理論科目の解説

【電験三種】オシロスコープの波形の読み方|周波数・電圧・リサジュー図形を初心者向けに完全図解

😣 こんな悩みはありませんか?
  • オシロスコープの画面の「div」って何?どう読むの?
  • 波形から周波数や実効値を計算する方法がわからない…
  • リサジュー図形の問題が意味不明…パターンが多すぎて混乱する
✅ この記事でわかること
  • オシロスコープの仕組みと「div」の意味
  • 波形から電圧・周期・周波数・実効値を読み取る手順
  • リサジュー図形で周波数比と位相差を求めるコツ
  • 電験三種の過去問で出る典型パターン

電験三種の理論科目で、ほぼ毎回のように出題される「オシロスコープ」の問題。

波形の画面を見せられて「周波数を求めよ」「実効値を求めよ」と聞かれると、「え、どこを見ればいいの?」とフリーズしてしまう方、実はとても多いです。

でも安心してください。オシロスコープの問題は、たった3つのステップさえ覚えれば、確実に得点できる「ボーナス問題」に変わります。

この記事では、オシロスコープの「画面の読み方」から「リサジュー図形の解き方」まで、初心者の方でも迷わないように完全図解で解説していきます。

📘 前提知識として読んでおくと理解が深まります
【電験三種】電気計測とは?|測定の全体像を5分で掴む入門ガイド →

そもそもオシロスコープって何?

🔍 「電圧の動き」を目で見る装置

テスターやマルチメータは、ある「瞬間」の電圧を数字で表示します。しかし、交流のように刻々と変化する電圧は、数字だけでは捉えられません。

オシロスコープは、時間とともに変化する電圧を「波形」として画面に映す装置です。

たとえるなら、テスターが「体温計」だとすれば、オシロスコープは「心電図モニター」のようなもの。体温計は一瞬の値しかわかりませんが、心電図は時間の流れとともに心臓の動きを線で描きますよね。オシロスコープもまさに同じ原理です。

📺 画面の構造を理解しよう

オシロスコープの画面は、方眼紙のようなマス目(グリッド)で区切られています。この1マスのことを「div」(ディビジョン)と呼びます。

↕️

縦軸(垂直軸)

電圧の大きさ

「垂直感度」=1div あたり何V か
例:5 V/div

↔️

横軸(水平軸)

時間の経過

「掃引時間」=1div あたり何秒か
例:2 ms/div

💡 ポイント
「div」=「1マス」と覚えればOKです。電験の問題文に出てくる「○○ V/div」は「1マスあたり○○ V」という意味。これだけで波形が読めるようになります。

オシロスコープの仕組み|のこぎり波が波形を描く

⚙️ なぜ画面に波形が映るのか?

オシロスコープの内部では、次の2つの信号が同時に働いています。

偏向電極 入力される信号 役割
垂直偏向電極 測定したい信号(正弦波など) 光の点を上下に動かす
水平偏向電極 内部で発生するのこぎり波 光の点を左→右に等速で動かす

これは「紙送り」の原理と同じです。心電図を思い出してください。紙が一定速度で右に流れ(=のこぎり波)、ペンが上下に動く(=測定信号)ことで波形が描かれますよね。

↕️
垂直
正弦波で上下に動く
↔️
水平
のこぎり波で左→右
〰️
画面に
正弦波形が映る!
⚠️ 電験頻出!
「水平偏向電極には内部で発生するのこぎり波電圧が加わる」という穴埋め問題が繰り返し出題されています。「水平=のこぎり波=時間軸」のセットで暗記しましょう。

🎯 偏向電極に1つだけ信号を入れたらどうなる?

電験の過去問では「片方だけに信号を入れたらどう見える?」も頻出です。

入力条件 画面に映るもの イメージ
垂直のみに正弦波 縦の直線(上下に伸びるだけ)
水平のみにのこぎり波 横の直線(左から右に走るだけ) ――
両方に入力 正弦波形が映る 〰️

波形の読み方|3ステップで電圧・周期・周波数を求める

オシロスコープの問題は、以下の3ステップで必ず解けます。

📏
STEP 1
マス目を数える
✖️
STEP 2
感度・掃引時間をかける
🧮
STEP 3
公式に当てはめる

📐 STEP 1:マス目を数える

まず、波形の画面から2つの情報を読み取ります。

読み取る量 どこを見るか 数え方
振幅(最大値) 中央線(0V)から山のてっぺんまで 縦方向のマス数 × 垂直感度
周期 山→次の山(1サイクル分)の横幅 横方向のマス数 × 掃引時間
⚠️ 注意!
振幅は「山のてっぺんから谷底まで」ではありません。中央の0V線から山のてっぺんまでが振幅(最大値 Vm)です。「てっぺんから谷底まで」は「ピーク・トゥ・ピーク(Vpp)」で、振幅の2倍になります。

🧮 STEP 2 & 3:公式に当てはめる

マス目の読み取りが終わったら、以下の公式を使います。

📐 覚えるべき公式(3つだけ!)

