回路設計

レベル変換回路の選び方|5V↔3.3Vの4方式と早見表

ブレッドボードの上の小さなレベル変換基板・トランジスタ・抵抗とジャンパー線の写真に、5Vと3.3Vのレベル変換・4つの方式・分圧・FET・専用IC・オープンドレインの文字

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5V と 3.3V のレベル変換は、遅い片方向なら抵抗2本の分圧、I2C のような双方向なら FET(BSS138)、速い信号は専用 IC が基本です。つなぐ信号ごとのおすすめは早見表、選び方は3つの質問で決まります。

結論|まず30秒でわかる答え

レベル変換回路は、まず「そのままつなげないか」をデータシートで確かめてから選びます。5V→3.3V は受ける側の入力電圧の上限、3.3V→5V は5V 側のVIH(H と読む電圧)を見ます。
変換が要るなら、5V→3.3V の遅い片方向は分圧(10kΩ・20kΩ で3.33V)、I2C のような双方向はFET(BSS138)か I2C 用の IC、速い信号は専用 IC、片方向の出力はオープンドレインで相手の電圧にプルアップします。

この記事に出てくる言葉

わからない言葉が出てきたら、ここに戻ってきてください。本文でも、初めて出たところで言い換えます。

レベル変換電圧の違う部品どうしで、H と L を正しく伝えるために電圧を変えること
H・L信号の高い電圧(High)と低い電圧(Low)。L はほぼ0V
VIH・VIL受ける側が H と読む電圧の下限(VIH)と、L と読む電圧の上限(VIL)
絶対最大定格一瞬でも超えてはいけない値。超えると壊れることがある
5V トレラント3.3V で動く部品なのに、入力に5V を入れてもよいこと
保護ダイオードIC の入力の中にあるダイオード。静電気などを電源や GND へ逃がす
プルアップ抵抗線を電源へつなぐ抵抗。だれも L にしていないとき、線を H にする
オープンドレインL にすることしかできない出力。H はプルアップ抵抗が作る
MOSFET(FET)ゲートの電圧で ON・OFF するスイッチの部品

最近のマイコンは3.3V で動くものが多く、センサや表示器には5V で動くものがまだたくさんあります。この2つをつなぐときに出てくるのが、レベル変換回路です。

ネットで調べると「分圧でいい」「専用 IC を使う」「FET が定番」と、いろいろな答えが出てきます。どれも正しいのですが、向いている信号が違います。この記事では、4つの方式を図で比べ、どの信号にどれを使うかを決められるようにします。

ブレッドボードの上の小さなレベル変換基板・トランジスタ・抵抗とジャンパー線の写真に、5Vと3.3Vのレベル変換・4つの方式・分圧・FET・専用IC・オープンドレインの文字

5V と3.3V をそのままつなぐと何が困るのか:向きで違う

5V の出力を3.3V の入力に入れると、入力の上限を超えて壊れることがあります。反対に3.3V の出力を5V の入力に入れると、H と読んでもらえないことがあります。向きによって、困ることが違います。

信号には向きがあります。5V の部品から3.3V のマイコンへ送る向き(5V→3.3V)と、マイコンから5V の部品へ送る向き(3.3V→5V)です。

向き困ることデータシートで見る所
5V→3.3V3.3V の入力に5V が入り、壊れることがある受ける側の入力電圧の上限(推奨動作条件と絶対最大定格)
3.3V→5V3.3V の H が、5V の部品に H と読まれないことがある5V 側の VIH(H と読む電圧の下限)
たとえると

背の高さが違う2人で、手を挙げて合図するようなものです。背の高い人(5V)の手は、背の低い人(3.3V)の頭の上を超えてぶつかることがあります。背の低い人の手は、背の高い人から見ると「挙げた」と見えないことがあります。

