- 「二電力計法」って、なぜ2台で三相の電力が測れるの?
- W1とW2の公式の「30°+θ」「30°−θ」がどこから出てくるのかわからない
- ブロンデルの定理って名前は知ってるけど、意味がピンとこない
- 二電力計法が「なぜ2台で三相を測れるのか」を身近な例えで直感的に理解
- W1・W2それぞれの公式の意味とベクトル図の読み方
- 具体的な数値を使った計算例で、試験問題が解ける力がつく
三相交流の電力を測りたい。でも三相は電線が3本もあって、「全部測ったら計器が3台も必要じゃないの?」と思いますよね。
実は、たった2台の電力計で三相電力が測れる魔法のような方法があります。それが「二電力計法」です。電験三種の理論科目でほぼ毎回出題される超重要テーマなので、この記事でしっかりマスターしましょう。
【電験三種・理論】三相交流とは?|単相との違いと「3本の電線」の秘密を完全図解 →
目次
なぜ「2台」で「3相」が測れるのか?
ブロンデルの定理:「n相は(n−1)台で測れる」
「2台で3相が測れる」根拠となるのが、ブロンデルの定理です。この定理をひとことで言うと:
「n本の線式の電力は、(n−1)台の電力計で測定できる」
→ 三相三線式(n=3)なら、3−1=2台でOK!
身近な例え:「3人のレジ会計」で理解する
A・B・Cの3人が一緒に買い物をしたとしましょう。3人の合計金額を知りたいとき、3人分のレシートが必要でしょうか?
実は、Bさんを「基準(ゼロ)」にすれば、「AとBの差額」+「CとBの差額」を足すだけで、3人の合計がわかります。これがブロンデルの定理の本質です。
三相三線式では、b相を基準にして、a-b間とc-b間の2つの「差」を測る計器を用意すれば、三相全体の電力が求められるのです。

二電力計法の接続方法|「どこに何をつなぐか」
接続のルール:b相を共通基準にする
二電力計法では、単相電力計を2台使います。それぞれの電力計には「電圧コイル」と「電流コイル」があり、以下のように接続します。
| 電力計 | 電流コイル | 電圧コイル |
|---|---|---|
| W1 | a相の線電流 Ia を測定 | a-b間の線間電圧 Vab を測定 |
| W2 | c相の線電流 Ic を測定 | c-b間の線間電圧 Vcb を測定 |
・電流コイル → a相とc相の2本に入れる(b相はスルー)
・電圧コイル → どちらもb相を共通にして、a-b間とc-b間を測る
「bをハブ(中心)にして、aとcから見る」とイメージすれば簡単です!
【電験三種・理論】Y結線とΔ結線の電圧・電流の変換 →

W1とW2の公式|「30°+θ」の正体
なぜ「30°」が出てくるのか?
ここが二電力計法の最大のポイントです。相電圧と線間電圧の間には30°のズレがあります。三相交流のベクトル図を描くと、線間電圧Vabは相電圧Eaよりも30°進んだ位置にあるのです。
電力計は「電圧コイルの電圧」と「電流コイルの電流」の間の角度で測定値が決まります。W1では線間電圧Vabと線電流Iaの角度差を測るので、力率角θに加えてこの30°のズレ分が加わります。
W2 = VL IL cos(30°− θ)
VL:線間電圧 [V] / IL:線電流 [A] / θ:力率角
W1 + W2 を足すと「√3」が出てくる魔法
W1とW2を足し算すると、加法定理(三角関数の公式)のおかげでsin成分が打ち消し合い、きれいな式が残ります。
W1 + W2 = VLILcos(30°+θ) + VLILcos(30°−θ)
= VLIL × 2cos30° × cosθ
= √3 × VL × IL × cosθ
🎯 二電力計法の最終公式
P = W1 + W2 = √3 VL IL cosθ
← これは三相電力の公式そのもの!

✏️ 計算例|試験で出る典型パターン
線間電圧 200V の対称三相交流電源から三相平衡負荷に電力を供給している。二電力計法で測定したところ、W1 = 1500W、W2 = 500W であった。
三相電力Pと負荷の力率cosθを求めよ。
解き方:3ステップで完了
P = W1 + W2 = 1500 + 500 = 2000W
二電力計法には力率を求める便利な公式があります。
tanθ = √3 ×(W1 − W2)÷(W1 + W2)
tanθ = √3 × (1500 − 500) ÷ (1500 + 500)
tanθ = √3 × 1000 ÷ 2000 = √3 / 2 ≈ 0.866
θ ≈ 40.9°
cosθ = cos40.9° ≈ 0.757
P = √3 × VL × IL × cosθ の式で逆算してみましょう。
2000 = √3 × 200 × IL × 0.757 → IL ≈ 7.63A
W1 = 200 × 7.63 × cos(30°+40.9°) = 200 × 7.63 × cos70.9° ≈ 500W…W2の値と近い!(W1とW2を逆にしていないか確認できます)

W2がマイナスになるケース|力率が低いとき要注意
力率角θが60°を超えると、片方の指示がマイナスに
W1の公式 cos(30°+θ) を見てください。もしθが60°なら、cos(30°+60°) = cos90° = 0 となり、W1はゼロになります。
θが60°を超えると、cos(30°+θ) がマイナスになるので、電力計の針が逆に振れる現象が起きます。この場合、電力計の接続を逆にして読み取り、その値をマイナスとして計算します。
| 力率角θ | 力率cosθ | W1の値 | W2の値 |
|---|---|---|---|
| 0° | 1.0 | W1 = W2(等しい) | W1 = W2(等しい) |
| 30° | 0.866 | 正(小さめ) | 正(大きめ) |
| 60° | 0.5 | 0(ゼロ) | 正 |
| 60°超 | 0.5未満 | マイナス ⚠️ | 正 |
「電力計W1の指針が逆振れした」という条件が出たら、W1の値をマイナスにして足すのがポイントです。
例:W1 = −200W、W2 = 800W → P = −200 + 800 = 600W
【完全図解】力率(cosθ)とは?|「電気を無駄遣いしている度合い」を解説 →

二電力計法の公式を一覧で整理
| 求めたいもの | 公式 |
|---|---|
| W1の指示値 | W1 = VL IL cos(30°+ θ) |
| W2の指示値 | W2 = VL IL cos(30°− θ) |
| 三相電力 P | P = W1 + W2 = √3 VL IL cosθ |
| 三相無効電力 Q | Q = √3(W2 − W1) = √3 VL IL sinθ |
| 力率角 tanθ | tanθ = √3 ×(W1 − W2)÷(W1 + W2) |
試験で最も問われるのは「三相電力P = W1 + W2」と「tanθの公式」です。この2つさえ覚えていれば、ほとんどの問題は解けます。余裕があれば無効電力Qの公式も押さえましょう。
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まとめ
二電力計法は、三相三線式の電力を2台の電力計で測る方法です。ブロンデルの定理により「n線式は(n−1)台で測れる」という原理に基づいています。
| 📐 原理 | ブロンデルの定理 → 三相(n=3)は2台で測定可能 |
| ⚡ 電力 | P = W1 + W2 = √3 VL IL cosθ |
| 📊 力率 | tanθ = √3(W1−W2) ÷ (W1+W2) |
| ⚠️ 注意 | θ > 60°でW1がマイナスになる → 逆振れに注意 |
📚 次に読むべき記事
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