統計学基礎

箱ひげ図とは?見方と書き方、四分位範囲の求め方|外れ値もわかる計算ツール付き

箱ひげ図を表すアイキャッチ。3つの箱ひげ図が同じ目盛りの上に並び、まん中の箱だけ長い

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箱ひげ図は、最小値・第1四分位数・中央値・第3四分位数・最大値の5つの数を、箱と線(ひげ)で表した図です。見方は見方の節、四分位数の求め方は四分位数と四分位範囲の節、自分のデータは計算ツールで確かめられます。

結論|まず30秒でわかる答え

箱ひげ図は、データを小さい順に並べたときの最小値・第1四分位数・中央値・第3四分位数・最大値(五数要約)を、箱と線(ひげ)で表した図です。箱の中にデータの真ん中の半分が入り、箱の長さ(四分位範囲=第3四分位数-第1四分位数)がばらつきの大きさを表します。いくつかのグループのばらつきを横に並べて比べるのが得意で、製造現場ではラインや号機ごとの寸法の比較などに使います。

箱ひげ図を表すアイキャッチ。3つの箱ひげ図が同じ目盛りの上に並び、まん中の箱だけ長い

箱ひげ図とは?5つの数でデータの散らばりを表す図

箱ひげ図は、データを小さい順に並べて4等分し、その区切りの値を図にしたものです。使う数は次の5つだけです。

数意味図のどこ
最小値いちばん小さい値左(下)のひげの端
第1四分位数(Q1)小さいほうから4分の1の位置の値箱の左(下)の端
中央値(Q2)真ん中の値箱の中の線
第3四分位数(Q3)小さいほうから4分の3の位置の値箱の右(上)の端
最大値いちばん大きい値右(上)のひげの端

この5つをまとめて五数要約といいます。箱の中には、データのちょうど真ん中の半分(25%〜75%)が入ります。

たとえると

クラスの身長順に並んだ列を、4つのグループに区切るようなものです。箱は「真ん中の2グループ」が立っている範囲、ひげは「いちばん前とうしろの人」までの範囲です。

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箱ひげ図の各部の図。左のひげの端が最小値、箱の左端が第1四分位数、箱の中の線が中央値、箱の右端が第3四分位数、右のひげの端が最大値。箱の中に真ん中の半分のデータが入る

四分位数と四分位範囲の求め方

ここでは、日本の中学校で習う方法で求めます。データが偶数個でも奇数個でも、次の手順で同じように求められます。

STEP 1

データを小さい順に並べる

STEP 2

全体の中央値(Q2)を求める

STEP 3

中央値で前半と後半に分ける(データが奇数個のときは、中央値そのものはどちらにも入れない)

STEP 4

前半の中央値が第1四分位数 Q1、後半の中央値が第3四分位数 Q3

STEP 5

四分位範囲=Q3-Q1

例題:10個のデータ

製品の寸法のばらつき(基準からのずれ、単位は μm)を10個測ったとします:22、15、40、18、24、12、20、27、17、21。

STEP 1

並べる:12、15、17、18、20、21、22、24、27、40

STEP 2

中央値:5番目と6番目の平均 (20+21)÷2=20.5

STEP 3

前半 12、15、17、18、20 の中央値 → Q1=17

STEP 4

後半 21、22、24、27、40 の中央値 → Q3=24

STEP 5

四分位範囲=24-17=7

公式
四分位範囲 = Q3 - Q1
POINT

四分位範囲は、両端の極端な値(この例の40)に引っぱられにくいのが長所です。最大値-最小値の「範囲」は40-12=28ですが、真ん中の半分は7の幅に収まっています。

四分位数の求め方の図。12、15、17、18、20、21、22、24、27、40の中央値は20.5、前半の中央値Q1は17、後半の中央値Q3は24、四分位範囲は24−17=7

箱ひげ図の書き方と、外れ値の目安

STEP 1

数直線(目盛り)を引く

STEP 2

Q1 から Q3 まで箱をかき、中央値の位置に線を引く

STEP 3

箱の両端から、最小値と最大値までひげを引く

外れ値の目安:1.5×四分位範囲

ほかから大きく離れた値(外れ値)があると、ひげが長く伸びて、ばらつきが大きく見えてしまいます。そこで、統計ソフトの多くは、次の範囲の外にある値を外れ値として点で表し、ひげはその内側の最大・最小までにします。

公式
下の目安 = Q1 - 1.5×四分位範囲、上の目安 = Q3 + 1.5×四分位範囲

例題では、1.5×7=10.5 なので、下の目安は17-10.5=6.5、上の目安は24+10.5=34.5 です。40は34.5を超えるので外れ値として点で表し、上のひげは27までにします。

注意|ここで間違えやすい

1.5倍という値は広く使われる目安で、決まりではありません。ソフトや教科書によって扱いが違うことがあります。外れ値と判定されたら、まず測りまちがい・記録ミスがないかを確かめ、むやみにデータから消さないことが大切です。

外れ値の図。上の目安は24+1.5×7=34.5で、40は外れ値として点で表し、上のひげは27までにする

箱ひげ図の見方:箱の位置・箱の長さ・ひげ

見るところわかること
箱の長さ(四分位範囲)真ん中の半分のばらつき。長いほどばらつきが大きい
箱の位置と中央値の線データの中心がどこにあるか。グループどうしで中心のずれがわかる
中央値の線の位置と、ひげの長さの左右差分布のかたより。中央値が箱の左に寄り、右のひげが長ければ、大きい値のほうに長く伸びた分布

