理論科目の解説

ノートンの定理|テブナンの裏ワザで電流源等価回路を一瞬で求める

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

😣 こんな経験はありませんか?
  • テブナンの定理は理解した。でも過去問に「ノートンの定理を用いて」と出てきた瞬間フリーズする
  • 「電流源」という概念が、そもそもピンとこない
  • テブナンとノートンの違いがわからない。同じ問題なのに2つの方法があるのはなぜ?
  • 「双対関係」という言葉が参考書に出てくるけど、何がどう双対なのか説明できない
✅ この記事でわかること
  • ノートンの定理が「テブナンの裏ワザ」で簡単に理解できる
  • 電流源等価回路を5ステップで自分で作れる
  • テブナンとノートンの使い分け(並列回路ならノートン圧勝)
  • テブナン⇔ノートンの相互変換公式とその意味

電験三種の参考書を進めていくと、テブナンの定理の次に必ず「ノートンの定理」が出てきます。「テブナンが分かれば十分じゃないの?」と思いながら読んでいませんか?

結論を先に言います。ノートンの定理は、テブナンの定理と完全に対になっている「裏ワザ」です。テブナンが「電圧源で考える」のに対し、ノートンは「電流源で考える」。それだけの違いです。

そして並列回路の問題ではノートンを使った方が圧倒的に速く解けるケースが多々あります。テブナンしか使えない人は、試験で時間を浪費している可能性が高いのです。

📘 まずはテブナンの定理を復習したい方へ
【電験三種・理論】テブナンの定理|複雑な回路を等価回路に変換する →
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本編7回(オームの法則〜テブナンの定理)を理解した上で、過去問でさらに点を稼ぎたい人。基礎が不安な方は本編から読むのがおすすめです。
← 第7回:テブナンの定理 📖 シリーズまとめ記事を見る →

ノートンの前に|「電流源」って何?

ノートンの定理を理解するうえで、まず「電流源」という概念をクリアにしておく必要があります。電気回路で見慣れているのは「電圧源(電池の記号)」のはずです。

🔋

電圧源

  • 常に一定の電圧を出し続ける
  • 電流は負荷によって変わる
  • 例:乾電池、コンセント、バッテリー
  • 記号:丸の中に「+/−」
⚡

電流源

  • 常に一定の電流を流し続ける
  • 電圧は負荷によって変わる
  • 例:トランジスタの定電流回路、太陽電池の一部動作
  • 記号:丸の中に「↑」(矢印)
🔧 現場の声
電流源は実生活では電圧源ほど見かけません。しかし電子回路設計(オペアンプの基準電流回路、LED駆動回路など)では超頻出です。電気主任技術者として工場の電気設備を扱う田中さんも、PLC内部のセンサー駆動回路などで電流源の概念に出会います。
💡 ポイント
電圧源の内部抵抗は「直列」に入りますが、電流源の内部抵抗は「並列」に入ります。これが後で出てくる「双対」の正体です。
おすすめの本

「ノートンの定理」を試験の得点につなげるなら、前後の単元とあわせて教科書で押さえておくと安心です。TAC出版『みんなが欲しかった!』シリーズの、電験三種「理論」の教科書と問題集が1冊になった本です。

ノートンの定理を一言で|「電流源+並列抵抗」に置き換える

ノートンの定理は、たった一文で表せます。

📐 ノートンの定理
どんなに複雑な線形回路も、
「電流源 IN」と「並列抵抗 RN」の2つだけで表せる

テブナンの定理が「電圧源+直列抵抗」だったのに対し、ノートンの定理は「電流源+並列抵抗」。主役の電源と、抵抗のつなぎ方が違うだけです。

項目 テブナン ノートン
電源の種類 電圧源 V₀ 電流源 IN
抵抗のつなぎ方 直列 並列
抵抗の値 R₀ RN(実は同じ値)
得意な問題 直列回路の解析 並列回路の解析
⚠️ 重要な事実
テブナンの抵抗 R₀ と、ノートンの抵抗 RN は完全に同じ値です。なぜなら、どちらも「電源を取り除いて、外から見た抵抗」だからです。これは後の「相互変換」で重要になります。

