法規科目の解説

接地工事のまとめ|A種〜D種の接地抵抗値・B種の計算・測定方法を図解

接地工事の種類を表すアイキャッチ。A種・B種・C種・D種の4つの接地工事

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • A種・B種・C種・D種の違いがごちゃごちゃになる
  • B種接地抵抗の計算や、外箱の対地電圧の計算で手が止まる
  • 接地抵抗をどうやって測るのか知りたい
この記事でわかること
  • 接地工事4種類の接地抵抗値と施設する場所(第17条・第29条)
  • B種接地抵抗の150/Ig・300/Ig・600/Igと、1線地絡電流Igの求め方
  • 1線地絡のときに外箱にかかる電圧の計算
  • 電位降下法(3極法)での接地抵抗の測り方
  • 機器と電圧から接地工事がわかる判定ツール
結論|まず30秒でわかる答え

接地工事には、電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)第17条で決められたA種・B種・C種・D種の4種類があります。接地抵抗値はA種・C種が10Ω以下、D種が100Ω以下、B種は150/Ig(混触時に1秒を超え2秒以下で遮断するなら300/Ig、1秒以下なら600/Ig)で計算します。1線地絡のとき外箱にかかる電圧はB種とD種の接地抵抗の分圧 V×RD÷(RB+RD) で、接地抵抗は電位降下法で測ります。

接地工事の種類を表すアイキャッチ。A種・B種・C種・D種の4つの接地工事
この記事で整理する決まり(早見表)

項目名を押すと、その節へ移ります。

項目覚える数字根拠
接地工事の種類と接地抵抗値A種・C種10Ω、D種100Ω(0.5秒以内の遮断で500Ω)電技解釈 第17条・第24条・第29条
B種接地抵抗の計算150/Ig・300/Ig・600/Ig第17条(17-1表・17-2表)
外箱の対地電圧の計算V×RD÷(RB+RD)第17条・第29条(計算)
接地抵抗の測定方法E〜P約10m・E〜C約20m測定の方法(計算)

接地工事とは?電気の「逃げ道」を地面につくる工事

接地(アース)は、もしものときに電気を地面へ逃がす道です。機器の中で絶縁が傷んで外箱に電気が漏れても、外箱が地面とつながっていれば、電気は人の体ではなく接地線を通って地面へ流れます。

目的どう役立つか
感電を防ぐ漏れた電気を接地線へ流し、外箱の電位が上がるのを抑える
火災を防ぐ漏電を早く検出し、遮断器を確実に動かす
低圧側を守る高圧と低圧がふれたとき(混触)に、低圧側の電位が上がりすぎないようにする(B種)

どんな接地をどこに施すかは、電気設備に関する技術基準を定める省令(電技)第10条・第11条を受けて、電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)に具体的に書かれています。

電技解釈とは?電技との違いと「一例」の意味を法令の階層で図解
あわせて読みたい
電技解釈とは?電技との違いと「一例」の意味を法令の階層で図解

電技と電技解釈の違い

接地工事の役割の図。機器の外箱から漏れた電気を接地線で地面へ流し、感電を防ぐ、火災を防ぐ、低圧側を守る

A種・B種・C種・D種の接地抵抗値と接地線(第17条)

種類接地抵抗値接地線(軟銅線の場合)
A種10Ω以下直径2.6mm以上(引張強さ1.04kN以上の金属線でもよい)
B種150/Ig 以下(混触時に1〜2秒で遮断するなら300/Ig、1秒以内なら600/Ig)直径2.6mm以上(高圧と低圧を結合する変圧器など)。それ以外は直径4mm以上
C種10Ω以下(0.5秒以内に遮断する装置があれば500Ω以下)直径1.6mm以上(引張強さ0.39kN以上の金属線でもよい)
D種100Ω以下(0.5秒以内に遮断する装置があれば500Ω以下)直径1.6mm以上(C種と同じ)

