理論科目の解説

【電験三種・理論】光電効果・熱電効果・圧電効果|正誤問題で「○○効果」を確実に得点する

😣 こんな経験はありませんか?
  • 「ゼーベック効果」と「ペルチェ効果」、どっちが温度→電圧で、どっちが電圧→温度かわからなくなる
  • 「圧電効果」と「ピエゾ抵抗効果」の違いが曖昧で、正誤問題で迷って落とす
  • 太陽電池は「光電効果」?「光起電力効果」? 名前が似すぎて混乱する
  • ホール効果の仕組みは理解しているのに、選択肢の言い回しで引っかかる
✅ この記事でわかること
  • 電験三種で問われる主要8つの「○○効果」の意味・仕組み・応用先
  • 紛らわしい効果を「入力 → 出力」の1行で整理する一覧表
  • 「光電効果」と「光起電力効果」の違い(太陽電池との関連)
  • 実際の過去問(令和2年問14、令和3年問5、令和5年上期問12)の解き方と引っかけポイント

「異なる2種類の金属を接合して温度差を与えると起電力が生じる。これを何効果というか?」

電験三種の理論科目では、このような「○○効果」の名前と仕組みの正しい組み合わせを問う正誤問題が繰り返し出題されます。計算は不要。知っていれば1分で解ける。知らなければ5つの選択肢の中をさまようだけ。

つまり、「覚えたかどうか」だけで決まるボーナス問題です。この記事では、出題される「○○効果」を「入力 → 出力」のシンプルな構造で整理し、二度と迷わない知識に変えます。

なぜ電験三種で「○○効果」が繰り返し出題されるのか

電験三種の理論科目には「電子理論」という出題分野があります。半導体やダイオード、トランジスタなどの基礎が出る分野ですが、その中でも特にコスパが良いのが「○○効果」の正誤問題です。理由は3つあります。

理由①:計算なしで解ける「知識問題」

交流回路の計算で10分使う問題と同じ配点です。知識さえあれば30秒で正解できるので、時間が厳しいCBT試験では貴重な「稼ぎどころ」になります。

理由②:出題パターンがほぼ固定

過去問を分析すると、問われる効果は毎回ほぼ同じ顔ぶれです。ゼーベック効果、ペルチェ効果、圧電効果(ピエゾ効果)、ホール効果、ピエゾ抵抗効果——この5つが鉄板メンバー。さらに光電効果、トムソン効果、ピンチ効果が時おり登場します。

理由③:引っかけポイントが決まっている

出題者が仕掛ける「罠」は毎回同じです。ゼーベックとペルチェを入れ替える圧電効果とピエゾ抵抗効果を混同させるファラデーの法則とファラデー効果をすり替える。この罠を知っていれば、引っかかりようがありません。

💡 ポイント
「○○効果」は覚える量が少なく、配点が大きく、出題パターンが固定されている。電験三種で最もコスパの良い得点源のひとつです。この記事を読み終えたら、過去問で確認してみてください。

「入力 → 出力」で覚える!主要8効果の一覧表

「○○効果」を覚えるコツは、「何を入れたら何が出るか」を1行で整理することです。以下の一覧表をまず頭に入れてください。この表が、この記事の最重要パーツです。

効果の名前 入力 出力 応用例 覚え方のヒント
ゼーベック効果 🌡️ 温度差 ⚡ 起電力 熱電対(温度センサ) 「ゼー(温度)→ ベック(電気)」温度が先
ペルチェ効果 ⚡ 電流 🌡️ 吸熱/発熱 ペルチェ素子(PC冷却) ゼーベックの。電気が先
トムソン効果 ⚡ 電流 + 🌡️温度差 🌡️ 吸熱/発熱 (学術的。応用少) 1種類の金属内で起きる
圧電効果
(ピエゾ効果)
💪 力(圧力) ⚡ 電圧 超音波センサ、ライター着火 「圧→電」。逆もあり(逆圧電効果)
ピエゾ抵抗効果 💪 力(圧力) 📏 抵抗値変化 圧力センサ、ひずみゲージ 「圧→抵抗」。電圧は出ない
ホール効果 ⚡ 電流 + 🧲 磁界 ⚡ 電圧(ホール電圧) ホール素子(磁気センサ) ローレンツ力で電子が偏る
光電効果
(外部光電効果)
💡 光 電子が飛び出す 光電管、光電子増倍管 電子が物質のに放出
光起電力効果
(内部光電効果)
💡 光 ⚡ 起電力 太陽電池、フォトダイオード 電子は物質ので移動
📐 最重要ルール
「何を入力したら、何が出力されるか」── この1行だけ覚えれば、正誤問題は解ける。

ゼーベック効果 vs ペルチェ効果 ─ 最頻出の「逆ペア」

電験三種で最も出題されるのが、この2つの効果の区別です。令和3年問5、令和5年上期問12で連続出題されています。ポイントは「お互いの逆現象」であること。これさえ押さえれば、入れ替えの罠に引っかかりません。

🌡️→⚡

ゼーベック効果

条件:異なる2種類の金属を接合して温度差を与える

結果:起電力(熱起電力)が発生する

応用:熱電対(温度測定用センサ)

