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振幅変調(AM)は、信号波の大きさに合わせて搬送波の振幅を変える変調方式で、変調の深さは変調度 m=(A−B)÷(A+B) で表します。求め方は変調度の節、受信側で信号に戻す検波は検波の節へ。
結論|まず30秒でわかる答え
振幅変調(AM)とは、音声などの信号波の大きさに合わせて、信号波より周波数の高い正弦波(搬送波)の振幅を変える変調方式です。変調の深さは変調度 m=(A−B)÷(A+B)(Aは変調波の振幅の最大値、Bは最小値)で表します。受信側では、ダイオードとCRの回路で包絡線を取り出して信号波に戻します(検波・復調)。
振幅変調とは?音声を高い周波数の波に「乗せて」送る
人の声(数百Hz〜数kHz)をそのまま電波にしても、遠くまで届きにくく、アンテナも大きくなりすぎます。そこで、周波数の高い正弦波に声の情報を乗せて送ります。この操作を変調(へんちょう)といいます。
| 波の名前 | 役割 | AMラジオの例 |
| 信号波 | 送りたい情報(声・音楽) | 数kHz |
| 搬送波 | 情報を運ぶ、周波数の高い正弦波 | 数百kHz〜1MHz台 |
| 変調波 | 信号波に合わせて搬送波の振幅を変えた波 | 送信される電波 |
たとえると
搬送波はトラック、信号波は荷物です。荷物(声)だけでは遠くへ運べないので、速くて遠くまで走れるトラック(高い周波数の波)に積んで運びます。届いた先で荷物だけを降ろすのが検波です。
正弦波の搬送波を使う基本的な変調方式には、振幅を変える振幅変調(AM)、周波数を変える周波数変調(FM)、位相を変える位相変調(PM)があります。
変調度 m=(A−B)÷(A+B) の求め方
変調波の外側をなぞった線(包絡線:ほうらくせん)は、信号波と同じ形になります。この包絡線の山と谷の大きさから、変調の深さ(変調度・変調率)を求めます。
公式
変調度 m =(A−B)÷(A+B) A:振幅の最大値、B:振幅の最小値
例題:振幅の最大値6V、最小値2Vの変調波
STEP 1
変調度:m=(6−2)÷(6+2)=4÷8=0.5(50%)
STEP 2
搬送波の振幅:(A+B)÷2=(6+2)÷2=4V
STEP 3
信号波の振幅:(A−B)÷2=(6−2)÷2=2V
STEP 4
確かめ:信号波÷搬送波=2÷4=0.5 で一致
注意|ここで間違えやすい
m が1をこえる(過変調)と、包絡線が信号波の形にならず、受信した音がひずみます。ふつうは m を1以下で使います。
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側波帯と占有周波数帯幅
搬送波の周波数を fc、信号波の周波数を fs とすると、振幅変調した波は3つの周波数の正弦波の足し算になります(三角関数の積和の公式で展開できます)。
| 成分 | 周波数 | 大きさ(搬送波をVcとする) |
| 搬送波 | fc | Vc |
| 下側波 | fc−fs | m×Vc÷2 |
| 上側波 | fc+fs | m×Vc÷2 |
たとえば、1,000kHzの搬送波を5kHzの信号波で変調すると、995kHz・1,000kHz・1,005kHzの3つの成分が出ます。電波が使う幅(占有周波数帯幅)は 2×fs=10kHz です。
POINT
情報(信号波)は、上と下の側波帯に入っています。搬送波そのものには情報が入っていません。
検波(復調)のしくみ:ダイオードとCR
受信側では、変調波から信号波だけを取り出します。これを復調、または検波(けんぱ)といいます。代表的なのが、ダイオードと、コンデンサCと抵抗Rの並列回路を使う直線検波回路です。
STEP 1
ダイオードで、変調波の上半分だけを通す(整流)
STEP 2
CとRの並列回路で、速く変わる搬送波の成分をCに逃がし、ゆっくり変わる包絡線(信号波)だけをRの両端に残す
| 周波数 | CとRの並列のインピーダンス | 結果 |
| 信号波(低い) | ほぼR | 信号波の成分が「ある」 |
| 搬送波(高い) | 十分に小さい(Cのリアクタンスが小さい) | 搬送波の成分が「なくなる」 |
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電験三種の過去問で確かめる
| 年度・問題 | 問われたこと | 答えのポイント |
| 平成20年度 問18・令和6年度上期 問18 | 変調・復調の用語の空欄、変調率 | 搬送波は信号波より高い周波数、正弦波、検波。変調率 (4−2)÷(4+2)≒33% |
| 平成28年度 問18・令和5年度上期 問18(同じ問題) | (a)変調度 (b)直線検波回路のCR | (a)0.5 (b)信号波はある・搬送波はなくなる・インピーダンスは搬送波に対して十分小さく |
平成28年度 問18(a)の解き方
STEP 1
グラフから振幅の最大値 A=3a÷2、最小値 B=a÷2 を読む
注意|ここで間違えやすい
最大値と最小値は、包絡線の「振幅」で読みます。山の頂点から谷の底まで(ピークからピーク)で読むと、数字が2倍になって合いません。
振幅変調でよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
| 搬送波は信号波より低い周波数 | 搬送波のほうが高い周波数 |
| 受信側では搬送波を取り出す | 取り出すのは信号波(搬送波は消す) |
| 変調度=B÷A | m=(A−B)÷(A+B) |
| 検波回路のCRは搬送波に対して大きなインピーダンス | 搬送波に対しては十分に小さく、信号波に対してはほぼR |
| 帯域幅はfsと同じ | 上下の側波帯があるので 2×fs |
よくある質問
Q. 振幅変調とは?
A. 信号波の大きさに合わせて、周波数の高い正弦波(搬送波)の振幅を変える変調方式です。
Q. 変調度の求め方は?
A. 変調波の振幅の最大値A、最小値Bから、m=(A−B)÷(A+B)で求めます。
Q. 検波とは?
A. 変調波から、もとの信号波を取り出す操作です。復調ともいい、ダイオードとCRの回路を使います。
Q. AMの占有周波数帯幅は?
A. 上側波と下側波があるので、信号波の周波数fsの2倍、2×fsです。
Q. 過変調とは?
A. 変調度が1をこえた状態です。包絡線が信号波の形にならず、受信した音がひずみます。
この記事の要点
- 振幅変調=信号波に合わせて搬送波の振幅を変える
- 搬送波は信号波より高い周波数の正弦波
- 変調度 m=(A−B)÷(A+B)、1以下で使う
- 側波帯は fc±fs、帯幅は 2×fs
- 検波:ダイオードで整流し、CRで搬送波を消して信号波を残す
参考にした資料
法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。
この記事の理解を深める本と道具
おすすめの本
「振幅変調」を試験の得点につなげるなら、前後の単元とあわせて教科書で押さえておくと安心です。TAC出版『みんなが欲しかった!』シリーズの、電験三種「理論」の教科書と問題集が1冊になった本です。
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メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
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