検定・推定

【図解】ハートレーの検定とは?|「一番バラついている子」と「一番揃っている子」の差を調べる

📚 この記事でわかること
  • ハートレーの検定が「何のための検定か」がイメージでわかる
  • コクランの検定との違いがスッキリ理解できる
  • 計算式の意味を「クラスの体力差」で直感的に理解できる
  • Fmax(エフマックス)という統計量の意味がわかる

前回、「コクランの検定」を学びましたね。

コクランは「最大のバラつきが、全体の中でどれくらいの割合を占めるか」を調べる検定でした。

今回紹介する「ハートレーの検定(Hartley's test)」は、もっとシンプルです。

🎯 結論から言うと

ハートレーの検定は、
「一番バラついている群」と「一番揃っている群」の差
を調べる検定です。

計算式は超シンプル。最大の分散 ÷ 最小の分散、これだけ!
📘 前提知識
【図解】コクランの検定とは?|「バラつきの足並み」を揃えるための前座検定 →

コクランの検定をまだ学んでいない方は、先にこちらをどうぞ

ハートレーの検定のイメージ|「両端の差」を見る

ハートレーの検定を理解するために、「クラスの体力テスト」をイメージしてみましょう。

3クラスの体力テスト結果

A組・B組・C組で体力テストを行いました。
各クラスの「点数のバラつき(分散)」を見てみると…

A組
10
バラつき:小
B組
25
バラつき:中
C組
50
バラつき:大

ハートレーが見るのは「両端」

ハートレーの検定は、「最もバラついているクラス」と「最も揃っているクラス」だけに注目します。

最大
50
(C組)
÷
最小
10
(A組)
=
Fmax
5.0
💡 ハートレーの発想

「一番バラついているクラスは、一番揃っているクラスの5倍もバラついている!」

「この差は許容範囲? それとも大きすぎ?」

この「何倍か」を調べるのがハートレーの検定です。

コクランとハートレーの違い|「割合」vs「倍率」

コクランの検定とハートレーの検定、どちらも「等分散性」を調べる検定ですが、見ているポイントが違います

比較表で整理しよう

コクランの検定ハートレーの検定
計算式Vmax / ΣVi
(最大÷合計)
Vmax / Vmin
(最大÷最小)
見ているもの割合
「全体の何%?」
倍率
「何倍違う?」
イメージ🍰 ケーキの取り分
「1人だけ取りすぎ?」
📏 身長差
「一番と最下位の差は?」
統計量の名前GFmax
計算の簡単さ合計を計算する必要あり超簡単!
割り算1回だけ

例え話で理解しよう

🍰 コクラン=ケーキの分け方

「3人でケーキを分けて、
1人だけ70%も取ってない?

→ 全体に対する「割合」を見る

📏 ハートレー=身長比べ

「クラスで一番背が高い子と低い子、
何倍も違わない?

→ 両端の「倍率」を見る

💡 どっちを使う?

実務ではどちらを使っても大きな差はありません

ただし、ハートレーの方が計算が簡単なので、
手計算が必要な場面(試験など)では重宝します。

QC検定では両方とも出題されるので、両方覚えておきましょう!

ハートレーの検定の計算式|最大÷最小

計算式は統計学の中でもトップクラスにシンプルです。

ハートレーの統計量 Fmax

📐 公式

Fmax = Vmax / Vmin
Vmax:各群の分散の中で最大のもの
Vmin:各群の分散の中で最小のもの

これだけです。割り算1回で終わり

Fmaxの意味を直感的に理解する

Fmaxは「最大のバラつきが、最小のバラつきの何倍か」を表しています。

🏃 マラソン大会の例え

3チームでマラソン大会をしました。

Aチーム:全員が近いタイムでゴール(バラつき小)
Bチーム:まあまあバラバラ(バラつき中)
Cチーム:速い人と遅い人の差が激しい(バラつき大)

Fmax = Cチームのバラつき ÷ Aチームのバラつき

もしFmax10倍なら…
「Cチームの実力差は、Aチームの10倍もバラバラってこと!?
これはさすがに差がありすぎでは?」

🎯 Fmaxの解釈

Fmax ≈ 1:最大と最小がほぼ同じ → 等分散(理想的!)

Fmax = 3:最大は最小の3倍 → まだ許容範囲かも?

Fmax = 10:最大は最小の10倍 → 等分散とは言えない!

具体例で計算してみよう

実際にデータを使って計算してみましょう。

ケーススタディ:3台の機械の精度比較

📊 データ

3台の機械(A・B・C)で製品を各5回ずつ作り、寸法のバラつき(分散)を計算した。

機械分散 V備考
A4← 最小
B9
C16← 最大
🧮 計算
Fmax = Vmax / Vmin = 16 / 4 = 4.0

→ 最大の分散は、最小の分散の4倍

計算はこれで完了。あとは臨界値と比較するだけです。

📘 関連記事
第5回:分散と標準偏差|「バラつき」を数値化する魔法の公式 →

「分散」の計算方法を復習したい方はこちら

判定方法|Fmaxを臨界値と比較する

計算したFmaxを、ハートレーの臨界値表と比較して判定します。

判定ルール

Fmax ≤ 臨界値
判定:等分散とみなせる
(帰無仮説を棄却しない)

→ 分散分析に進んでOK!

