理論科目の解説

磁界Hと磁束密度Bの違い|B=μHと透磁率、磁束Φ・磁力線の関係を例題で図解|計算ツール付き

磁界Hと磁束密度Bのちがいを表すアイキャッチ。赤いN極から出て青いS極に入る磁力線

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お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • 磁界Hと磁束密度B、何がちがうのかあいまい
  • B=μHの透磁率μの意味がわからない
  • 空気と鉄心で計算が変わる理由を知りたい
この記事でわかること
  • 磁石・磁力線・磁束の基本
  • HとBのちがい(原因と結果)とB=μH
  • 空気と鉄心のちがい、磁気飽和
  • 巻数と電流を入れるだけの計算ツール
結論|まず30秒でわかる答え

磁界の強さH[A/m]は、電流が磁気をつくろうとする強さ(原因)で、コイルの中では H=NI÷l です。磁束密度B[T]は、実際に1m²あたりを通る磁束(結果)で、B=Φ÷S です。2つは B=μH(μ=μ₀μr、μ₀=4π×10⁻⁷ H/m)でつながり、鉄心のように比透磁率μrが大きい材料では、同じHでもBがずっと大きくなります。

磁界Hと磁束密度Bのちがいを表すアイキャッチ。赤いN極から出て青いS極に入る磁力線

磁気の基本|磁力線と磁束

磁石にはN極とS極があり、同じ極どうしは反発し、ちがう極どうしは引き合います。N極とS極は必ずペアで、磁石を半分に切っても、それぞれにN極とS極ができます。

用語意味単位
磁界磁気の力がはたらく空間―
磁力線磁界のようすを線で描いたもの。N極から出てS極に入る―
磁束 Φある面をつらぬく磁気の量(磁力線の束)Wb(ウェーバ)
磁束密度 B1m²あたりの磁束。B=Φ÷ST(テスラ)=Wb/m²
磁界の強さ H電流などが磁気をつくろうとする強さA/m

磁力線は、①N極から出てS極に入る、②途中で交わったり枝分かれしたりしない、③密なところほど磁気が強い、という性質があります。電流が流れる電線のまわりにも、電線をぐるりと囲む磁界ができます(右ねじの法則)。

磁気の基本の図。磁力線はN極から出てS極に入る。面をつらぬく磁気の量が磁束Φ[Wb]、1m²あたりの磁束が磁束密度B[T]=Φ÷S

磁界Hと磁束密度Bのちがい|原因と結果

磁界の強さ H磁束密度 B
役わり原因(磁気をつくろうとする強さ)結果(実際に通った磁気の量)
コイルでの式H=NI÷lB=Φ÷S
単位A/mT(Wb/m²)
材料の影響受けない(電流と形で決まる)受ける(透磁率μしだい)
水のたとえポンプの押す力実際に流れた水の量

Nはコイルの巻数、Iは電流、lは磁束の通り道(磁路)の長さです。Hは電流とコイルの形だけで決まり、Bは中に何があるか(空気か鉄心か)で変わる、と覚えると混乱しません。

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磁界Hと磁束密度Bのちがいの図。Hはポンプの押す力にあたる原因、μはパイプの太さにあたる通しやすさ、Bは流れた水の量にあたる結果で、B=μH

B=μHと透磁率|空気と鉄心のちがい

磁束密度と磁界の関係

B=μH  μ=μ₀ × μr
μ₀(真空の透磁率)=4π×10⁻⁷ H/m、μr(比透磁率。μsとも書く)

透磁率μは、磁気の通しやすさです。水のたとえでは、パイプの太さにあたります。太いパイプなら、同じ押す力でもたくさん流れます。

材料比透磁率 μr同じHでのB
空気・真空約1とても小さい
鉄・けい素鋼数百〜数千空気の数百〜数千倍
フェライトなど数百〜数千空気の数百〜数千倍

鉄心は飽和する

鉄心のBは、Hを大きくしていくと、ある値(けい素鋼板でおよそ1.5〜2T)から先はほとんど増えなくなります。これを磁気飽和といいます。飽和すると、B=μHのμが小さくなったのと同じで、変圧器やモーターは性能が落ちたり大きな電流が流れたりします。計算でBが2Tをこえたら、飽和していないか疑いましょう。

空気と鉄心のちがいの図。同じコイルでも、比透磁率の大きい鉄心では磁束が空気の数百〜数千倍になる。鉄心のBはHを大きくしても1.5〜2T程度で増えなくなる(磁気飽和)

例題:環状コイルのH・B・Φ

巻数500回、電流2A、磁路の長さ0.5m、比透磁率500、断面積4cm²の環状鉄心コイル。H・B・Φを求めよ。

ステップ計算答え
① H500×2÷0.52,000 A/m
② B500×4π×10⁻⁷×2,000約1.26 T
③ Φ1.26×4×10⁻⁴約5.0×10⁻⁴ Wb

同じコイルで中が空気なら、Bは500分の1の約2.5mTしかありません。鉄心を入れると、少ない電流で大きな磁束をつくれることがわかります。断面積の「cm²→m²」(4cm²=4×10⁻⁴m²)の換算を忘れやすいので注意しましょう。

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磁界と磁束密度の計算ツール

コイルの巻数・電流・磁路の長さ・比透磁率・断面積を入れてください。最初は例題の数字が入っています。

入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。比透磁率は一定(飽和していない)とみなしています。

磁界と磁束密度のよくある間違い

よくある間違い正しい考え方
HとBは同じものHは原因(電流と形で決まる)、Bは結果(材料で変わる)
鉄心ではμrの大きさだけBが増え続ける1.5〜2T程度で飽和する
Bの単位はWbBはT(=Wb/m²)。WbはΦの単位
断面積をcm²のまま計算するm²に直す(1cm²=10⁻⁴m²)
磁力線は交わることがある磁力線は交わらず、N極から出てS極に入る
磁界と磁束密度のよくある間違いの図。Hは原因でBは結果、鉄心は1.5〜2Tで飽和、Bの単位はTで磁束ΦがWb、断面積はm²に直す
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よくある質問

Q. 磁界の強さHと磁束密度Bの違いは?

A. Hは電流が磁気をつくろうとする強さで材料によらず、Bは実際に通る磁気の量で材料の透磁率によって変わります。

Q. B=μHのμとは?

A. 透磁率で、磁気の通しやすさです。真空の透磁率μ₀=4π×10⁻⁷ H/mに、材料の比透磁率μrをかけて求めます。

Q. 磁束と磁束密度の違いは?

A. 磁束Φは面をつらぬく磁気の総量[Wb]、磁束密度Bは1m²あたりの磁束[T]です。Φ=B×Sの関係です。

Q. 鉄心を入れるとなぜ磁束が増える?

A. 鉄の比透磁率が数百〜数千と大きいので、同じHでもBが空気の数百〜数千倍になるからです。

Q. 磁気飽和とは?

A. 鉄心のBが、Hを大きくしてもある値から増えなくなることです。けい素鋼板ではおよそ1.5〜2Tです。

まとめ
  • H=NI÷l[A/m]は原因、B=Φ÷S[T]は結果
  • B=μH、μ=μ₀μr、μ₀=4π×10⁻⁷ H/m
  • 鉄心ではBが空気の数百〜数千倍
  • 鉄心は1.5〜2T程度で磁気飽和する
  • 磁力線はN極から出てS極に入り、交わらない
磁界と磁束密度のまとめの図。H=NI÷lは原因、B=Φ÷Sは結果、B=μHでμ=μ₀μr、鉄心は飽和する
この記事の理解を深める本と道具
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S
シラス
電験三種 / QC検定1級 / パワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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