Igは、変圧器の高圧側(または特別高圧側)の電路の1線地絡電流です。B種だけが、決まった数字ではなく計算で値が決まる点が大きな違いです。

覚え方

抵抗値は「A種とC種が10Ω、D種が100Ω、B種は計算」。0.5秒以内に遮断する装置があると、C種とD種は500Ωまで緩みます(A種とB種は緩みません)。

接地工事4種類の接地抵抗値の図。A種10Ω以下、B種は150/Igなど計算、C種10Ω以下、D種100Ω以下。0.5秒以内に遮断する装置があればC種とD種は500Ω以下

どこにどの接地工事を施すか

機械器具の金属製外箱等(第29条)

機械器具の使用電圧接地工事
低圧 300V以下D種接地工事
低圧 300V超過C種接地工事
高圧または特別高圧A種接地工事

そのほかの場所

場所接地工事根拠
高圧・特別高圧と低圧を結合する変圧器の低圧側の中性点(300V以下で中性点に施し難いときは1端子)B種第24条
高圧計器用変成器の2次側電路D種第28条
特別高圧計器用変成器の2次側電路A種第28条
高圧・特別高圧の電路に施設する避雷器A種第37条

つまり、A種は高い電圧の機器と避雷器、B種は変圧器の低圧側、C種とD種は低圧の機器の外箱、と覚えると整理しやすくなります。

【電験三種・電力】中性点接地方式|直接接地・抵抗接地・消弧リアクトル接地・非接地の違いを完全図解
あわせて読みたい
【電験三種・電力】中性点接地方式|直接接地・抵抗接地・消弧リアクトル接地・非接地の違いを完全図解

中性点接地方式(電力)との違い

接地工事を施す場所の図。B種は変圧器の低圧側、A種は避雷器や高圧の機器、C種は300Vを超える低圧の機器、D種は300V以下の機器

500Ωに緩む条件と、接地を省略できる場合

C種・D種が500Ωまで緩む条件

低圧電路で地絡が起きたときに、0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置(漏電遮断器など)を施設すると、C種・D種の接地抵抗値は500Ω以下でよくなります。早く遮断できれば、外箱に電圧がかかる時間が短くなるからです。

金属製外箱の接地を省略できる主な場合(第29条第2項)

省略できる場合例
交流の対地電圧150V以下の機器を乾燥した場所に施設する乾いた部屋の100V機器
2重絶縁の構造の機器(電気用品安全法の適用を受けるもの)回マークの電動工具など
定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の電流動作型漏電遮断器を施設する(水気のある場所以外)高感度の漏電遮断器のある回路
低圧の機器を乾燥した木の床など絶縁性のものの上で扱う木製の床の上の作業台

接地極と接地線の施設(人が触れるおそれがある場所のA種・B種)

接地極は地下75cm以上に埋め、鉄柱の近くでは底面から30cm以上深くするか地中で1m以上離します。接地線の地下75cmから地表上2mまでは、合成樹脂管などで覆います(第17条第1項第三号)。

漏電遮断器と配線用遮断器の違い|なぜ2種類あるのか
あわせて読みたい
漏電遮断器と配線用遮断器の違い|なぜ2種類あるのか

漏電遮断器と配線用遮断器の違い

接地工事の緩和と施設方法の図。0.5秒以内に遮断する装置があればC種とD種は500Ω以下に、接地極は地下75cm以上に埋め、接地線は地表上2mまで覆う

どの接地工事?判定ツール

機器の種類と使用電圧を選んでください。施す接地工事の種類、接地抵抗値の上限、接地線の太さ、根拠の条文を表示します。

選んだ内容は画面の中で判定するだけで、どこにも送信されません。条文の例外(接地を省略できる場合など)は本文を確かめてください。

電験三種での出題と、よくある間違い

法規では、接地抵抗値の数字を問う穴埋めと、B種・D種の接地抵抗値を求める計算が出ています(平成22年度 問12、令和6年度上期 問13など。B種接地工事だけの計算は令和元年度 問13、令和5年度上期 問12、令和6年度下期 問4)。

よくある間違い正しい考え方
B種も10Ω以下B種は150/Igなど計算で決まる
A種も0.5秒で500Ωに緩む500Ωに緩むのはC種とD種だけ
300Vの機器はC種300V以下はD種、300Vを超えるとC種
高圧計器用変成器の2次側はA種高圧はD種、特別高圧はA種
B種は機器の外箱に施すB種は変圧器の低圧側の中性点(または1端子)
接地工事のよくある間違いの図。B種は計算で決まる、500Ωに緩むのはC種とD種、300V以下はD種、高圧計器用変成器の2次側はD種

