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コンデンサのESR・ESL・tanδとは?データシートの読み方を図解|計算ツール付き

コンデンサのESR・ESL・tanδを表すアイキャッチ。電解コンデンサとチップセラミックコンデンサと、データシート

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お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • データシートを開いても、どの数字を見ればいいかわからない
  • ESRとESLの違いや、なぜ大事なのかが説明できない
  • 「tanδも確認して」と言われたが、何の値かわからない
この記事でわかること
  • 6つのパラメータの意味(ペットボトルのたとえ)
  • ESRの発熱・リップル、ESLと自己共振周波数
  • tanδとESRの関係、ディレーティング
  • 容量・ESR・ESLを入れるだけのインピーダンス計算ツール
結論|まず30秒でわかる答え

コンデンサの選定で見るパラメータは、静電容量・定格電圧・ESR・ESL・tanδ・許容リップル電流の6つです。ESRは内部の抵抗で、発熱とリップル電圧の原因に、ESLは内部のインダクタンスで、自己共振周波数より上ではコンデンサがコイルのようにふるまう原因になります。tanδは損失の割合で、tanδ=ESR×2πfCの関係があります。

コンデンサのESR・ESL・tanδを表すアイキャッチ。電解コンデンサとチップセラミックコンデンサと、データシート
コンデンサのデータシートで見るESR・ESL・tanδ

コンデンサの6つのパラメータ|まず全体像

パラメータ意味たとえ見落とすと
静電容量 C電気をためられる量ペットボトルの大きさ容量不足で電圧がふらつく
定格電圧かけてよい最大の電圧ボトルの強さ絶縁破壊・破裂
ESR内部の抵抗ストローの細さ発熱・リップル・寿命低下
ESL内部のインダクタンスストローの長さ高い周波数で効かない
tanδ損失の割合保温ポットの断熱の悪さ効率低下・発熱
許容リップル電流流してよい交流の電流ゆらしてよい強さ過熱・液もれ・破裂

6つのうち、発熱・リップル・寿命・tanδのすべてにかかわるのがESRです。迷ったら、まずESRと許容リップル電流を確かめましょう。

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DC-DCのコンデンサの決め方

コンデンサの6つのパラメータの図。静電容量はためられる量、定格電圧はかけてよい最大電圧、ESRは内部の抵抗、ESLは内部のインダクタンス、tanδは損失の割合、リップル電流は流してよい交流電流
コンデンサの6つのパラメータ

静電容量と定格電圧|表示どおりとは限らない

静電容量:許容差とDCバイアスに注意

「10μF ±20%」なら、実際は8〜12μFのどこかです。さらにセラミックコンデンサ(X5R・X7Rなど)は、直流電圧をかけると容量が大きく下がります(DCバイアス特性)。10μFの部品が、使う電圧では数μFしかないこともあります。

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DCバイアスで容量が減る理由

定格電圧:ディレーティングで余裕をもつ

種類使う電圧の目安(定格に対して)例
アルミ電解80%以下12Vの回路 → 16V品
セラミック50%以下(DCバイアス対策も兼ねる)5Vの回路 → 10V品以上
フィルム70〜80%以下100Vの回路 → 160V品

これは一般的な目安で、会社の設計基準や用途(車載など)でもっと厳しくすることがあります。

ESR(等価直列抵抗)|発熱とリップルの原因

ESR(Equivalent Series Resistance)は、電極や電解液などがもつ内部の抵抗です。理想のコンデンサにはありませんが、本物には必ずあります。

ESRが引き起こすこと式例
発熱P=I²×ESR(Iはリップル電流の実効値)1A・0.1Ωで0.1W
リップル電圧ΔV≒I×ESR(電流の山谷の差)2A・0.05Ωで0.1V
寿命の低下発熱で内部温度が上がる電解は10℃上がると寿命がおよそ半分
種類ESRの目安
セラミック数mΩ〜数十mΩ
導電性高分子(ポリマー)数mΩ〜数十mΩ
アルミ電解数十mΩ〜数Ω

ESRは周波数と温度で変わります。データシートの値は「100kHz・20℃」などの条件つきなので、使う条件と合わせて読みます。アルミ電解コンデンサは低温でESRが大きく上がる点にも注意しましょう。

ESRの図。リップル電流が流れるとESRでI²×ESRの熱が出て、I×ESRのリップル電圧ができる。温度が上がるとコンデンサの寿命が縮む
ESRで発熱とリップル電圧が生まれ、寿命が縮む

ESL(等価直列インダクタンス)と自己共振周波数

ESL(Equivalent Series Inductance)は、電極やリードの形がもつ小さなインダクタンスです。コンデンサの本当の姿は、C・ESR・ESLの直列回路です。

インピーダンスと自己共振周波数

|Z|=√( ESR² + (2πf×ESL − 1/(2πf×C))² )
自己共振周波数 f₀=1 ÷ (2π√(ESL×C)) (このとき|Z|=ESR)

