💭 こんな悩み、ありませんか?
- 「滑り」「同期速度」「二次入力」…用語が多すぎて混乱する
- 教科書の説明が難しくて、イメージがわかない
- どこから手をつければいいかわからない
✅ この記事でスッキリ解決!
誘導電動機の専門用語を「犬の散歩」「お給料」「扇風機」など身近な例えで完全図解。困ったときに何度でも戻ってこれる「用語辞典」です!
📖 この辞典の使い方
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📚 目次|カテゴリ別インデックス
🔰 基本のキホン
誘導電動機 / かご形 / 巻線形 / 固定子 / 回転子
⚡ 速度・回転
同期速度 / 滑り / 極数 / 周波数
💪 トルク・出力
トルク / 二次入力 / 二次銅損 / 機械的出力 / 比例推移
🔧 始動・制御
始動電流 / Y-Δ始動 / インバータ / V/f制御

🔰 基本のキホン|まずはここから!
誘導電動機(ゆうどうでんどうき)
一言でいうと:回転する磁界に「引っ張られて」回るモーター
🐕 たとえ話でイメージ!
飼い主(回転磁界)が走ると、リードでつながれた犬(回転子)が引っ張られて走り出す。犬は飼い主より少し遅れてついていく…これが誘導電動機の動き方です!
英語:Induction Motor 略称:IM
関連:回転磁界、滑り、同期速度
三相誘導電動機(さんそうゆうどうでんどうき)
一言でいうと:三相交流で回転磁界を作るモーター(工場の主役)
🎪 たとえ話でイメージ!
3人が順番に縄跳びを回すと、縄がきれいに回転する。これが「三相」の力!1人(単相)では往復しかできないけど、3人なら回転磁界が簡単に作れます。
用途:工場のコンベア、ポンプ、ファンなど
特徴:構造が簡単で丈夫、メンテナンスが楽
かご形誘導電動機
一言でいうと:回転子が「かご」のような形をした最も一般的なモーター
🐹 たとえ話でイメージ!
ハムスターの回し車を思い出してください。あの「かご」のような構造が回転子になっています。アルミや銅の棒が円筒状に配置されていて、シンプルで壊れにくい!
メリット:構造が簡単、安価、丈夫
デメリット:始動電流が大きい、速度制御が難しい(→インバータで解決)
巻線形誘導電動機(まきせんがた)
一言でいうと:回転子にコイルを巻いて、外部から抵抗を接続できるモーター
🎮 たとえ話でイメージ!
ゲームコントローラーに「外付けのボタン」を追加できるイメージ。回転子に「スリップリング」という接続端子があって、外から抵抗を調整できます。
メリット:始動トルクが大きい、二次抵抗制御が可能
デメリット:構造が複雑、高価、ブラシのメンテナンスが必要
固定子(こていし)/ ステータ
一言でいうと:動かない方の部品(回転磁界を作る側)
🏠 たとえ話でイメージ!
洗濯機の「外側の箱」が固定子。中のドラム(回転子)は回るけど、外側はしっかり固定されている。固定子のコイルに電流を流して回転磁界を作ります。
別名:一次側、ステータ(Stator)
役割:回転磁界を発生させる
回転子(かいてんし)/ ロータ
一言でいうと:回る方の部品(回転磁界に引っ張られる側)
🌀 たとえ話でイメージ!
洗濯機の「中のドラム」が回転子。外側(固定子)が作った回転磁界に引っ張られてグルグル回ります。この回転が軸を通じて外に伝わり、機械を動かします。
別名:二次側、ロータ(Rotor)
種類:かご形、巻線形
回転磁界(かいてんじかい)
一言でいうと:空間をグルグル回る磁石の力(誘導電動機の心臓部)
🎡 たとえ話でイメージ!
観覧車のゴンドラが次々に上がっていくように、磁界のN極・S極がグルグル回転している状態。三相交流の3つの電流が順番に流れることで、この「見えない回転する磁石」が生まれます。
発生条件:三相交流 または コンデンサ(単相の場合)
回転速度:同期速度 Ns = 120f/p

