理論科目の解説

三電圧計法・三電流計法とは?公式の導出と接続方法|電力計なしで電力を測る

三電圧計法・三電流計法とは何か。公式の導出と接続方法

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

😣 こんな悩みはありませんか?
  • 三電圧計法・三電流計法って何?電力計があるのになぜ必要なの?
  • 公式は覚えたけど「なぜこの式になるのか」がわからない
  • 三電圧計法と三電流計法の違い(直列?並列?)が混乱する
✅ この記事でわかること
  • 電力計なしで電力を測れる「裏ワザ」の仕組み
  • 三電圧計法・三電流計法の回路図と公式を完全図解
  • 余弦定理を使った公式の導出(なぜこの式になるか)
  • 2つの方法の違い・使い分け・電験三種での出題ポイント

「電力を測りたいのに、電力計がない…!」

そんな状況、現実にあるの?と思いますよね。でも実は、高周波回路や精密測定の現場では、電力計が使えないケースがあるんです。

そこで登場するのが「三電圧計法」と「三電流計法」。名前の通り、電圧計3つ、もしくは電流計3つだけで交流電力を測定できる方法です。

この記事では、初心者の方でも「なるほど!」と理解できるように、回路図・ベクトル図・公式の導出まで、ステップバイステップで丁寧に解説していきます。

📘 前提知識
この記事を読む前に、以下の知識があるとスムーズです。
【完全図解】力率(cosθ)とは? →
【電験三種】交流電力の計算|有効電力P・無効電力Q・皮相電力S →

📊 電気計測マスターへの道|全7記事を学習順に攻略

電験三種の理論科目で毎年1〜3問(5〜15点)が出題される「電気計測」。範囲は広く見えますが、パターンが限られた「得点源」です。下記の順番で読み進めれば、迷わずにマスターできます。

1
📋 指示電気計器7種類の動作原理
可動コイル形・可動鉄片形・電流力計形など7種類の特徴を一覧表で完全整理。暗記だけで5点取れる最重要テーマ。
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2
⚙️ 計器の三要素|駆動・制御・制動
すべての計器に共通する3つの仕組みを「車の運転」に例えて解説。STEP1の知識が体系化されます。
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3
🔧 倍率器と分流器|測定範囲を広げる「魔法の抵抗」
電圧計の倍率器(直列)と電流計の分流器(並列)の計算方法を完全図解。オームの法則がそのまま使えます。
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4
⚡ 二電力計法|三相電力を「レジの仕組み」で完全理解
三相電力を2台の電力計で測れる理由をブロンデルの定理から解説。W₁・W₂の公式と計算例まで。
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5
⚡ 三電圧計法・三電流計法|電力計なしで電力を測る「裏ワザ」
電力計を使わずに単相電力を求める2つの手法を、余弦定理から導出して図解で解説。
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6
📊 計器の指示値が違う理由|実効値・平均値・波高値の関係
同じ波形なのに計器によって指示値が変わる謎を解明。波形率・波高率・整流形計器の誤差まで完全図解。
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7
💻 ディジタル計器とA/D変換|量子化・標本化を完全図解
アナログ信号をデジタルに変換する3ステップ(標本化→量子化→符号化)を初心者向けに解説。
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8
📺 オシロスコープ|波形の読み方とリサジュー図形【最終】
div・周期・周波数・実効値の求め方からリサジュー図形の周波数比・位相差まで、計算例付きで完全攻略。
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💡 学習のコツ
時間がない人は STEP1(指示計器)→ STEP3(倍率器・分流器)→ STEP8(オシロスコープ) の3つだけでも、出題の約7割をカバーできます。全テーマ攻略の目安は約12〜17時間です。
結論|まず30秒でわかる答え

三電圧計法と三電流計法は、電力計を使わずに交流の電力を測る方法です。既知の抵抗Rを負荷に直列(三電圧計法)または並列(三電流計法)につなぎ、3つの電圧または電流を測ります。3つの値の関係は余弦定理で表せるので、電力はP=(V1²−V2²−V3²)/(2R)、またはP=R(I1²−I2²−I3²)/2で求められ、力率も同時にわかります。

そもそもなぜ「電力計なし」で電力が測れるのか?