つまり、レベル変換は「上の向きは届くか」「下の向きは超えないか」の2つの問題です。

5Vの部品から3.3Vのマイコンへは入力の上限を超えて壊れることがあり、3.3Vから5Vへは H と読んでもらえないことがある図

3.3V→5V:5V 側の VIH に届くかを確かめる

3.3V の出力は H でも最大3.3V です。5V で動く HC 系の IC は H と読む電圧(VIH)が約3.5V なので届きません。HCT 系なら VIH が2.0V なので、3.3V のままで H と読めます。

VIH は「この電圧以上なら H と読む」という下限、VIL は「この電圧以下なら L と読む」という上限です。その間は、H と L のどちらに読むか決まりません。

受ける側VIH(H と読む下限)3.3V の H は
5V の HC(SN74HC04)4.5V で3.15V、6V で4.2V(5V では約3.5V が目安)届かない・余裕がない
5V の HCT(SN74HCT04)4.5〜5.5V で2.0V届く
3.3V の LVC(SN74LVC1G07)3〜3.6V で2.0V届く

同じ5V の IC でも、HC と HCT で VIH が違います。5V の部品に3.3V の信号を入れたいときは、その部品のデータシートの VIH を見ます。HCT のように VIH が2.0V 前後なら、レベル変換なしでつなげます。

注意|「動いた」は余裕があるとは限らない

3.3V の H が VIH の少し上しかないと、温度や電源のばらつきで読めなくなることがあります。VIH に対して、ある程度の余裕があるかを見ます。

つまり、3.3V→5V では、5V 側の VIH が3.3V より十分低いかどうかが分かれ目です。

3.3Vの出力と、5VのHC・5VのHCT・3.3VのLVCの入力のVIHとVILを並べた図。HCのVIHは約3.5V、HCTとLVCは2.0V

5V→3.3V:入力電圧の上限で「5V トレラント」かを確かめる

5V を3.3V の部品の入力に入れてよいかは、データシートの推奨動作条件の「入力電圧 VI」と、絶対最大定格の入力電圧で確かめます。VI の上限が VCC までなら NG、5.5V まで書いてあれば5V を入れてよい(5V トレラント)部品です。

たとえば SN74HC04 の推奨動作条件は、入力電圧 VI が0〜VCC です。3.3V で使うと、入れてよいのは3.3V までです。

一方、SN74LVC1G07 は、VCC が3.3V でも入力電圧 VI が0〜5.5V と書かれています。絶対最大定格も−0.5〜6.5V です。このような部品は、5V の信号をそのまま受けられます。

見る所1

推奨動作条件の「入力電圧 VI」の上限。ふだん使ってよい範囲

見る所2

絶対最大定格の「入力電圧」。一瞬でも超えてはいけない値

見る所3

マイコンなら、ピンごとの表に「5V トレラント」の印があるか

マイコンは、同じ IC でもピンによって5V トレラントかどうかが違うことがあります。ピンの表と注意書きまで確かめます。

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つまり、5V→3.3V は「入力電圧の上限が5V 以上あるか」。書いていなければ、5V を入れない前提で考えます。

SN74HC04は推奨の入力電圧が0〜VCCでNG、SN74LVC1G07は0〜5.5Vで5Vトレラント。見る順番は推奨動作条件の入力電圧、絶対最大定格、5V側のVIH

なぜ5V を入れると壊れるのか:入力の保護ダイオードに電流が流れる

多くの IC の入力には、静電気を逃がすための保護ダイオードが、電源(VCC)と GND に向けて入っています。3.3V の IC に5V を入れると、このダイオードを通って3.3V の電源へ電流が流れ込みます。

保護ダイオードは、入力の電圧が電源より高くなったときに、その分を電源へ逃がす「逃げ道」です。静電気のような一瞬のものを逃がすためのもので、ずっと電流を流す場所ではありません。

SN74HC04 のデータシートでは、入力の電圧が VCC を超えたときに流してよい電流(入力クランプ電流)を ±20mA までとしています。これは絶対最大定格の値で、ふだん使ってよい値ではありません。

