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- Y結線で√3倍になるのは電圧?電流?すぐ忘れる
- 線間電圧・相電圧・線電流・相電流の4つがごちゃごちゃになる
- 同じ負荷をYとΔでつなぐと、電流や電力がどう変わるか計算できない
- Y結線とΔ結線の電圧・電流の変換表と覚え方
- 線間と相を行き来する計算の手順
- 同じ負荷でYとΔの電流・電力が3倍ちがう理由(Y-Δ始動)
- 結線と負荷を入れるだけの計算ツール
Y結線では、線間電圧=√3×相電圧、線電流=相電流です。Δ結線では、線間電圧=相電圧、線電流=√3×相電流です。「Yは電圧、Δは電流に√3」と覚えます。三相電力はどちらの結線でも P=√3×線間電圧×線電流×力率(=3×相電圧×相電流×力率)で求められます。

- 1 三相交流とは?単相との違いと「3本の電線」の秘密
- 2 対称三相交流とは?3つの波が完全に揃う美しい仕組み
- 3 線間電圧と相電圧の違い|なぜY結線では√3倍になるのか
- 4 スター結線とデルタ結線の違い|Y結線・Δ結線を徹底比較
- 5 Y結線とΔ結線の電圧・電流の変換|線間と相、三相電力の計算 今ここ
- 6 三相電力の公式P=√3VIcosθ|「√3」はどこから来るのか
- 7 三相交流回路の計算|Y-Y・Δ-Δ・Y-Δの解法パターン
Y結線とΔ結線の電圧・電流の変換表
まず「線間」と「相」の4つの量をはっきりさせます。「線」は外の電線、「相」は1つのコイル(負荷)です。
| 量 | 意味 |
|---|---|
| 線間電圧 VL | 電線と電線のあいだの電圧(ふつう「三相200V」というのはこれ) |
| 相電圧 VP | 1つのコイル(負荷)にかかる電圧 |
| 線電流 IL | 電線を流れる電流(クランプメーターで電線をはさんで測る値) |
| 相電流 IP | 1つのコイル(負荷)を流れる電流 |
| 結線 | 電圧 | 電流 | √3がつくのは |
|---|---|---|---|
| Y結線(スター) | VL = √3 × VP | IL = IP | 電圧 |
| Δ結線(デルタ) | VL = VP | IL = √3 × IP | 電流 |
「Yは電圧、Δは電流」に√3がつきます。理由は「分岐しないほうはそのまま」。Yは電線の電流がそのまま1つのコイルを通るので電流は同じ、端子どうしの間には2つのコイルがはさまるので電圧が√3倍。Δはコイルが端子の間に直接つながるので電圧は同じ、端子で電流が2つに分かれるので電流が√3倍です。
√3が出てくるのは、120°ずれた2つの量の「差」をとると、大きさが√3倍になるからです。その理由を、次の節で図と直角三角形で確かめます。
Y結線で線間電圧が√3倍になる理由(直感で理解する)
ここが本記事の核心です。Y結線(スター結線)では、線間電圧 = √3 × 相電圧になります。
V_l = √3 × V_p
(√3 ≒ 1.732)
なぜ「2倍」じゃないのか?それは3つの相が120°ずつズレているからです。
イメージしてみてください。3人がそれぞれ違う方向に綱を引っ張っているとき、2人分の綱を「単純に足し算」できますか?できませんよね。方向が違うので、ベクトル(矢印)として合成する必要があります。
線間電圧は「2つの相電圧の差」です。同じ向きなら引き算でゼロですが、120°ズレているのでベクトルで引き算する必要があり、その結果が√3倍になります。

√3はどこから来る?直角三角形で証明する
「ベクトルで引き算」と言われてもピンとこない方のために、中学レベルの三角形で説明します。
STEP 1:2つの相電圧を矢印で描く
2つの相電圧V_aとV_bがあるとします。両者は120°ズレています。線間電圧V_abは「V_a − V_b」、つまりV_aの矢印の先からV_bの矢印の先へ向かう矢印です。
STEP 2:余弦定理を使う(または30-60-90の三角形)
2つの矢印の長さを「V_p(相電圧の大きさ)」、間の角度を「120°」とします。線間電圧の大きさは余弦定理で求められます。
余弦定理:
|V_l|² = V_p² + V_p² − 2・V_p・V_p・cos(120°)
cos(120°) = −1/2 を代入:
|V_l|² = 2V_p² − 2V_p² × (−1/2)
|V_l|² = 2V_p² + V_p² = 3V_p²
∴ |V_l| = √3 × V_p
2つのベクトルの「間の角度」は120°ですが、引き算(V_a − V_b)するときは片方を反転させるので、合成図では60°の角度が出てきます。どちらの角度を使っても、最終的に√3倍という答えに落ち着きます。
【図解で完全理解】位相と位相差|ベクトル図で電圧と電流の関係をマスター →