💡 交流電力の「厄介なポイント」をおさらい

直流回路なら、電力は「P = V × I」で一発です。電圧計と電流計の2つがあればOK。

ところが、交流回路では「力率 cosθ」という厄介者が登場します。

📐 交流電力の公式
P = V × I × cosθ
θ = 電圧と電流の位相差(力率角)

つまり、電圧Vと電流Iだけでは電力がわからないんです。位相差θ(力率cosθ)も知る必要があります。

電力計は内部でVとIとcosθをまとめて計算してくれる便利な計器ですが、もし電力計がなかったら?

🔑 解決のカギは「余弦定理」

ここでポイントになるのが、中学・高校で習った「余弦定理」です。

📐 余弦定理
c² = a² + b² − 2ab cosθ
三角形の3辺の長さがわかれば、角度θが求まる!

三角形の3辺の長ささえ測れれば、角度θを逆算できる。この性質を利用します。

交流回路では、電圧や電流はベクトル(大きさと向きを持つ矢印)で表されます。このベクトルが作る「三角形」の3辺を、3つの電圧計(または電流計)で測れば、力率cosθが計算できるというわけです。

💡 ひとことでまとめると
「3辺を測れば角度がわかる」→「力率がわかる」→「電力が計算できる」
これが三電圧計法・三電流計法の原理です!
直流と交流の電力の違いの図。直流はP=V×Iで電圧計と電流計で簡単に測れるが、交流はP=V×I×cosθで角度θがわからない
交流の電力はcosθが分からないと求められない
おすすめの本

「三電圧計法・三電流計法」を試験の得点につなげるなら、前後の単元とあわせて教科書で押さえておくと安心です。TAC出版『みんなが欲しかった!』シリーズの、電験三種「理論」の教科書と問題集が1冊になった本です。

三電圧計法とは?|既知抵抗Rを「直列」に接続する

🔌 回路の接続方法

三電圧計法の回路は、以下のように構成します。

🔋
交流電源
→
📏
既知抵抗 R
(直列に接続)
→
⚡
負荷 Z
(電力を測りたい対象)

この回路に3つの電圧計を接続して、以下の3つの電圧を測ります。

電圧計 測定する場所 意味
V₁ R + 負荷の全体 電源電圧(全体電圧)
V₂ 負荷の両端 負荷にかかる電圧
V₃ 抵抗Rの両端 V₃ = R × I(電流がわかる!)
💡 ポイント
V₃ = RI なので、電流 I = V₃/R と計算できます。既知抵抗Rは「電圧計で電流を間接的に測る」ための橋渡し役です。

📐 三電圧計法の公式

📐 三電圧計法の電力公式

P =
V₁² − V₂² − V₃²
2R

V₁:全体電圧、V₂:負荷電圧、V₃:抵抗Rの電圧、R:既知抵抗値

3つの電圧と1つの抵抗値だけで、負荷の消費電力が求まります。電力計も電流計も不要です!

⚠️ 覚え方のコツ
分子は「全体² − 部品①² − 部品②²」の形。全体のV₁²から、負荷V₂²と抵抗V₃²を引くイメージです。三電圧計法は抵抗Rが直列なので、分母に2Rが来ます。
余弦定理の図。c²=a²+b²−2abcosθで、3辺の長さがわかれば角度θがわかり、電圧V1・V2・V3の三角形に置き換えられる
余弦定理:3辺がわかれば角度θがわかる

なぜこの公式になるのか?|余弦定理で導出する

📊 電圧のベクトル図を描いてみよう

三電圧計法の公式が「なぜこうなるのか」を理解するために、電圧のベクトル図を描いてみましょう。

直列回路なので、回路に流れる電流 I は共通です。この電流Iを基準にしてベクトル図を描くと、次のような「電圧の三角形」ができます。

🔺 電圧ベクトルが作る三角形
・V₃(抵抗Rの電圧):電流Iと同じ向き(抵抗は位相差ゼロ)
・V₂(負荷の電圧):電流Iからθだけ進む(力率角θ)
・V₁(全体電圧):V₃ + V₂ のベクトル和

