- 反転・非反転増幅は理解した。でも過去問に「加算回路」「積分回路」が出てきた瞬間フリーズする
- 「Vo = -(V1+V2)」みたいな式が突然出てきて、どこから出てきた式なのか説明できない
- 積分回路と微分回路、見た目は似てるのに何が違うのかわからない
- 会社の先輩から「オペアンプの応用は4種類だけ覚えればいい」と言われたが、その4種類が何かわからない
- オペアンプの応用回路4種類(加算・減算・積分・微分)が「全部1つの法則」から導出できること
- 各回路の入出力式を「丸暗記ではなく」導出できる力
- 電験三種の過去問でどう出題されるか、解法パターン
- 「コンデンサが入ったら積分・微分」という見分け方の鉄則
オペアンプの基本(反転・非反転増幅)はわかった。でも過去問を開いたら、いきなり「加算回路の出力電圧を求めよ」「積分回路の応答を答えよ」と聞かれて、頭が真っ白になった——そんな経験はありませんか?
結論を先に言います。オペアンプの応用回路は4種類(加算・減算・積分・微分)だけ覚えれば十分です。しかも、すべて「仮想短絡(バーチャルショート)」というたった1つのルールから導出できます。丸暗記は不要です。
この記事では、田中さんのような「基本はわかったけど応用でつまずいた」読者向けに、4つの応用回路を1つずつ図解で完全攻略していきます。
【電験三種】オペアンプの基礎を完全攻略|反転・非反転増幅回路の計算が5分で解けるようになる実践ガイド →
目次
① 加算回路|複数の入力電圧を「足し算」する回路
加算回路は、その名の通り複数の入力電圧を足し合わせて出力する回路です。基本となる反転増幅回路の入力側に、抵抗をもう1本足しただけのシンプルな構造をしています。
加算回路の構成図
出力電圧 Vo を3ステップで導出
プラス端子はGND(0V)に接続されている。仮想短絡より、マイナス端子も0V。
マイナス端子(0V)に流れ込む電流をキルヒホッフで立てる。
R₁を流れる電流:V₁/R₁
R₂を流れる電流:V₂/R₂
Rfを流れ出す電流:(0 − Vo)/Rf = −Vo/Rf
オペアンプには電流が流れ込まないので、すべて Rf へ流れる。
V₁/R₁ + V₂/R₂ = Vo/(−Rf) を整理して、Voについて解く。
Vo = −Rf × ( V₁/R₁ + V₂/R₂ )
特に R₁ = R₂ = Rf のとき、式は Vo = −(V₁ + V₂) となります。これが「加算回路」と呼ばれる所以です。マイナス符号が付くのは、反転増幅回路をベースにしているためです。
入力が3つ、4つに増えても考え方は同じです。マイナス端子に電流が「集まる」イメージで、すべての入力電流の合計が Rf を通って Vo へ流れていきます。

① 加算回路|複数の入力電圧を「足し算」する回路
加算回路は、その名の通り複数の入力電圧を足し合わせて出力する回路です。基本となる反転増幅回路の入力側に、抵抗をもう1本足しただけのシンプルな構造をしています。
加算回路の構成図
V₂ ──[ R₂ ]──┤── (−)
│ オペアンプ ── Vo
│── (+) ── GND
│
└──[ Rf ]── Vo(帰還抵抗)
出力電圧 Vo を3ステップで導出
プラス端子はGND(0V)に接続されている。仮想短絡より、マイナス端子も0V。
マイナス端子(0V)に流れ込む電流をキルヒホッフで立てる。
R₁を流れる電流:V₁/R₁
R₂を流れる電流:V₂/R₂
Rfを流れ出す電流:(0 − Vo)/Rf = −Vo/Rf
オペアンプには電流が流れ込まないので、すべて Rf へ流れる。
V₁/R₁ + V₂/R₂ = Vo/(−Rf) を整理して、Voについて解く。
Vo = −Rf × ( V₁/R₁ + V₂/R₂ )
特に R₁ = R₂ = Rf のとき、式は Vo = −(V₁ + V₂) となります。これが「加算回路」と呼ばれる所以です。マイナス符号が付くのは、反転増幅回路をベースにしているためです。
入力が3つ、4つに増えても考え方は同じです。マイナス端子に電流が「集まる」イメージで、すべての入力電流の合計が Rf を通って Vo へ流れていきます。

