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お悩み
こんなふうに思っていませんか?
- Y結線で√3倍になるのは電圧?電流?すぐ忘れる
- 線間電圧・相電圧・線電流・相電流の4つがごちゃごちゃになる
- 同じ負荷をYとΔでつなぐと、電流や電力がどう変わるか計算できない
この記事でわかること
- Y結線とΔ結線の電圧・電流の変換表と覚え方
- 線間と相を行き来する計算の手順
- 同じ負荷でYとΔの電流・電力が3倍ちがう理由(Y-Δ始動)
- 結線と負荷を入れるだけの計算ツール
結論|まず30秒でわかる答え
Y結線では、線間電圧=√3×相電圧、線電流=相電流です。Δ結線では、線間電圧=相電圧、線電流=√3×相電流です。「Yは電圧、Δは電流に√3」と覚えます。三相電力はどちらの結線でも P=√3×線間電圧×線電流×力率(=3×相電圧×相電流×力率)で求められます。
三相交流マスター
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本丸
Y結線とΔ結線の電圧・電流の変換表
まず「線間」と「相」の4つの量をはっきりさせます。「線」は外の電線、「相」は1つのコイル(負荷)です。
| 量 | 意味 |
| 線間電圧 VL | 電線と電線のあいだの電圧(ふつう「三相200V」というのはこれ) |
| 相電圧 VP | 1つのコイル(負荷)にかかる電圧 |
| 線電流 IL | 電線を流れる電流(クランプメーターで電線をはさんで測る値) |
| 相電流 IP | 1つのコイル(負荷)を流れる電流 |
| 結線 | 電圧 | 電流 | √3がつくのは |
| Y結線(スター) | VL = √3 × VP | IL = IP | 電圧 |
| Δ結線(デルタ) | VL = VP | IL = √3 × IP | 電流 |
覚え方
「Yは電圧、Δは電流」に√3がつきます。理由は「分岐しないほうはそのまま」。Yは電線の電流がそのまま1つのコイルを通るので電流は同じ、端子どうしの間には2つのコイルがはさまるので電圧が√3倍。Δはコイルが端子の間に直接つながるので電圧は同じ、端子で電流が2つに分かれるので電流が√3倍です。
√3が出てくるのは、120°ずれた2つの量の「差」をとると、大きさが√3倍になるからです。その理由を、次の節で図と直角三角形で確かめます。
よく使う電圧の線間電圧と相電圧(Y結線)の早見表
| 線間電圧(ふつう呼ぶ電圧) | 相電圧=線間÷√3 |
| 200V(低圧の三相) | 約115.5V |
| 400V | 約231V |
| 415V | 約240V |
| 6,600V(高圧配電) | 約3,811V |
「相間電圧」は線間電圧と同じ意味で使われることばです。「三相200V」というときの200Vは線間電圧です。Δ結線では相電圧と線間電圧は同じです。
Y結線・Δ結線の電圧と電流の関係は、3つの波が大きさも間隔もそろった「対称三相交流」が前提です。
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Y結線で線間電圧が√3倍になる理由(直感で理解する)
ここが本記事の核心です。Y結線(スター結線)では、線間電圧 = √3 × 相電圧になります。
Y結線の電圧の公式
V_l = √3 × V_p
(√3 ≒ 1.732)
なぜ「2倍」じゃないのか?それは3つの相が120°ずつズレているからです。
イメージしてみてください。3人がそれぞれ違う方向に綱を引っ張っているとき、2人分の綱を「単純に足し算」できますか?できませんよね。方向が違うので、ベクトル(矢印)として合成する必要があります。
ポイント
線間電圧は「2つの相電圧の差」です。同じ向きなら引き算でゼロですが、120°ズレているのでベクトルで引き算する必要があり、その結果が√3倍になります。
√3はどこから来る?直角三角形で証明する
「ベクトルで引き算」と言われてもピンとこない方のために、中学レベルの三角形で説明します。
STEP 1:2つの相電圧を矢印で描く
2つの相電圧V_aとV_bがあるとします。両者は120°ズレています。線間電圧V_abは「V_a − V_b」、つまりV_bの矢印の先からV_aの矢印の先へ向かう矢印です。
STEP 2:余弦定理を使う(または30-60-90の三角形)
2つの矢印の長さを「V_p(相電圧の大きさ)」、間の角度を「120°」とします。線間電圧の大きさは余弦定理で求められます。
余弦定理:
|V_l|² = V_p² + V_p² − 2・V_p・V_p・cos(120°)
cos(120°) = −1/2 を代入:
|V_l|² = 2V_p² − 2V_p² × (−1/2)
|V_l|² = 2V_p² + V_p² = 3V_p²
∴ |V_l| = √3 × V_p
つまずきポイント
2つのベクトルの「間の角度」は120°ですが、引き算(V_a − V_b)するときは片方を反転させるので、合成図では60°の角度が出てきます。どちらの角度を使っても、最終的に√3倍という答えに落ち着きます。
変換の計算手順と例題