この3つのベクトルが作る三角形に余弦定理を適用します。

✏️ 導出の手順(4ステップ)

STEP 1

電圧の三角形に余弦定理を適用
V₂とV₃のなす角は(π − θ)です。余弦定理より:
V₁² = V₂² + V₃² − 2V₂V₃ cos(π − θ)

STEP 2

cos(π − θ) = −cosθ を使って整理
V₁² = V₂² + V₃² + 2V₂V₃ cosθ
→ 2V₂V₃ cosθ = V₁² − V₂² − V₃²

STEP 3

V₃ = RI を代入
2V₂ × RI × cosθ = V₁² − V₂² − V₃²
→ 2R × (V₂ I cosθ) = V₁² − V₂² − V₃²

STEP 4

P = V₂ I cosθ なので代入
2R × P = V₁² − V₂² − V₃²
→ P = (V₁² − V₂² − V₃²) / 2R ✅

💡 なぜ導出できたのか?
ポイントは「V₃ = RI」という関係式。これのおかげで、V₂ I cosθ(= 電力P)がきれいに取り出せるんです。既知抵抗Rが「電圧」と「電流」の橋渡しをしてくれたわけですね。

三電圧計法の接続図。既知抵抗Rと負荷Zを直列にしてAC電源につなぎ、全体の電圧V1、負荷の電圧V2、抵抗の電圧V3を測ると、P=(V1²−V2²−V3²)/2R
三電圧計法:P=(V1²−V2²−V3²)/2R
おすすめの本

電気回路の基本があいまいなときは、入門書で土台を固めておくと理解が進みます。電気回路の基本を、つまずいている人向けにやさしく解説した入門書です(オーム社)。

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三電流計法とは?|既知抵抗Rを「並列」に接続する

🔌 回路の接続方法

三電流計法は、三電圧計法の「双子の兄弟」のような存在です。考え方は同じですが、既知抵抗Rの接続が「並列」に変わります。

📐

三電圧計法

  • 既知抵抗Rは直列
  • 電圧計3つで測定
  • 分母に 2R
📏

三電流計法

  • 既知抵抗Rは並列
  • 電流計3つで測定
  • 分子に R

今度は3つの電流計で以下の電流を測ります。

電流計 測定する場所 意味
I₁ 回路全体の電流 I₂ + I₃ のベクトル和
I₂ 抵抗Rに流れる電流 I₂ = V/R(電圧がわかる!)
I₃ 負荷に流れる電流 負荷の電流

📐 三電流計法の公式

📐 三電流計法の電力公式

P =
R(I₁² − I₂² − I₃²)
2

I₁:全体電流、I₂:抵抗Rの電流、I₃:負荷電流、R:既知抵抗値
💡 導出のロジックは三電圧計法と同じ!
並列回路なので電圧Vは共通。電流のベクトル三角形に余弦定理を適用し、V = RI₂ を使って整理すると、この公式が導けます。

三電圧計法と形が「双子」であることに注目してください。分子と分母でRの位置が入れ替わっているだけです!
三電流計法の接続図。既知抵抗Rと負荷Zを並列にしてAC電源につなぎ、全体の電流I1、抵抗の電流I2、負荷の電流I3を測ると、P=R(I1²−I2²−I3²)/2
三電流計法:P=R(I1²−I2²−I3²)/2