ここからは、接地工事の種類と接地抵抗値とあわせて出る決まりを、1つずつ節にまとめます。どの節も、条文の数字・図・過去問の順に読めます。

B種接地抵抗の計算|150/Ig・300/Ig・600/Igと1線地絡電流

要点

B種接地抵抗の上限は、変圧器の高圧側の1線地絡電流 Ig で決まり、ふつうは150/Ig(Ω)です(電技解釈第17条)。高圧と低圧がふれたとき(混触)に自動で遮断する装置があれば、遮断時間が1秒を超え2秒以下なら300/Ig、1秒以下なら600/Igまで緩みます。Ig は17-2表の式で求め、小数点以下を切り上げ、2A未満なら2Aにします。

なぜ150/Igなのか?混触したとき低圧側を150Vにおさえるため

B種接地工事は、変圧器の中で高圧と低圧がふれた(混触した)ときの安全装置です。混触すると、高圧側の地絡電流 Ig が低圧側の接地を通って大地へ流れ、そのぶん低圧電路の対地電圧が上がります。

公式
低圧側の対地電圧 = Ig × RB ≦ 150 V → RB ≦ 150 / Ig

接地抵抗 RB が小さいほど、混触したときに低圧側の電圧は上がりにくくなります。150/Ig は、低圧側の対地電圧を150V以下におさえるための上限です。

B種接地抵抗が150/Igになる理由の図。変圧器で高圧と低圧が混触すると、地絡電流IgがB種接地抵抗RBを流れ、低圧側の電圧がIg×RBになる。これを150V以下にするためRBを150/Ig以下にする

150/Ig・300/Ig・600/Igの使い分け(17-1表)

混触したときの遮断B種接地抵抗の上限
自動で遮断する装置がない(下記以外)150 / Ig
1秒を超え2秒以下で遮断する300 / Ig
1秒以下で遮断する600 / Ig

300・600に緩められるのは、高圧または35,000V以下の特別高圧と低圧を結合する変圧器で、混触して低圧側の対地電圧が150Vを超えたときに、高圧(特別高圧)側を自動で遮断する装置がある場合です。早く切れるほど、電圧が上がっている時間が短いので、抵抗値を大きくしてよいという考え方です。

あわせて覚える

計算した値が小さくても、B種接地抵抗は5Ω未満にする必要はありません(第24条)。

B種接地抵抗の使い分けの図。遮断装置がなければ150/Ig、1秒超2秒以下で遮断すれば300/Ig、1秒以下で遮断すれば600/Ig

1線地絡電流Igの求め方(17-2表)

Igは実測値か、高圧電路では次の式で計算します(中性点非接地式の電路)。

公式
I1 = 1 + (V'/3 × L − 100) / 150 + (V'/3 × L' − 1) / 2
記号意味注意
V'公称電圧を1.1で割った電圧(kV)6.6kVなら V' = 6
L架空電線路(ケーブル以外)の電線延長(km)こう長 × 電線の本数(三相3線なら×3)
L'ケーブルの線路延長(km)こう長そのまま(本数を掛けない)

計算のルール

ルール内容
負の項は0第2項・第3項が負になったら0にする
切り上げ計算した I1 は小数点以下を切り上げる
最小2A切り上げても2A未満なら2Aとする

いちばん間違えやすいのは、架空は「電線延長」(本数を掛ける)、ケーブルは「線路延長」(掛けない)という区別です。

1線地絡電流の計算式の図。I1は1たす(V'/3×L−100)/150たす(V'/3×L'−1)/2。架空のLはこう長に本数を掛けた電線延長、ケーブルのL'はこう長そのまま。切り上げ、2A未満は2A

例題:6.6kVの配電線でB種接地抵抗の上限を求める

問題:公称電圧6.6kV、中性点非接地式の三相3線式の架空配電線路(こう長60km、ケーブルなし)に接続された柱上変圧器の低圧側に、B種接地工事を施します。混触時に自動遮断する装置がない場合と、1秒以内に遮断する装置がある場合の上限を求めます。