5V の出力をそのまま入れると、電流を止めるものがないので、大きな電流が流れることがあります。抵抗を1本入れて電流を小さくしても、その電流は3.3V の電源へ押し込まれ、電源の電圧を持ち上げてしまうことがあります。

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つまり、保護ダイオードを当てにした「抵抗1本」は、レベル変換の方式ではありません。

3.3VのICの入力に5Vの出力をつなぐと、入力からVCCへの保護ダイオードを通って3.3Vの電源へ電流が逆流する図

レベル変換回路の4方式:分圧・FET・専用 IC・オープンドレイン

レベル変換回路は、大きく4つの方式に分けられます。片方向か双方向か、どれくらい速い信号か、で選ぶ方式が変わります。

方式向き速さ部品向いている信号
① 分圧5V→3.3V だけ遅い信号向け抵抗2本UART の RX など
② FET双方向400kHz の I2C までMOSFET 1個+抵抗2本I2C
③ 専用 ICIC による速い信号もIC 1個SPI・速い信号
④ オープンドレイン片方向(上げも下げも)プルアップしだいバッファ IC+抵抗リセット・割り込みなど

どの方式も、5V 側と3.3V 側の GND は共通にします。電圧は GND を基準にした高さなので、GND がつながっていないと変換できません。

つまり、「向き」と「速さ」の2つがわかれば、方式はほぼ決まります。

分圧・FET(BSS138)・専用IC・オープンドレインの4方式を、小さな回路図と特徴で並べた図

① 分圧:抵抗2本で5V を3.3V に下げる

分圧は、5V の信号を抵抗2本で分けて、3.3V 付近まで下げる方式です。10kΩ と20kΩ なら、5V×20k÷(10k+20k)=3.33V になります。5V→3.3V の片方向にしか使えません。

抵抗を2本、縦につなぎ、その真ん中から電圧を取り出します。電圧は、抵抗の大きさの比で分かれます。

分圧の式
出力の電圧 = 入力の電圧 × R2 ÷(R1+R2)

5V×20kΩ÷(10kΩ+20kΩ)=5×20000÷30000=3.33V です。5V 側が5%高い5.25V になっても、5.25×20000÷30000=3.5V です。3.3V 側の入力の上限を超えないかを、データシートで確かめます。

H のときに抵抗に流れる電流は、5V÷30kΩ≒0.17mA です。電池で動く機器では、この電流も考えに入れます。

注意|上げる向き(3.3V→5V)には使えない

抵抗は電圧を下げることしかできません。3.3V を5V に上げることはできないので、反対向きの信号には別の方式を使います。

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つまり、分圧は「下げる向きだけ」の、いちばん安い方法です。

5Vの出力からR1 10kΩとR2 20kΩでGNDへ、その間から3.33Vを3.3Vの入力へ。電流は0.17mA

分圧の弱点:抵抗が大きいと、速い信号の形がくずれる

3.3V 側の入力や配線には、小さな容量(電気をためる性質)があります。分圧の抵抗が大きいと、この容量に電気がたまるのに時間がかかり、速い信号では H と L まで届かなくなります。

分圧の出力から見た抵抗は、R1 と R2 の並列で、10kΩ と20kΩ なら6.67kΩ です。入力と配線の容量を25pF とすると、時定数は6.67kΩ×25pF≒167ns です(容量は計算用の例)。

抵抗時定数(25pF の例)H のときの電流4MHz の SPI
10kΩ・20kΩ167ns0.17mAL(0.8V)まで下がらない
1kΩ・2kΩ17ns1.67mAH と L に届く

115200bps の UART なら1ビットは8.68µs です。10kΩ・20kΩ でも、10% から90% まで上がる時間は約2.2×167ns≒0.37µs で、1ビットの5% もありません。遅い信号なら分圧で十分です。

