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第二種電気工事士の技能試験の欠陥とは、試験センターが公表している「欠陥の判断基準」に当てはまる作品の誤りのことです。合否は点数ではなく欠陥の有無で決まり、欠陥が1つでもあれば不合格。判断基準は12の大項目に分かれ、そのうち14か所は「5mm以上」のような数字で線が引かれています。
この記事では、判断基準の12項目を1枚の表にし、数字で決まる基準の早見表、欠陥にならないものとの切り分け、試験センターが「多く見られる」と書いた欠陥5つの防ぎ方を、動く図で順に読んでいきます。
連載の1本目「第二種電気工事士とは」では、欠陥を5行の表で紹介しただけでした。あらためて判断基準の PDF を読むと、大項目が12、数字の入った基準が14か所あり、5行では足りないと分かったので、1本にまとめました。

技能試験の欠陥とは:1つでもあれば不合格になる「作品の誤り」
技能試験は、作品に欠陥があるかないかだけで合否が決まります。欠陥が0なら合格、1つでもあれば不合格。たくさんの作業がうまくできていても、1か所の誤りで落ちる仕組みです。
学科のように「60点以上で合格」という点数の試験ではありません。試験が終わったあと、提出した作品を公表されている判断基準に照らして、欠陥があるかないかを決めます。たとえるなら、車の車検。ブレーキがよく効いても、ライトが1つ点かなければ通りません。
試験センターの「技能試験の概要と注意すべきポイント」(令和8年3月)には、判断基準は試験の環境や代用品を使うことからくる制約を考えて決めたもので、実際の工事では限りなく0mm に近い施工が求められる、と書かれています。判断基準の「5mm以上で欠陥」は、4mm ならよいという意味ではなく、試験で線を引くための数字です。
第二種の試験時間は40分。材料は会場で配られ、工具は自分で持っていきます。作業を始めたあと、リングスリーブ・差込形コネクタ・端子ねじ以外の材料は交換も追加もしてもらえません。器具を割ってしまうと代わりがなく、それがそのまま「器具の破損」という欠陥になります。
欠陥の判断基準12項目の一覧:大きく分けると3つの仲間
欠陥の判断基準は12の大項目です。中身で分けると、①回路と図面どおりか(1〜4)②電線と接続の手仕事(5〜8)③管・枠・その他の部品(9〜12)の3つの仲間になります。
| 番号 | 欠陥の大項目 | どういうことか |
|---|---|---|
| 1 | 未完成のもの | 40分で作り終わらない |
| 2 | 配置・寸法・接続方法等の相違 | 器具の位置・電線の種類・長さ・つなぎ方が配線図や施工条件と違う |
| 3 | 誤接続・誤結線のもの | つなぐ相手をまちがえた |
| 4 | 電線の色別・配線器具の極性の相違 | 白と黒を逆にした |
| 5 | 電線の損傷 | 外装・被覆・心線に傷 |
| 6 | リングスリーブによる圧着接続部分 | スリーブの大きさ・刻印・心線の出方 |
| 7 | 差込形コネクタによる差込接続部分 | 差し込みの深さ |
| 8 | 器具への結線部分 | ねじ締め端子・ねじなし端子へのつなぎ方 |
| 9 | 金属管工事部分 | 管・ボックス・ブッシング・ボンド線 |
| 10 | 合成樹脂製可とう電線管工事部分 | 管・コネクタ・ボックス |
| 11 | 取付枠部分 | 枠の向き・器具の位置 |
| 12 | その他 | 支給品以外の材料・余分な工事・ゴムブッシング・器具の破損 |
電気技術者試験センター「電気工事士技能試験(第一種・第二種)欠陥の判断基準」の大項目。右の列は、枝番の中身を短く言い換えた要旨。
1〜4は、手先の器用さより先に「配線図と施工条件を読み取れているか」の項目です。試験センターの資料は、技能試験で見る力を3つ挙げていて、その1つが「配線図や施工条件を理解し遵守する能力」。電気的に正しくつながっていても、施工条件と違えば欠陥になる、と書かれています。手より先に、目の項目です。
