統計学基礎

統計検定とは?4級〜1級の違いとQC検定との選び方|製造業の品質担当向けに整理

統計検定を表すアイキャッチ。5段の階段に棒グラフ、正規分布の曲線、合格証が並んでいる

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統計検定は、日本統計学会公式認定の統計の検定で、4級・3級・2級・準1級・1級があります。級ごとの試験時間・問題数・合格基準は4級〜1級の違い、QC検定とどちらを先に受けるかはQC検定との違いへ。

結論|まず30秒でわかる答え

統計検定とは、日本統計学会公式認定の、統計学の知識と活用力を問う検定試験です。4級・3級・2級・準1級・1級のほか、統計調査士やデータサイエンス系の種別があり、準1級〜4級はコンピュータで受けるCBT方式、1級は年1回の論述式の試験です。製造業の品質の仕事なら、品質管理の手法全体を問うQC検定を先に受け、検定・回帰などのデータ分析を深めたいときに統計検定2級へ進む順番が無理がありません。

統計検定を表すアイキャッチ。5段の階段に棒グラフ、正規分布の曲線、合格証が並んでいる

統計検定とは?日本統計学会公式認定の「統計の力」の試験

統計検定は、データを集めて、まとめて、そこから判断する力を、級ごとに確かめる試験です。日本統計学会の公式認定で、運営は一般財団法人 統計質保証推進協会が行っています。種別は大きく3つの系統に分かれます。

系統種別内容のイメージ
統計学の級4級・3級・2級・準1級・1級統計学そのものの理解度。級が上がるほど、推定・検定・回帰などの手法と、その使い方が深くなる
調査士系統計調査士・専門統計調査士公的統計の調査のしかたや、統計データの利活用
データサイエンス系データサイエンス基礎・発展・エキスパートデータを扱う道具(表計算など)や、データサイエンスの考え方

製造業の品質の仕事で役に立つのは、主に「統計学の級」です。この記事でも、ここから先は4級〜1級を中心に説明します。

たとえると

統計検定の級は、料理の検定にたとえるとわかりやすいです。4級・3級は「材料の名前と切り方」(データのまとめ方・グラフ)、2級は「基本のレシピで1品つくれる」(推定・検定・回帰)、準1級・1級は「材料と目的に合わせて、自分でレシピを組み立てられる」段階です。

統計検定の3つの系統の図。統計学の級は4級・3級・2級・準1級・1級で品質の仕事で役立つ。調査士系は統計調査士・専門統計調査士、データサイエンス系はデータサイエンス基礎・発展・エキスパート

4級〜1級の違い|試験時間・問題数・合格基準・受験料

統計検定の公式サイトの各級のページ(この記事を書いた時点)をまとめると、次のとおりです。受験料は税込の一般価格で、学割価格もあります。

級試験時間問題数・形式合格基準受験料(一般)
4級60分30問程度・4〜5肢選択100点満点で60点以上5,000円
3級60分30問程度・4〜5肢選択100点満点で65点以上6,000円
2級90分35問程度・4〜5肢選択100点満点で60点以上7,000円
準1級90分25〜30問・5肢選択と数値入力100点満点で60点以上8,000円
1級統計数理90分+統計応用90分論述式(5問から3問を選ぶ)統計数理と統計応用の両方に合格各8,000円(同時受験12,000円)
注意|ここで間違えやすい

3級だけ合格基準が65点以上です。また、受験料や試験の形式は変わることがあります。申し込む前に、必ず統計検定の公式サイトで最新の情報を確かめてください。

CBT方式とは?

準1級〜4級はCBT方式(Computer Based Testing:全国のテストセンターのパソコンで受ける方式)です。決まった1日に全員が受ける紙の試験と違い、会場と日時を自分で選んで予約できます。仕事の繁忙期を避けて受けられるのは、社会人にとって大きな利点です。

1級だけは紙の試験(PBT方式)で、統計数理と、分野(人文科学・社会科学・理工学・医薬生物学)を1つ選ぶ統計応用の2つの試験があります。実施は年1回で、日程は公式サイトで案内されます。

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級の目安と、統計学をどの順番で学ぶかの対応がわかります

統計検定の級ごとの違いの図。4級は60分・60点以上・5,000円、3級は60分・65点以上・6,000円、2級は90分・60点以上・7,000円、準1級は90分・60点以上・8,000円、1級は90分+90分で両方に合格・各8,000円。準1級〜4級はCBTで日時を選べ、1級は年1回の筆記