STEP 1

V' = 6.6 ÷ 1.1 = 6(kV)。V'/3 = 2

STEP 2

電線延長 L = 60km × 3線 = 180km。第2項 = (2 × 180 − 100) / 150 = 260 / 150 ≒ 1.733

STEP 3

ケーブルなしなので第3項 = 0。I1 = 1 + 1.733 = 2.733 → 切り上げて 3A

STEP 4

遮断装置なし:RB ≦ 150 / 3 = 50Ω

STEP 5

1秒以内に遮断:RB ≦ 600 / 3 = 200Ω

同じ母線にケーブル5kmもつながっていると、第3項 = (2 × 5 − 1) / 2 = 4.5 となり、I1 = 1 + 1.733 + 4.5 = 7.233 → 8A、上限は150 / 8 = 18.75Ω まで小さくなります。ケーブルは対地静電容量が大きいので、地絡電流がふえるからです。

B種接地抵抗の例題の図。V'は6、電線延長Lは180km、I1は2.73で切り上げて3A、B種接地抵抗の上限は150/3で50Ω

外箱の対地電圧の計算|1線地絡でB種とD種に分かれる電圧

要点

低圧の機器で1線地絡(電線が外箱にふれる事故)が起きると、地絡電流は外箱のD種接地抵抗RDから大地を通り、変圧器のB種接地抵抗RBを通って戻ります。外箱の対地電圧はこの2つの抵抗の分圧で、V×RD÷(RB+RD) になります(Vは地絡した電線の対地電圧)。RDを小さくするほど、外箱の対地電圧は低くなります。

1線地絡で、電流はどこを通って戻るのか

高圧を低圧に下げる変圧器の低圧側には、B種接地工事(変圧器の低圧側の1点を大地につなぐ接地)が施されています。機器の金属製の外箱には、D種接地工事(300V以下の低圧機器の外箱の接地)が施されています。

機器の中で電線が外箱にふれると、電流は次の順に流れて、変圧器へ戻ります。

STEP 1

変圧器の低圧側の電線 → 機器の中で外箱にふれる(地絡)

STEP 2

外箱 → D種の接地線 → 大地(D種接地抵抗RD)

STEP 3

大地 → B種の接地線 → 変圧器(B種接地抵抗RB)

電流の通り道に、RDとRBが直列に入っています。電線や機器の中の抵抗は、接地抵抗に比べて小さいので無視します。

公式
地絡電流 I=V÷(RB+RD)、外箱の対地電圧 VD=I×RD=V×RD÷(RB+RD)
たとえると

2つの抵抗の分圧は、電池に2つの抵抗を直列につないだ回路と同じです。電池の電圧(100V)が、RBとRDに、抵抗の大きさの比で分かれます。RDのほうが大きいと、外箱側に大きな電圧がかかります。

1線地絡の電流の道すじの図。電線から外箱へ地絡し、D種接地から大地、B種接地から変圧器へ戻る。外箱の対地電圧はV×RD÷(RB+RD)

例題:D種接地抵抗で、外箱の電圧はどれだけ変わる?

対地電圧100Vの低圧電路で、B種接地抵抗がRB=20Ωとします。機器が完全に地絡したときの、外箱の対地電圧を比べます(自作の例題です)。

D種接地抵抗 RD地絡電流 I=100÷(20+RD)外箱の対地電圧 I×RD
80Ω100÷100=1A80V
40Ω100÷60≒1.67A約66.7V
10Ω100÷30≒3.33A約33.3V
POINT

D種接地工事の上限は100Ωですが、上限を守っていても、外箱には数十Vの電圧が残ることがあります。人がふれると危ない電圧なので、低圧の電路には、地絡を検出して電路を切る漏電遮断器を組み合わせます。D種接地は「外箱の電圧を下げる」、漏電遮断器は「早く切る」役割です。

注意|ここで間違えやすい

地絡電流は、1Aや3A程度と小さいことがあります。配線用遮断器(過電流で切れる遮断器)は、この程度の電流では切れません。地絡は、過電流とは別に、漏電遮断器で見張ります。