9と10は管を使う工事です。令和8年度の候補問題では、No.11 に金属管(ねじなし電線管 E19)、No.12 に合成樹脂製可とう電線管(PF16)が出てきます。それ以外の11問では、9と10は関係しません。

欠陥になる・ならないの切り分け表
試験センターの資料には「欠陥としない」とはっきり書かれたものがいくつかあります。少し曲がった配線、表面だけの傷、リングスリーブの下端から10mm以内の被覆の傷、ランプレセプタクルなどの台座の欠けは欠陥になりません。
| 場面 | 欠陥になる | 欠陥にならない(資料に明記) |
|---|---|---|
| 配線の形 | 器具の位置・電線の種類が配線図と違う | 多少曲がっている |
| 電線の傷 | 折り曲げると心線が見える・心線が折れるほどの傷 | 表面に傷がついている程度 |
| スリーブの近くの被覆 | 折り曲げると心線が見える被覆の傷 | スリーブの下端から10mm以内の被覆の傷 |
| 器具 | 器具を割った・壊した | ランプレセプタクル・引掛シーリング・露出形コンセントの台座の欠け |
| 差込形コネクタ | 先端に心線が見えない・下端に心線が見える | 追加でもらって使い直した |
| ケーブルの印 | (なし) | ペンで印をつける |
「技能試験の概要と注意すべきポイント」(令和8年3月)の本文・よくある問合せと、欠陥の判断基準 5-2・12-5 のただし書きから。
この表には、資料に「欠陥としない」「問題ありません」と書かれたものだけを入れました。書かれていないことを「たぶん大丈夫」と読むと、本番で迷う原因になります。資料に無いものは欠陥にならないとは言い切らない、という線をこの記事では引いています。迷ったら、資料の文に戻る。
もう1つ、別の落とし穴があります。欠陥とは別に、作品を見てもらえなくなる行いです。電動工具の使用、試験の終了後に作業を続けること、テスターなどの計測器の使用、改造した工具の使用は禁止。電動工具や終了後の作業は不正行為として扱われ、作品は採点の対象になりません。座って作業するのが決まりで、立ち続けると失格です(力を入れるときに一時的に立つのはよいと書かれています)。

数字で決まる欠陥14か所の早見表:5mm・10mm・20mm・2mm
判断基準のうち、数字で線が引かれているのは枝番で数えて14か所です。多いのは「心線が5mm以上見えたら欠陥」。リングスリーブの下端は10mm、ねじなし端子の差込口は2mm(引掛シーリングは1mm)と、場所ごとに数字が違います。
| 番号 | 場所 | 欠陥になる数字 |
|---|---|---|
| 2-2 | 寸法(器具は中心から) | 配線図の寸法の50%以下 |
| 5-1 ロ | ケーブル外装の縦われ | 20mm以上 |
| 5-2 ただし書き | リングスリーブの下端から近くの被覆の傷 | 10mm以内なら欠陥としない |
| 6-2 ロ | リングスリーブの上端から出た心線 | 5mm以上 |
| 6-2 ハ | リングスリーブの下端から見える心線(むき過ぎ) | 10mm以上 |
| 6-2 ニ | 外装のはぎ取り不足で残った絶縁被覆 | 20mm以下 |
| 8-3 イ | 端子台の高圧側の心線(第一種) | 20mm以上 |
| 8-3 ロ | 端子台の低圧側の心線 | 5mm以上 |
| 8-3 ハ | 配線用遮断器・押しボタンスイッチ等の心線 | 5mm以上 |
| 8-3 ニ | ランプレセプタクル・露出形コンセントのねじの端から出た心線 | 5mm以上 |
| 8-7 イ | ねじへの心線の巻き付け | 3/4周以下 |
| 8-7 ハ | ねじの端からはみ出した心線 | 5mm以上 |
| 8-9 | ねじなし端子の差込口から見える心線 | 2mm以上(引掛シーリングは1mm以上) |
| 8-10 | 引掛シーリングの台座の下端から出た絶縁被覆 | 5mm以上 |
欠陥の判断基準の枝番から、数字が入ったものを抜き出した。5-2 のただし書きは「欠陥としない」側の数字。8-3 イ は第一種の高圧側の端子台。
