- 品質問題の原因をなぜなぜ分析で掘ったが、原因が多すぎて「結局どこから手をつけるの?」状態になった
- 特性要因図(フィッシュボーン)を作ったが、要因同士の「つながり」が表現できず消化不良
- 上司に「連関図でまとめて」と言われたが、書き方がわからない
- 連関図法とは何か?──30秒で理解できる定義
- 特性要因図との決定的な違い(ここが最頻出!)
- 連関図の作り方──5ステップの全手順を製造業の例で解説
- 完成した連関図の「読み方」──矢印の集中で主要因を見つける方法
- QC検定での出題ポイント
「ラインの不良率が下がらない」──そう思って原因を調べ始めたら、「設備が古い」「作業手順のバラつき」「材料ロットの違い」「教育不足」「検査治具の校正切れ」と、原因が次から次へと出てきて、さらにそれぞれの原因同士が互いに影響し合っている……。
こんなとき、特性要因図では力不足です。特性要因図は原因を「一直線」に並べるだけなので、「原因Aが原因Bを引き起こしている」という因果の連鎖を表現できません。
そこで登場するのが連関図法です。連関図法は、原因と結果を矢印でつないで「問題の地図」を描く手法です。矢印が集中しているところが「真の原因」──これが連関図法の最大の武器です。
目次
連関図法とは?──30秒でわかる定義
ある問題に対して、原因と結果の関係が複雑に絡み合っているとき、
その因果関係を「矢印」でつなぐことで全体像を可視化し、
矢印が最も集中する要因=主要因(真の原因)を見つけ出す手法。
もう少しかみ砕きます。連関図法とは、「なぜ?」「なぜ?」と原因を掘り下げながら、原因同士の関係も矢印でつなぎ、最終的に"矢印が一番集まる場所"を見つける手法」です。
イメージとしては、交通渋滞の原因調査に似ています。「信号のタイミングが悪い」「道が狭い」「通学路で歩行者が多い」「駐車場が少なくて路上駐車が多い」──これらの原因は独立しているように見えて、実は互いに影響し合っています。「路上駐車が多い → 道が実質的にもっと狭くなる → 信号待ちが長くなる」のように、原因が別の原因を悪化させる連鎖が起きています。この連鎖を矢印で「地図」にしたものが連関図です。
連関図を構成する4つの要素
連関図は非常にシンプルな要素で構成されています。
| 要素 | 役割 | 図の中での見た目 |
|---|---|---|
| 問題(テーマ) | 解決したい課題。図の中心に置く | 二重枠 or 太枠の四角 |
| 要因(原因) | 問題を引き起こしている原因。一次・二次・三次と深掘りする | 四角の枠 or 付箋 |
| 矢印 | 因果関係を示す。「原因 → 結果」の向き | 矢印線(→) |
| 主要因 | 矢印が最も集中する要因。最優先で対策すべきポイント | 赤枠 or 太枠で強調 |
連関図の矢印の向きは「原因 → 結果」です。「AがBを引き起こしている」なら「A → B」と描きます。矢印の向きを逆に描いてしまうと因果関係がめちゃくちゃになるので注意してください。

特性要因図(フィッシュボーン)との決定的な違い
「原因と結果を整理する手法」と聞くと、QC7つ道具の特性要因図(フィッシュボーン)が思い浮かぶ人も多いでしょう。実際、この2つは目的が似ているので混同されやすいです。しかし、決定的な違いがあります。
特性要因図
- 原因を「4M」などのカテゴリ別にツリー状に整理
- 各原因は結果に向かって一直線に伸びる
- 原因同士の因果関係は表現できない
- 「モレなく洗い出す」のが得意
連関図法
- 原因と結果を網目状(ネットワーク型)に矢印でつなぐ
- 原因→原因という因果の連鎖を表現できる
- 矢印の集中で「真の原因」を特定できる
- 「複雑な絡み合いを解きほぐす」のが得意
特性要因図:原因を「モレなく」洗い出す(構造は一方通行)
連関図法:原因同士の「つながり」を見える化する(構造は網目状)
では、どちらを使えばよいのでしょうか? 答えは「まず特性要因図で原因をモレなく洗い出し、次に連関図法で因果関係を整理する」という併用パターンです。実務では、この順番で使い分けているチームが多いです。
問題を整理
原因を洗い出す
因果関係を整理

