「電圧コイルの電圧」と「電流コイルの電流」の間の角度で測定値が決まります。W1では線間電圧Vabと線電流Iaの角度差を測るので、力率角θに加えてこの30°のズレ分が加わります。

📐 各電力計の指示値
W1 = VL IL cos(30°+ θ)
W2 = VL IL cos(30°− θ)

VL:線間電圧 [V] / IL:線電流 [A] / θ:力率角

W1 + W2 を足すと「√3」が出てくる魔法

W1とW2を足し算すると、加法定理(三角関数の公式)のおかげでsin成分が打ち消し合い、きれいな式が残ります。

展開

W1 + W2 = VLILcos(30°+θ) + VLILcos(30°−θ)

加法定理適用

= VLIL × 2cos30° × cosθ

cos30° = √3/2 を代入

= √3 × VL × IL × cosθ

🎯 二電力計法の最終公式

P = W1 + W2 = √3 VL IL cosθ

← これは三相電力の公式そのもの!

✏️ 計算例|試験で出る典型パターン

📝 例題(電験三種 頻出パターン)

線間電圧 200V の対称三相交流電源から三相平衡負荷に電力を供給している。二電力計法で測定したところ、W1 = 1500W、W2 = 500W であった。
三相電力P負荷の力率cosθを求めよ。

解き方:3ステップで完了

STEP 1:三相電力を求める

P = W1 + W2 = 1500 + 500 = 2000W

STEP 2:力率角θを求める

二電力計法には力率を求める便利な公式があります。
tanθ = √3 ×(W1 − W2)÷(W1 + W2)
tanθ = √3 × (1500 − 500) ÷ (1500 + 500)
tanθ = √3 × 1000 ÷ 2000 = √3 / 2 ≈ 0.866
θ ≈ 40.9°

STEP 3:力率を求める

cosθ = cos40.9° ≈ 0.757

💡 検算のコツ
P = √3 × VL × IL × cosθ の式で逆算してみましょう。
2000 = √3 × 200 × IL × 0.757 → IL ≈ 7.63A
W1 = 200 × 7.63 × cos(30°+40.9°) = 200 × 7.63 × cos70.9° ≈ 500W…W2の値と近い!(W1とW2を逆にしていないか確認できます)

W2がマイナスになるケース|力率が低いとき要注意

力率角θが60°を超えると、片方の指示がマイナスに

W1の公式 cos(30°+θ) を見てください。もしθが60°なら、cos(30°+60°) = cos90° = 0 となり、W1はゼロになります。

θが60°を超えると、cos(30°+θ) がマイナスになるので、電力計の針が逆に振れる現象が起きます。この場合、電力計の接続を逆にして読み取り、その値をマイナスとして計算します。

力率角θ 力率cosθ W1の値 W2の値
1.0 W1 = W2(等しい) W1 = W2(等しい)
30° 0.866 正(小さめ) 正(大きめ)
60° 0.5 0(ゼロ)
60°超 0.5未満 マイナス ⚠️
⚠️ 試験での注意点
「電力計W1の指針が逆振れした」という条件が出たら、W1の値をマイナスにして足すのがポイントです。
例:W1 = −200W、W2 = 800W → P = −200 + 800 = 600W

二電力計法の公式を一覧で整理

求めたいもの 公式
W1の指示値 W1 = VL IL cos(30°+ θ)
W2の指示値 W2 = VL IL cos(30°− θ)
三相電力 P P = W1 + W2 = √3 VL IL cosθ
三相無効電力 Q Q = √3(W2 − W1) = √3 VL IL sinθ
力率角 tanθ tanθ = √3 ×(W1 − W2)÷(W1 + W2)
💡 試験対策ポイント
試験で最も問われるのは「三相電力P = W1 + W2」と「tanθの公式」です。この2つさえ覚えていれば、ほとんどの問題は解けます。余裕があれば無効電力Qの公式も押さえましょう。
📘 電験三種の勉強を加速するグッズはこちら
【2026年完全版】電験三種の勉強が加速するおすすめグッズ10選 →

まとめ

二電力計法は、三相三線式の電力を2台の電力計で測る方法です。ブロンデルの定理により「n線式は(n−1)台で測れる」という原理に基づいています。

📐 原理 ブロンデルの定理 → 三相(n=3)は2台で測定可能
電力 P = W1 + W2 = √3 VL IL cosθ
📊 力率 tanθ = √3(W1−W2) ÷ (W1+W2)
⚠️ 注意 θ > 60°でW1がマイナスになる → 逆振れに注意

📚 次に読むべき記事

📘 【電験三種・理論】三相電力の公式|P=√3VIcosθの「√3」はどこから来るのか? →

二電力計法の最終公式に登場する「√3」の導出過程を完全図解で解説。

📘 【完全図解】力率(cosθ)とは?|「電気を無駄遣いしている度合い」を解説 →

力率の概念がわかると、二電力計法の「30°+θ」「30°−θ」がスッキリ理解できます。

📘 【電験三種】倍率器と分流器|測定範囲を広げる計算方法を完全図解 →

電力計だけでなく、電圧計・電流計の測定範囲を広げる方法も電気計測の重要テーマです。

📘 【電験三種】計器の三要素とは?|駆動・制御・制動を図解で理解 →

電力計の内部構造を支える三要素。計器分野の基礎知識として押さえましょう。

📘 【電験三種】指示電気計器7種類の動作原理を一覧表で完全整理 →

電力計に使われる「電流力計形」を含む7種類の計器を一覧で比較。

📘 【電験三種・理論】交流回路 完全攻略ロードマップ →

三相交流を含む交流回路全体を体系的に学ぶ20ステップのロードマップです。

📘 【2026年完全版】電験三種の勉強が加速するおすすめグッズ10選 →

合格者が「もっと早く買えばよかった」と後悔したアイテムをランキングで紹介。

📘 「電験三種で人生変わる」は本当か?30代で取得した私が年収・転職・キャリアの変化をデータで証明する →

電験三種を取得するモチベーションが上がる体験記。勉強に疲れた時にぜひ。

タグ

-理論科目の解説
-