抵抗を小さくすれば速くなりますが、そのぶん電流が増えます。数MHz の SPI のように速い信号には、分圧ではなく専用 IC を使うほうが確実です。

つまり、分圧は「遅い片方向の信号」向き。速さが要るなら、抵抗を小さくするより方式を変えます。

4MHzの信号を分圧したときの波形(イメージ)。10kΩ・20kΩはVIL0.8Vまで下がらず、1kΩ・2kΩはHとLに届く

② FET 方式(BSS138):1本の線に MOSFET を1個

FET 方式は、N チャネルの MOSFET 1個と、両側のプルアップ抵抗で、双方向に電圧を変える方式です。ゲートを低いほうの電源(3.3V)、ソースを3.3V 側、ドレインを5V 側につなぎます。I2C の SDA と SCL に1個ずつ使います。

この回路は、NXP の資料(AN10441)で紹介されている、I2C 用の双方向レベル変換回路です。向きを決める信号が要らず、どちらの側から L にしても、もう一方へ伝わります。

両側のプルアップ抵抗が、それぞれの電源の電圧で H を作ります。3.3V 側は3.3V、5V 側は5V の H になるので、電圧が変わります。

注意|ソースとドレインの向きを逆にしない

MOSFET の中には、ソースからドレインへ向いたダイオード(ボディダイオード)があります。逆につなぐと、このダイオードを通って5V 側から3.3V 側へ電流が流れ込みます。

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MOSFET がゲートの電圧で ON・OFF するしくみと、ボディダイオードがわかる

つまり、FET 方式は「FET 1個と抵抗2本」で I2C の双方向を作る定番の回路です。

BSS138のゲートを3.3V、ソースを3.3V側のSDA1、ドレインを5V側のSDA2につなぎ、両側にプルアップ抵抗。ソースからドレインへ向いたボディダイオード

FET 方式の3つの状態:どちらが L にしても、両側が L になる

FET 方式は、だれも L にしないとき、3.3V 側が L にしたとき、5V 側が L にしたときの3つの状態で動きます。どの状態でも、両側の H と L がそろいます。

① だれも L にしない

ゲートもソースも3.3V なので、ゲートとソースの間の電圧 VGS は0V。FET は OFF で、両側がそれぞれのプルアップで H(3.3V と5V)になる

② 3.3V 側が L にする

ソースが0V に下がり、VGS が3.3V になって FET が ON。5V 側も FET を通って L になる

③ 5V 側が L にする

まず中のダイオードを通ってソースが下がる。VGS がしきい値を超えると FET が ON になり、3.3V 側も L になる

AN10441 は、この回路を Standard-mode(100kbit/s)と Fast-mode(400kbit/s)の I2C で使えるとしています。H に上がる速さは、両側のプルアップ抵抗と線の容量で決まります。

たとえると

FET は、2つの部屋の間の「自動ドア」です。どちらかの部屋で L のボタンが押されると、ドアが開いて、もう一方の部屋も L になります。だれも押さなければ、ドアは閉じて、それぞれの部屋の明るさ(電圧)のままです。

つまり、FET 方式は「L だけを伝え、H はそれぞれの側が作る」しくみです。I2C のオープンドレインと相性がよい理由がここにあります。

だれもLにしないときFETはOFFで両側がH、3.3V側がLにするとVGSが3.3VでON、5V側がLにすると中のダイオードでソースが下がりON

FET の選び方:しきい値電圧が低い側の電源より十分低いもの

FET 方式の MOSFET は、しきい値電圧 VGS(th)(ON になり始める電圧)が、低いほうの電源電圧より十分低いものを選びます。BSS138 の VGS(th) は0.8〜1.5V なので、3.3V なら余裕があります。

項目BSS138(onsemi)の値意味
VDS50Vドレインとソースの間にかけてよい電圧
ID0.22A流してよい電流(連続)
VGS(th)0.8〜1.5V(標準1.3V)ON になり始めるゲートの電圧
RDS(on)最大6Ω(VGS 4.5V)ON のときの抵抗