連関図法はどんなときに使う?
連関図法が威力を発揮するのは、「原因が複数あり、それらが互いに影響し合っているとき」です。原因が1つだけなら、わざわざ連関図を描く必要はありません。
連関図法が「向いている場面」と「向いていない場面」
向いている場面
- 不良率が下がらない原因が複数あり、互いに絡み合っているとき
- なぜなぜ分析を深掘りしたら、原因同士がループしていると感じたとき
- 「結局、何が根本原因なの?」が見えないとき
- 改善テーマの優先順位をデータではなく「構造」で判断したいとき
向いていない場面
- 原因がすでに1つに特定できている場合(→ 対策立案へ直行)
- 原因の洗い出しがまだ終わっていない場合(→ まず特性要因図を使う)
- 数値データの分析が必要な場合(→ QC7つ道具を使う)
「なぜなぜ分析で5回"なぜ?"を繰り返したのに、最後に出てきた答えが"教育不足"──これって本当に根本原因ですか?」
なぜなぜ分析の弱点は、1本道の深掘りになりがちなことです。連関図法を使えば、複数のルートから同じ要因に矢印が集中するのが見えるので、「教育不足」が本当に根本原因なのか、それとも他に隠れた真因があるのかを構造的に判断できます。

連関図の作り方──5ステップの全手順
ここからが本題です。連関図の作成手順を5つのステップに分けて、製造業の現場を例に解説します。まずは全体の流れを確認しましょう。
設定する
を出す
要因を掘る
矢印でつなぐ
特定する
ここでは、「外観検査での不良率が下がらない」という問題を例に進めます。
STEP 1:問題(テーマ)を設定する
最初に、解決したい問題を1つ決めます。「〜が悪い」「〜できない」「なぜ〜なのか?」という形で具体的に表現しましょう。この問題を模造紙やホワイトボードの中央に大きく書きます。
↑ 問題(テーマ)を中央に配置。二重枠で目立たせる。
STEP 2:一次要因を書き出す
問題の周りに、直接的な原因と思われるもの(=一次要因)を書き出します。「なぜこの問題が起きるのか?」をメンバー全員で考えて、付箋に書いて貼り出しましょう。目安は3〜6個です。そして一次要因から問題へ向かって矢印を引きます。
STEP 3:二次・三次要因を深掘りする
一次要因の1つ1つに対して、さらに「なぜ?」を繰り返して深掘りします。これが二次要因、三次要因です。ここがなぜなぜ分析と同じ思考プロセスですが、連関図法では1本道ではなく、複数のルートを同時に展開するのが特徴です。
└ 二次要因:検査マニュアルが古い(別の一次要因とも関連!)
└ 二次要因:新人への教育時間が足りない
└ 三次要因:ベテランが忙しくてOJTの時間が取れない
└ 三次要因:教育カリキュラムが存在しない
└ 二次要因:設備の定期メンテナンスが遅れている
└ 二次要因:材料ロットごとの硬度がバラついている
深掘りの深さは「3〜4階層」が目安です。5階層以上になると図が複雑すぎて読めなくなります。「これ以上掘ると推測になるな」と感じたら、そこが限界です。