「双対関係」とは|電圧源⇔電流源、直列⇔並列の鏡像

参考書に出てくる「双対(そうつい)」という言葉。意味は単純で、「あらゆる要素が対になっている関係」のことです。

🔋

テブナン

電圧源
+
直列抵抗

⇄
⚡

ノートン

電流源
+
並列抵抗

電気回路には、こうした「対になる概念」がたくさんあります。参考までに代表的なものを並べておきます。

概念A 双対の概念B
電圧 V 電流 I
直列接続 並列接続
抵抗 R コンダクタンス G (=1/R)
キルヒホッフの電圧則 キルヒホッフの電流則
テブナンの定理 ノートンの定理
💡 試験で使える発想
テブナンの定理を理解しているなら、すべての文字を双対で置き換えるだけでノートンの定理も理解できます。新しく覚えることはほぼゼロ。これが「裏ワザ」と呼ぶ所以です。
おすすめの本

電気回路の基本があいまいなときは、入門書で土台を固めておくと理解が進みます。電気回路の基本を、つまずいている人向けにやさしく解説した入門書です(オーム社)。

ノートン等価回路の作り方|5ステップで完全攻略

それでは実際にノートン等価回路を作る手順を見ていきます。テブナンの手順とほぼ同じで、違うのは「電圧」を求める代わりに「電流」を求める点だけです。

STEP 1

注目したい部分(負荷)を取り外す。残った回路の「2つの端子」を見る。テブナンと全く同じ手順。

STEP 2

2つの端子を「短絡(ショート)」する。そこに流れる電流を求める。これがノートン電流 IN(短絡電流 ISC)。

STEP 3

すべての電源を取り除く。電圧源は短絡(つなげる)、電流源は開放(切り離す)。

STEP 4

2つの端子から見た合成抵抗を求める。これがノートン抵抗 RN(テブナン抵抗 R₀ と同じ)。

STEP 5

等価回路を描く。電流源 IN と並列抵抗 RN を並べる。元の負荷を再びつなぎ直して計算完了。

⚠️ テブナンとの唯一の違い
STEP 2 です。テブナンでは「端子を開放したときの電圧」を求めましたが、ノートンでは「端子を短絡したときの電流」を求めます。
・テブナン:端子オープン → 電圧V₀
・ノートン:端子ショート → 電流IN
この違いだけで、残りの手順は完全に同じです。

例題|実際にノートン等価回路を作ってみる

それでは具体的な数値で、ノートン等価回路を作ってみましょう。

与えられた回路

電圧源:E = 12V
内部抵抗:R₁ = 2Ω(電圧源と直列)
並列抵抗:R₂ = 6Ω(端子間に並列)
負荷:RL(端子間につながっている)
→ この回路の負荷RL側から見たノートン等価回路を求めよ

STEP 1〜2:負荷を外して短絡電流 IN を求める

RL を取り外し、その端子間を導線でショートします。すると R₂ も短絡されてしまうので、電流は R₁ だけを通って流れます。

📐 ノートン電流 IN の計算
IN = E / R₁ = 12V / 2Ω = 6A

STEP 3〜4:電源を消して RN を求める

電圧源 E を短絡(ただの導線に置換)すると、端子から見ると R₁ と R₂ が並列につながった状態になります。

📐 ノートン抵抗 RN の計算
RN = (R₁ × R₂) / (R₁ + R₂) = (2×6)/(2+6) = 12/8 = 1.5Ω

STEP 5:等価回路の完成

✅ 結論
この回路のノートン等価回路は、電流源 IN = 6A と並列抵抗 RN = 1.5Ω で表せる。元の複雑な回路が、たった2つの素子だけになった!

あとは負荷 RL をこの等価回路につなぎ直すだけで、RL に流れる電流は分流の公式で一発計算できます。

📐 負荷RL(例:3Ω)に流れる電流
IL = IN × RN / (RN + RL) = 6 × 1.5 / (1.5 + 3) = 2A

テブナン⇔ノートンの相互変換|公式は超シンプル

テブナン等価回路とノートン等価回路は、同じ回路を別の表し方で書いただけです。だから片方が分かれば、もう片方も即座に作れます。

変換公式

📐 テブナン → ノートン
IN = V₀ / R₀
RN = R₀
📐 ノートン → テブナン
V₀ = IN × RN
R₀ = RN

公式の意味を直感的に説明すると、「電流源と抵抗の並列回路の端子電圧 = IN × RN」がテブナンの電圧源そのもの、というだけです。オームの法則と全く同じ感覚です。

