理論科目の解説

ビオ・サバールの法則とは?円形コイルの中心の磁界H=I/2rを図解|計算ツール付き

ビオ・サバールの法則を表すアイキャッチ。電流が流れる円形の導線と、中心にできる磁界

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

ビオ・サバールの法則(ビオサバールの法則)は、電流の小さな一部分が作る磁界 ΔH=IΔl sinθ/(4πr²) の式です。足し合わせると円形コイルの中心は H=I/(2r)、半円なら I/(4r) になり、導き方は円形コイルの節、答えは計算ツールで確かめられます。

結論|まず30秒でわかる答え

ビオ・サバールの法則は、電流の小さな一部分がつくる磁界を求める法則です。長さΔlの電流Iが、距離r・角度θの点につくる磁界は ΔH=IΔl sinθ/(4πr²) です。これを足し合わせると、半径rの円形コイルの中心の磁界は H=I/(2r)(N巻なら NI/(2r))、半円なら I/(4r) になります。

ビオ・サバールの法則を表すアイキャッチ。電流が流れる円形の導線と、中心にできる磁界

ビオ・サバールの法則とは?

電流が流れると、そのまわりに磁界ができます。まっすぐな電線やソレノイドのように形がそろっていれば、アンペールの周回積分の法則で一気に求められます。でも、円形や半円のような形では使いにくい。そこで、電流を小さな一部分に分けて、1つずつの磁界を足し合わせるのがビオ・サバールの法則です。

公式
ΔH = IΔl sinθ / (4πr²) [A/m]
記号意味
I電流[A]
Δl電流の小さな一部分の長さ[m]
rその部分から、磁界を求める点までの距離[m]
θ電流の向きと、その部分から点へ向かう向きのなす角

磁界は距離の2乗に反比例し、電流の向きと直角の方向(θ=90°)でいちばん強くなります。磁界の向きは、右ねじの法則で決まります。

アンペールの周回積分の法則|ソレノイドの磁界計算を完全マスター
あわせて読みたい
アンペールの周回積分の法則|ソレノイドの磁界計算を完全マスター

アンペールの周回積分の法則

ビオ・サバールの法則の図。電流Iの小さな部分Δlが、距離r・角度θの点Pにつくる磁界はΔH=IΔl sinθ/(4πr²)

円形コイルの中心の磁界 H=I/(2r)

半径 r の円形の電線の中心では、電線のどの部分も中心から距離 r で、電流の向きと中心へ向かう向きは直角(sin90°=1)です。だから全部の部分の磁界が同じ向きに足し合わさります。

STEP 1

1つの部分の磁界:ΔH = IΔl / (4πr²)

STEP 2

全周の長さ 2πr ぶん足す:H = I × 2πr / (4πr²)

STEP 3

約分して H = I / (2r)

STEP 4

N巻のコイルなら H = NI / (2r)

円弧(半円・1/4円)の中心の磁界

中心角 φ[rad]の円弧なら、長さは rφ なので H = Iφ/(4πr)。半円(φ=π)なら全周の半分で I/(4r)、1/4円なら I/(8r) です。まっすぐな部分(中心を通る直線上にある部分)は sinθ=0 なので、中心の磁界には効きません。

例:I=2A、r=0.1m

STEP 1

円形の中心:H = 2 ÷ (2×0.1) = 10 A/m

STEP 2

半円の中心:H = 2 ÷ (4×0.1) = 5 A/m

STEP 3

真空中の磁束密度:B = μ₀H = 4π×10⁻⁷ × 10 ≒ 1.26×10⁻⁵ T

磁界Hと磁束密度Bの違い|B=μHと透磁率、磁束Φ・磁力線の関係を例題で図解|計算ツール付き
あわせて読みたい
磁界Hと磁束密度Bの違い|B=μHと透磁率、磁束Φ・磁力線の関係を例題で図解|計算ツール付き

磁界Hと磁束密度Bの違い

円形と半円の中心の磁界の図。円形コイルの中心の磁界はH=I/(2r)、半円の中心はH=I/(4r)

中心軸上の磁界と、直線電流の磁界とのちがい

円形コイルの中心軸上(中心から距離 x)

公式
H = Ia² / {2(a² + x²)3/2}

a はコイルの半径です。x=0(中心)で H=I/(2a) と一致し、中心から離れるほど小さくなります。中心軸からずれた向きの成分は、反対側の部分と打ち消し合うので、軸の向きの成分だけが残ります。

形ごとの磁界の式

形磁界の強さ H使う法則
無限に長い直線から距離 rI/(2πr)アンペール(ビオ・サバールでも同じ)
円形コイルの中心(N巻)NI/(2r)ビオ・サバール
半円の中心I/(4r)ビオ・サバール
円形コイルの中心軸上Ia²/{2(a²+x²)3/2}ビオ・サバール
無限長ソレノイドの内部nI(nは1mあたりの巻数)アンペール
環状ソレノイドの内部NI/(2πr)アンペール