2つの方法を一覧で比較!|試験で混乱しないために

📋 三電圧計法 vs 三電流計法 完全比較表

比較項目 三電圧計法 三電流計法
使う計器 電圧計 × 3 電流計 × 3
既知抵抗Rの接続 直列 並列
公式 P = (V₁²−V₂²−V₃²) / 2R P = R(I₁²−I₂²−I₃²) / 2
Rの位置 分母(割る) 分子(掛ける)
ベクトル三角形 電圧の三角形 電流の三角形
原理 どちらも余弦定理で力率cosθを求めて電力を計算する
欠点 既知抵抗Rで電力損が発生する
主な用途 小電力の測定、高周波電力の測定
💡 試験で迷わないための覚え方
① 電圧計 → 直列、電流計 → 並列(計器と逆の接続と覚える)
② Rの位置:直列なら「Rで割る(分母)」、並列なら「Rを掛ける(分子)」
③ 分子の形は両方とも「全体² − 部品①² − 部品②²」で同じ
⚠️ 力率も求められる!
三電圧計法なら cosθ = (V₁² − V₂² − V₃²) / 2V₂V₃ で力率を算出できます。
三電流計法なら cosθ = (I₁² − I₂² − I₃²) / 2I₂I₃ です。
電力だけでなく力率の計算も問われることがあるので要チェックです。
三電圧計法と三電流計法の比較図。三電圧計法は既知の抵抗Rを負荷に直列にし、cosθ=(V1²−V2²−V3²)/(2V2V3)、P=(V1²−V2²−V3²)/(2R)。三電流計法はRを並列にし、cosθ=(I1²−I2²−I3²)/(2I2I3)、P=R(I1²−I2²−I3²)/2。どちらも余弦定理で求める
三電圧計法は直列、三電流計法は並列

電験三種での出題ポイント|ここを押さえれば得点できる

🎯 よく出る問題パターン3つ

パターン 1

V₁, V₂, V₃, R の数値が与えられて「電力Pを求めよ」
→ 公式 P = (V₁² − V₂² − V₃²) / 2R に代入するだけ。最も基本的な問題です。

パターン 2

「力率cosθを求めよ」
→ cosθ = (V₁² − V₂² − V₃²) / 2V₂V₃ に代入。三電流計法でも同じ形で出題されます。

パターン 3

「回路図を見て接続方法を選べ」
→ 三電圧計法=直列+電圧計、三電流計法=並列+電流計。回路図の識別問題です。

✏️ 計算例で確認しよう

【例題】三電圧計法

既知抵抗 R = 10Ω を負荷に直列接続し、3つの電圧計で以下の値を得た。

V₁ = 130V、V₂ = 100V、V₃ = 50V

負荷の消費電力Pを求めよ。

解答

P = (V₁² − V₂² − V₃²) / 2R

P = (130² − 100² − 50²) / (2 × 10)

P = (16900 − 10000 − 2500) / 20

P = 4400 / 20

P = 220 W

💡 検算してみよう
電流 I = V₃/R = 50/10 = 5A
力率 cosθ = P / (V₂ × I) = 220 / (100 × 5) = 0.44
ちゃんと力率も計算できますね!
三電圧計法の計算例の図。V1=130V、V2=100V、V3=50V、R=10Ωで、P=(130²−100²−50²)/(2×10)=4400/20=220W。検算は電流I=50/10=5A、力率cosθ=220/(100×5)=0.44
三電圧計法の計算例:P=220W、力率0.44
この記事の理解を深める本と道具
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電験三種の試験でどう問われるかは、過去問で確かめるのがいちばんの近道です。電験三種の過去10年分の試験問題をまとめた過去問題集です(2026年度版)。

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まとめ|三電圧計法・三電流計法のポイント整理

📝 この記事のポイント

✅ 三電圧計法・三電流計法は、電力計なしで交流電力を測る方法
✅ 原理は余弦定理。3辺を測って角度(力率)を逆算する
✅ 三電圧計法:Rを直列接続 → P = (V₁²−V₂²−V₃²) / 2R
✅ 三電流計法:Rを並列接続 → P = R(I₁²−I₂²−I₃²) / 2
✅ 力率cosθも同時に求められる
✅ 欠点は既知抵抗Rで電力損が発生すること

公式の丸暗記だけでなく、「なぜ余弦定理を使うのか」「なぜ既知抵抗Rが必要なのか」という理由を理解しておくと、試験で応用問題が出ても対応できます。

電気計測の分野は覚えることが多いですが、一つひとつの計測法が「何を測りたくて」「どんな工夫をしているか」を理解していけば、必ず得点源になります。一緒に頑張りましょう!

テーマ別に、もっと深く学ぶ

気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。

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メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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