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電験三種の完全CBT化で、受け方の「紙かパソコンか」は2028年度から1つになります。CBT(シー・ビー・ティー)は、テストセンターのパソコンで問題を読み、画面で答えを選ぶ受け方です。紙の問題集を、タブレットで解くようになるイメージに近い。中身の問題は今も筆記と同じで、変わるのは「読む場所」と「書く場所」です。
この記事を書いたのは、10月30日の発表で、今から受ける人の受け方が変わるからです。発表の中身と出典の強さ、今は公式に決まっていること、移行前に受ける人の戦略、そしてCBTで受かるための練習を、申込から当日まで順に並べます。

電験三種の完全CBT化はいつから?発表の中身と出典
電験三種の完全CBT化は令和10年度(2028年度)の上期試験からです。2026年10月30日に試験センターのプレス懇談会で発表され、出版社の電気書院と資格の学校TACがそれぞれ同じ日に伝えました。10月31日時点で、試験センターの公式サイトにはまだ載っていません。
出典の強さは正直に書いておきます。この記事の「令和10年度から完全移行」は、懇談会に出た2社の報告に基づきます。試験センターの公式の文書が出たら、そちらに差し替えます。移行後に過去問が公表されるか、会場の数、令和9年度の受け方の細部は、まだ出ていない。
流れとしては自然な発表です。電験三種のCBTの受験者は令和8年度上期で44.9%まで増え、試験センターは令和8年度の日程の案内で三種に「CBT方式をお勧めします」と書いていました。筆者なら、今から勉強を始める人は最初からCBTで練習を組みます。理由は次の節のとおり。科目合格で持ち越した科目は、移行後にCBTで受けることになるからです。
2028年度の移行前に受ける人の戦略は2つ
今から受ける人の作戦は、①筆記が残るうちに筆記で取り切る、②最初からCBTに慣れて受ける、の2つです。ただし①でも、科目合格で持ち越した科目は令和10年度以降にCBTで受けることになるので、どちらの作戦でも画面で解く練習は要ります。
科目合格の免除は、最初に合格した回から連続5回までです(上期の受験案内の表と同じ数え方)。令和8年度下期に1科目受かったとします。免除が続くのは、令和9年度上期・下期、令和10年度上期・下期、令和11年度上期の5回。このうち後ろの3回は、もうCBTしかありません。今回の筆記で1科目でも受かったら、残りの科目はCBTで仕上げる可能性が高い、ということです。
免除の数え方は試験センター 令和8年度上期の受験案内 p.10。移行後の免除の扱いの細部は未発表なので、令和10年度の受験案内で確かめてください。

電験三種のCBT受験者の割合は44.9%
電験三種でCBTを選んだ人の割合は、CBTが始まった令和5年度上期の15.3%から、令和8年度上期の44.9%まで、7回続けて増えました。受験者の半分近くが、もう画面で受けています。
割合は、試験センターが毎回出す試験結果の発表資料から、受験者の数とCBTの受験者の数を拾って割り算しました。令和8年度上期は 11,286 ÷ 25,127 = 0.449 で、44.9%です。
増えている理由は、受けやすさだと考えられます。日程の自由です。筆記は全国52か所で1日だけ。CBTは全国200か所程度以上の会場で、25日間の空いている日から選べます。試験センター自身も、令和8年度の日程の案内で「CBT方式をお勧めします」と書いています。
CBTと筆記のどちらで申し込むか迷うときは、記事の最後の「次に読むべき記事」の1本目(試験日と申し込み方法)に、会場・日時・本人確認まで並べた比べる表があります。

CBTと筆記の違いは問題に書き込めるかどうか
CBTと筆記で、問題の形式と難しさは同じです(試験センターのよくある質問)。勉強の中身で大きく違うのは、CBTでは問題に書き込めず、会場で借りるメモ用紙に図や式を写して解く点です。
筆記なら、問題用紙の回路図に電流の向きを書き込み、そのまま式を立てられます。CBTでは、回路図は画面の中です。いったんメモ用紙に回路を写してから矢印を書く、という一手間が入ります。この差は小さくない。理論や電力の計算では、写す時間がそのまま削られます。
出典:試験センター 令和8年度上期の受験案内、よくあるご質問(32・43・44・47)。会場・日時・本人確認の違いは、試験日と申し込み方法の記事の比べる表にまとめています。