STEP 4:要因同士の因果関係を矢印でつなぐ
ここが連関図法の最大の特徴であり、特性要因図との決定的な違いです。STEP 3までで出した要因を見渡して、「この要因は、別の要因にも影響を与えているのでは?」という関係を見つけたら、矢印を追加します。
たとえば先ほどの例で、「検査マニュアルが古い」は一次要因として書きましたが、同時に「作業者によって検査基準がバラバラ」の二次要因でもあります。さらに「新人への教育時間が足りない」という要因にも影響しています(古いマニュアルでは教育しにくい)。このように異なるルートの要因同士をクロスでつなぐのがSTEP 4の作業です。
「矢印を引きすぎて、図がスパゲッティ状態になった」──これは本当によくあります。すべての組み合わせに矢印を引く必要はありません。「明確に因果関係がある」と全員が納得したものだけに限定しましょう。迷ったら引かない、が正解です。
STEP 5:主要因を特定する──「矢印が集まる場所」を探す
連関図が完成したら、いよいよ主要因(=最優先で対策すべき原因)を特定します。方法は非常にシンプルです。
各要因から出入りする矢印の本数を数える。
矢印が最も多く集中している要因 = 主要因
先ほどの例では、「検査マニュアルが古い」に矢印が4本集中していたとします。この場合、「検査マニュアルの更新」が最優先の改善アクションになります。
矢印の数え方には2つの視点があります。
| 視点 | 意味 | 見つかるもの |
|---|---|---|
| 「出ていく矢印」が多い要因 | 多くの結果を引き起こしている「根本原因」 | 根本原因(Root Cause) |
| 「入ってくる矢印」が多い要因 | 多くの原因から影響を受けている「結果的な症状」 | 現象(Symptom) |
対策を打つべきは「出ていく矢印が多い要因」です。ここを潰せば、そこから派生する複数の問題が一気に改善されるからです。逆に「入ってくる矢印が多い要因」に対策を打っても、別のルートから同じ問題が再発します。

連関図の完成イメージ
先ほどの「外観検査での不良率が下がらない」の例を、連関図として完成させたイメージを示します。矢印の流れと集中度に注目してください。
検査基準がバラバラ
↑ 矢印3本
傷が見えにくい
↑ 矢印1本
安定しない
↑ 矢印2本
← 出ていく矢印が4本 = 主要因!
が足りない
OJT時間がない
が遅れている
硬度バラつき
※ 実際の連関図では各要素間を矢印線でつなぎます。上図はHTML上での構造イメージです。
・「検査マニュアルが古い」から出ていく矢印が最多(4本)→ これが主要因
・マニュアルの古さは「検査基準のバラつき」「教育の困難さ」「前工程との基準不整合」の3つに波及している
・改善アクション:検査マニュアルの全面改訂が最優先。それだけで複数の要因が同時に改善される

連関図法を成功させる5つのコツ
矢印の向きは「原因 → 結果」に統一する
「AがBを引き起こす」なら「A → B」です。「Bの原因はA」と考えて「B → A」と描いてしまうミスが非常に多いです。書いたら必ず「〇〇だから△△になる」と声に出して読み上げ、向きが正しいか確認しましょう。
1回で完成させようとしない
最初に作った連関図は「たたき台」です。一度作った図を現場に持っていき、現場で気づいた要因を追加し、関係者と議論してブラッシュアップする。このサイクルを最低2〜3回繰り返すと、精度の高い連関図になります。
要因は20個以内に抑える
要因が30個、40個と増えると、矢印だらけで読めなくなります。20個を超えそうな場合は、親和図法でグルーピングしてから連関図に持ち込むと、図がすっきりします。
「他責」を「自責」に変換する
「予算がない」「客先の仕様が厳しい」のような他責の要因が出てきたら、「現状の予算内でなぜ改善できないのか」「なぜ仕様を緩和する交渉ができないのか」と自責に変換しましょう。他責の要因は対策が打てないので、連関図に残しても無意味です。
主要因は「出ていく矢印」で判断する
先ほど解説したとおり、「入ってくる矢印が多い=結果的な症状」と「出ていく矢印が多い=根本原因」を区別してください。対策を打つべきは後者です。

