- 連関図法で「検査マニュアルが古い」のが主要因だとわかった。で、具体的に何をすればいい?
- 改善テーマは決まったのに、「対策を考えて」と言われて思いつきの案しか出てこない
- 上司に「系統図で方策を展開して」と指示されたが、書き方がわからない
- 系統図法とは何か?──30秒で理解できる定義
- 「方策展開型」と「構成要素展開型」の2種類の違い
- 系統図の作り方──5ステップの全手順を製造業の例で解説
- 連関図法・親和図法との使い分け
- QC検定での出題ポイント
改善活動では「原因を特定するまで」は頑張れても、「で、何をするの?」という対策立案のフェーズで手が止まるケースが非常に多いです。思いつきで「マニュアルを直そう」「教育を増やそう」と言ってみても、具体的にどこから手をつけるのか、他に漏れている対策はないか──この不安が消えません。
そこで登場するのが系統図法です。系統図法は、「目的→手段」の関係をツリー状に枝分かれさせて展開する手法です。会社の組織図や野球のトーナメント表と同じ「樹形図」の構造で、対策の全体像を一覧できるようにします。
結論を先に言うと、系統図法は「目的を決めて、"どうやって?"を繰り返すだけ」です。手順はシンプルですが、「考えの抜け・漏れを防ぐ」効果は絶大です。
目次
系統図法とは?──30秒でわかる定義
達成したい目的に対して、「その目的を果たすための手段は?」を繰り返し問いかけ、
手段をツリー状に多段展開することで、
具体的で実行可能な打ち手を漏れなく洗い出す手法。
もう少しかみ砕きます。系統図法とは、「目的→手段→さらに具体的な手段→もっと具体的な手段……」と"どうやって?"を繰り返してツリーを広げていく手法です。
イメージは「カーナビのルート検索」です。目的地(=達成したい目的)を入力すると、高速道路ルート・一般道ルート・裏道ルートなど複数のルートが表示されますよね。さらに各ルートの中にも「このICで降りる」「この交差点を右折」という具体的なステップがある。系統図法は、このように「ゴールまでの全ルートを一覧できる地図」を作る作業です。
系統図法のキーワードは「目的」と「手段」
系統図法で最も重要な概念は、「ある手段は、次の段の目的になる」ということです。これを繰り返すことでツリーが広がります。
下げたい
改訂する
写真に撮る
マクロ撮影する
右に行くほど手段が具体的になっていくのがポイントです。最終的に「これなら月曜日から着手できる」というレベルまで具体化されたら、展開は完了です。

系統図の2つのタイプ──「方策展開型」と「構成要素展開型」
系統図法には、2つのタイプがあります。QC検定でも「2種類あること」「それぞれの違い」が問われるので、ここでしっかり押さえましょう。
方策展開型(手段展開型)
- 目的→手段の関係をツリーで展開する
- 「どうやって達成するか?」の具体策を洗い出す
- 品質管理で最も多く使われるタイプ
- 例:「不良率を下げるには?」→ 手段を展開
構成要素展開型
- 対象物の構成要素をツリーで分解する
- 「この製品は何で構成されている?」を明らかにする
- 会社の組織図や製品の部品構成表(BOM)と同じ発想
- 例:「からあげ弁当」→ ごはん・からあげ・付け合わせ…
改善活動で使うのは、ほぼ方策展開型です。「原因はわかった。では何をするか?」を考えるのが方策展開型。この記事でも方策展開型を中心に解説します。
一方、構成要素展開型は製品の品質特性を漏れなく洗い出すときや、業務プロセスの全体像を把握するときに使います。

親和図法・連関図法との使い分け──3つの道具は「リレーの走者」
新QC7つ道具の中で、親和図法・連関図法・系統図法はセットで使うことが非常に多いです。3つの道具は、改善活動の「リレー走者」のように順番にバトンをつなぎます。
| 比較項目 | 親和図法 | 連関図法 | 系統図法 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 問題の全体像を把握 | 真の原因(主要因)を特定 | 具体的な対策を洗い出す |
| 図の構造 | グループ化(島型) | ネットワーク型(網目状) | ツリー型(樹形図) |
| 問いかけ | 「似ているのはどれ?」 | 「なぜ?(原因→結果)」 | 「どうやって?(目的→手段)」 |
「連関図法で真因がわかったのに、対策が"教育を強化する"しか出てこなかった」──これは、連関図法のあとに系統図法を使わなかったことが原因です。「教育を強化する」をさらに「どうやって?」で展開すれば、「外部セミナーに参加」「OJTのチェックリスト作成」「e-learning教材の導入」のように具体的な打ち手が出てきます。

系統図の作り方──5ステップの全手順(方策展開型)
ここからが本題です。方策展開型の系統図を作る手順を5つのステップに分けて解説します。まずは全体の流れを確認しましょう。
決める
を出す
手段を展開
をチェック
評価・選択
ここでは、連関図法で「検査マニュアルが古い」ことが主要因だとわかった続きのシナリオで進めます。テーマは「外観検査の不良率を低減する」です。
STEP 1:目的(テーマ)を決める
系統図の左端に、達成したい目的を書きます。「〇〇を△△する」という形で、できるだけ具体的に表現しましょう。
❌ 曖昧な目的
「品質を良くする」
✅ 具体的な目的
「外観検査の不良率を3%以下に低減する」
STEP 2:一次手段を出す
目的に対して、「どうやって達成するか?」を考え、最初の手段(=一次手段)を3〜5個挙げます。一次手段は「二次手段以降を展開するための方向性を示す見出し」のような役割です。
STEP 3:二次・三次手段を展開する
一次手段を「新たな目的」として捉え直し、さらに「どうやって?」を問いかけて二次手段を出します。同じ要領で三次手段、四次手段……と展開を繰り返します。「月曜日から着手できるレベル」まで具体化されたら、展開完了です。
├ 二次手段:限度見本を写真で統一する
│ ├ 三次手段:一眼レフでマクロ撮影する
│ └ 三次手段:照明条件を固定して撮影ルールを決める
├ 二次手段:判定基準を数値化する
│ └ 三次手段:傷の長さ0.5mm以上をNG、未満をOKと明記する
└ 二次手段:改訂マニュアルのレビュー体制を作る
└ 三次手段:品保部と製造部のダブルチェック体制を設ける
3〜4段が目安です。2段では抽象的すぎて「結局何をするの?」のまま。5段以上では細かすぎて全体が見渡せなくなります。
「一次手段に対して手段が1つしか出ない」場合は、他に手段がないか立ち止まって考えましょう。1対1のツリーは「展開」ではなく「言い換え」になっている可能性があります。