⚡ 速度・回転の用語
同期速度(どうきそくど)Ns
一言でいうと:回転磁界の回転速度(理論上の最高速度)
Ns = 120f / p [min⁻¹]
f = 周波数[Hz] p = 極数
🏃 たとえ話でイメージ!
ランニングマシンのベルトの速度が「同期速度」。人間(回転子)はベルトより少し遅く走る。ベルトと完全に同じ速度で走ったら、足が滑って前に進めなくなる!
計算例:50Hz、4極の場合 → Ns = 120×50÷4 = 1500 min⁻¹
ポイント:誘導電動機は同期速度に追いつけない(必ず滑る)
滑り(すべり)s
一言でいうと:回転磁界と回転子の「速度差」を表す割合
s = (Ns − N) / Ns
Ns = 同期速度 N = 回転子の速度
🐕 たとえ話でイメージ!
飼い主(回転磁界)が時速10kmで走り、犬(回転子)が時速9.5kmで追いかける。この「追いつけない度合い」が滑り。犬は飼い主より5%遅い → 滑りs = 0.05(5%)
s = 1
始動時(停止状態)
s = 0.02〜0.05
通常運転時
s = 0
理論上(実際は不可能)
極数(きょくすう)p
一言でいうと:モーター内の磁極(N極・S極のペア)の数
🚲 たとえ話でイメージ!
自転車のギアの歯の数と似ています。極数が多い(歯が多い)と、1回転で進む距離が短くなる → 速度が遅くなる。極数が少ないと速度が速くなる!
| 極数 p | 同期速度 Ns(50Hz) | イメージ |
|---|---|---|
| 2 | 3000 min⁻¹ | 🏎️ 高速回転 |
| 4 | 1500 min⁻¹ | 🚗 標準的 |
| 6 | 1000 min⁻¹ | 🚌 ゆっくり |

💪 トルク・出力の用語
トルク T
一言でいうと:モーターの「回転力」(どれだけ力強く回せるか)
🔧 たとえ話でイメージ!
ネジを回すときの「手応え」がトルク。硬いネジを回すには大きな力(トルク)が必要。モーターも重い負荷を回すには大きなトルクが必要です!
単位:N・m(ニュートンメートル)
公式:P = T × ω(出力 = トルク × 角速度)
二次入力 P₂
一言でいうと:回転子(二次側)に渡される電力
💰 たとえ話でイメージ!
会社があなたに支払う「給料の総額」が二次入力P₂。ここから税金(二次銅損Pc)が引かれて、手取り(機械的出力P)になります!
P₂ = P + Pc(二次入力 = 出力 + 損失)
二次銅損 Pc
一言でいうと:回転子の抵抗で失われる電力(熱として逃げる)
💸 たとえ話でイメージ!
給料から引かれる「税金」が二次銅損。働いた分全部が手元に残らないのと同じで、電力も全部が機械的な仕事になるわけではありません。
Pc = s × P₂(滑りに比例して損失が増える!)
機械的出力 P
一言でいうと:実際に機械を動かすのに使える出力(手取り)
💵 たとえ話でイメージ!
税金を引いた後の「手取り給料」が機械的出力P。これが実際に使えるお金=実際に機械を動かせるパワーです!
P = (1 − s) × P₂
比例推移(ひれいすいい)
一言でいうと:滑りが小さい範囲では、様々な量が滑りに比例する法則
📏 たとえ話でイメージ!
アクセルを2倍踏めば、スピードも2倍になる(ある範囲では)。誘導電動機も、滑りが小さい範囲では「比例関係」がたくさん成り立つので、計算問題が解きやすくなります!
📊 比例する5つの量
T ∝ s
トルク
I₂ ∝ s
二次電流
P₂ ∝ s
二次入力
Pc ∝ s²
二次銅損
P ∝ s
機械的出力
エネルギーの比 P₂ : P : Pc = 1 : (1−s) : s
一言でいうと:二次側の電力がどう分配されるかを表す黄金比
P₂ : P : Pc = 1 : (1−s) : s
🍰 たとえ話でイメージ!
ケーキ(P₂)を切り分けるイメージ。滑りs = 5%なら、95%が手取り(P)で、5%が税金(Pc)に取られる。滑りが大きいほど、損失が増えて効率が悪くなる!
P₂
1(100%)
二次入力
P
(1−s)
機械的出力
Pc
s
二次銅損