②の状態では、ゲートとソースの間に3.3V がかかります。VGS(th) の最大1.5V より十分高いので、FET はしっかり ON になります。

低い側が1.8V だと、VGS(th) の最大1.5V との差が小さく、ON になりきらないおそれがあります。その場合は、もっと低い電圧で ON になる FET か、専用 IC を選びます。

ON のときの抵抗による電圧の上がり方は小さく、5V 側のプルアップが4.7kΩ なら、5V÷4.7kΩ≒1.06mA×6Ω≒6mV です(6Ω は VGS 4.5V のときの最大値なので目安)。

つまり、FET は「低い側の電源で確実に ON になるか」で選びます。

BSS138のVGS(th)0.8〜1.5Vの帯と、低い側の電源3.3V・2.5V・1.8Vの棒。1.8Vでは余裕が少ない

③ 専用 IC:向きの決め方で選ぶ

専用 IC は、向きを DIR ピンで決めるもの、向きを自動で見分けるもの、I2C 専用のものに分かれます。I2C には TXS0108E や PCA9306、プルアップのない速い信号には SN74LVC1T45 や TXB0108 を使います。

IC(TI)向きの決め方向いている信号データシートの値
SN74LVC1T45DIR ピンで決める片方向の速い信号各ポート1.65〜5.5V、3.3V→5V で420Mbps
TXB0108自動(向きを検知)SPI・UART(プッシュプル)外付けのプルアップは50kΩ より大きく
TXS0108E自動(プルアップ内蔵)I2C も SPI もオープンドレイン1.2Mbps・プッシュプル110Mbps
PCA9306自動(スイッチ)I2C・SMBus 専用3.3V↔5V、Standard・Fast-mode

TXS0108E と TXB0108 は、名前が似ていますが使い道が違います。TXB0108 のデータシートには、外付けのプルアップは50kΩ より大きくすること、I2C や1-Wire のようなオープンドレインの線には使わないことが書かれています。I2C には TXS0108E か PCA9306 を使います。

TXS0108E と TXB0108 は、A 側の電源(VCCA)を B 側(VCCB)以下にします。3.3V を A 側、5V を B 側につなぎます。

つまり、専用 IC は「I2C か、それ以外か」で、まず種類を分けて選びます。

SN74LVC1T45・TXB0108・TXS0108E・PCA9306・SN74LVC1G07の向きの決め方・向いている信号・速さの表

④ オープンドレイン:出力を相手の電圧でプルアップする

オープンドレインのバッファ(SN74LVC1G07 など)を3.3V で動かし、その出力を5V へプルアップすると、3.3V の信号を5V の信号に変えられます。L は IC が作り、H はプルアップ抵抗が相手の電圧で作ります。

SN74LVC1G07 は、入力とオープンドレインの出力が5.5V まで使え、上げる向きにも下げる向きにも変換できると書かれています。3.3V で動かすと、入力の VIH は2.0V なので、3.3V のマイコンの H を読めます。

出力が L のときは、IC が線を GND へつなぐので約0V です。H のときは出力が手を離し、4.7kΩ のプルアップが5V へ引き上げます。

流れる電流は5V÷4.7kΩ≒1.06mA です。H へ上がる時間は、プルアップ抵抗と線の容量で決まり、20pF なら10% から90% まで2.2×4.7kΩ×20pF≒207ns です(容量は例)。

POINT|マイコンのピンでもできることがある

マイコンのピンがオープンドレインに設定でき、しかも5V トレラントなら、外の5V へプルアップするだけで同じことができます。ピンの表で、両方の条件を確かめます。

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プルアップ抵抗が線を H にするしくみと、値の選び方の基本がわかる