電験三種の過去問で確かめる

この計算は、B種接地抵抗の上限を求める問題とセットで出題されます。

年度・問題条件答え
平成25年度 問13(a)1線地絡電流3A、150Vを超えたら1.2秒で遮断B種の上限 RB=300÷3=100Ω
平成25年度 問13(b)使用電圧100Vの電動ポンプが完全地絡。外箱を25V以下にRD≒33.3Ω → 選択肢では30Ω
平成21年度 問11・令和8年度上期 問12(再出題)対称三相3線式、一相の絶縁抵抗RG=100Ω、RB=15Ω、C=0.1μF、100V・50HzB種接地線の電流 約0.87A

平成25年度 問13(b)の解き方

STEP 1

分圧の式を立てる:25=100×RD÷(RD+100)

STEP 2

両辺を25で割って整理:RD+100=4RD

STEP 3

RD=100÷3≒33.3Ω

STEP 4

「25V以下」なので、33.3Ωを超えない選択肢の30Ωを選ぶ

注意|ここで間違えやすい

33.3Ωに「最も近い」35Ωを選ぶと、外箱は25Vを超えてしまいます。上限を求める問題では、計算した値を超えない側を選びます。

平成21年度 問11(b):静電容量はほとんど効かない

絶縁が下がった相の抵抗RGと、B種接地抵抗RBの直列に、電路の対地静電容量がRBと並列に入る回路です。接地線の電流は IB=E÷√((RG+RB)²+(6πfCRBRG)²) です。数値を入れると、6πfCRBRG≒0.141で、RG+RB=115に比べてとても小さいので、IB≒100÷115≒0.87Aになります。

D種接地抵抗の上限の計算の図。100V・B種100Ωで外箱を25V以下にするには、25=100×RD÷(RD+100)からRD≒33.3Ω、選ぶのは30Ω

接地抵抗の測定方法|電位降下法と補助接地極の配置

要点

接地抵抗の測定方法の基本は、接地抵抗計を使う電位降下法(3極法)です。測りたい接地極Eから離れた場所に電流用補助極(H、C)を打って交流の電流を流し、その途中に打った電圧用補助極(S、P)とEの間の電圧を測って、R=V÷I で接地抵抗を求めます。一般的には、E・S・Hを一直線に並べ、E〜Sを約10m、E〜Hを約20mにします。

接地抵抗とは?測る値と、守る値

接地抵抗とは、接地極(地面に埋めた金属の棒や板)から大地へ電流が流れるときの「流れにくさ」です。漏電したときに機器の外箱の電圧を低く抑え、遮断器を確実に働かせるために、接地工事の種類ごとに上限の値が決まっています。

接地工事接地抵抗値(電技解釈 第17条)主な対象
A種10Ω以下高圧・特別高圧の機器の外箱、避雷器など
B種150/Ig Ω以下(遮断装置により300/Ig・600/Ig)高圧と低圧を結ぶ変圧器の低圧側
C種10Ω以下(0.5秒以内に自動遮断するなら500Ω以下)300Vを超える低圧の機器の外箱など
D種100Ω以下(0.5秒以内に自動遮断するなら500Ω以下)300V以下の低圧の機器の外箱など

この値を守れているかは、工事のあとや定期点検で、実際に測って確かめます。そのための道具が接地抵抗計(アーステスタ)です。

電位降下法(3極法)のしくみ

接地抵抗計には、E(被測定接地極)、P(電圧用補助極。Sと書くこともある)、C(電流用補助極。Hと書くこともある)の3つの端子があります。

STEP 1

測りたい接地極Eと、遠くに打った電流用補助極Cの間に、交流の電流Iを流す

STEP 2

電流は大地を通ってEからCへ流れ、Eのまわりの地面の電位が上がる

STEP 3

EとCの途中に打った電圧用補助極Pで、EとPの間の電圧Vを測る

STEP 4

接地抵抗 R=V÷I を計算する(接地抵抗計は、この値を直接表示する)