キーワード:温接点、冷接点、熱起電力

⚡→🌡️

ペルチェ効果

条件:異なる2種類の金属/半導体を接合して電流を流す

結果:接合部で吸熱または発熱が発生する

応用:ペルチェ素子(PC CPU冷却、ワイン冷蔵庫)

キーワード:電流の向きを反転→吸熱と発熱が入れ替わる

トムソン効果との違い

ゼーベックとペルチェは「2種類の金属(または半導体)の接合」が前提条件ですが、トムソン効果は「1種類の金属」の中で起こります。1本の金属棒に電流を流しながら温度差を与えると、吸熱または発熱が生じる現象です。出題頻度は低いですが、「2種類 vs 1種類」という区別ポイントは押さえておきましょう。

⚠️ 過去問の引っかけパターン
「2種類の金属を接合して温度差を与えると電位差が生じる。これをペルチェ効果という」→ ×(正解はゼーベック効果)。現象の説明は正しいのに、名前だけ入れ替えてくるパターンが最も多い罠です。
💡 覚え方
ゼーベック → 「ゼ」= 「温(ゼ)度」が入力。温度差を与えると電気が出る。
ペルチェ → 「ペ」= ゼーベックの逆。電気を与えると温度差が出る。
「ゼーベックの逆がペルチェ」とセットで覚えると、どちらか一方を忘れても復元できます。

圧電効果 vs ピエゾ抵抗効果 ─ 「力を加える」系の区別

どちらも「物質に力(圧力)を加える」という入力は同じです。しかし、出てくるものがまったく違います。

💪→⚡

圧電効果(ピエゾ効果)

入力:水晶・セラミックスなどの圧電体に力を加える

出力:電圧が発生する

逆もあり:電圧を加えると変形する(逆圧電効果)→ 超音波発生装置

応用:超音波センサ、ガスコンロの点火装置、圧電ブザー

💪→📏

ピエゾ抵抗効果

入力:金属や半導体に力を加えて変形させる

出力:抵抗値が変化する

逆はなし:(電圧を加えても特段の変形は起こらない)

応用:圧力センサ、ひずみゲージ

📐 区別のコツ
圧電効果 → 力を加えると「電圧」が出る。「圧→電」の名前の通り。
ピエゾ抵抗効果 → 力を加えると「抵抗値」が変わる。名前に「抵抗」と入っている。
名前をそのまま読めば区別できます。

令和2年問14では、「超音波 → 圧電現象」「圧力 → ピエゾ抵抗効果」の2つが正しい組み合わせとして出題されました。超音波センサは圧電効果(逆圧電効果)を使い、圧力センサはピエゾ抵抗効果を使う、という使い分けが問われます。

ホール効果 ─ 「電流 + 磁界 → 電圧」の3者関係

ホール効果は、他の効果と少し毛色が違います。入力が2つ(電流と磁界)あり、その両方が揃ったときに初めて電圧(ホール電圧)が発生します。

ホール効果の仕組み

STEP 1

薄い板状の半導体(ホール素子)に電流を流す。電子は一方向に移動する。

STEP 2

電流に対して垂直に磁界をかける。電子はローレンツ力を受けて一方の端に偏る。

STEP 3

電子が偏ることで、電流と磁界の両方に垂直な方向に電位差(ホール電圧)が発生する。

💡 応用と出題ポイント
ホール素子は磁気センサとして使われます。令和2年問14では「磁気 → ホール効果」の組み合わせが正しい選択肢として出題。令和5年上期問11でもホール効果の仕組みそのものが問われています。

覚えるポイントは「電流 + 磁界 → 電圧(ホール電圧)」の3者関係と、その原因がローレンツ力であること。この2つだけで解けます。

光電効果 vs 光起電力効果 ─ 太陽電池はどっち?

「光電効果」と「光起電力効果」。名前がとても似ていますが、まったく別の現象です。特に太陽電池がどちらの効果を利用しているかは、電力科目でも問われる重要知識です。

外部光電効果(狭義の「光電効果」)

物質に光を当てると、電子が物質の外へ飛び出す現象です。アインシュタインがノーベル物理学賞を受賞した理論で有名です。光のエネルギーが物質の仕事関数を超えると、電子が放出されます。光電管や光電子増倍管に使われますが、太陽電池とは関係ありません。

内部光電効果(光起電力効果)─ 太陽電池の原理

半導体のpn接合に光を当てると、電子は物質の外には飛び出さず、半導体の内部で電子と正孔のペアが生まれます。pn接合の内部電界によって電子と正孔が分離され、起電力(電圧)が発生します。これが太陽電池の原理です。

比較項目 外部光電効果(光電効果) 内部光電効果(光起電力効果)
電子の動き 物質のへ飛び出す 物質ので移動する
出力 電子の放出(光電流) 起電力(電圧)の発生
必要な構造 金属表面(真空中) 半導体のpn接合
応用 光電管、光電子増倍管 太陽電池、フォトダイオード
キーワード 仕事関数、アインシュタイン pn接合、内部電界
⚠️ 試験での注意点
「太陽電池は光電効果を利用している」→ 厳密には△。太陽電池が利用しているのは光起電力効果(内部光電効果)です。広義では光電効果の一種ですが、選択肢で「外部光電効果」と並んでいた場合は区別が必要です。電力科目の太陽光発電の問題でも出題される知識なので、セットで覚えておきましょう。