🔋➡️⚡

テブナンをノートンに変換

電圧源 V₀ を抵抗 R₀ で割って IN を求める。抵抗値はそのまま使い、つなぎ方を「直列→並列」に変える。

⚡➡️🔋

ノートンをテブナンに変換

電流源 IN に抵抗 RN を掛けて V₀ を求める。抵抗値はそのまま使い、つなぎ方を「並列→直列」に変える。

🔧 試験で使えるテクニック
問題で「電流源+並列抵抗」が出てきたら、その瞬間にテブナン(電圧源+直列抵抗)に変換すると解きやすくなることがあります。逆もまた然り。「自分の得意な形」に変換するクセをつけると、計算スピードが2倍になります。
おすすめの本

電験三種の試験でどう問われるかは、過去問で確かめるのがいちばんの近道です。電験三種の過去10年分の試験問題をまとめた過去問題集です(2026年度版)。

テブナンとノートン、結局どっちを使えばいい?

両方の定理を理解したうえで、実務・試験での使い分けの指針を示します。

こんなときに使う 推奨
直列回路の解析が中心、電圧源が複数ある テブナン
並列回路の解析が中心、電流源が含まれる ノートン
負荷の電圧を知りたい テブナン
負荷の電流を知りたい ノートン
問題文で指定されている 指定通り
💡 鉄則
「電圧の問題はテブナン、電流の問題はノートン」と覚えてください。例外もありますが、初学者はまずこの基準で十分です。
⚠️ 試験中の判断
電験三種では「テブナンを用いて」と明示されることが多いですが、明示されない場合はノートンの方が早く解けるケースも多いです。両方使えるようにしておけば、試験本番で時間を稼げます。

ノートンの定理でよくある3つの間違い

ノートンの定理を学ぶ初心者が必ず陥る3つの落とし穴を、対処法とセットで紹介します。

間違い①:電流源を「電池」と同じだと思う

電流源は「電圧が変わっても、決まった電流を流し続ける装置」です。電池とは別物。「電流の蛇口」のようなイメージで、出てくる電流が常に一定だと考えてください。

間違い②:電源を消すときの処理を間違える

電源を消すとき、電圧源は短絡、電流源は開放です。これを逆にすると合成抵抗が間違います。覚え方は「電圧源は0V=ただの線、電流源は0A=切れた線」。

間違い③:短絡電流を求めるとき、負荷側で混乱する

ノートン電流 IN は「負荷を取り外して、その端子をショートしたときの電流」です。負荷をつけたままショートしたり、別の場所をショートしたりすると、まったく違う値になります。

💡 正しい手順チェックリスト
□ 負荷を取り外したか?
□ 取り外した端子を導線でショートしたか?
□ そのショート部分に流れる電流(IN)を計算したか?
□ 電源を消すとき、電圧源は短絡・電流源は開放にしたか?
□ 端子から見た合成抵抗(RN)を求めたか?
独学に不安があるなら、通信講座という選び方も

「どこから手をつければいいかわからない」「計算問題で手が止まる」と感じたら、講義と問題演習がセットになった通信講座を使う方法もあります。アガルートアカデミーには電験三種の講座があります。料金や内容は公式サイトで確かめてください。

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まとめ|ノートンはテブナンの「裏ワザ」だった

お疲れ様でした。ノートンの定理を一通り見てきました。最後に、今日覚えて帰ってほしいポイントを3つにまとめます。

📌 今日のポイント3つ
  • ノートンの定理は「電流源 IN + 並列抵抗 RN」で回路を等価変換する手法。テブナンの双対関係。
  • RN はテブナンの R₀ と同じ値。IN = V₀ / R₀ で相互変換できる。
  • 「電圧の問題はテブナン、電流の問題はノートン」と使い分けると試験で時間を稼げる。

ノートンの定理は単独の知識として暗記するのではなく、テブナンとセットで「同じ回路の表現を切り替える技術」として身につけてください。これが試験本番での武器になります。

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シラス
電験三種 / QC検定1級 / パワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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