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- ヒートシンクは何をしている部品なのか、うまく説明できない
- なぜギザギザのフィンがあると冷えるのかわからない
- どのくらいの大きさのヒートシンクが要るのか、見当がつかない
- ヒートシンクとは何か、なぜ必要か
- フィンで冷える仕組みと、熱が逃げる3つの経路
- 形状の種類、アルミと銅、黒いアルマイトの意味
- 必要な熱抵抗の求め方(計算ツール付き)と取り付けの注意
ヒートシンクとは、トランジスタやCPUなどが出す熱を、広い金属の表面から空気へ逃がすための放熱部品です。部品そのものを冷やす機械ではなく、小さな部品の熱を大きな面に広げて、空気に渡しやすくする「橋渡し役」です。フィンは、同じ材料の量で表面積を何倍にも増やすための形で、性能は熱抵抗(℃/W)で表します。

ヒートシンクとは?なぜ必要なのか
パワー半導体は小さいので、そのままでは熱を空気に渡しきれません。ヒートシンクは、熱の出口の面積を何十倍にも広げる部品です。
「シンク(sink)」は、台所の流しのように「流しこむ先」という意味です。部品の中で生まれた熱をヒートシンクに流しこみ、表面から空気へ捨てます。最後に熱を運び去るのは空気なので、ヒートシンクは「冷やす機械」ではなく「空気に渡す橋渡し役」です。
例題:10Wの熱を出すトランジスタ
熱の伝わりにくさを熱抵抗(℃/W)で表すと、温度上昇=熱抵抗×発熱で計算できます。周囲50℃で10Wの熱を出すTO-220パッケージの部品を考えます。
| 条件 | 熱抵抗の合計 | チップの温度Tj |
|---|---|---|
| ヒートシンクなし | 約62℃/W(パッケージから空気へ) | 50+10×62=約670℃(実際には途中で壊れる) |
| 4℃/Wのヒートシンクあり | 1.0+0.5+4.0=5.5℃/W | 50+10×5.5=105℃ |
ヒートシンクがないと、10Wでも計算上は数百℃になり、使えません。熱抵抗の合計を小さくするのが、ヒートシンクの仕事です。TO-220の値は品種でちがうので、実際はデータシートで確かめます。
熱抵抗とは?熱のオームの法則

ヒートシンクの仕組み|なぜフィンがあると冷えるのか
空気に熱を渡せる量は、空気にふれている面積におおよそ比例します。フィンは、同じ材料の量で表面積を何倍にも増やすための形です。
じゃがいもを丸ごとゆでるより、千切りにしたほうが早く火が通るのと同じです。表面が広いほど、熱の出入りの窓口が増えます。ただし、フィンを詰めすぎると、すき間に空気が通らなくなり、かえって冷えません。フィンの数と間隔は、風の量とのつり合いで決まります。
熱が逃げる3つの経路
| 経路 | 中身 | 効かせ方 |
|---|---|---|
| 伝導 | 部品の熱が、金属の中を通ってフィンの先まで広がる | 熱をよく通す金属・厚いベース |
| 対流(いちばん大きい) | フィンにふれた空気が温まって流れ、熱を運ぶ | 表面積・風の通り道・ファン |
| 放射 | 表面から赤外線として熱が出る | 黒い表面(放射率を上げる) |
ファンのない自然空冷では、放射の割合が大きくなります。逆にファンで風を当てる強制空冷では、対流がほとんどを占めます。
自然空冷・強制空冷・水冷の違い