① 最大値 Vm = 縦のマス数 × 垂直感度 [V/div]

② 周期 T = 横のマス数 × 掃引時間 [s/div]

③ 周波数 f = 1 ÷ T [Hz]

④ 実効値 V = Vm ÷ √2 ≈ Vm × 0.707

【計算例】過去問で実際にやってみよう

📝 例題(H25 問16 ベース)

条件:

  • 垂直感度:5 V/div
  • 掃引時間:2 ms/div
  • 画面の波形:振幅が5マス、1周期が10マス

問い:最大値、周期、周波数、実効値を求めよ。

STEP 1

最大値 Vm = 5マス × 5 V/div = 25 V

STEP 2

周期 T = 10マス × 2 ms/div = 20 ms

STEP 3

周波数 f = 1 ÷ 0.020 s = 50 Hz

STEP 4

実効値 V = 25 ÷ √2 ≈ 17.7 V

💡 ポイント
この「マス目を数えて → 掛け算して → 公式に入れる」の流れは毎回同じです。慣れれば1分で解けます。「ms」を「s」に変換するのを忘れないようにだけ注意してください(20 ms = 0.020 s)。

📊 2つの波形の位相差を読み取る方法

画面に2つの波形 va と vb が同時に映っている場合、位相差を聞かれることもあります。

やり方はシンプルです。

📐 位相差の求め方

① 2つの波のゼロクロス点(0Vを横切る点)のズレを横方向のマス数で数える

② 1周期分のマス数に対する割合を求める

③ 割合 × 2π [rad] が位相差

たとえば、1周期が8マスで、2つの波形のズレが1マスなら:

位相差 = (1 ÷ 8) × 2π = π/4 [rad]

リサジュー図形とは?|2つの波を「合体」させた図形

🌀 普通の波形表示とリサジュー図形の違い

通常のオシロスコープは、水平軸に「のこぎり波(=時間)」を使います。だから横軸=時間、縦軸=電圧で「普通の波形」が映ります。

しかし、水平軸にも外部の正弦波を入力する(XYモード)と、画面には波形ではなく不思議な閉じた図形が描かれます。これがリサジュー図形です。

〰️

通常モード

水平軸:のこぎり波(時間)
垂直軸:測定信号
画面:おなじみの波形

🌀

XYモード(リサジュー)

水平軸:基準の正弦波
垂直軸:被測定の正弦波
画面:楕円・8の字などの図形

🎯 リサジュー図形で何がわかるのか?

リサジュー図形からは、大きく分けて2つの情報が読み取れます。

読み取れる情報 求め方 用途
周波数比 図形と軸の交点の数で判定 未知の周波数を求める
位相差 楕円の傾き・形で判定 回路の位相特性を調べる
💡 なぜリサジュー図形が使えるのか?
「正確な周波数がわかっている基準信号」を水平軸に入れ、「周波数がわからない信号」を垂直軸に入れます。すると、描かれる図形のパターンから、未知の信号の周波数が基準の何倍かがわかるのです。

リサジュー図形の読み方|周波数比と位相差を求める

📏 周波数比の求め方|水平線と垂直線で交点を数える

リサジュー図形の周波数比は、「交点カウント法」で一発で求められます。

📐 周波数比の公式

fx(水平軸)
fy(垂直軸)
垂直線との交点数
水平線との交点数

やり方は次の通りです。

STEP 1

リサジュー図形の上端(または下端)付近に水平線を引き、図形との交点の数を数える → これがfy(垂直軸)の情報

STEP 2

リサジュー図形の右端(または左端)付近に垂直線を引き、図形との交点の数を数える → これがfx(水平軸)の情報

🔢 具体例で確認しよう

図形の見た目 水平線の交点 垂直線の交点 周波数比 fx:fy
楕円・直線・円 1 1 1:1
横向きの8の字 1 2 2:1
縦向きの8の字 2 1 1:2
複雑な交差模様 2 3 3:2
⚠️ 注意!線の引き方にコツあり
水平線・垂直線は、図形の端のギリギリの位置(接するくらい)に引くのがポイントです。真ん中に引くと交点が「接点」になって数えにくくなります。

🔄 周波数比1:1のときの位相差パターン

電験で特に頻出なのが、同じ周波数(1:1)のときの位相差によるリサジュー図形の変化です。

位相差 図形 覚え方
0°(同相) 右上がりの直線(╱) 同じタイミングで動く → 一直線
45° 右上がりの細い楕円 少しズレて、ちょっと膨らむ
90° 真円(○) 完全にズレると円になる
135° 左上がりの細い楕円 傾きが逆になりはじめる
180°(逆相) 左上がりの直線(╲) 完全に逆タイミング → 逆向き直線
💡 超頻出!「同相・同振幅→直線」を暗記
「垂直及び水平の両入力端子に、同相で同じ大きさの正弦波を加えると直線状のリサジュー図形が表示される」――この穴埋め問題は2000年(H12)以降、繰り返し出題されています。必ず押さえましょう!

まとめ|オシロスコープは「3ステップ+リサジュー」で完全攻略

📋 この記事のまとめ
  • オシロスコープは時間とともに変化する電圧を「波形」として表示する装置
  • 水平偏向電極には内部で発生する「のこぎり波」が加わる(穴埋め頻出!)
  • 波形の読み方は「マス目を数える → 感度・掃引時間をかける → 公式に入れる」の3ステップ
  • リサジュー図形はXYモードで描かれる図形で、「周波数比」と「位相差」がわかる
  • 周波数比は「水平線の交点数」と「垂直線の交点数」の比で求める
  • 同相・同振幅なら「直線」、90°ズレると「円」になる

オシロスコープの問題は、一見すると複雑に見えますが、実はパターンが決まっている得点源です。この記事で学んだ内容を頭に入れたら、ぜひ過去問で手を動かして練習してみてください。

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