変換の計算手順と例題
① 問題の電圧が「線間」か「相」かを確かめる(ことわりがなければ線間)
② 結線を見て、1相(1つの負荷)にかかる相電圧を出す
③ 相電流=相電圧÷1相のインピーダンス
④ 結線を見て、線電流にもどす
⑤ 電力 P=3×VP×IP×cosθ(=√3×VL×IL×cosθ)
例題:線間200Vに、1相10Ωの抵抗を3つつなぐ
| 手順 | Δ結線でつなぐ | Y結線でつなぐ |
|---|---|---|
| 相電圧 | 200V(線間と同じ) | 200÷√3≒115.5V |
| 相電流 | 200÷10=20A | 115.5÷10≒11.5A |
| 線電流 | √3×20≒34.6A | 11.5A(相と同じ) |
| 電力 | 3×200×20=12kW | 3×115.5×11.5≒4kW |
検算:Δは √3×200×34.6≒12,000W、Yは √3×200×11.5≒4,000W。√3×VL×IL でも同じ答えになります。同じ抵抗でも、Δでつなぐと線電流も電力もYの3倍です。Δでは1つの抵抗に√3倍の電圧がかかるので、電流が√3倍、電力は(√3)²=3倍になるからです。
三相電力の公式P=√3VIcosθ

3倍の関係が使われる場面
Y-Δ始動|始動電流を1/3にする
ふだんはΔ結線で運転するモーターを、始動のときだけY結線にすると、巻線にかかる電圧が1/√3になります。上の例題と同じ理屈で、線電流も始動トルクも1/3に下がります。回転が上がったらΔに切りかえて、本来の力を出します。大きな始動電流で電圧が下がるのを防ぐ方法です。
インピーダンスのY-Δ換算|ZY=ZΔ÷3
平衡三相の負荷なら、Δ結線の1相のインピーダンスを3で割ると、同じ働きをするY結線の負荷に置きかえられます(ZY=ZΔ÷3)。たとえばΔの30Ωは、Yの10Ωと同じ線電流・同じ電力になります。YとΔが混ざった回路は、全部をYにそろえ、1相分(相電圧÷ZY)で計算すると楽になります。
Y-Δ変換(スター・デルタ変換)

Y結線・Δ結線の計算ツール
結線、線間電圧、1相のインピーダンス、力率を入れてください。同じ負荷を逆の結線にしたときの値も並べて出します。
入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。

Y結線・Δ結線の計算でよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| Y結線は電流が√3倍 | Yは電圧、Δは電流に√3 |
| Y結線の負荷に線間電圧をそのまま使う | 1相にかかるのは VL÷√3 |
| P=√3×VP×IP×cosθ | √3をかけるのは線間の値。相の値なら3倍 |
| YとΔで電力は同じ | 同じ負荷ならΔはYの3倍 |
| ZΔをそのままYの1相として使う | ZY=ZΔ÷3 に換算してから |
結線そのものの特徴(中性点を接地できる、第3高調波が回らない、など)と使い分けは、スター結線とデルタ結線の違いの記事で整理しています。
スター結線とデルタ結線の違い

よくある質問
- Y:VL=√3VP、IL=IP Δ:VL=VP、IL=√3IP
- 「Yは電圧、Δは電流」に√3
- 手順:相電圧→相電流→線電流→電力
- 同じ負荷ならΔはYの3倍の電流・電力(Y-Δ始動)
- ZY=ZΔ÷3 でそろえて1相分で計算

「Y結線とΔ結線の電圧・電流」を試験の得点につなげるなら、前後の単元とあわせて教科書で押さえておくと安心です。TAC出版『みんなが欲しかった!』シリーズの、電験三種「理論」の教科書と問題集が1冊になった本です。
電気回路の基本があいまいなときは、入門書で土台を固めておくと理解が進みます。電気回路の基本を、つまずいている人向けにやさしく解説した入門書です(オーム社)。
電験三種の試験でどう問われるかは、過去問で確かめるのがいちばんの近道です。電験三種の過去10年分の試験問題をまとめた過去問題集です(2026年度版)。
メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
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気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。