つまり、オープンドレインは「L は IC、H は相手の電圧のプルアップ」で電圧を変える方法です。

3.3VのマイコンからSN74LVC1G07へ入れ、オープンドレインの出力を4.7kΩで5Vへプルアップして5Vの入力へ

レベル変換回路の選び方:3つの質問で決める

レベル変換回路は、Q1 そのままつなげるか、Q2 双方向か、Q3 5V→3.3V の遅い信号か、の3つの質問で選べます。

Q1

受ける側の入力電圧の上限と VIH は OK か。OK なら、変換なしでそのままつなぐ

Q2

I2C のような双方向か。はいなら、② FET(BSS138)か、PCA9306・TXS0108E

Q3

5V→3.3V の遅い信号か。はいなら① 分圧。速い信号や3.3V→5V なら、③ 専用 IC か④ オープンドレイン

遅い信号の目安は、UART の115200bps(1ビット8.68µs)くらいです。MHz の SPI は、分圧ではなく専用 IC にします。

つまり、まず「変換しなくてよいか」を確かめ、変換するなら向きと速さで決めます。

Q1受ける側の上限とVIHはOKか、Q2双方向か、Q3 5V→3.3Vの遅い信号か、で方式を選ぶフローチャート

レベル変換の早見表:つなぐ信号ごとのおすすめ

答えだけ知りたいときは、つなぐ信号から方式を引きます。決めたあとで、使う部品のデータシートで電圧と速さを確かめます。

信号向きおすすめの方式
UART(5V→3.3V の RX)片方向・遅い① 分圧 10kΩ・20kΩ
UART(3.3V→5V の TX)片方向5V 側の VIH が2.0V(HCT など)ならそのまま、ほかは④
I2C(SDA・SCL)双方向② FET(BSS138)か PCA9306
SPI(数MHz)線ごとに片方向③ 専用 IC(SN74LVC1T45 など)
リセット・割り込み片方向・遅い④ オープンドレイン(SN74LVC1G07)
5V トレラントの入力5V→3.3Vそのまま(データシートで確認)

表は考え方の例です。実際には、使う部品の VIH・VIL・入力電圧の上限・最大の速さで決めます。

つまり、早見表で方式の見当をつけ、データシートで「本当に大丈夫か」を確かめます。

UARTのRXとTX、I2C、SPI、リセット・割り込み、5Vトレラントの入力ごとのおすすめの方式の表

実物で確かめる:両側の H と L をテスターで測る

組んだら、信号を H にした状態と L にした状態で、3.3V 側と5V 側の電圧をテスターで測ります。両側とも、その側の電源の電圧と0V 近くになれば OK です。

手順1

マイコンのプログラムで、出力のピンを H のままにする

手順2

テスターの黒を GND、赤を3.3V 側(A)と5V 側(B)に当てて測る

手順3

ピンを L にして、もう一度 A と B を測る

測る所マイコンが Hマイコンが L
A(3.3V 側)約3.3V0.4V 以下
B(5V 側)約5V0.4V 以下(FET の分だけ数mV 高い)
最低限ここだけ確かめる

①H のとき、5V 側が5V 近くまで上がっているか(3.3V で止まっていたら、5V 側のプルアップがない)。②H のとき、3.3V 側が3.3V を超えていないか(超えていたら、5V が流れ込んでいる)。

余裕があれば

I2C や SPI のように速い信号は、テスターでは平均の値しか見えません。オシロスコープで、両側の波形が H と L まで届いているかも見ます。

つまり、テスターで「止まった H と L」を両側で確かめ、速い信号はオシロで波形を見ます。

BSS138のレベル変換回路の3.3V側Aと5V側Bの測る場所と、Hのとき約3.3Vと約5V、Lのとき0.4V以下の表

よくある失敗4つ:方式の向き・IC の種類・FET の向き・逆流

レベル変換で多い失敗は、I2C に分圧を使う、I2C に TXB0108 を使う、FET の向きやゲートのつなぎ先を間違える、抵抗1本で保護ダイオードに頼る、の4つです。

失敗1:I2C に分圧を使った

分圧は5V→3.3V の片方向だけです。I2C は3.3V 側からも L にするので、5V 側へ L が伝わりません。I2C には FET 方式か、I2C 用の IC を使います。