Fmax > 臨界値
判定:等分散でない
(帰無仮説を棄却)

→ そのまま分散分析するのは危険!

ハートレーの臨界値表(抜粋)

有意水準 α = 0.05 の場合の臨界値を示します。

群の数
k
各群の自由度 φ = n - 1
234510
239.015.49.607.154.85
387.527.815.510.86.34
414239.220.613.77.11
520250.725.216.37.80
626662.029.518.78.38
💡 表の見方(コクランとの違いに注意!)

k:比較する群の数(機械の台数など)
φ(ファイ):各群の自由度 = n - 1(データ数 - 1)

⚠️ コクランは「データ数 n」を使いますが、
ハートレーは「自由度 φ = n - 1」を使います!

例:3台の機械で、各5回ずつ測定した場合
→ k=3, φ=5-1=4 の交点 = 15.5 が臨界値

具体例で判定してみよう

先ほどの計算例で、実際に判定してみましょう。

ケーススタディの続き

📋 条件
  • 機械の台数:k = 3
  • 各機械のデータ数:n = 5 → 自由度 φ = 4
  • 計算したFmax4.0
  • 有意水準:α = 0.05
📊 臨界値を確認

表から k=3, φ=4 の値を探すと…

臨界値 = 15.5

🧮 比較
Fmax = 4.0 ≤ 臨界値 15.5
✅ 判定結果

Fmaxが臨界値以下なので、
等分散とみなせる

→ 分散分析(ANOVA)に進んでOK!

📝 解釈

「C機のバラつき(16)はA機(4)の4倍だけど、
3群で自由度4なら、15.5倍までは許容範囲。
4倍程度なら誤差の範囲内だね」

という判断になります。

コクランとハートレー、どっちを使う?

両方とも等分散性を調べる検定ですが、使い分けの目安があります。

使い分けガイド

状況コクランハートレー
データ数が等しい場合○ 使える○ 使える
計算の簡単さ合計を計算割り算1回
「1つだけ突出」を見つけたい◎ 得意○ できる
「両端の差」を見たい△ 苦手◎ 得意
試験での出題頻度高い高い
💡 実務でのアドバイス

正直なところ、どちらを使っても結論はほぼ同じになります。

ハートレー:計算が超簡単 → 手計算向き
コクラン:「突出」を見つけやすい → 問題児探し向き

試験では問題文で指定されることが多いので、
両方の計算方法と表の見方を覚えておきましょう!

まとめ|ハートレーは「両端の差」を見る

📝 この記事のまとめ
① ハートレーの検定の目的
「最大のバラつき」と「最小のバラつき」の差(倍率)を調べる
→ 「何倍違うか」で等分散性を判定
② 計算式は超シンプル
Fmax = Vmax / Vmin(最大÷最小)
→ 割り算1回で終わり!
③ コクランとの違い
コクラン:最大 ÷ 合計(割合を見る)
ハートレー:最大 ÷ 最小(倍率を見る)
④ 表の見方の注意点
ハートレーは自由度 φ = n - 1 を使う
(コクランはデータ数 n を使う)
🎓 覚え方のコツ

ハートレー「ハート(心)」の両端=両極端を比べる

最大と最小、両端だけを見て「何倍違う?」を調べる検定です。

次に学ぶべきこと

コクランとハートレーで「等分散性OK」と確認できたら、いよいよ分散分析(ANOVA)に進みましょう。

分散分析では、「3群以上の平均に差があるか?」を判定します。

📘 次に読むべき記事
分散分析とは?「平均の差」ではなく「分散」を見る理由|一元配置実験① →

分散分析の基本的な考え方をイメージで理解できます

🗺️ 実験計画法の学習マップ
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📘 F検定を復習したい方へ
【計算例あり】F検定(等分散の検定)|2つの機械のバラつきを比較する方法 →

2群のバラつき比較(F検定)を復習したい方はこちら

📚 検定の選び方を知りたい方へ
【永久保存版】統計検定の選び方フローチャート|3つの質問で「使う検定」が決まる →

「どの検定を使えばいいの?」が一目でわかるフローチャート

💪 ここまで読んでくださった方へ

「ハートレーの検定」、
「両端の差を見る」というイメージで覚えられましたね!

計算は超シンプル、最大÷最小だけ。
コクランと合わせて、等分散性検定はこれで完璧です。

分散分析の「前座」として、
しっかり使いこなせるようになりましょう!

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