製造現場での使い方

箱ひげ図がいちばん役立つのは、いくつかのグループを並べて比べるときです。たとえば、ラインA・B・Cの寸法、号機ごと・作業者ごと・材料ロットごとの測定値を、同じ目盛りで横に並べると、「ラインBだけ箱が長い(ばらつきが大きい)」「号機2だけ中央値がずれている」といった違いが一目でわかります。これは、データをグループに分けて比べる層別の考え方そのものです。

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箱ひげ図の見方の図。ラインA・B・Cを同じ目盛りに並べると、ラインBは箱が長くばらつきが大きく、ラインCは中心がずれているとわかる

ヒストグラムとの違いと使い分け

箱ひげ図ヒストグラム
表すもの五数要約(区切りの値)区間ごとのデータの個数
得意なこといくつものグループを並べて比べる1つのグループの分布の形(山が2つある、など)を見る
苦手なこと山が2つあるような分布の形は見えにくいグループが多いと並べにくい
データの数少なめでもかけるある程度の数がないと形がわかりにくい

迷ったら、1つのデータの形をじっくり見たいときはヒストグラム、ラインや条件ごとに比べたいときは箱ひげ図、と使い分けると失敗しません。両方をかいて見比べるのも有効です。

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箱ひげ図とヒストグラムの違いの図。箱ひげ図はグループを並べて比べるのが得意で、ヒストグラムは山が2つあるような1つの分布の形を見るのが得意

四分位数は計算方法で少し変わる(Excelの関数)

四分位数の求め方は1つではありません。同じデータでも、方法によってQ1とQ3が少し違います。例題のデータで比べると次のとおりです。

求め方Q1Q3
中学校の方法(この記事)1724
Excel の QUARTILE.INC 関数17.2523.5
Excel の QUARTILE.EXC 関数16.524.75

Excel(2016以降)には「箱ひげ図」のグラフがあり、四分位の計算方法を選べます。報告書に使うときは、どの方法で求めたかをそろえて書いておくと、ほかの人と数字が食い違ったときに困りません。

POINT

つまり、方法による違いは小さく、図から読み取る結論(どのグループのばらつきが大きいか)はほとんど変わりません。比べるときは、すべてのグループを同じ方法で求めることが大切です。

箱ひげ図の計算ツール(五数要約・四分位範囲・外れ値)

数値をカンマ・スペース・改行で区切って貼り付けると、中学校の方法で五数要約と四分位範囲、外れ値の目安を求めます。

入れた数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。

四分位数は中学校の方法(中央値で前半と後半に分け、奇数個のときは中央値を除く)で求めています。Excel の QUARTILE.INC・QUARTILE.EXC 関数とは少し違う値になることがあります。

箱ひげ図でよくある間違い

よくある間違い正しい考え方
箱の中の線は平均値箱の中の線は中央値。平均値を×などで別に書くことはある
箱が長いほうがデータの数が多い箱の長さはばらつき。データの数はわからない
ひげが長い側にデータがたくさんあるどの区間にも、データはおよそ4分の1ずつ入る。ひげが長いのは値が広く散らばっているから
奇数個のとき、中央値を前半と後半の両方に入れる中学校の方法では、中央値はどちらにも入れない
外れ値はすぐ消してよいまず測定・記録のミスを確かめる。原因がわかるまで消さない
箱ひげ図のよくある間違いの図。箱の中の線は中央値、箱の長さはばらつきでデータの数ではない、どの区間にもデータは約4分の1ずつ入る、外れ値はまず測定や記録のミスを確かめる

よくある質問

Q. 箱ひげ図とは何ですか?

A. データの最小値・第1四分位数・中央値・第3四分位数・最大値の5つの数を、箱と線で表した図です。ばらつきを比べるのに使います。

Q. 箱ひげ図の箱は何を表していますか?

A. 第1四分位数から第3四分位数までの範囲で、データの真ん中の半分が入ります。箱の長さが四分位範囲です。

Q. 四分位範囲の求め方は?

A. 第3四分位数から第1四分位数を引いて求めます。両端の極端な値の影響を受けにくい、ばらつきの目安です。

Q. 箱ひげ図で平均値はわかりますか?

A. 箱の中の線は中央値で、平均値ではありません。平均値を示したいときは、×などの印を別に書き込みます。

Q. 箱ひげ図とヒストグラムの違いは?

A. 箱ひげ図は5つの数でグループどうしを比べるのが得意で、ヒストグラムは1つのデータの分布の形を見るのが得意です。

この記事の要点
  • 箱ひげ図は、最小値・Q1・中央値・Q3・最大値(五数要約)を箱とひげで表す図
  • 箱にはデータの真ん中の半分が入る。箱の長さ=四分位範囲(Q3-Q1)
  • 四分位数は、中央値で前半・後半に分けて、それぞれの中央値を求める
  • 外れ値の目安は Q1-1.5×四分位範囲、Q3+1.5×四分位範囲
  • グループを並べて比べるなら箱ひげ図、1つの分布の形を見るならヒストグラム
箱ひげ図のまとめの図。五数要約を箱とひげで表す、四分位範囲はQ3−Q1、外れ値の目安は1.5×四分位範囲、グループを比べるなら箱ひげ図
この記事の理解を深める本と道具
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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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