② 減算回路|2つの入力電圧の「差」を出力する回路
減算回路は、2つの入力電圧の差を出力する回路です。差動増幅回路(さどうぞうふくかいろ)とも呼ばれます。加算回路と違って、プラス端子側にも入力が入るのが特徴です。
減算回路の構成図
│ オペアンプ ── Vo
V₂ ──[ R₂ ]── (+)
│
├──[ Rf ]── Vo(マイナス側帰還)
└──[ Rg ]── GND(プラス側分圧)
出力電圧 Vo を3ステップで導出
プラス端子の電位 V+ を分圧で求める。
V+ = V₂ × Rg / (R₂ + Rg)
仮想短絡より、V− も同じ値になる。
マイナス端子でキルヒホッフを立てる。
(V₁ − V−)/R₁ = (V− − Vo)/Rf
V− に STEP1 の値を代入し、Vo について解く。
Vo = (Rf/R₁) × ( V₂ − V₁ )
特に R₁ = R₂ = Rf = Rg のとき、式は Vo = V₂ − V₁ となり、まさに「減算」になります。
減算回路は実務では「センサーの差動信号を取り出す」ために頻繁に使われます。例えば工場の温度センサー(熱電対)の微小電圧差を読み取る回路には、必ずこの減算回路(インスツルメンテーションアンプ)が入っています。電験三種だけでなく、品質保証部の田中さんが見るデータシートにも頻出します。

加算と減算の見分け方|回路図のどこを見るか
過去問では「これは加算回路か?減算回路か?」を瞬時に見分ける必要があります。見分け方は超シンプルです。
加算回路
- 入力はすべてマイナス端子側に集まる
- プラス端子はGNDに接続
- 出力はマイナス符号付き(反転)
減算回路
- 入力がプラス端子・マイナス端子の両方に入る
- プラス端子はGNDに直接つながらない
- 出力は(V₂ − V₁) の形(差動)
回路図を見て「プラス端子(+)」を最初にチェック。
・(+) が GND に直接つながっている → 加算回路(または反転増幅)
・(+) に抵抗を介して入力が入っている → 減算回路
これで5秒で判別できます。

③ 積分回路|入力電圧を「時間で積み上げる」回路
積分回路は、入力された電圧を時間方向に積み上げて出力する回路です。基本となる反転増幅回路の帰還抵抗 Rf を「コンデンサ C」に置き換えるだけで作れます。
積分回路の構成図
│ オペアンプ ── Vo
│── (+) ── GND
│
└──[ C ]── Vo(帰還にコンデンサ)
なぜ「積分」になるのか?コンデンサの性質を思い出す
コンデンサに流れる電流と電圧の関係は次の式で表されます:
i = C × (dv/dt)
電流 i がコンデンサを流れると、電圧 v は時間とともに積み上がっていきます。これがオペアンプ回路と組み合わさることで「積分」が実現されます。
出力電圧 Vo の導出
仮想短絡より V− = 0V。
R を流れる電流:i = Vi / R
この電流がそのままコンデンサ C へ流れる(オペアンプには流れ込まない)。
コンデンサの式 i = C × d(0 − Vo)/dt = −C × dVo/dt より、
Vi/R = −C × dVo/dt
両辺を時間で積分して Vo について解く。
Vo = −(1/CR) × ∫ Vi dt
積分回路の覚え方:「入力が一定なら、出力は時間とともに直線的に変化する」。例えば Vi = 1V を入力し続けると、Vo はランプ波形(直線的に下がる波)として出てきます。これが「時間で積み上げる」というイメージです。

積分回路の入出力波形|「角張った波」が「滑らかな波」になる
積分回路は波形を「滑らかにする」働きがあります。覚えておくべき代表的な波形変換は以下の通りです。
| 入力波形 | 出力波形(積分後) | イメージ |
|---|---|---|
| 直流(一定電圧) | ランプ波(直線的に変化) | 📈 一定速度で坂を登る |
| 矩形波(カクカク) | 三角波(滑らかな山) | 🔺 角が取れて三角に |
| 正弦波(sin) | 余弦波(cos、位相90°遅れ) | 🌊 90度遅れる |
「矩形波(角張った波)が入力されたとき、出力はどうなるか?」という問題は頻出です。答えは三角波。これは「積分すると一次関数になる」という数学的事実から来ています。

