部品選定

コンデンサの種類と違い|電解・セラミック・フィルムの特徴と見分け方・選び方

コンデンサの種類を表すアイキャッチ。電解コンデンサ、セラミックコンデンサ、フィルムコンデンサが基板の上に並んでいる

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お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • コンデンサの種類が多くて、どれを選べばいいかわからない
  • 電解・セラミック・フィルムの違いを、理由まで説明できない
  • 先輩に「ここはセラコンじゃだめ」と言われたが、なぜかわからない
この記事でわかること
  • 主な5種類のコンデンサの特徴と違い(比較表)
  • ESR・ESLと、周波数でインピーダンスが変わるしくみ(計算ツールつき)
  • 回路のどこに何を使うか、迷ったときの選び方
  • 実務でよく起きる失敗と、データシートで見る値
結論|まず30秒でわかる答え

コンデンサの主な種類は、電解コンデンサ(アルミ電解)、セラミックコンデンサ、フィルムコンデンサの3つで、ほかにタンタルや導電性高分子(ポリマー)があります。大きな容量が安く欲しいなら電解、小さく高い周波数のノイズを取りたいならセラミック、容量の安定性や高い電圧への強さが要るならフィルムを使うのが基本です。同じ10μFでも、ESR(内部の抵抗)や寿命、電圧での容量の変化が種類によって大きく違うので、用途に合わせて選びます。

1種類ずつひとことで|見た目での見分け方
種類ひとことで見た目の特徴(よくある形)
アルミ電解コンデンサアルミの酸化膜と電解液で大きな容量を安く作るコンデンサ。極性あり円筒形の缶。マイナス側に帯(−の印)。缶の上に十字などの切れ込み
セラミックコンデンサセラミックの誘電体を重ねた、小さく高周波に強いコンデンサ基板の小さな直方体(茶色・灰色)。リード付きは円板形や小さな角形
フィルムコンデンサプラスチックのフィルムを誘電体にした、安定で高電圧に強いコンデンサ四角い箱形(黄・青・赤など)にリードが2本
タンタルコンデンサタンタルの酸化膜を使う、小さくて容量の大きいコンデンサ。極性ありチップは黄色や黒の樹脂の直方体。帯の側が+(アルミ電解と逆)
導電性高分子電解液の代わりに電気を通すプラスチックを使う、低ESRのコンデンサアルミ缶形やチップ形。見た目は電解やタンタルに似る

容量の表示は、数字3けたなら「2けたの数×10のべき乗 pF」です。たとえば「104」は10×10⁴pF=0.1μF、「105」は1μFです。形はメーカーや品番で違うので、最後は部品表と型番で確かめます。

コンデンサの種類を表すアイキャッチ。電解コンデンサ、セラミックコンデンサ、フィルムコンデンサが基板の上に並んでいる
基板に並ぶ電解・セラミック・フィルムコンデンサ

コンデンサの種類を一覧で比較|5種類の得意・不得意

コンデンサは、電気をためる2枚の電極のあいだにはさむ「誘電体」の材料で種類が分かれ、その材料で容量・大きさ・周波数特性・寿命が決まります。

比べる点アルミ電解セラミックフィルムタンタル導電性高分子
容量大きい(数μF〜数万μF)小〜中(pF〜100μF程度)小〜中中(小さいわりに大きい)中〜大
ESR(内部の抵抗)高めとても低い低い中低い
高い周波数苦手得意よいふつうよい
容量の安定性年月で減る電圧・温度で変わる(種類による)とても安定安定安定
極性(向き)ありなしなしありあり(多くの品種)
寿命電解液が乾いて尽きる長い長い長い長め
たとえると大きな貯水タンクすぐ使える消火器正確な計量カップ小さな高性能タンク流れのよいタンク

値は代表的な傾向です。実際の値は、品種ごとのデータシートで確かめてください。

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POINT

つまり、コンデンサ選びは「どれが優秀か」ではなく「どの役割に向いているか」です。貯水タンクと消火器を比べて、どちらが上とは言えないのと同じです。

コンデンサ5種類の得意なことの図。アルミ電解は大容量、セラミックは高周波、フィルムは安定と高電圧、タンタルは小型大容量、導電性高分子は低ESRで長寿命
コンデンサ5種類の得意分野:大容量・高周波・安定・小型・低ESR

電解コンデンサ|大容量の「貯水タンク」

アルミ電解コンデンサは、安く大きな容量が得られる一方で、ESRが高く、極性があり、寿命があるコンデンサです。

アルミ箔の表面に、とても薄い酸化アルミの膜(誘電体)を作り、液体の電解液を反対側の電極として使います。容量の式 C=εS/d(S:電極の面積、d:誘電体の厚さ)で、dがとても小さく、表面の細かな凹凸でSが大きくなるので、大きな容量が得られます。