Eのすぐ近くとCのすぐ近くでは、地面の電位が急に変わります。その間に、電位がほとんど変わらない平らな部分があり、Pをそこに置くと、Eの接地抵抗だけを測れます。そのため、E・P・Cを一直線に並べ、E〜Pを約10m、E〜Cを約20mにするのが一般的です。接地抵抗計の付属のリード線も、電圧用10m・電流用20mのように、この配置に合わせた長さのものがあります(横河計測 3235 の例)。

たとえると

坂道の途中で高さを測るのと似ています。急な坂(Eのすぐそば)やもう一つの急な坂(Cのすぐそば)で測ると値が大きく変わりますが、その間の平らな道(Pを置く場所)なら、どこで測ってもほぼ同じ高さになります。

注意|ここで間違えやすい

測る前に、地電圧(測定とは関係なく大地に生じている電圧)を確かめます。地電圧が大きいと誤差が出るので、たとえば3V以下であることを確かめてから測ります(パナソニックの解説)。数値は機種の取扱説明書で確かめてください。

電位降下法の図。測る接地極E、電圧用補助極P、電流用補助極Cを一直線に並べ、E〜Pは約10m、E〜Cは約20m。Pは地面の電位が平らな所に置く

補助極を打てないときの2極法(簡易測定)

ビルの中や舗装された場所では、補助接地棒を打てないことがあります。その場合は、PとCの端子をつないで、接地抵抗の小さいことがわかっている既存の接地体(金属製の水道管や建物の接地など)を補助極の代わりに使う2極法で測ります。

3極法(電位降下法)2極法(簡易測定)
補助極電圧用Pと電流用Cの2本を打つ既存の接地体を1つ使う(PとCをつなぐ)
測れる値Eの接地抵抗Eの接地抵抗+補助に使った接地体の接地抵抗
向いている場面A種・B種など、小さい値を正確に測るときD種など、簡単な接地の確認
注意|ここで間違えやすい

2極法の値には、補助に使った接地体の抵抗も足されています。横河計測の取扱説明書では、2極法はD種接地のような簡単な接地にとどめ、10Ω以下の接地抵抗は3極法で測るように書かれています。金属の水道管でも、途中が樹脂管だと補助極に使えません。

電験三種の過去問:接地極の長さと補助極の配置

令和7年度下期 問11では、棒状接地極の長さの計算(a)と、補助接地極の配置(b)が出題されました。

公式
棒状接地極の接地抵抗 R=ρ/(2πL)×ln(4L/d)

ρは大地抵抗率[Ω·m](土の電気の通しにくさ)、Lは接地極の長さ[m]、dは直径[m]、lnは自然対数です。ρ=150Ω·m、d=14mmで、R≦100Ωにするのに要る最小の長さを求める問題でした。

STEP 1

L=1.5mで確かめる:4L/d=6÷0.014≒428.6、ln(428.6)≒6.060

STEP 2

ρ/(2πL)=150÷(2π×1.5)≒15.92

STEP 3

R≒15.92×6.060≒96.5Ω → 100Ω以下を満たす

STEP 4

L=1.2mなら:ln(342.9)≒5.837、150÷(2π×1.2)≒19.89、R≒116Ω → 満たさない。よって答えは1.5m

(b)は、Eから一直線上にS(電圧用)、さらに遠くにH(電流用)を置く配置が正解でした。電圧用の補助極が、Eと電流用の補助極の間にあることを覚えておきましょう。

例題:接地極を長くすると接地抵抗はどれだけ下がる?

STEP 1

ρ=100Ω·m、d=14mm、L=1.5m:100÷(2π×1.5)≒10.61、ln(428.6)≒6.060 → R≒64.3Ω

STEP 2

L=3m(2倍):100÷(2π×3)≒5.305、ln(857.1)≒6.754 → R≒35.8Ω

POINT

長さを2倍にしても、接地抵抗は半分より少し大きい値(約56%)にしか下がりません。lnの部分が少し増えるからです。値が足りないときは、接地極を並べて打ったり、深く打ったりして下げます。

棒状接地極の接地抵抗の計算の図。ρ=150Ω·m、直径14mm、長さ1.5mで、4L/d≒428.6、ln≒6.060、ρ/(2πL)≒15.92、接地抵抗は約96.5Ωで100Ω以下