周波数が低いうちはCが効いて|Z|が下がりますが、f₀より上ではESLが効いて|Z|が上がり、コンデンサがコイルのようにふるまいます。グラフにするとV字のカーブです。例えば10μF・ESL 1nHなら、f₀は約1.6MHzです。

種類ESLの目安
セラミック(チップ)0.5〜2nH
フィルム5〜20nH
アルミ電解(リード品)10〜50nH

ICのそばのパスコンにセラミックを使うのは、ESLが小さく、高い周波数まで効くからです。ESLは部品だけでなく、はんだ付けのパターンやビアの長さでも増えます。

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パスコンをICのそばに置く理由

コンデンサのインピーダンスの図。周波数が低いうちは容量が効いて下がり、自己共振周波数f₀で最小のESRになり、それより上ではESLが効いて上がるV字のカーブ。f₀=1÷(2π√(ESL×C))
インピーダンスは自己共振周波数f₀で最小のV字

tanδ(誘電正接)と許容リップル電流

tanδ:損失の割合

tanδは、充電と放電のたびに熱として失われるエネルギーの割合です。小さいほど優秀で、tanδ=ESR×2πfCの関係があります。容量のちがうコンデンサどうしを、損失で公平に比べるときに使います。

種類tanδの目安
フィルム(PP)0.0001〜0.001
セラミック(C0G)0.001前後
セラミック(X7R)0.01〜0.025
アルミ電解0.05〜0.3

許容リップル電流:流してよい交流の電流

電源のコンデンサには、充電と放電をくり返す交流の電流(リップル電流)が流れ、I²×ESRの熱が出ます。データシートの許容値は「105℃・100kHz」などの条件つきで、周波数や温度の補正係数をかけて、使う条件での許容値を出します。超えると過熱し、アルミ電解では液もれや破裂につながります。

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リップル電流と温度から寿命を計算する

コンデンサのインピーダンス計算ツール

データシートの値を入れてください。最初はセラミック10μFの例です。

入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。ESR・ESLは一定とみなしています。実際には周波数や温度で変わるので、データシートのグラフも確かめてください。

コンデンサ選定のよくある間違い

よくある間違い正しい考え方
表示の容量がそのまま使える許容差とDCバイアスで、実際の容量は小さくなることがある
定格電圧ぎりぎりで使うディレーティングで余裕をもたせる
容量が大きいほど高い周波数に効く高い周波数ではESLが効く。小さな容量・低ESLの部品を並べる
ESRはどの条件でも同じ周波数と温度で変わる。データシートの条件を確かめる
リップル電流の定格をそのまま比べる周波数と温度の補正係数をかけて比べる
コンデンサ選定のよくある間違いの図。表示の容量はDCバイアスで減る、定格電圧は余裕をもたせる、高い周波数ではESLで決まる、ESRは周波数と温度で変わる
コンデンサ選定で起きやすい4つの間違い
キャリア
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よくある質問

Q. コンデンサのESRとは?

A. 電極や電解液などがもつ内部の抵抗です。リップル電流が流れるとI²×ESRの熱が出て、リップル電圧も大きくなります。

Q. ESLとは?

A. 電極やリードの形がもつ内部のインダクタンスです。自己共振周波数より上では、コンデンサがコイルのようにふるまいます。

Q. tanδとESRの関係は?

A. tanδ=ESR×2πfCです。容量のちがうコンデンサの損失を比べるときに、tanδを使います。

Q. 自己共振周波数の求め方は?

A. f₀=1÷(2π√(ESL×C))です。10μF・1nHなら約1.6MHzで、このときインピーダンスはESRと同じになります。

Q. リップル電流を超えるとどうなる?

A. I²×ESRの熱で内部の温度が上がり、寿命が縮みます。アルミ電解では液もれや破裂につながることもあります。

まとめ
  • 見るのは容量・定格電圧・ESR・ESL・tanδ・リップル電流
  • ESRは発熱(I²×ESR)とリップル電圧の原因
  • ESLで自己共振 f₀=1/(2π√(LC))。それより上はコイル
  • tanδ=ESR×2πfC
  • 容量はDCバイアス、電圧はディレーティングで余裕を
コンデンサの6つのパラメータのまとめの図。ESRは発熱とリップルの原因、ESLで自己共振する、tanδ=ESR×2πfC、容量と電圧は余裕をもたせる
6つのパラメータの要点:tanδ=ESR×2πfC
この記事の理解を深める本と道具
おすすめの道具

データシートのESRや容量が、手元の部品で実際にどのくらいかを確かめるにはLCRメータを使います。DER EEのLCRメータ DE-5000です。インダクタンス(L)・静電容量(C)・抵抗(R)を100Hz〜100kHzの5つの周波数で測れ、ESRやD・Qも表示できます。

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電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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