向きに気をつけたい数字が3つあります。外装のはぎ取り不足で絶縁被覆が20mm以下(6-2 ニ)、ねじへの巻き付けが3/4周以下(8-7 イ)、寸法が配線図の50%以下(2-2)は、どれも足りないと欠陥です。たとえば配線図に150mm と書かれた区間なら、150 × 0.5 = 75mm 以下で欠陥になります。
この表は、判断基準の PDF と「注意すべきポイント」の各節の終わりにある「参照すべき欠陥の判断基準項目」を突き合わせて作りました。巻き付けの「3/4周以下」は、PDF の文字をテキストに写すと分数が崩れて別の数字に見えたので、PDF の表示で分数の形を確かめています。

試験センターが「多く見られる」と書いた欠陥5つと、防ぎ方
試験センターの資料が多く見られる欠陥として挙げているのは、①未完成 ②誤接続・誤結線 ③リングスリーブ用圧着工具の使い方 ④引掛シーリングの被覆の出すぎ ⑤ねじへの巻き付けの5つです。
| よくある欠陥 | どういうことか | 資料にある防ぎ方 |
|---|---|---|
| 未完成 | 40分で作り終わらない | 時間内に完成できるよう繰り返し練習する |
| 誤接続・誤結線 | つなぐ相手をまちがえる | 複線図を正しく描く練習。電線どうし・器具への結線を回路どおりに |
| リングスリーブの圧着 | スリーブの大きさ・刻印の誤り、スリーブの破損 | 作品ができたら必ず刻印を確かめる。間違えたら新しいスリーブでやり直す |
| 引掛シーリングの被覆 | 台座の下端から絶縁被覆が5mm以上出る | 仕上がりを考えてシースと被覆をむく長さを決める |
| ねじへの巻き付け | 左巻き・重ね巻き・3/4周以下・はみ出し・カバーが締まらない | 右回りの輪作りと、カバーが締まる被覆の長さを練習する |
「技能試験の概要と注意すべきポイント」(令和8年3月)の「技能試験でよくある欠陥事例」(p.45)から。右の列は資料の文を短くした要旨。
誤接続を防ぐ土台は複線図です。作る前に、紙の上で描く配線の設計図。描き方は連載の3本目「複線図の書き方」で、白 → 黒 → 戻る線の順に1本ずつ描く動く図にしました(記事の終わりの連載の箱から読めます)。描いた複線図の、白がスイッチへ行っていないか・ランプの受金ねじ部とコンセントの W 側が白か、の2点は、色と極性の欠陥(4)にもそのままつながります。
コンセントの長い穴(W 側)に白をつなぐ理由。ホットとコールドの違い
巻き付けは、ランプレセプタクルと露出形コンセントの、ねじで押さえる端子で使う作業です。心線の先を丸めて輪を作り、ねじに掛けて締めます。
理由は、ねじの回る向きです。ねじは右に回すと締まるので、輪も右回りに巻いておけば、締めるほど輪がねじに引き込まれる。左回りの輪は、締めるときに開く向きへ引っぱられます。試験センターの資料は、輪は真円に近く、重ならず、ねじの頭からはみ出さないように、とも書いています。

リングスリーブと差込形コネクタの欠陥:刻印・心線の先・差し込みの深さ
リングスリーブでは、スリーブの大きさと刻印の誤り、1つのスリーブに刻印が2つ、1か所に2個のスリーブ、絶縁被覆の上からの圧着が欠陥です。差込形コネクタは、先端に心線が見え、下端に心線が見えない形にします。
| 枝番 | リングスリーブの欠陥 | 資料の注意・防ぎ方の案 |
|---|---|---|
| 6-1 イ・ロ | スリーブの大きさ・刻印が電線の組合せに合わない | つなぐ点ごとに本数と太さを数える(1.6mm 2本なら○、3〜4本なら小) |
| 6-1 ハ・ニ | スリーブの破損、刻印の一部が先端・末端で欠ける | 資料の注意:刻印が欠けないように、スリーブを割らないように圧着する |
| 6-1 ホ・ヘ | 1つのスリーブに刻印が2つ、1か所に2個のスリーブ | 資料の注意:押し間違えて2度圧着しない。間違えたら新しいスリーブでやり直す |
| 6-2 イ | 上から見て、心線の先が1本でも見えない | 心線の先をそろえてから差し込む |
| 6-2 ホ | 絶縁被覆の上から圧着した | 被覆をむく長さをスリーブに合わせる |
欠陥の判断基準 6-1・6-2 から。右の列の「資料の注意」は「注意すべきポイント」の文の要旨、それ以外は判断基準の文言から作った案(試験センターの指示ではない)。数字の入った 6-2 ロ・ハ・ニ は前の早見表。
