理論科目の解説

発振回路とは?発振の条件Aβ≧1とLC発振・水晶発振のしくみを過去問で図解

発振回路のアイキャッチ。増幅回路の出力を入力に戻し、正弦波が出続ける

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発振回路は、増幅した出力の一部を入力に戻し、入力がなくても決まった周波数の交流を作り続ける回路で、条件は同相(正帰還)と Aβ≧1 の2つです。条件の意味は2つの条件の節、LC 発振の周波数 f=1÷(2π√(LC)) はLC発振回路の節へ。

結論|まず30秒でわかる答え

発振回路とは、増幅回路の出力の一部を帰還回路で入力に戻し、入力がなくても決まった周波数の交流をつくり続ける回路です。発振する条件は、戻ってきた電圧が入力と同相(正帰還)であることと、増幅度Aと帰還率βの積が Aβ≧1 であることの2つです。LC発振回路の周波数は f=1÷(2π√(LC)) で決まります。

発振回路のアイキャッチ。増幅回路の出力を入力に戻し、正弦波が出続ける

発振回路とは?増幅した信号を入力に戻し続ける回路

発振回路(はっしんかいろ)は、時計・マイコン・無線機などで「決まった周波数の信号」をつくる回路です。中身は、信号を大きくする増幅回路と、出力の一部を入力に戻す帰還回路(きかんかいろ)の2つでできています。

たとえると

マイクをスピーカーに近づけると「キーン」と鳴るハウリングと同じです。スピーカーの音がマイクに戻り、アンプで大きくなって、またスピーカーから出る。これを繰り返すうちに、特定の高さの音だけが鳴り続けます。

電源を入れた瞬間の小さな雑音の中から、帰還回路が通しやすい周波数の成分だけが、ぐるぐる回るたびに大きくなり、やがて一定の大きさの交流になります。

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発振回路のしくみの図。増幅回路Aの出力を帰還回路βで入力に戻し、同相(正帰還)でAβ≧1のとき発振が続く

発振の2つの条件(同相・Aβ≧1)

増幅回路の増幅度を A、帰還回路の帰還率(出力のうち入力に戻す割合)を β とします。入力Viは、増幅されて AVi になり、帰還回路を通って Vf=AβVi が入力に戻ります。

条件中身意味
周波数条件(位相の条件)ViとVfが同相戻った信号が入力を強め合う(正帰還)
振幅条件(大きさの条件)Aβ≧1戻った信号Vf=AβViが、もとのVi以上になる
STEP 1

戻ってくる電圧:Vf=A×β×Vi

STEP 2

発振が続くには、Vf≧Vi が必要

STEP 3

両辺をViで割る:Aβ≧1

注意|ここで間違えやすい

逆相で戻すのは「負帰還」で、増幅を安定させる使い方です(オペアンプの増幅回路など)。発振回路は、同相で戻す「正帰還」です。逆相・負帰還と取りちがえる選択肢がよく出ます。

POINT

発振を始めるときは Aβ が1より少し大きく、信号が大きくなると増幅回路の飽和などで実際の Aβ が1に落ち着き、一定の大きさで続きます。

LC発振回路の発振周波数 f=1÷(2π√(LC))

LC発振回路は、コイル(L)とコンデンサ(C)の共振を使って周波数を決めます。コンデンサ2個とコイル1個を組み合わせる形(コルピッツ形)では、2個のコンデンサを直列にした合成容量を C として計算します。

公式
発振周波数 f = 1 ÷(2π√(L×C))

例題:コイル10μH、コンデンサ0.02μFが2個のとき

STEP 1

コンデンサ2個の直列:C=0.02×0.02÷(0.02+0.02)=0.01μF=0.01×10⁻⁶F

STEP 2

L×C=(10×10⁻⁶)×(0.01×10⁻⁶)=1×10⁻¹³

STEP 3

√(L×C)=√(10⁻¹³)≒3.162×10⁻⁷

STEP 4

2π×3.162×10⁻⁷≒1.987×10⁻⁶

STEP 5

f=1÷(1.987×10⁻⁶)≒503,000Hz≒503kHz

注意|ここで間違えやすい

μ(マイクロ)は10⁻⁶です。μHとμFを10⁻⁶に直してから掛け算すると、桁を間違えにくくなります。

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水晶発振回路は周波数が安定する

水晶発振回路は、LC発振回路のコイル(リアクトル)を水晶振動子に置きかえた回路です。水晶振動子は、水晶の薄い板を2つの電極ではさんだ部品で、決まった周波数で機械的に振動します。

