統計学基礎

【完全図解】確率変数の和・差の期待値と分散|「独立でない場合」の共分散・相関係数を完全マスター

😣 こんな悩みはありませんか?
  • E(X+Y) と V(X+Y) の公式がごちゃごちゃになる
  • 「独立」と「独立でない」で公式が変わるのが混乱する
  • 共分散と相関係数の関係がわからない
  • QC検定の「和・差の分散」の問題が解けない
✅ この記事でわかること
  • 期待値・分散の公式を図解で完全理解
  • 「独立」と「独立でない」の違いを水槽のたとえで直感的に
  • 共分散・相関係数の関係を1枚の図で整理
  • 実際の計算例で手を動かしてマスター

この記事の全体像|何を学ぶのか?

確率変数の「和や差」を扱う問題では、以下の3つの知識が必要です。

テーマ ポイント 難易度
① 期待値の計算 単純に足し引きするだけ(独立関係なし) ★☆☆
② 分散の計算 独立なら足す、独立でないなら共分散を加える ★★☆
③ 共分散と相関係数 「連動の度合い」を測る指標 ★★★

この記事では、図解を中心にこれらの概念を順番に解説していきます。

① 期待値の計算|独立かどうかは関係ない!

期待値(平均)の計算は、実はとてもシンプルです。

期待値の線形性|足し算・引き算はそのまま

📐 期待値の公式

E(X + Y) = E(X) + E(Y)
E(X − Y) = E(X) − E(Y)
E(aX + bY) = aE(X) + bE(Y)

※ a, b は定数。独立かどうかに関係なく成り立つ!

💡 コインの袋でイメージ
袋Xには平均100円、袋Yには平均50円のコインが入っているとします。
両方の袋を合わせたら? → 平均は 100 + 50 = 150円

「袋同士が関係あるかどうか」は、平均の計算には影響しません。
これが期待値の線形性です。

② 分散の計算|「独立かどうか」で公式が変わる!

分散の計算は、期待値と違って「独立かどうか」が重要になります。

ケース①:XとYが独立の場合

2つの確率変数が独立(互いに影響しない)なら、分散は単純に足すだけです。

📐 独立な場合の分散

V(X + Y) = V(X) + V(Y)
V(X − Y) = V(X) + V(Y)

⚠️ 引き算でも分散は「足す」!(バラつきは打ち消し合わない)

💡 水槽でイメージ(独立の場合)
2つの水槽が完全に別々に置かれていると想像してください。
それぞれの水槽の波(バラつき)は、互いに影響しません。

2つを合わせたときの「総合的な波の大きさ」は、単純に足し算になります。

ケース②:XとYが独立でない場合(ここが重要!)

2つの確率変数が独立でない(互いに影響する)場合、共分散という「連動の度合い」を加える必要があります。

📐 独立でない場合の分散

V(X + Y) = V(X) + V(Y) + 2Cov(X, Y)
V(X − Y) = V(X) + V(Y) − 2Cov(X, Y)

※ Cov(X, Y) は共分散。正なら波が同調、負なら波が逆位相。

💡 水槽でイメージ(独立でない場合)
2つの水槽がパイプでつながっていると想像してください。
片方の波が起きると、もう片方にも影響します(連動する)。

この「連動分」が共分散です。
・同じ方向に波立つ(正の共分散)→ 合計のバラつきは大きくなる
・逆方向に波立つ(負の共分散)→ 合計のバラつきは小さくなる
⚠️ なぜ「2倍」するのか?
V(X+Y) を展開すると、共分散の項が2回出てくるからです。

V(X+Y) = E[(X+Y-μx-μy)²]
= E[(X-μx)² + 2(X-μx)(Y-μy) + (Y-μy)²]
= V(X) + 2Cov(X,Y) + V(Y)

③ 共分散とは?|「一緒に動く度合い」を測る

共分散は、2つの変数が一緒に動く傾向を数値化したものです。

共分散の定義と直感的な意味

📐 共分散の定義

Cov(X, Y) = E[(X − μX)(Y − μY)]
= E(XY) − E(X)E(Y)
共分散の値 意味 イメージ
Cov > 0 正の関係 Xが増えるとYも増える傾向
Cov < 0 負の関係 Xが増えるとYは減る傾向
Cov = 0 無相関 XとYは連動しない(独立の可能性)
⚠️ 重要な注意点
独立ならば Cov(X,Y) = 0 です。
しかし逆は成り立ちません! Cov(X,Y) = 0 でも独立とは限らないのです。
(非線形な関係がある場合など)