弱点なぜ起きる実務での注意
ESRが高い電解液に抵抗があるリプル電流で発熱し、寿命が縮む
寿命がある電解液が少しずつ乾く温度が10℃上がると寿命はおよそ半分。発熱部品から離す
極性がある酸化膜は片方向にしかできない逆につけるとガスが出て、液漏れや破裂の原因になる

リプル電流(コンデンサを出入りする交流分の電流)が1A、ESRが0.1Ωなら、発熱は P = I² × ESR = 1² × 0.1 = 0.1W です。同じ電流でESRが10倍なら発熱も10倍になり、内部の温度が上がって寿命が短くなります。

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電解コンデンサの特徴の図。大容量の貯水タンクのようだが、ESRが高く発熱する、温度が10℃上がると寿命が約半分、極性があり逆につけると破裂することもある
電解コンデンサは大容量だが、ESR・寿命・極性に注意

セラミックコンデンサ|高い周波数に強い「消火器」

積層セラミックコンデンサ(MLCC)は、小さくてESR・ESLがとても低く、高い周波数のノイズを取るのが得意ですが、種類によっては電圧や温度で容量が大きく変わります。

薄いセラミックの層と電極を何百層も重ねて、小さな体積で容量をかせいでいます。セラミックの材料で、大きく2つに分かれます。

系統代表的な記号特徴
温度補償用(低誘電率)C0G(CH)容量は小さめだが、電圧や温度でほとんど変わらない
高誘電率系X5R・X7R など大きな容量が小さく作れるが、直流電圧をかけると容量が下がる(DCバイアス特性)
注意|ここで間違えやすい

「10μF」と書かれた小さなセラミックコンデンサに定格に近い直流電圧をかけると、実際の容量が数分の1まで下がることがあります。メーカーのDCバイアス特性のグラフで、使う電圧のときの容量を確かめてください。基板が曲がるとひびが入りやすく、ショートの原因になることにも注意します。

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セラミックコンデンサの特徴の図。薄い層を何百層も重ねて小さく作る。X5RやX7Rは直流電圧をかけると容量が下がり、C0Gはほとんど変わらない
セラミックコンデンサはDCバイアスで容量が下がる(C0Gを除く)

フィルム・タンタル・導電性高分子コンデンサ

フィルムは容量が安定して高い電圧と大きな電流に強く、タンタルと導電性高分子は小さくて大きな容量とESRの低さを両立させたコンデンサです。

種類しくみと強み注意点
フィルムポリプロピレン(PP)などのフィルムが誘電体。容量がとても安定し、損失が小さく、絶縁が一部こわれても自分で回復する品種がある容量のわりに大きく、値段が高め
タンタルタンタルの酸化膜が誘電体。小さくて容量が大きく、容量も安定極性あり。過電圧や突入電流でショートして発熱することがあるので、定格電圧に大きな余裕をとる
導電性高分子(ポリマー)電解液のかわりに電気を通すプラスチックを使う。ESRが低く、寿命が長い極性ありの品種が多い。耐圧の高いものは選択肢が限られる
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PP・PET・PPS、フィルムコンデンサの選び方

フィルム、タンタル、導電性高分子コンデンサの比較の図。フィルムは容量が安定し高電圧に強い、タンタルは小さくて大容量だが耐圧に余裕が必要、導電性高分子は低ESRで長寿命
フィルム・タンタル・導電性高分子コンデンサの違い

ESR・ESLと周波数特性|本物のコンデンサはRとLつき

実際のコンデンサは、容量Cに、ESR(等価直列抵抗)とESL(等価直列インダクタンス)が直列についた部品として動きます。そのため、周波数が上がるとある所でインピーダンス(交流での流れにくさ)が最小になり、それより上では逆に大きくなります。

公式

|Z| = √( ESR² + (2πf·ESL − 1/(2πfC))² )
自己共振周波数 f₀ = 1 ÷ (2π√(ESL·C))

f₀より低い周波数ではコンデンサらしく働き、f₀より高い周波数ではESLのせいでコイルのようにふるまいます。たとえば470μFの電解(ESL約15nH)はf₀が約60kHz、10μFのセラミック(ESL約1nH)はf₀が約1.6MHzです。電源ラインで電解とセラミックを並べて使うのは、低い周波数を電解、高い周波数をセラミックが受け持つためです。

インピーダンスと自己共振周波数の計算ツール

はじめから入っている数字は、470μFの電解コンデンサの例(ESR・ESLは代表的な値)です。容量10、ESR0.005、ESL1にすると、セラミックの例になります。ESRは周波数や温度でも変わるので、正確な値はデータシートのグラフで確かめてください。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。

