統計学基礎

【完全図解】歪度と尖度とは?|正規分布との「ズレ」を数値化する2つの指標をイメージで完全理解

😣 こんな悩みはありませんか?
  • 歪度(わいど)と尖度(せんど)って何?読み方すらわからない…
  • 公式が複雑すぎて、何を計算しているのか意味がわからない
  • 正規分布のときの値(0と3)を覚えても、なぜその値になるのかわからない
  • グラフを見て歪度・尖度を判断する問題が解けない
✅ この記事でわかること
  • 歪度と尖度が「何を測っているのか」をイメージで理解
  • 正規分布の基準値(0と3)の意味と覚え方
  • グラフを見て一瞬で判断できるようになるコツ
  • QC検定・統計検定で出題されるパターンと解き方

「歪度」「尖度」という言葉、なんだか難しそうですよね。

でも実は、これらは「分布の形が正規分布からどれくらいズレているか?」を測る、とてもシンプルな指標なんです。

この記事では、数式をできるだけ使わずに、イメージだけで歪度と尖度を完全理解できるように解説します。最後まで読めば、グラフを見ただけで「歪度はプラス」「尖度は3より大きい」と判断できるようになりますよ。

📘 前提知識
第16回:【完全解説】正規分布とは?|統計の王様を初心者向けに徹底図解 →

正規分布の基本を押さえてから読むと、より理解が深まります

そもそも歪度・尖度って何のために使うの?

統計学では、データの分布が「正規分布に近いかどうか」を確認することがとても重要です。

なぜなら、多くの統計手法(t検定、回帰分析など)は「データが正規分布に従う」という前提で作られているからです。

では、どうやって「正規分布に近いかどうか」を判断するのでしょうか?

グラフを目で見て「なんとなく釣鐘型だな」と判断するのも一つの方法ですが、それでは客観的・定量的な判断ができません

そこで登場するのが歪度と尖度という2つの数値です。

📐 歪度と尖度の役割
歪度(わいど)分布の「左右の偏り」を数値化
尖度(せんど)分布の「山のとがり具合」を数値化

この2つの数値を使えば、「この分布は正規分布からどれくらいズレているか」を客観的な数字で表現できるんです。

歪度(Skewness)とは?─ 左右の偏りを測る

まずは歪度から理解しましょう。

歪度のイメージ:「どっちに裾が長いか?」

歪度は、分布が「左右対称か?」「どちらかに偏っているか?」を測る指標です。

イメージしやすいように、3つのパターンを見てみましょう。

パターン1:左右対称(歪度 = 0)

正規分布のように、真ん中を軸にして左右がピッタリ対称な分布です。
歪度 √b₁ = 0

🔔

きれいな釣鐘型

パターン2:右に裾が長い(歪度 > 0:正の歪み)

山のピークが左側にあり、右側に長い裾を引いている分布です。
歪度 √b₁ > 0(プラス)

⛰️ ─────→

右に尾を引く(例:年収分布)

パターン3:左に裾が長い(歪度 < 0:負の歪み)

山のピークが右側にあり、左側に長い裾を引いている分布です。
歪度 √b₁ < 0(マイナス)

←───── ⛰️

左に尾を引く(例:寿命分布)

歪度の覚え方:「裾が長い方向」がプラスかマイナスか

💡 覚え方のコツ

「右に裾が長い → 正(プラス)」
「左に裾が長い → 負(マイナス)」

数直線をイメージしてください。右がプラス、左がマイナスですよね。
裾が伸びている方向と符号が一致すると覚えましょう。

身近な例で理解する歪度

分布の形歪度
日本人の年収多くの人は300〜500万円台、一部の高所得者が右に長い裾を作る正(+)
製品の寿命多くは長持ち、一部の初期不良品が左に長い裾を作る負(−)
身長平均付近に集中し、左右対称に広がる≒ 0
📘 関連記事
第5回:分散と標準偏差|「バラつき」を数値化する魔法の公式 →

歪度の計算には分散(標準偏差)が使われています

尖度(Kurtosis)とは?─ 山のとがり具合を測る

次は尖度です。歪度が「左右の偏り」なら、尖度は「上下のとがり具合」を測ります。

尖度のイメージ:「山がとがっているか?平べったいか?」

尖度は、分布の山が「尖っているか」「平べったいか」を測る指標です。

ただし、ここで超重要なポイントがあります。

正規分布の尖度 = 3

この「3」が基準値です。必ず覚えてください!