QC検定での出題ポイント
QC検定(2級・3級)では、連関図法に関する出題が頻出です。特に特性要因図との違いが問われやすいので、ここをしっかり押さえましょう。
試験で押さえるべき5つのポイント
| ❶ 定義 | 原因と結果の因果関係を矢印でつなぎ、全体像を把握して主要因を特定する手法 |
| ❷ 属する手法群 | 新QC7つ道具(N7)のひとつ |
| ❸ 扱うデータ | 言語データ(数値データではない) |
| ❹ 図の構造 | ネットワーク型(網目状)。要因同士の因果関係も表現できる |
| ❺ 特性要因図との違い | 特性要因図はツリー型で要因同士の因果関係は表現できない。連関図法はネットワーク型で要因同士の因果関係を矢印で表現できる |
「連関図法は、要因を4M(人・設備・材料・方法)で分類してツリー状に表現する手法である」→ ✕(これは特性要因図の説明)
「連関図法は、要因間の因果関係を矢印で結び、ネットワーク型で表現する手法である」→ ○
「連関図法で主要因を見つけるには、矢印が集中している要因に着目する」→ ○
「ツリー型 vs ネットワーク型」「要因同士をつなげるか否か」──この2点が最頻出の判別ポイントです。

新QC7つ道具の中での連関図法の立ち位置
新QC7つ道具は、問題解決のフェーズに応じて使い分けます。連関図法は「原因の構造を可視化する」フェーズで使う道具です。全体の流れの中でどこに位置するかを整理しておきましょう。
→ 親和図法:バラバラな意見を仲間分けして全体像をつかむ
→ 連関図法:原因と結果を矢印でつなぎ、主要因を特定する
→ 系統図法:目的→手段をツリーで分解し、具体的なアクションを洗い出す
→ アローダイアグラム法・PDPC法:日程管理とリスク対策
→ マトリックス図法・マトリックスデータ解析法:対策案の比較・評価
つまり連関図法は、親和図法で整理した問題を「なぜ?」で深掘りして構造化する、いわば改善活動の「2番バッター」です。親和図法で全体像をつかみ、連関図法で真因を見つけ、系統図法で対策を分解する──この流れを覚えておくと、改善活動の進め方に迷わなくなります。

まとめ:連関図法は「矢印が集まる場所」を見つける道具
最後に、この記事の内容を一枚の表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 連関図法とは | 原因と結果の因果関係を矢印でつなぎ、全体像を可視化して主要因を特定する手法 |
| 属する手法群 | 新QC7つ道具(N7) |
| 図の構造 | ネットワーク型(網目状)──要因同士の因果関係も矢印で表現できる |
| 使う場面 | 原因が複雑に絡み合っていて、どこから手をつけるか判断したいとき |
| 手順 | 問題設定 → 一次要因 → 二次・三次深掘り → 要因同士を矢印でつなぐ → 主要因を特定 |
| 主要因の見つけ方 | 「出ていく矢印」が最も多い要因 = 根本原因 |
| 特性要因図との違い | 特性要因図はツリー型で要因同士のつながりは表現不可。連関図法はネットワーク型で表現可能 |
連関図法は、品質問題の真因を見つけ出すための強力な武器です。特性要因図で「モレなく」原因を洗い出し、連関図法で「つながり」を可視化する──この2つをセットで使いこなせれば、改善活動の質は確実に上がります。
次の改善ミーティングで「この問題、連関図で整理しませんか?」と提案してみてください。「なぜなぜ分析だけ」では見えなかった真因が、きっと浮かび上がります。
📚 次に読むべき記事
連関図法の「前工程」にあたる手法。問題の全体像をまず整理したい場合はこちらから。
連関図法との違いが最もよく問われる手法。両方を読むと使い分けが完璧になります。
数値データを扱うQC7つ道具の全体像を把握。新QC7つ道具との使い分けがクリアになります。