④ 相関係数とは?|共分散を「比較可能」にする

共分散には1つ大きな問題があります。それは「単位がある」こと。値の大きさだけで「強い関係」とは言えません。

そこで、共分散を標準偏差で割って正規化したものが相関係数です。

相関係数の定義

📐 相関係数(母相関係数)

ρ =
Cov(X, Y)
σX × σY

範囲:−1 ≤ ρ ≤ 1

共分散と相関係数の関係(公式変形)

相関係数の式を変形すると、共分散は以下のように表せます。

📐 共分散を相関係数で表す(重要!)

Cov(X, Y) = ρ × σX × σY

問題では「相関係数ρ」が与えられることが多いので、この変換が超重要!

💡 これがQC検定の頻出パターン!
問題文で「相関係数ρ = 0.6」のように与えられたら、
Cov(X,Y) = ρ × σX × σY で共分散を求めて、
それを V(X+Y) = V(X) + V(Y) + 2Cov(X,Y) に代入します。

公式の全体まとめ|これだけ覚えればOK!

期待値の公式(独立・非独立 共通)

E(X + Y) = E(X) + E(Y)
E(X − Y) = E(X) − E(Y)
E(aX + bY) = aE(X) + bE(Y)
E(aX) = aE(X)

分散の公式(独立の場合)

V(X + Y) = V(X) + V(Y)
V(X − Y) = V(X) + V(Y)
V(aX) = a²V(X)
V(aX + bY) = a²V(X) + b²V(Y)

分散の公式(独立でない場合)

V(X + Y) = V(X) + V(Y) + 2Cov(X,Y)
V(X − Y) = V(X) + V(Y) − 2Cov(X,Y)
V(aX + bY) = a²V(X) + b²V(Y) + 2abCov(X,Y)

Cov(X,Y) = ρ × σX × σY で計算

共分散・相関係数の公式

Cov(X, Y) = E(XY) − E(X)E(Y)
Cov(X, Y) = ρ × σX × σY
ρ(相関係数) = Cov(X,Y) ÷ (σX × σY)
Cov(aX, bY) = ab × Cov(X, Y)

【実践】計算例で手を動かそう

例題:2つの商品の合計利益

ある会社が商品Aと商品Bを販売しています。それぞれの利益は以下の確率分布に従います。

商品 期待値 E 分散 V 標準偏差 σ
商品A (X) 100万円 400 20
商品B (Y) 80万円 225 15

2つの商品の利益には相関係数 ρ = 0.6 の関係があります(景気が良いと両方売れるなど)。

問:合計利益 X + Y の期待値と分散を求めよ。

Step 1:期待値を求める

E(X + Y) = E(X) + E(Y)
= 100 + 80
= 180万円

期待値は単純に足すだけなので、相関係数は使いません。

Step 2:共分散を求める

Cov(X, Y) = ρ × σX × σY
= 0.6 × 20 × 15
= 180

Step 3:分散を求める

V(X + Y) = V(X) + V(Y) + 2Cov(X, Y)
= 400 + 225 + 2 × 180
= 400 + 225 + 360
= 985

✅ 答え
E(X + Y) = 180万円
V(X + Y) = 985(標準偏差 ≒ 31.4万円)
⚠️ もし独立だったら?
V(X + Y) = 400 + 225 = 625

正の相関があると、分散は 625 → 985 と大きくなります。
「景気が良いと両方売れる」ので、リスク(バラつき)も連動して大きくなるのです。

よくある間違いパターン

❌ 間違い ⭕ 正しい
V(X−Y) = V(X) − V(Y) V(X−Y) = V(X) + V(Y)
分散は引き算でも足す!
V(2X) = 2V(X) V(2X) = 4V(X)
定数は2乗される!
独立でないのに共分散を忘れる +2Cov(X,Y) を忘れずに!
問題文の「相関係数」に注目
σ(標準偏差)をそのまま足す 分散に変換してから足す!
σ² = V の関係を使う

まとめ|この記事のポイント

💡 覚えるべき3つのポイント
  1. 期待値:独立かどうか関係なく、そのまま足し引き
  2. 分散(独立):引き算でも分散は「足す」
  3. 分散(独立でない)+2Cov(X,Y) を加える

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