🔧 始動・制御の用語
始動電流 Is
一言でいうと:モーターを起動する瞬間に流れる大電流
🚗 たとえ話でイメージ!
車が止まった状態から発進するとき、たくさんガソリンを使う(アクセルを踏み込む)のと同じ。モーターも起動時は定格電流の5〜7倍もの電流が流れます!
⚠️ 問題点:大電流が流れると、電圧降下や電源への負担が発生。大型モーターでは始動法の工夫が必要!
直入れ始動(じかいれしどう)
一言でいうと:定格電圧をそのまま印加して起動する方法
🔌 たとえ話でイメージ!
コンセントにプラグを「いきなり差し込む」ような起動方法。シンプルだけど、始動電流が大きい!小型モーター(数kW以下)でよく使われます。
Y-Δ(スターデルタ)始動
一言でいうと:始動時はY結線、運転時はΔ結線に切り替える方法
始動電流 = 直入れの 1/3
🚴 たとえ話でイメージ!
自転車の変速機と同じ!最初は「軽いギア(Y結線)」で楽にスタートして、速度が出たら「重いギア(Δ結線)」に切り替える。電流を抑えながら起動できます。
⏱️ 始動時(Y結線)
電圧が1/√3倍
電流が1/3倍
🏃 運転時(Δ結線)
定格電圧
定格運転
始動補償器(リアクトル)始動
一言でいうと:単巻変圧器やリアクトルで電圧を下げて始動する方法
🔦 たとえ話でイメージ!
照明の調光器(ダイマー)のように、始動時だけ電圧を下げて起動。タップを切り替えて、50%、65%、80%など段階的に電圧を上げていきます。
インバータ
一言でいうと:周波数を自由に変えて、モーターの速度を滑らかに制御する装置
🎹 たとえ話でイメージ!
ピアノの音の高さ(周波数)を変えるように、モーターに供給する電気の周波数を変える装置。周波数を上げればモーターは速く回り、下げれば遅く回ります!
✅ インバータのメリット
・速度を自由自在に調整できる
・始動電流を抑えられる
・省エネ効果が高い
・現代のモーター制御の主流!
V/f制御(V/f一定制御)
一言でいうと:電圧Vと周波数fの比率を一定に保って制御する方法
V/f = 一定
例:200V÷50Hz = 4 → この「4」を保つ!
⚖️ たとえ話でイメージ!
シーソーのバランスを保つイメージ。片方(周波数)を下げたら、もう片方(電圧)も下げてバランスを取る。これをしないと電流が増えすぎてモーターが壊れます!
⚠️ なぜ必要?:周波数だけ下げると、磁束が増えて鉄心が飽和し、電流が急増してモーターが過熱・破損する可能性があります。

🔬 等価回路・その他の用語
等価回路(とうかかいろ)
一言でいうと:複雑なモーターを、抵抗やコイルの回路に置き換えたもの
🗺️ たとえ話でイメージ!
複雑な地形を「地図」に置き換えるように、モーターの動作を「電気回路」に置き換えたもの。計算しやすくなる!
二次抵抗 r₂/s
一言でいうと:等価回路で使う、滑りを含んだ見かけの抵抗
r₂/s = r₂ + r₂(1−s)/s
純抵抗r₂ + 機械的負荷を表す抵抗
💡 ポイント
滑りsが小さいほど(高速回転時)、r₂/sが大きくなる。これは機械的な負荷が増えることを意味します。
励磁電流(れいじでんりゅう)I₀
一言でいうと:回転磁界を作るために必要な電流(無負荷でも流れる)
🔌 たとえ話でイメージ!
スマホを充電器につないでいるだけで少し電気を使うように、モーターも回っていなくても「磁界を作る」ために電流が流れます。これが励磁電流!
単相誘導電動機
一言でいうと:家庭用コンセント(単相100V)で動くモーター
🏠 たとえ話でイメージ!
扇風機、洗濯機、冷蔵庫など、家庭で使われるモーターのほとんどがこれ!ただし、単相だけでは回転磁界が作れないので、コンデンサなどで工夫が必要です。
種類:コンデンサ始動形、コンデンサ運転形、反発始動形
用途:扇風機、冷蔵庫、エアコン、洗濯機など
交番磁界(こうばんじかい)
一言でいうと:N極とS極が同じ場所で入れ替わるだけの磁界(回転しない)
🎸 たとえ話でイメージ!
ギターの弦を弾くと左右に振動するけど、回転はしない。これが交番磁界。単相交流で作られる磁界がこれで、そのままではモーターは回転できません。
⚠️ 問題点:交番磁界=正転の回転磁界+逆転の回転磁界が打ち消し合う → 止まったままでは動けない!コンデンサで解決します。
📝 まとめ|試験で超重要な5つの公式
🎯 この5つを暗記すれば、誘導機は怖くない!
① 同期速度
Ns = 120f / p [min⁻¹]
② 滑り
s = (Ns − N) / Ns
③ エネルギーの比
P₂ : P : Pc = 1 : (1−s) : s
④ 機械的出力
P = (1−s) × P₂ = T × ω
⑤ Y-Δ始動の電流
始動電流 = 直入れの 1/3