工具も欠陥の原因になります。圧着工具は、握りが黄色い、JIS C 9711 に合ったリングスリーブ用のものを使います。圧着端子用の工具で数字の刻印が付いたものや、使い古して刻印がはっきり見えないものは、正しい工具を使ったと認められず欠陥になる、と資料にあります。刻印の選び方の表は、連載の3本目へ。
差込形コネクタは、ケースの中で心線をばねで押さえる部品です。試験では、心線がケースの先端からはっきり見えるまで差し込みます。
差し込みが浅いと先端に心線が見えず(7-1)、被覆をむき過ぎると下端の外に心線が見えます(7-2)。引き抜いて使い回すのは不可。やり直すときは、コネクタの下で電線を切って新しいコネクタでつなぎ直すよう資料に書かれています。差込形コネクタは追加でもらっても欠陥にはなりません。
VVF ケーブルの中の白と黒の電線と、CV・VCT との違い
器具への結線・取付枠・その他の欠陥:引っ張って抜けないか
器具への結線では、ねじで締めていない・引っ張ると抜ける・被覆を締め付けた・心線の出すぎが欠陥です。取付枠は器具の数で位置が決まり、ゴムブッシングを使わない・支給品以外の材料を使う・余分な工事をするのも欠陥になります。
| 場所 | 欠陥になる例(要旨) | 番号 |
|---|---|---|
| ねじ締め端子 | 心線をねじで締めていない(単線は電線を引っ張って外れる) | 8-1 |
| ねじ締め端子 | 絶縁被覆を締め付けた・台座の引込口を通さずに結線した・外装が台座の中に入っていない | 8-4〜8-6 |
| ねじなし端子 | 電線を引っ張って外れる | 8-8 |
| 取付枠 | 裏返しに付けた・器具1個で中央以外・2個で中央に付けた | 11-2・11-4 |
| ボックス | ゴムブッシングを使わない・穴とブッシングの大きさが違う | 12-4 |
| その他 | 支給品以外の材料・不要な工事・余分な工事 | 12-1・12-2 |
欠陥の判断基準 8・11・12 から。右の列は判断基準の枝番。
取付枠の決まりは、器具が1個なら中央、2個なら中央を空けて上下、3個なら施工条件で中央と指定された器具を中央に、です。埋込連用のスイッチやコンセントを並べる枠で、裏返しに付けると欠陥になります。
「余分な工事」の例として資料に挙がっているのが、ジョイントボックスの穴です。施工条件に「打ち抜き済みの穴だけをすべて使用」とあれば、自分で穴を開けても、使わない穴を残しても欠陥になります。

作り終えたあとの見直し:判断基準の順に指でなぞる
作り終えたら、判断基準の順に見直すのが一つの方法です。①配線図と見比べる ②複線図と色をなぞる ③刻印と心線の先 ④器具の心線の出方と引っ張り ⑤余分なものが残っていないか、の順に確かめる案を示します。
| 順 | 見ること | 判断基準の番号 |
|---|---|---|
| 1 | 器具の位置・電線の種類(VVF・VVR・IV)・長さが配線図どおりか | 2 |
| 2 | 複線図と見比べ、つなぐ相手と白・黒の色を指でなぞる | 3・4 |
| 3 | リングスリーブの刻印、上から見て心線の先が全部見えるか | 6 |
| 4 | 差込形コネクタの先端・下端、器具の端子の心線の出方、軽く引っ張って抜けないか | 7・8 |
| 5 | ゴムブッシング・取付枠の向き、束ねたクリップを外したか | 11・12 |
この記事でまとめた見直しの順の案(試験センターの手順ではない)。クリップは「試験終了までに必ず取り外す」と資料にある。
試験センターの資料も、本番では完成した作品の見直しを忘れずに、と書いています。刻印を間違えていたら新しいリングスリーブでやり直す、と具体的に書かれているので、見直しの時間は「直す時間」も含めて考えておく必要があります。
筆者は技能試験を受けていないので、40分のうち見直しに何分を残すのがよいかは書けません。候補問題13問を時間を計って練習するとき、作り終えた時刻と見直しにかかった時間を毎回書き留めておくと、自分の目安が作れます。