コンデンサの周波数とインピーダンスの図。電解は約60kHz、セラミックは約1.6MHzでインピーダンスが最小になり、それより上ではコイルのようにふるまう。並べて使うと広い周波数をカバーできる
電解は約60kHz、セラミックは約1.6MHzでインピーダンスが最小

回路のどこに何を使う?用途別の使い分けと選び方

大容量の平滑は電解、ICのそばのノイズ取りはセラミック、スナバや共振のように安定と強さが要る所はフィルム、が基本の組み合わせです。

用途求められることよく使う種類
電源入力の平滑(バルク)大きな容量・低コストアルミ電解
ICのそばのパスコン低ESL・小型セラミック
DC-DCコンバータの出力低ESR・ほどよい容量セラミック、導電性高分子(大容量なら電解と併用)
スナバ回路・DCリンク高耐圧・大電流・安定フィルム
共振回路・タイマー容量の正確さ・温度で変わらないフィルム、セラミックのC0G

迷ったときの4つの質問

Q1

100μFを超える大きな容量が要る? → はいなら電解(または導電性高分子)。

Q2

高い周波数のノイズを取りたい? → はいならセラミック。

Q3

容量が変わると困る、または高い電圧・大きな電流がかかる? → はいならフィルム(小さい容量ならC0G)。

Q4

大容量も高周波も要る? → 電解とセラミックを並べて使い、役割を分ける。

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コンデンサの選び方の4つの質問。大きな容量なら電解、高周波のノイズならセラミック、安定と高電圧ならフィルム、両方なら電解とセラミックを並べて使う
4つの質問でコンデンサの種類を選ぶ

データシートで見る ESR・ESL・tanδ の意味は、次の記事で計算ツールつきで解説しています。

コンデンサのESR・ESL・tanδとは?データシートの読み方を図解|計算ツール付き
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データシートの読み方を図解

コンデンサ選びでよくある失敗と、データシートで見る値

よくある失敗正しい考え方
容量の数字が同じなら、どの種類でも同じESR・ESL・寿命・電圧での容量の変化がまったく違う
セラミックの容量を、書かれた値のまま計算に使うDCバイアスで下がった実際の容量で計算する
電解の寿命を確かめずに、発熱部品の近くに置く温度とリプル電流から寿命を見積もり、置き場所を考える
耐圧ぎりぎりで使う種類ごとの目安で余裕をとる(タンタルは特に大きく)
高周波のノイズ取りに、大きな電解だけを置くESLのせいで高周波では効かない。セラミックをICのそばに置く

データシートでは、静電容量とその許容差、定格電圧、ESR(またはtanδ)、許容リプル電流、使用温度範囲と寿命(電解)、DCバイアス特性(セラミック)を確かめます。使う温度・電圧・周波数での値を見るのがポイントです。

コンデンサ選びのよくある失敗の図。容量が同じでもESRや寿命が違う、セラミックはDCバイアス後の容量で計算、電解は温度から寿命を見積もる、耐圧には余裕をとる
コンデンサ選びで起きやすい4つの失敗

よくある質問

Q. コンデンサの種類は?

A. 主に電解・セラミック・フィルムの3つで、ほかにタンタルや導電性高分子があります。誘電体の材料で分かれます。

Q. 電解コンデンサとセラミックコンデンサの違いは?

A. 電解は大容量で安いがESRが高く寿命があります。セラミックは小さく高周波に強いですが容量は小さめです。

Q. フィルムコンデンサの特徴は?

A. 容量がとても安定して損失が小さく、高い電圧や大きな電流に強いです。そのぶん大きく値段も高めです。

Q. ESRとは何ですか?

A. コンデンサの中にある抵抗分です。リプル電流が流れるとI²×ESRの熱が出るので、低いほど発熱が少ないです。

Q. なぜ電解とセラミックを並べて使う?

A. 電解は低い周波数、セラミックは高い周波数でインピーダンスが低く、役割を分けて広い周波数をカバーするためです。

Q. 極性があるコンデンサは?

A. アルミ電解・タンタル・多くの導電性高分子です。逆につけると故障や破裂の原因になるので向きを確かめます。

まとめ
  • 主な種類は電解・セラミック・フィルム。ほかにタンタル・導電性高分子
  • 電解=大容量の貯水タンク、セラミック=高周波の消火器、フィルム=安定した計量カップ
  • 本物のコンデンサはESRとESLつき。自己共振周波数より上ではコイルのようにふるまう
  • 電解とセラミックを並べて、低い周波数と高い周波数を分担させる
  • セラミックのDCバイアス、電解の寿命、タンタルの耐圧の余裕に注意
コンデンサの種類のまとめの図。電解は大容量、セラミックは高周波、フィルムは安定と高電圧、並べて役割分担する
コンデンサは種類ごとに役割分担して使う
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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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