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TIMとは?すき間の空気を追い出す材料
熱は「チップ → ケース → TIM → ヒートシンク → 空気」と、直列につながった道を流れます。TIMはケースとヒートシンクのつなぎ目にあたります。
金属の面は「平らに見えて凸凹」
部品の裏もヒートシンクの面も、目で見るとつるつるです。しかし顕微鏡で見ると、数μm〜数十μmの山と谷があります。2枚を重ねても、本当にふれ合っているのは山のてっぺんだけで、見かけの面積のほんの数%といわれます。残りのすき間は空気です。ねじを強くしめても、この凸凹はなくなりません。
| 材料 | 熱伝導率[W/(m·K)] | 空気の何倍 |
|---|---|---|
| 銅 | 約400 | 約16,000倍 |
| アルミ | 約200〜240 | 約1万倍 |
| 熱伝導グリス | 約1〜5(高性能品はそれ以上) | 約40〜200倍 |
| 水 | 約0.6 | 約24倍 |
| 空気 | 約0.025 | 1倍 |
空気はアルミの約1万分の1しか熱を通さない、ほぼ断熱材です。家の断熱材が空気の泡を閉じこめて熱を止めるのと同じことが、部品とヒートシンクのすき間で起きています。TIMは、凸凹に流れこんで空気を追い出します。ただしTIMそのものも金属よりずっと熱を通しにくいので、「空気よりはずっとまし」な材料を、できるだけ薄く入れるのが基本です。

TIMの熱抵抗を計算する
例:面積2cm²の部品で、すき間0.05mmがすべて空気なら R=0.00005÷(0.025×0.0002)=10℃/W。同じ0.05mmを熱伝導率3のグリスで埋めれば約0.08℃/W、熱伝導率1.5で厚さ0.3mmのシートなら1.0℃/Wです。20Wの部品なら、空気では200℃、グリスでは約2℃、シートでは20℃の温度差になります(実際は金属の山どうしもふれ合うので、空気の値はここまで悪くはなりませんが、桁のちがいはこのとおりです)。
入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。

TIMが必要な理由|接触熱抵抗とは
平らに見える部品とヒートシンクの面も、拡大すると細かい凹凸があり、実際に触れているのは見かけの面積のごく一部です。残りのすき間には熱を伝えにくい空気が入り、接触熱抵抗(面と面の境目で生まれる熱抵抗)になります。TIMは、このすき間の空気を追い出すための材料です。
接触熱抵抗はデータシートの Rth(c-s)(ケース−ヒートシンク間)に表れますが、面の状態・締付トルク・TIMで大きく変わる値です。推奨の締付トルクとTIMはメーカーの資料で確かめ、重要な製品では実機で温度を測って確かめます。
TIMの種類と使い分け
| 種類 | 厚さの目安 | よいところ | 弱いところ | 向く場面 |
|---|---|---|---|---|
| 熱伝導グリス | 数十μm | いちばん薄くでき、熱抵抗が小さい。安い | 塗る手間とばらつき。長く使うと押し出される(ポンプアウト) | パワーモジュール、CPU |
| 熱伝導シート | 0.2〜2mm | はさむだけで量産しやすい。絶縁を兼ねるものもある | グリスより厚く、熱抵抗が大きい | 量産品、絶縁が必要な所 |
| ギャップフィラー(厚いパッド) | 1〜5mm | やわらかく、高さのちがう部品をまとめて冷やせる | 厚いぶん熱抵抗は大きい | 基板上の部品と筐体のあいだ |
| 相変化材(PCM) | 数十〜200μm | 常温では固体で扱いやすく、温まるとやわらかくなってグリスに近い性能 | 高い。種類が少ない | 高い信頼性が要る量産品 |
選ぶときは、熱伝導率の数字だけでなく、「どれだけ薄くできるか(すき間の大きさ)」「絶縁が要るか」「量産で塗りやすいか」「長く使って性能が落ちないか」をあわせて考えます。グリスの選び方は別の記事でくわしく解説しています。
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熱伝導グリスの選び方、熱伝導率だけで選ばない

正しい塗り方|「薄く・均一に」
TIMの役目は凸凹を埋めることだけです。それより厚い分は、熱の通り道をじゃまするだけになります。
| 量 | 起きること |
|---|---|
| 塗りすぎ | 層が厚くなって熱抵抗が増える。はみ出して周りを汚し、導電性グリスならショートの原因に |
| 少なすぎ | 凸凹を埋めきれず空気が残る。場所によってむらができる |
| ちょうどよい | しめた後、面全体にうっすら広がり、はみ出しはわずか |
量産では、塗る量・しめるトルク・清掃のやり方を作業標準書で決め、1台ずつばらつかないように管理します。試作で「なんとなく塗っていた」感覚のまま量産に入ると、ロットで温度がばらつく原因になります。
絶縁が必要な場合のグリス選定

TIMでよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| 強くしめればグリスはいらない | 凸凹は消えない。空気を追い出せるのはTIMだけ |
| たくさん塗るほど冷える | 厚いほど熱抵抗が増える。薄く・均一に |
| 熱伝導率が高いTIMほどよい | 厚さ・なじみやすさ・絶縁・長期の安定もあわせて見る |
| グリスは電気を通さない | 銀などを含む導電性のものもある。絶縁が要る所は絶縁タイプに |
| 一度塗れば一生もつ | 温度の上下でグリスが押し出されたり乾いたりする。寿命試験で確かめる |
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よくある質問