ヒートシンクの種類|形状と材質
形状(作り方)の種類
| 種類 | 特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 押出し型 | アルミをところてんのように押し出す。平行なフィン。安い | いちばん一般的。風の向きが決まっている所 |
| ピンフィン型 | 細い棒が並ぶ。どの向きの風にも効く | 風向きが決まらない所、LED照明など |
| かしめ・スカイブ型 | 薄いフィンを密に並べられる。高性能だが高い | ファン付きの高発熱品 |
| ヒートパイプ付き | 中の液体の蒸発と凝縮で、熱を離れたフィンへ運ぶ | CPUクーラー、熱源の近くに場所がないとき |
アルミと銅、どちらを選ぶ?
| 項目 | アルミ | 銅 |
|---|---|---|
| 熱の通しやすさ(熱伝導率) | 約200〜240 W/(m·K) | 約400 W/(m·K) |
| 重さ(密度) | 2.7 g/cm³(軽い) | 8.9 g/cm³(約3.3倍重い) |
| 値段・加工 | 安く、押出しで形を作りやすい | 高く、加工しにくい |
ふつうはアルミで十分です。銅は、熱源の真下で熱を素早く広げたいところ(CPUクーラーの受熱部やヒートパイプ)に使い、フィンはアルミにする組み合わせがよく見られます。
なぜ黒いのか|アルマイトと放射率
黒いヒートシンクの多くは、アルミの表面に酸化膜をつける「アルマイト処理」をして黒く染めたものです。光ったアルミの放射率は0.05前後ですが、黒アルマイトは0.8〜0.9程度まで上がり、赤外線で熱を出しやすくなります。効果が大きいのは自然空冷で、強制空冷では差が小さくなります。さびにくくなる利点もあります。

ヒートシンクの選び方|必要な熱抵抗を求める
ヒートシンクは「熱抵抗Rth(s-a)がいくつ以下なら足りるか」を計算し、それを満たす品をカタログから選びます。
Rth(s-a) ≦(Tj目標 − Ta)÷ P − Rth(j-c) − Rth(c-s)
Tj:チップの温度、Ta:周囲の温度、P:損失(発熱)、Rth(j-c):チップ→ケース、Rth(c-s):ケース→ヒートシンク(グリスやシート)、Rth(s-a):ヒートシンク→空気
例題:P=10W、Tjの目標125℃(上限150℃に余裕をもたせる)、Ta=50℃、Rth(j-c)=1.0℃/W、Rth(c-s)=0.5℃/W なら、(125−50)÷10−1.0−0.5=6.0℃/W以下のヒートシンクが必要です。
入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。
必要な熱抵抗が出たら、自然空冷で足りるか、ファンが要るかを決め、大きさや重さの制約の中でカタログから候補を選びます。最後は必ず実機で温度を測って確かめます。細かい手順は選定手順の記事で解説しています。
Rth(j-c)・Rth(c-s)・Rth(s-a)の違い

取り付けで性能が変わる|向き・すき間・グリス
同じヒートシンクでも、取り付け方しだいでカタログどおりの性能が出ません。
| ポイント | 理由 |
|---|---|
| 自然空冷はフィンを縦に | 温まった空気は上に昇る。フィンのすき間が縦だと、煙突のように空気が流れる |
| 強制空冷は風の向きにそろえる | フィンのすき間を風が通り抜けないと、表面積が生きない |
| まわりをふさがない | ほかの部品やケースの壁で空気の通り道が消えると、熱がこもる |
| すき間にグリスやシート | 金属どうしの間の小さなすき間は空気で、熱を通しにくい。TIMで埋める |
| 絶縁は絶縁シートで | 部品の裏面が電極のことがある。アルマイト膜に絶縁をたよらない |
TIMとは?グリスやシートを塗る理由

ヒートシンクでよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| ヒートシンクが熱を消してくれる | 熱を空気に渡すだけ。空気が動かなければ冷えない |
| フィンは多いほどよい | 詰めすぎると空気が通らない。風の量に合った間隔がある |
| 銅のほうが必ずよい | 重さと値段を考えると、ふつうはアルミで十分 |
| カタログの熱抵抗どおりに冷える | 条件つきの値。2〜3割の余裕を見て、実機で測る |
| グリスはたっぷり塗るほどよい | すき間を埋める薄い層でよい。厚いとかえって熱抵抗が増える |

よくある質問
- ヒートシンクは、熱を広い面から空気へ渡す橋渡し役
- フィンは表面積を増やす形。詰めすぎは逆効果
- ふつうはアルミ、熱源の近くに銅。黒アルマイトは自然空冷で効く
- 必要なRth(s-a)=(Tj目標−Ta)÷P−Rth(j-c)−Rth(c-s)
- 向き・すき間・グリスで性能が変わる。最後は実機で測る

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ヒートシンクの役割がわかったら、必要な熱抵抗からカタログの品を選ぶ手順に進みましょう。
テーマ別に、もっと深く学ぶ
気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。