直線は「2π」がつき、円形の中心は「2」だけ、と覚えると取りちがえません。

フレミングの左手の法則とは?指の覚え方と力の向きの求め方を例題で図解|向きの判定ツール付き
あわせて読みたい
フレミングの左手の法則とは?指の覚え方と力の向きの求め方を例題で図解|向きの判定ツール付き

フレミングの左手の法則

円形コイルの中心軸上の磁界と直線電流の磁界の図。中心軸上はH=Ia²/{2(a²+x²)^(3/2)}、無限に長い直線から距離rの点はH=I/(2πr)

電験三種の過去問で確かめる

平成28年度 問3:半円の中心の磁界

長い線状導体の一部が、点Pを中心とする半径 r の半円になっている。電流 I を流したとき、点Pの磁界の大きさは?

STEP 1

まっすぐな部分は点Pを通る直線上にあるので、点Pの磁界に効かない(sinθ=0)

STEP 2

半円は円形コイルの半分(N=1/2巻)と考える

STEP 3

H = NI/(2r) = (1/2)I/(2r) = I/(4r)

平成30年度 問4:中心軸上の磁界のグラフ

半径 a の円形ループの中心軸(x軸)上の磁界 H(x) のグラフを選ぶ問題です。

STEP 1

ビオ・サバールの法則で、1つの部分の磁界のx方向成分を出す

STEP 2

全周で足して H(x) = Ia²/{2(a²+x²)3/2}

STEP 3

x=0で最大の I/(2a)、|x| が大きくなるほど小さくなる、左右対称の山形のグラフが答え

ビオ・サバールの法則の計算ツール

形を選んで、電流と大きさを入れてください。磁界の強さHと、真空中の磁束密度Bを出します。

入れた数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。μ₀=4π×10⁻⁷ H/m として計算しています。

ビオ・サバールの法則のよくある間違い

よくある間違い正しい考え方
円形コイルの中心も I/(2πr)円形の中心は I/(2r)。2πがつくのは直線
距離に反比例する小さな部分の磁界は距離の2乗に反比例
半円の中心は I/(2r)半周なので I/(4r)
まっすぐな部分も中心の磁界に足す中心を通る直線上の部分は sinθ=0 で効かない
中心軸上でも中心と同じ大きさ中心から離れるほど小さくなる
ビオ・サバールの法則のよくある間違いの図。円形の中心はI/(2r)、小さな部分の磁界は距離の2乗に反比例、半円の中心はI/(4r)、中心を通る直線部分の磁界は0

よくある質問

Q. ビオ・サバールの法則の式は?

A. ΔH=IΔl sinθ/(4πr²)です。電流の小さな一部分が、距離rの点につくる磁界の大きさを表します。

Q. 円形コイルの中心の磁界は?

A. 半径r、N巻のコイルに電流Iを流すと、中心の磁界はH=NI/(2r)です。1巻ならI/(2r)です。

Q. 半円の中心の磁界は?

A. 円形の半分なのでH=I/(4r)です。中心を通る直線の部分は、中心の磁界に効きません。

Q. アンペールの法則との使い分けは?

A. 直線やソレノイドのように対称な形はアンペール、円形や円弧のような形はビオ・サバールが向いています。

Q. 直線電流の磁界は?

A. 無限に長い直線から距離rの点ではH=I/(2πr)です。円形の中心のI/(2r)と取りちがえないようにします。

まとめ
  • ΔH=IΔl sinθ/(4πr²):小さな部分の磁界を足す
  • 円形コイルの中心はH=NI/(2r)
  • 半円の中心はI/(4r)、円弧はIφ/(4πr)
  • 中心軸上はIa²/{2(a²+x²)^(3/2)}
  • 直線はI/(2πr)(2πがつく)
ビオ・サバールの法則のまとめの図。ΔH=IΔl sinθ/(4πr²)、円形の中心はNI/(2r)、半円の中心はI/(4r)、直線はI/(2πr)
この記事の理解を深める本と道具
おすすめの本

「ビオ・サバールの法則」を試験の得点につなげるなら、前後の単元とあわせて教科書で押さえておくと安心です。TAC出版『みんなが欲しかった!』シリーズの、電験三種「理論」の教科書と問題集が1冊になった本です。

おすすめの本

電験三種の試験でどう問われるかは、過去問で確かめるのがいちばんの近道です。電験三種の過去10年分の試験問題をまとめた過去問題集です(2026年度版)。

S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

テーマ別に、もっと深く学ぶ

気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。

つまずきやすい「違い」を一気に解決
あわせて読む

-理論科目の解説
-