※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

50Hzと60Hzの違い|1秒間の往復の回数
家のコンセントの電気(交流)は、プラスとマイナスの向きが1秒間に100回以上も入れ替わっています。ブランコが1秒に何往復するか、と考えるとわかりやすいです。その往復の回数が周波数で、単位はHz(ヘルツ)です。1往復のあいだに向きは2回変わるので、50Hzなら向きが変わるのは1秒間に100回、60Hzなら120回です。
| 項目 | 50Hz(東日本) | 60Hz(西日本) |
|---|---|---|
| 1秒間の往復の回数 | 50回 | 60回 |
| 1往復の時間(周期 T=1/f) | 0.02秒(20ms) | 約0.0167秒(約16.7ms) |
| 4極モーターの同期速度 | 1,500 min⁻¹ | 1,800 min⁻¹ |
| おもな地域 | 北海道・東北・関東など | 北陸・中部・関西・中国・四国・九州・沖縄など |
60Hzは50Hzの1.2倍(60÷50)の速さで向きが変わります。電圧(100V)はどちらも同じで、違うのはリズムの速さだけです。
周波数(Hz)の意味

50Hzと60Hzの境界線|富士川と糸魚川を結ぶライン
境界は、静岡県の富士川と新潟県の糸魚川(いといがわ)付近を結ぶ線です。この線より東が50Hz、西が60Hzです。ただし、まっすぐな線ではありません。電力会社の送電網がどこまで伸びているかで決まるので、境界に近い静岡県・新潟県・長野県などでは、同じ県や市町村の中で周波数が分かれることがあります。
ここで間違えやすいのが「糸魚川」です。富士川は川の名前ですが、糸魚川は新潟県糸魚川市という地名です。2本の川を結んだ線ではありません。

なぜ東西で分かれたのか|明治時代の発電機
| 年 | できごと | 周波数 |
|---|---|---|
| 1895年(明治28年) | 東京電燈(東京電力の前身)が、ドイツのAEG社の発電機を導入 | 50Hz |
| 1897年(明治30年) | 大阪電灯(関西電力の前身)が、アメリカのGE社の発電機を導入 | 60Hz |
当時のヨーロッパは50Hz、アメリカは60Hzが中心でした。東京と大阪が、それぞれ別の国から発電機を買ったことで、東の50Hzと西の60Hzの電力網が広がり、ぶつかった場所が今の境界線になりました。
この続きと一緒に読まれている記事
統一すれば便利ですが、どちらかの地域の発電機やモーター、変圧器などを入れ替える必要があり、費用と停電の影響が大きすぎるため、現実的ではないとされています。

東西をつなぐ周波数変換所|交流→直流→交流
周波数が違う交流は、そのままではつなげません。そこで、50Hzの交流をいったん直流にし、それを60Hzの交流に作り直す周波数変換所(FC)で、東西の電気を融通しています。
| 周波数変換所 | 場所 | 容量 |
|---|---|---|
| 佐久間FC | 静岡県浜松市 | 30万kW |
| 新信濃FC | 長野県朝日村 | 60万kW |
| 東清水FC | 静岡県静岡市 | 30万kW |
| 飛騨信濃FC | 岐阜県・長野県 | 90万kW |
| 合計 | 210万kW |
2011年の東日本大震災のとき、東西間で融通できる量は約100万kWしかなく、東日本の電力不足を補いきれませんでした。その後、飛騨信濃FCの新設などで210万kWまで増え、さらに東清水FCの増強などで300万kWに増やす計画(2027年度末の完了予定)が進んでいます(電力広域的運営推進機関)。
直流送電と送電方式

周波数が変わると何が起きる?モーターと家電への影響
交流で回るモーターは、周波数に比例した速さで回ります。同期速度は Ns=120f/p[min⁻¹](f:周波数、p:極数)で、4極なら50Hzで1,500、60Hzで1,800 min⁻¹です。60Hzでは1.2倍速く回るので、扇風機や換気扇は風が強く、50Hzでは弱くなります。
| 家電の種類 | 周波数の影響 | 銘板が「50/60Hz」なら |
|---|---|---|
| テレビ・パソコン・充電器・LED照明・インバーター式エアコンなど | 内部でいったん直流にするので、ほとんど受けない | そのまま使える |
| 扇風機・換気扇など、交流でモーターを回すもの | 回転数が変わり、風量などが変わる | 使えるが、性能が少し変わることがある |
| 50Hz専用・60Hz専用の電子レンジ・洗濯機・衣類乾燥機など | 合わない地域では正常に動かず、部品が過熱するおそれ | 専用品は、部品交換か買い替えを検討 |
| 磁気式の安定器を使う蛍光灯器具 | 合わない周波数では安定器が過熱するおそれ | LED照明への交換も検討 |
確かめるのは、本体の銘板(定格表示のシール)です。「50/60Hz」や「50-60Hz」とあればヘルツフリー(どちらでも使える)です。「50Hz」か「60Hz」の片方だけなら専用品なので、引越し先の周波数と合わないときは、メーカーか販売店に相談しましょう。
モーターが回る仕組み

周期とモーターの回転数の計算ツール
周波数と、モーターの極数を入れてください。周期・角周波数・同期速度と、50Hzと60Hzでどれだけ違うかを計算します。
入れた数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。実際の誘導電動機は、同期速度より少し遅く回ります(滑り)。
50Hzと60Hzのよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| 東と西で電圧が違う | どちらも100V。違うのは周波数だけ |
| 境界線は2本の川を結んだ線 | 富士川と、糸魚川市(地名)付近を結ぶ線 |
| 境界は県境できっちり分かれる | 送電網しだいで、県や市町村の中で分かれることもある |
| 60Hzのほうが電気が強い | 強さ(電圧)は同じ。向きが変わる速さが1.2倍 |
| 今の家電は全部どこでも使える | 多くはヘルツフリーだが、専用品も残っている。銘板で確かめる |

周波数と並んで、家のコンセントで気になる 100V と 200V の違いは次の記事で。
コンセント形状の見分け方と電気代
よくある質問