過去問で確認 ─ 出題パターンと解き方

ここまでの知識を使って、実際の過去問がどう解けるか確認しましょう。3つの代表的な出題パターンを取り上げます。

パターン①:「物理現象 × センサの原理」組み合わせ問題(令和2年 問14)

5つの「物理現象 × センサの原理」の組み合わせから不適切なものを選ぶ問題です。選択肢は以下の通りでした。

物理現象 センサの原理 正誤
(1) 電磁誘導に関するファラデーの法則 ❌ 不適切(正解)
(2) 超音波 圧電現象 ✅ 適切
(3) 温度 ゼーベック効果 ✅ 適切
(4) 圧力 ピエゾ抵抗効果 ✅ 適切
(5) 磁気 ホール効果 ✅ 適切

(1)の「光 → ファラデーの法則」が不適切です。ファラデーの電磁誘導の法則は磁束変化に関する法則であり、光の検出には使いません。光を検出するのは光電効果やフォトダイオード(光起電力効果)です。なお「ファラデー効果」(磁気光学効果)という別の現象もあり、名前が似ていますが内容は異なります。

パターン②:穴埋め問題(令和3年 問5、令和5年上期 問12)

「異なる2種類の金属で閉回路を作り、2つの接合点を異なる温度に保つと( ア )。この現象を( イ )効果という」——このように現象の説明文と効果名の組み合わせを答える問題です。

令和3年問5の正解は「(ア)起電力が生じる、(イ)ゼーベック」。令和5年上期問12でも同様の形式でゼーベック効果とペルチェ効果の区別が問われました。この2つの効果は、令和に入ってから3回以上出題されています。

パターン③:仕組みの説明問題(ホール効果)

令和5年上期問11では、ホール効果の仕組みそのものが問われました。「電流が流れている物質に磁界を加えると、電流と磁界に垂直な方向に電位差が発生する」——この説明文が正しいかどうかを判断する問題です。「電流 + 磁界 → 垂直方向に電圧」というキーワードを覚えていれば即答できます。

💡 試験戦略
「○○効果」の問題は計算不要の知識問題です。CBT試験では、難しい計算問題に時間を残すために、この手の知識問題は30秒以内に解いて次に進むのが理想です。一覧表を頭に入れておけば、それが可能になります。

試験直前チェック ─ 最終確認シート

試験前日、または試験会場に向かう電車の中で、この表だけ見てください。「入力 → 出力」の矢印を全部言えれば、この分野は完璧です。

効果名 入力 → 出力 センサ/応用 引っかけ注意
ゼーベック 🌡️温度差 → ⚡起電力 熱電対 ペルチェと入れ替え
ペルチェ ⚡電流 → 🌡️吸熱/発熱 ペルチェ素子 ゼーベックと入れ替え
トムソン ⚡電流+🌡️温度差 → 🌡️吸熱/発熱 (学術的) 1種類の金属
圧電(ピエゾ) 💪力 → ⚡電圧 超音波センサ ピエゾ抵抗と混同
ピエゾ抵抗 💪力 → 📏抵抗値変化 圧力センサ 圧電効果と混同
ホール ⚡電流+🧲磁界 → ⚡ホール電圧 磁気センサ ローレンツ力が原因
光電効果(外部) 💡光 → 電子が外へ放出 光電管 太陽電池はこっちじゃない
光起電力(内部) 💡光 → ⚡起電力 太陽電池 pn接合が必要
🔧 試験本番のチェック法
選択肢を読んだら、「入力は何?出力は何?」を確認してください。説明文の入力と出力が一覧表と一致していれば正しい。一致しなければ、名前が入れ替わっている罠です。この「入力→出力チェック」を習慣にすれば、引っかけ問題は怖くなくなります。

まとめ

📝 この記事のまとめ
覚え方の原則 すべての効果を「入力 → 出力」の1行で整理する
最重要ペア ゼーベック(温度差→電圧)⇔ ペルチェ(電流→温度差)は逆の関係
紛らわしいペア 圧電効果(力→電圧)vs ピエゾ抵抗効果(力→抵抗値変化
太陽電池 光起電力効果(内部光電効果)を利用。電子は物質の外に出ない
試験戦略 知識さえあれば30秒で解ける。計算問題に時間を回すための「稼ぎどころ」

「○○効果」の問題は、知っているか知らないかだけで決まります。そして、知るべき量は決して多くありません。この記事の一覧表を2〜3回眺めて、「入力 → 出力」を言えるようにしておけば、本番で確実に得点できます。

電験三種の理論科目は範囲が広く、すべてを完璧にするのは難しい。だからこそ、「少ない勉強量で確実に取れる問題」を1つずつ積み上げていく戦略が大切です。この記事がその1つになれば嬉しいです。

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