つまり、尖度は「3より大きいか小さいか」で判断します。

パターン1:正規分布と同じ(尖度 = 3)

正規分布のとがり具合が基準です。
尖度 b₂ = 3

🔔

標準的な山の形

パターン2:正規分布より尖っている(尖度 > 3)

山が鋭くとがっていて、裾が厚い(外れ値が出やすい)分布です。
尖度 b₂ > 3

🍦

ソフトクリームのように尖った形

パターン3:正規分布より平べったい(尖度 < 3)

山がなだらかで平べったく、裾が薄い(外れ値が出にくい)分布です。
尖度 b₂ < 3

🥞

パンケーキのように平べったい形

尖度の覚え方:「3」を基準に比較する

💡 覚え方のコツ

「尖度3 = 正規分布」をまず覚える!

  • b₂ > 3 → 正規分布より尖っている(外れ値が出やすい)
  • b₂ = 3 → 正規分布と同じ
  • b₂ < 3 → 正規分布より平べったい(外れ値が出にくい)

なぜ「3」が基準なのか?(発展)

尖度の公式は「偏差の4乗の平均」を「標準偏差の4乗」で割ったものです。

正規分布でこの計算をすると、ちょうど3になることが数学的に証明されています。だから「3」が基準値なんです。

⚠️ 注意:超過尖度について
教科書によっては、「尖度 − 3」を使う場合があります。これを「超過尖度」と呼びます。
超過尖度の場合、正規分布 = 0 が基準になります。

QC検定では通常の尖度(正規分布 = 3)が使われることが多いので、問題文をよく確認しましょう。

正規分布の基準値を完璧に覚えよう

ここまでの内容を整理します。試験で絶対に覚えておくべき数値がこれです。

🔔 正規分布の基準値

歪度 √b₁ 0 左右対称だから
尖度 b₂ 3 これが基準値

語呂合わせで覚える

🎵 覚え方

「歪度ゼロ、尖度サン(3)」

「わいどゼロ、せんどサン」とリズムで覚えましょう!

グラフから歪度・尖度を判断する方法

試験では、グラフを見て歪度・尖度を判断する問題がよく出ます。実際の問題を使って練習しましょう。

例題1:双峰分布(2つの山がある分布)

下図のような、2つの山がある分布(実線)の歪度はいくつ?

∩  ∩
左の山 右の山

考え方

  • 2つの山が左右対称に配置されている
  • 左右対称 → 歪度は0

答え:歪度 √b₁ = 0

例題2:尖った分布

下図のような、正規分布(点線)より尖っている分布(実線)の尖度は?

      ▲ ← 実線(尖っている)
     /|\
    / | \
   /  |  \    ⌒ ← 点線(正規分布)
  /   |   \  / \
 /    |    \/   \
    

考え方

  • 実線は正規分布(点線)より尖っている
  • 正規分布の尖度 = 3 が基準
  • 尖っている → 尖度は3より大きい

答え:尖度 b₂ > 3(正規分布より大きな値)

グラフ判断のチェックリスト

チェック項目判断基準
歪度を判断するとき ① 左右対称か? → 対称なら 0
② どちらに裾が長い? → 右なら +、左なら −
尖度を判断するとき ① 正規分布(点線)と比較
② 尖っている? → 3より大きい
③ 平べったい? → 3より小さい

公式の意味を直感的に理解する(発展)

最後に、数式アレルギーの方でも理解できるように、公式の「意味」だけを解説します。

なぜ歪度は「3乗」を使うのか?

歪度の公式では、偏差(各データと平均の差)を3乗しています。

🤔 なぜ3乗?

2乗だと符号が消えるからです。

  • 2乗:(+3)² = 9、(-3)² = 9 → 同じ値になってしまう
  • 3乗:(+3)³ = 27、(-3)³ = -27 → 符号が残る!

3乗することで、「右に偏っている(+)」「左に偏っている(−)」を区別できるんです。

なぜ尖度は「4乗」を使うのか?

尖度の公式では、偏差を4乗しています。

🤔 なぜ4乗?

外れ値(平均から遠いデータ)を強調するためです。

  • 偏差が2のデータ:2⁴ = 16
  • 偏差が5のデータ:5⁴ = 625

4乗すると、外れ値の影響が極端に大きくなります。
だから、「裾が厚い(外れ値が多い)分布」を検出できるんです。

まとめ:歪度と尖度の完全攻略チェックリスト

✅ 歪度(√b₁)のポイント

√b₁ = 0左右対称
√b₁ > 0右に裾が長い(正の歪み)
√b₁ < 0左に裾が長い(負の歪み)

✅ 尖度(b₂)のポイント

b₂ = 3正規分布と同じ(基準)
b₂ > 3正規分布より尖っている
b₂ < 3正規分布より平べったい

✅ 絶対に覚える数値

正規分布 → 歪度 = 0、尖度 = 3

💡 試験対策のコツ
  • グラフ問題では、まず「正規分布(点線)と比較」することを意識
  • 歪度は「裾がどちらに長いか」で符号を判断
  • 尖度は「3と比較して大きいか小さいか」で判断
  • 「歪度ゼロ、尖度サン」と覚えておけば、計算問題でも慌てない

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