STEP 4:抜け漏れをチェックする
ツリーの展開が一通り終わったら、全体を見渡して「抜け漏れ」がないかチェックします。チェック方法は2つあります。
末端の手段から左(上位の目的)に向かって「この手段を実行すれば、この目的は達成できるか?」と問いかけます。「いや、これだけでは足りない」と感じたら、手段を追加します。
自分たちのチームだけでは気づけない視点があります。関連部署のベテランや、過去に同じ問題を解決した経験のある人に系統図を見せて、「他に必要な対策はないですか?」と確認しましょう。
STEP 5:末端の手段を評価・選択する
系統図が完成すると、末端(最も右側)に10〜20個の具体的な手段が並んでいるはずです。しかし、全部を同時に実行するのは現実的ではありません。そこで、各手段を「効果」「実現可能性」「コスト」などの観点で評価し、優先順位をつけます。
この評価には、マトリックス図法を組み合わせるのが定石です。系統図で洗い出した手段を行に並べ、評価項目を列に並べて、◎○△×で評価する表を作ります。
| 末端手段 | 効果 | 実現性 | コスト | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 限度見本を写真で統一する | ◎ | ◎ | ○ | ⭐ 最優先 |
| 傷の長さの数値基準を設ける | ◎ | ○ | ◎ | ○ |
| AI画像検査の導入を検討する | ◎ | △ | △ | △ |

系統図法を成功させる5つのコツ
「目的」と「手段」を混同しない
「不良率を下げる」は目的。「検査マニュアルを改訂する」は手段。この区別が曖昧だとツリーが崩壊します。「〇〇を△△する」が手段、「なぜそれをするのか?」の答えが目的です。
1つの目的に対して手段は最低2つ出す
1対1の展開は「言い換え」であって「展開」ではありません。「他にないか?」と必ず問いかけ、複数の選択肢を出しましょう。
展開は3〜4段で止める
5段以上になると図が大きくなりすぎて実務で使えなくなります。「これは担当者にアサインできるレベルか?」がストップの判断基準です。
右→左の逆読みで検証する
「この手段を実行すれば、この目的は達成できるか?」を末端から逆方向にたどります。「できない」と感じたら、手段が足りないか、目的と手段のつながりが論理的でない可能性があります。
マトリックス図法とセットで使う
系統図法で手段を「洗い出す」だけでは不十分です。マトリックス図法で「評価・選択する」ところまでやって初めて、実行可能な改善計画になります。

QC検定での出題ポイント
試験で押さえるべき5つのポイント
| ❶ 定義 | 目的を達成するための手段をツリー状に多段展開し、具体的な方策を漏れなく洗い出す手法 |
| ❷ 2つのタイプ | 方策展開型(目的→手段の関係で展開)と構成要素展開型(対象物の構成要素を分解) |
| ❸ 図の構造 | ツリー型(樹形図)。左に目的、右に手段。右に行くほど具体的 |
| ❹ 連関図法との違い | 連関図法は「原因の特定」(なぜ?)。系統図法は「対策の立案」(どうやって?) |
| ❺ 併用すべき手法 | マトリックス図法と組み合わせて手段を評価・選択する |
「系統図法は、原因と結果の因果関係を矢印でネットワーク型に表現する手法である」→ ✕(これは連関図法の説明)
「系統図法は、目的と手段の関係をツリー型に展開する手法である」→ ○
「系統図法には方策展開型と構成要素展開型の2種類がある」→ ○
「ツリー型」「目的→手段」「2種類ある」──この3つが最頻出のキーワードです。

まとめ:系統図法は「どうやって?」を繰り返すだけ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 系統図法とは | 目的→手段の関係をツリー状に多段展開し、具体的な打ち手を漏れなく洗い出す手法 |
| 属する手法群 | 新QC7つ道具(N7) |
| 2つのタイプ | 方策展開型(目的→手段で展開)/構成要素展開型(構成要素を分解) |
| 図の構造 | ツリー型(樹形図)。左に目的、右に手段。右に行くほど具体的 |
| 手順 | 目的設定 → 一次手段 → 二次・三次展開 → 抜け漏れチェック → 手段の評価・選択 |
| 問いかけ | 「どうやって?」を繰り返す(連関図法は「なぜ?」) |
| セットで使う手法 | マトリックス図法で末端手段を評価・選択する |
系統図法は、「原因はわかった。では何をするか?」という改善活動の最も重要なフェーズで使う道具です。親和図法→連関図法→系統図法という「3つのリレー」を覚えておけば、改善活動の設計に困ることはなくなります。
次の改善ミーティングで「対策を系統図で展開してみましょう」と提案してみてください。思いつきの対策1つだけだった議論が、体系的な15個の具体策に変わります。
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