手順
① 問題の電圧が「線間」か「相」かを確かめる(ことわりがなければ線間)
② 結線を見て、1相(1つの負荷)にかかる相電圧を出す
③ 相電流=相電圧÷1相のインピーダンス
④ 結線を見て、線電流にもどす
⑤ 電力 P=3×VP×IP×cosθ(=√3×VL×IL×cosθ)
例題:線間200Vに、1相10Ωの抵抗を3つつなぐ
| 手順 | Δ結線でつなぐ | Y結線でつなぐ |
| 相電圧 | 200V(線間と同じ) | 200÷√3≒115.5V |
| 相電流 | 200÷10=20A | 115.5÷10≒11.5A |
| 線電流 | √3×20≒34.6A | 11.5A(相と同じ) |
| 電力 | 3×200×20=12kW | 3×115.5×11.5≒4kW |
検算:Δは √3×200×34.6≒12,000W、Yは √3×200×11.5≒4,000W。√3×VL×IL でも同じ答えになります。同じ抵抗でも、Δでつなぐと線電流も電力もYの3倍です。Δでは1つの抵抗に√3倍の電圧がかかるので、電流が√3倍、電力は(√3)²=3倍になるからです。
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Y-Δ始動|始動電流を1/3にする
ふだんはΔ結線で運転するモーターを、始動のときだけY結線にすると、巻線にかかる電圧が1/√3になります。上の例題と同じ理屈で、線電流も始動トルクも1/3に下がります。回転が上がったらΔに切りかえて、本来の力を出します。大きな始動電流で電圧が下がるのを防ぐ方法です。
インピーダンスのY-Δ換算|ZY=ZΔ÷3
平衡三相の負荷なら、Δ結線の1相のインピーダンスを3で割ると、同じ働きをするY結線の負荷に置きかえられます(ZY=ZΔ÷3)。たとえばΔの30Ωは、Yの10Ωと同じ線電流・同じ電力になります。YとΔが混ざった回路は、全部をYにそろえ、1相分(相電圧÷ZY)で計算すると楽になります。
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Y結線・Δ結線の計算ツール
結線、線間電圧、1相のインピーダンス、力率を入れてください。同じ負荷を逆の結線にしたときの値も並べて出します。
入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。
Y結線・Δ結線の計算でよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
| Y結線は電流が√3倍 | Yは電圧、Δは電流に√3 |
| Y結線の負荷に線間電圧をそのまま使う | 1相にかかるのは VL÷√3 |
| P=√3×VP×IP×cosθ | √3をかけるのは線間の値。相の値なら3倍 |
| YとΔで電力は同じ | 同じ負荷ならΔはYの3倍 |
| ZΔをそのままYの1相として使う | ZY=ZΔ÷3 に換算してから |
結線そのものの特徴(中性点を接地できる、第3高調波が回らない、など)と使い分けは、スター結線とデルタ結線の違いの記事で整理しています。
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Q. 相間電圧と線間電圧は同じですか?
A. 同じ意味です。2本の電線(2つの相)の間の電圧を、線間電圧とも相間電圧とも呼びます。
Q. 線間電圧はどうやって測りますか?
A. 電圧計(テスター)を三相の電線2本の間に当てて測ります。中性点との間を測ると相電圧(Y結線)です。
よくある質問
Q. Y結線の線間電圧と相電圧の関係は?
A. 線間電圧=√3×相電圧です。線電流と相電流は等しくなります。200Vなら相電圧は約115.5Vです。
Q. Δ結線の線電流と相電流の関係は?
A. 線電流=√3×相電流です。線間電圧と相電圧は等しくなります。相電流20Aなら線電流は約34.6Aです。
Q. 三相電力の公式は?
A. P=√3×線間電圧×線電流×力率です。相の値で書くと P=3×相電圧×相電流×力率で、結線によらず使えます。
Q. 同じ負荷をYとΔでつなぐと何が変わる?
A. Δでは負荷に√3倍の電圧がかかるので、線電流と電力がYの3倍になります。Y-Δ始動はこれを使います。
Q. なぜ√3倍になるの?
A. 120°ずれた2つの量の差をとると、大きさが√3倍になるからです。ベクトル図で確かめられます。
まとめ
- Y:VL=√3VP、IL=IP Δ:VL=VP、IL=√3IP
- 「Yは電圧、Δは電流」に√3
- 手順:相電圧→相電流→線電流→電力
- 同じ負荷ならΔはYの3倍の電流・電力(Y-Δ始動)
- ZY=ZΔ÷3 でそろえて1相分で計算
この記事の理解を深める本と道具
おすすめの本
「Y結線とΔ結線の電圧・電流」を試験の得点につなげるなら、前後の単元とあわせて教科書で押さえておくと安心です。TAC出版『みんなが欲しかった!』シリーズの、電験三種「理論」の教科書と問題集が1冊になった本です。
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