失敗2:I2C に TXB0108 を使った

TXB0108 はプッシュプルの信号用で、外付けのプルアップは50kΩ より大きくするよう書かれています。I2C の2.2kΩ や4.7kΩ のプルアップとは一緒に使えません。TXS0108E か PCA9306 を選びます。

失敗3:FET の向きやゲートのつなぎ先が逆

ゲートは低いほうの電源(3.3V)、ソースは3.3V 側、ドレインは5V 側です。ゲートを5V につなぐと、3.3V 側に3.3V より高い電圧が出ることがあります。回路図と部品のピン配置(S・D・G)を照らし合わせます。

失敗4:抵抗1本と保護ダイオードに頼った

5V から抵抗1本で3.3V の入力に入れると、電流は保護ダイオードを通って3.3V の電源へ流れ込みます。電源が持ち上がって、ほかの部品の動きがおかしくなることがあります。4方式のどれかにします。

つまり、つなぐ前に「方式の向き」「IC の種類」「FET の向き」「逆流しないか」の4つを確かめます。

I2Cに分圧を使った、I2CにTXB0108を使った、FETの向き・ゲートが逆、抵抗1本と保護ダイオード頼みの4つの失敗

よくある質問(FAQ)

Q. レベル変換回路は必ず要る?

A. 要らないこともあります。受ける側の入力電圧の上限が5V 以上で、VIH が十分低ければ、そのままつなげます。

Q. 5Vを3.3Vに下げる一番簡単な方法は?

A. 抵抗2本の分圧です。10kΩ と20kΩ で3.33V になります。ただし片方向で、速い信号には向きません。

Q. I2Cのレベル変換は何を使う?

A. BSS138 などの FET 1個と両側のプルアップ抵抗か、PCA9306・TXS0108E などの I2C に使える IC です。

Q. BSS138のレベル変換のつなぎ方は?

A. ゲートを3.3V、ソースを3.3V 側、ドレインを5V 側につなぎ、両側にプルアップ抵抗を入れます。

Q. TXS0108EとTXB0108の違いは?

A. TXS0108E はプルアップを内蔵し I2C にも使えます。TXB0108 はプッシュプル用で、I2C には使いません。

Q. 3.3Vの出力を5Vの部品に入れてもいい?

A. 5V 側の VIH が3.3V より十分低ければ使えます。HCT 系のように VIH が2.0V なら、そのままつなげます。

まとめ
  • レベル変換回路は、まずデータシートで「そのままつなげないか」を確かめる
  • 5V→3.3V は入力電圧の上限(5V トレラントか)、3.3V→5V は5V 側の VIH を見る
  • ① 分圧:5V→3.3V の遅い片方向。10kΩ・20kΩ で3.33V
  • ② FET(BSS138):I2C の双方向。ゲートは3.3V、ソースは3.3V 側、両側にプルアップ
  • ③ 専用 IC:I2C は TXS0108E・PCA9306、速い片方向は SN74LVC1T45 など
  • ④ オープンドレイン:SN74LVC1G07 の出力を相手の電圧でプルアップ

次の一歩として、つなぎたい部品のデータシートを開き、受ける側の「入力電圧 VI の上限」と「VIH」の2つを書き出してみてください。この2つで、レベル変換が要るかどうかと、どの方式にするかが決まります。

参考にした資料

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

この記事の理解を深める本と道具
おすすめの道具

回路の電圧や導通を自分の手で確かめるなら、手元にテスターが1台あると便利です。三和電気計器のデジタルマルチメータ(テスター)CD772です。電圧や抵抗などを測れます。

おすすめの道具

回路を実際に組んで、電流や電圧を確かめてみたいときに向いています。サンハヤトのブレッドボード SAD-101です。408個の穴に部品を差し込むだけで、はんだ付けをせずに回路を組めます。

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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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