よくある質問

Q. 接地工事の種類はいくつ?

A. 電技解釈第17条で、A種・B種・C種・D種の4種類が決められています。

Q. D種接地工事の接地抵抗値は?

A. 100Ω以下です。0.5秒以内に自動遮断する装置があれば500Ω以下でよくなります。

Q. B種接地工事はどこに施す?

A. 高圧・特別高圧と低圧を結合する変圧器の、低圧側の中性点(300V以下で難しいときは1端子)です。

Q. C種とD種の違いは?

A. C種は300Vを超える低圧の機器、D種は300V以下の機器の外箱に施し、抵抗値はC種10Ω以下・D種100Ω以下です。

Q. A種接地工事の接地線の太さは?

A. 直径2.6mm以上の軟銅線、または引張強さ1.04kN以上の腐食しにくい金属線です。

Q. B種接地抵抗の計算式は?

A. 上限は150/Ig(Ω)です。混触時に1秒超2秒以下で遮断するなら300/Ig、1秒以下なら600/Igです。

Q. 外箱の対地電圧の求め方は?

A. 地絡電流I=V÷(RB+RD)を求め、外箱の対地電圧はI×RDで求めます。2つの接地抵抗の分圧です。

Q. 接地抵抗の測定方法は?

A. 接地抵抗計で電位降下法(3極法)を使います。補助接地極を2本打ち、電流を流して電圧を測り、R=V÷Iで求めます。

まとめ
  • 接地工事はA種・B種・C種・D種の4種類(電技解釈第17条)
  • 抵抗値はA種・C種10Ω、D種100Ω、B種は150/Igなど計算
  • 外箱は300V以下D種・300V超C種・高圧以上A種(第29条)
  • B種は変圧器の低圧側、避雷器と特別高圧の計器用変成器はA種
  • 0.5秒以内に遮断すればC種・D種は500Ωまで緩む
  • B種接地抵抗は150/Ig。混触時の遮断が1秒超2秒以下なら300/Ig、1秒以下なら600/Ig
  • 1線地絡のときの外箱の対地電圧は V×RD÷(RB+RD)。RDを小さくするほど低くなる
  • 接地抵抗は電位降下法で測る。補助極は一直線に約10m・約20m
接地工事の種類のまとめの図。A種とC種は10Ω、D種は100Ω、B種は150/Igなどで計算、外箱は電圧でD種・C種・A種、0.5秒以内の遮断でC種とD種は500Ω
参考にした資料

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

この記事の理解を深める本と道具
おすすめの本

「接地工事の種類」を、電技と電技解釈の条文で確かめたいときに向いています。電気設備に関する技術基準を定める省令(電技)と、その解釈(電技解釈)の条文をまとめた本です(2026年版)。

¥1,650 (2026/10/09 07:24時点 | Amazon調べ)
おすすめの本

「接地工事の種類」を試験の得点につなげるなら、法規科目の教科書で前後の決まりとあわせて押さえておくと安心です。TAC出版『みんなが欲しかった!』シリーズの、電験三種「法規」の教科書と問題集です(第3版)。フルカラーの教科書に重要な過去問が付いています。

S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

独学に不安があるなら、通信講座という選び方も

「どこから手をつければいいかわからない」「計算問題で手が止まる」と感じたら、講義と問題演習がセットになった通信講座を使う方法もあります。SATの電験三種講座(第三種電気主任技術者講座)は、フルカラーのテキストと講義動画で学べて、メールなどで質問もできます。料金や内容は公式サイトで確かめてください。

SATの電験三種講座(第三種電気主任技術者講座)を見る

次に読むべき記事

接地工事の4種類がわかったら、電圧の区分(低圧・高圧・特別高圧)を押さえると、どの機器に何種を施すかが迷わなくなります。

低圧・高圧・特別高圧とは?600V・750V・7000Vの境界と覚え方を図解
まずはここから
低圧・高圧・特別高圧とは?600V・750V・7000Vの境界と覚え方を図解

低圧・高圧・特別高圧の境界

区分を見る →
この記事の続きはこちら

テーマ別に、もっと深く学ぶ

気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。

つまずきやすい「違い」を一気に解決
あわせて読む

タグ

-法規科目の解説
-, ,