統計検定とQC検定の違い

製造業で品質の仕事をしていると、「QC検定と統計検定、どちらを受ければいいのか」で迷います。2つは、似ているようで出題の中心が違います。

比べるところQC検定(品質管理検定)統計検定(統計学の級)
何を問う試験か品質管理の考え方と手法。管理図・工程能力・QC7つ道具に加えて、品質保証のしくみや改善の進め方も出る統計学そのもの。確率分布・推定・検定・回帰などを、理由まで含めて問う
実施する団体日本規格協会(QC検定センター)統計質保証推進協会(日本統計学会公式認定)
試験の方式1級・2級は筆記で年2回。3級・4級は第40回からCBT準1級〜4級はCBT。1級は年1回の筆記
品質の仕事での使いどころ帳票づくり・不良対策・監査の説明など、毎日の品質業務の土台実験の計画、データの比較、回帰による予測など、データ分析を深める場面

重なっている部分もあります。QC検定2級でも、検定・推定・相関と回帰・管理図の計算が出ます。つまり、QC検定2級の統計の部分をしっかり学ぶと、統計検定2級の半分近くの土台ができる、と考えるとイメージしやすいです(重なりの量は筆者の見立てです)。

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QC検定の級ごとの評価と、どの級を目指すかの選び方がわかります

QC検定と統計検定の違いの図。QC検定は品質管理の考え方と手法を問い、1級・2級は筆記で年2回、3級・4級はCBTで、毎日の品質業務の土台。統計検定は統計学そのものを問い、準1級〜4級はCBT、1級は年1回の筆記で、データ分析を深める場面に使う。検定・推定・相関と回帰は重なる

製造業の品質担当なら、どの級から受ける?

ここからは筆者の考えです。品質保証と電気設計の仕事を10年続けてきた経験から、目的ごとに次の順番をおすすめします。

あなたの目的おすすめの順番理由
品質の仕事に就いたばかりで、まず全体をつかみたいQC検定3級 → QC検定2級品質の仕事に必要な言葉と手法を、まとめて覚えられる
不良の原因をデータで説明したい・実験の結果を判断したいQC検定2級 → 統計検定2級検定・推定・回帰を、式の意味から理解できるようになる
統計の基礎から学び直したい(数学に苦手意識がある)統計検定3級 → 2級3級で、データのまとめ方とグラフ、確率の入口を固められる
データ分析を専門の仕事にしたい統計検定2級 → 準1級多変量解析など、2級より広い手法とその使い分けまで進める
POINT

統計検定2級は「大学の基礎科目レベル」とされる級です。いきなり2級を受けても構いませんが、Σ(たくさんの数を足す記号)や√が並ぶ式に身構えてしまう人は、3級の範囲で計算に慣れてからのほうが、遠回りに見えて近道です。

目的別にどの検定から受けるかの図。まず品質の全体をつかみたいならQC検定3級からQC検定2級、不良の原因をデータで説明したいならQC検定2級から統計検定2級、統計の基礎から学び直したいなら統計検定3級から2級、データ分析を専門の仕事にしたいなら統計検定2級から準1級

統計検定2級の出題範囲と、学ぶ順番

2級の出題範囲は、公式サイトでは「3・4級の内容に加え、1変数データ、2変数以上のデータ、推測のためのデータ収集法、確率、確率分布、標本分布、推定、仮説検定、カイ二乗検定、線形モデル」と書かれています。項目ごとに、このブログで学べる記事を並べると次のとおりです(対応は筆者の整理です)。

2級の出題範囲中身のイメージこのブログの記事
1変数データ平均・中央値・分散・標準偏差、箱ひげ図平均値とは/中央値とは/標準偏差とは
2変数以上のデータ散布図・相関係数・回帰直線散布図の見方と相関係数/単回帰分析の超入門
確率・確率分布二項分布・ポアソン分布・正規分布二項分布とは/ポアソン分布とは/正規分布とは
標本分布標本平均のばらつき、t分布・カイ二乗分布標準誤差とは
推定母平均・母比率の区間推定母平均の区間推定
仮説検定帰無仮説・P値・t検定仮説検定とは/P値と有意水準αの違い/t検定
カイ二乗検定適合度の検定・独立性の検定カイ二乗検定の棄却域
線形モデル最小二乗法・回帰分析最小二乗法とは/重回帰分析とは
STEP 1