比べる点LC発振回路水晶発振回路
周波数を決めるものコイルLとコンデンサC水晶振動子
周波数の安定性温度などで変わりやすい変動が非常に小さい
使われる場所の例周波数を変えたい回路時計・マイコンのクロック、無線送信機の周波数源
POINT

水晶振動子は、直列共振周波数と並列共振周波数の差がとても小さいので、発振する周波数がほとんど動きません。

電験三種の過去問で確かめる

年度・問題問われたこと答えのポイント
平成18年度 問13・令和4年度下期 問13発振の条件の空欄同相・Aβ≧1・正帰還
令和3年度 問18(a)発振回路の直流分のコレクタ電圧 (b)発振周波数(a)約6V (b)約100kHz
令和7年度下期 問13水晶発振回路の誤った記述置きかえるのはコンデンサではなくコイル

令和3年度 問18(b)の解き方

STEP 1

コンデンサ1μFが2個の直列:C=1×1÷(1+1)=0.5μF

STEP 2

L=5μH なので、L×C=5×10⁻⁶×0.5×10⁻⁶=2.5×10⁻¹²

STEP 3

√(2.5×10⁻¹²)≒1.581×10⁻⁶

STEP 4

f=1÷(2π×1.581×10⁻⁶)≒100,700Hz → 約100kHz

発振回路でよくある間違い

よくある間違い正しい考え方
発振回路は負帰還同相で戻す正帰還
発振の条件は Aβ≦1戻る信号が入力以上:Aβ≧1
2個のコンデンサを並列として足すコルピッツ形は直列:C₁C₂÷(C₁+C₂)
水晶はコンデンサの代わり水晶振動子はコイル(リアクトル)の代わり
μを10⁻³で計算するμは10⁻⁶
発振回路のよくある間違いの図。発振回路は正帰還、条件はAβ≧1、コルピッツ形の2個のコンデンサは直列、水晶振動子はコイルの代わり

よくある質問

Q. 発振回路とは?

A. 増幅した出力の一部を入力に戻し続け、入力なしで決まった周波数の交流をつくる回路です。

Q. 発振の条件は?

A. 戻る電圧が入力と同相(正帰還)であることと、増幅度と帰還率の積がAβ≧1であることです。

Q. 発振回路は正帰還と負帰還のどちら?

A. 正帰還です。負帰還は増幅を安定させるときの使い方で、発振には使いません。

Q. LC発振回路の周波数の求め方は?

A. f=1÷(2π√(LC))です。コルピッツ形は2個のコンデンサの直列の合成容量を使います。

Q. 水晶発振回路の特徴は?

A. 水晶振動子で周波数を決めるので、LC発振回路より周波数の変動が非常に小さい回路です。

この記事の要点
  • 発振回路=増幅回路+帰還回路(出力を入力に戻す)
  • 発振の条件:同相(正帰還)と Aβ≧1
  • LC発振の周波数 f=1÷(2π√(LC))
  • コルピッツ形は2個のコンデンサの直列で計算
  • 水晶発振はコイルを水晶振動子に置きかえ、周波数が安定
参考にした資料

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

この記事の理解を深める本と道具
おすすめの本

「発振回路」を試験の得点につなげるなら、前後の単元とあわせて教科書で押さえておくと安心です。TAC出版『みんなが欲しかった!』シリーズの、電験三種「理論」の教科書と問題集が1冊になった本です。

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電験三種の試験でどう問われるかは、過去問で確かめるのがいちばんの近道です。電験三種の過去10年分の試験問題をまとめた過去問題集です(2026年度版)。

S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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