④ 微分回路|入力電圧の「変化の速さ」を出力する回路
微分回路は、積分回路とR と C の位置を入れ替えた回路です。入力側にコンデンサ、帰還側に抵抗が来ます。役割も逆で、入力電圧の「変化の速さ」を出力します。
微分回路の構成図
│ オペアンプ ── Vo
│── (+) ── GND
│
└──[ R ]── Vo ← 帰還側に抵抗
出力電圧 Vo の導出
仮想短絡より V− = 0V。
コンデンサ C を流れる電流:i = C × d(Vi − 0)/dt = C × dVi/dt
この電流がそのまま R へ流れる。
R での電圧降下:Vo = 0 − iR = −R × C × dVi/dt
Vo = −CR × (dVi/dt)
この式が意味するのは、入力電圧 Vi が「速く変化するほど」出力が大きくなるということです。逆に、Vi が一定(変化なし)なら、出力はゼロになります。

微分回路の入出力波形|「滑らかな波」が「鋭いパルス」になる
微分回路は積分回路の真逆の働きをします。代表的な波形変換は以下の通りです。
| 入力波形 | 出力波形(微分後) | イメージ |
|---|---|---|
| 直流(一定電圧) | ゼロ | ⬛ 変化なし → 出力なし |
| 矩形波(カクカク) | 鋭いパルス(針状) | ⚡ エッジで瞬間スパイク |
| 三角波 | 矩形波 | 📐 一定速度の変化 → 一定電圧 |
| 正弦波(sin) | 余弦波(cos、位相90°進み) | 🌊 90度進む |
微分回路は「エッジ検出」に使われます。例えば自動車の振動センサー、工場の異常検知(急激な圧力変化を検出)など。品質保証部の田中さんがデータシートで「Differentiator(微分器)」を見たときは、「変化の瞬間を捉える回路だな」と思い出してください。

4つの応用回路を1枚の表で総整理
ここまで4つの応用回路を見てきました。試験前にこの表だけ見直せばOKというレベルで整理します。
| 回路 | 入力側 | 帰還側 | 出力式 | 役割 |
|---|---|---|---|---|
| 加算 | 複数の R | R | Vo = −(V₁+V₂+…) | 電圧の足し算 |
| 減算 | +/− 両方に R | R, R | Vo = V₂ − V₁ | 差動信号取り出し |
| 積分 | R | C | Vo = −(1/CR)∫Vi dt | 時間で積み上げ |
| 微分 | C | R | Vo = −CR(dVi/dt) | 変化の速さ検出 |
回路図を見たら、まず「コンデンサがあるか」「どこにあるか」を確認してください。
・コンデンサなし、入力は (−) 端子に集まる → 加算
・コンデンサなし、入力が (+)(−) 両方 → 減算
・コンデンサが帰還側にある → 積分
・コンデンサが入力側にある → 微分
この判別フローを覚えれば、過去問は5秒で識別できます。

電験三種でのオペアンプ応用回路の出題パターン
電験三種「理論」科目では、オペアンプ応用回路はB問題(計算問題)で出題されることが多いです。代表的な出題パターンは3つです。
出力電圧 Vo を求める計算問題。回路図と入力電圧、抵抗値が与えられ、Vo を答えさせる。本記事の式を当てはめれば即答できる。
入出力波形を選ぶ問題。入力が矩形波・正弦波などのとき、出力波形を選択肢から選ぶ。積分→三角波、微分→パルスを覚えていれば即答。
回路名を答える問題。回路図を見て「これは何回路か」を選ぶ。コンデンサの位置で判別できる。
□ プラス端子がGNDに直接つながっているか確認(YES → 加算/反転)
□ コンデンサがあるか、入力側か帰還側か確認(位置で積分・微分を判別)
□ 抵抗値が等しいかチェック(等しいなら式が単純化される)
□ マイナス符号を忘れない(反転系は必ず符号がつく)

まとめ|オペアンプ応用回路は「3ステップ」で全部解ける
お疲れ様でした。オペアンプの応用回路4種類(加算・減算・積分・微分)を一通り見てきました。最後に、今日覚えて帰ってほしいポイントを3つにまとめます。
- すべての応用回路は「仮想短絡 + キルヒホッフの電流則」の3ステップで解ける。公式の丸暗記は不要。
- 回路の判別は「コンデンサの有無と位置」を見るだけ。帰還側にCなら積分、入力側にCなら微分。
- 過去問は「Vo計算」「波形選択」「回路名」の3パターン。本記事の表を覚えれば全パターン対応可能。
オペアンプはアナログ回路の基礎であり、品質保証や設計の現場でも必ず出てくる重要素子です。電験三種の合格だけでなく、その後の業務でも一生使える知識になります。
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