出題範囲表(公式サイトのPDF)を開き、知らない言葉に印をつける

STEP 2

1変数データ→確率分布→推定・検定→回帰の順に、言葉の意味と計算を1つずつ固める

STEP 3

公式問題集で、出題の形式と時間配分に慣れる

STEP 4

CBTの空いている日を選んで予約し、本番と同じ90分で問題集を解いてみる

2級の範囲のうち、品質管理でよく使うのは、推定・検定と回帰です。工程の改善前後で平均に差があるか(t検定)、不良率が下がったと言えるか(母比率の検定)、条件と結果の関係を式にできるか(回帰分析)といった判断に、そのまま使えます。

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統計検定2級を学ぶ順番の図。1変数データ、確率分布、推定・検定、回帰の順。品質の仕事では、改善前後の平均の差はt検定、不良率が下がったかは母比率の検定、条件と結果の関係は回帰分析で判断する

統計検定でよくある勘違い

よくある勘違い実際は
「統計検定」は t検定やカイ二乗検定のこと統計検定は資格試験の名前。t検定などの「検定手法」とは別のもの。手法の選び方は検定手法の選び方の記事で
全部の級が年に1回の試験準1級〜4級はCBTで、会場と日時を選んで受けられる。年1回の筆記は1級だけ
合格基準はどの級も60点3級だけ65点以上。1級は統計数理と統計応用の両方の合格が必要
QC検定2級を持っていれば統計検定2級は勉強しなくてよい検定・回帰などは重なるが、統計検定は確率分布や標本分布を理由まで深く問う。重ならない部分を学び足す必要がある
受験料は一度調べれば変わらない改定されることがある。申し込む前に公式サイトで確かめる

つまり、統計検定は「統計学の理解度を級で示す資格」で、品質の仕事では、QC検定で身につけた手法を、統計の理屈から説明できるようにする役目を持っています。

統計検定のよくある勘違いの図。統計検定はt検定ではなく資格試験の名前、年1回の筆記は1級だけ、合格基準は3級だけ65点以上、QC検定2級があっても確率分布・標本分布を学び足す必要がある

よくある質問

Q. 統計検定とは何ですか?

A. 日本統計学会公式認定の、統計学の知識と活用力を問う検定試験です。4級〜1級のほか、統計調査士やデータサイエンス系の種別があります。

Q. 統計検定は何級から受ければいいですか?

A. 統計の基礎から学ぶなら3級、仕事で検定や回帰を使いたいなら2級が目安です。数学に不安があれば3級からが安心です。

Q. 統計検定2級の合格点は何点ですか?

A. 100点満点で60点以上です。試験時間は90分、問題数は35問程度で、4〜5つの選択肢から答えを選ぶ形式です。

Q. 統計検定とQC検定の違いは?

A. QC検定は品質管理の考え方と手法、統計検定は統計学そのものを問います。品質の仕事ならQC検定を先にするのが無理がありません。

Q. 統計検定はいつ受けられますか?

A. 準1級〜4級はCBT方式で、テストセンターの空いている日時を選んで受けられます。1級だけは年1回の筆記試験です。

この記事の要点
  • 統計検定は、日本統計学会公式認定の、統計学の知識と活用力を問う検定試験
  • 統計学の級は4級・3級・2級・準1級・1級。準1級〜4級はCBT方式で日時を選べる、1級は年1回の論述式
  • 合格基準は60点以上(3級だけ65点以上)。受験料は4級5,000円〜準1級8,000円(一般・税込、この記事を書いた時点)
  • QC検定は品質管理の手法全体、統計検定は統計学そのもの。品質の仕事ならQC検定→統計検定2級の順が無理がない
  • 2級は、1変数データ→確率分布→推定・検定→回帰の順に固めると、品質の仕事にもそのまま使える
統計検定のまとめの図。日本統計学会公式認定の統計学の検定、準1級〜4級はCBTで1級は年1回の筆記、合格基準は60点以上で3級は65点以上、品質の仕事はQC検定から統計検定2級の順
この記事の理解を深める本と道具
おすすめの本

統計の基礎を資格の勉強で固めたいなら、統計検定2級が目標になります。日本統計学会が編集した、統計検定2級の公式問題集です。CBT方式試験の出題範囲と出題形式にのっとった問題と解説を収録しています(実務教育出版)。

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S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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