CBTの受け方の流れ:申込から合否まで5ステップ
令和8年度下期にCBTで受けるなら、11月9日〜26日に申し込み、12月7日〜1月7日にマイページで会場と日時を予約し、2月4日〜28日の予約した日に受けます。得点は終わった時に画面に出て、合否は受験日の約2週間後の正午からマイページで見られます。
出典:試験センター「令和8年度電気主任技術者試験の実施日程等のご案内」(2025年12月)、令和8年度上期の受験案内。筆記を選んだ人は2027年3月21日(日)に全国一斉で受けます。
気をつけたいのは、②の会場予約の忘れです。上期の受験案内には、予約期間の中に予約を終えないと受験できず、受験手数料も返らないと書かれています。申し込んだ日に、カレンダーの12月7日に「会場予約」と入れておくと安心です。
申込の画面の手順・受験手数料・科目免除の入れ方は、記事の最後の「次に読むべき記事」の1本目にまとめています。

CBT当日の流れと持ち物:受付から退出まで
CBTの当日は、開始の15〜30分前に着き、顔写真つきの公的証明書で受付をして、荷物をロッカーに入れ、黒のボールペンとメモ用紙を借りて試験室に入ります。持って入れるのは電卓1台と公的証明書、受付でもらうログイン情報だけです。
- 受験票は届かない:運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真つきの公的証明書がないと受けられない
- 腕時計もロッカーへ:残り時間は画面に出る。スマートフォン・スマートウォッチは電源を切って預ける
- 色ペンは使えない:試験室で使えるのは、貸し出しの黒のボールペンとメモ用紙だけ
- 遅刻に厳しい:予約した開始時刻から30分を過ぎると受けられず、筆記に回ることもできない
- メモ用紙は返す:持ち出すと失格。科目をまとめて受けるときは、科目の間(休み7分)に交換する
出典:試験センター 令和8年度上期の受験案内「試験当日の流れ」、よくあるご質問(43・44)。公的証明書として使える書類の一覧は受験案内で確かめてください。
CBTの本番の画面の操作は、この記事では体験談として書きません。試験センターの「CBT方式のご案内」に、理論・電力・機械・法規の体験版と、当日の受け方の説明動画(選択問題の答え方を含む)があります。本番の前に一度、体験版で画面を触っておくのがいちばん確かです。

電験三種のCBT対策の勉強法:紙の勉強に足す4つの練習
CBTのための勉強を一から作り直す必要はありません。今の参考書と過去問の勉強に、①画面で問題を読む、②メモ用紙に図を写す、③時間を計る、④本番と同じ電卓を使う、の4つの練習を足せば足ります。
① 問題は画面で読む
過去問を紙に印刷せず、パソコンやタブレットの画面で開いて解きます。試験センターは筆記方式の問題と解答を公表しているので、それを画面に出すだけで練習になります。CBTの問題は公開されないため、使える本物の問題は筆記の過去問です(出題の形式と難しさは同じ)。
② メモ用紙に図を写して解く
白い紙を4つに区切り、区切りごとに問題番号を書いて、回路図やベクトル図を写してから式を立てます。最初は遅い。1問に1〜2分は余計にかかります。慣れてくると、写す線が減って、答えに要る部分だけを書けるようになります。ペンは消せない黒のボールペンで練習しておくと、本番で「消しゴムがない」と慌てません。
③ 1問5分を目安に時間を計る
試験の問題は「1問あたり概ね5分から10分程度以内」で解ける前提で作られています(試験センターの問題作成方針)。キッチンタイマーでも十分です。次の節で、科目ごとの配分の案を計算しました。
④ 本番の電卓で練習する
使えるのは四則演算と√(ルート)の電卓で、関数電卓・数式を記憶できるもの・印字できるものは使えません。貸し出しもありません。画面・メモ用紙・電卓の3つの間を目が行き来するので、キーの位置を手が覚えている電卓を本番にも持って行きます。
画面で読む練習の合間に、式の意味を動く図で見ておくと、メモ用紙に写す図も速く描けるようになります。このブログの筆者が作っているショート動画を1本置いておきます。
コンデンサの電圧が63.2%まで上がる時間(時定数)は、理論の過渡現象で使う数字です。式だけで覚えるより、曲線が立ち上がる様子を一度見ておくと、問題の図を写すときに迷いにくくなります。
理論の公式を1ページで見直す。メモ用紙に書き出す式の確認に

CBTの時間配分は1問あたり約5分
試験時間を解く問題の数で割ると、理論・電力・機械は90分÷17問で約5.3分、法規は65分÷13問で約5.0分です。A問題を1問3〜4分で解いて時間を残し、B問題に1問8分、最後に10分ほどの見直しを取る配分が、計算で組める案です。
計算を書いておきます。理論の案は、A問題14問×4分=56分、B問題3問×8分=24分で、合わせて80分。90分から引くと10分残ります。法規は、A問題10問×3分=30分、B問題3問×8分=24分で54分、65分から引いて11分です。B問題は1問の中に小問が2つ(a・b)あるので、A問題の倍の時間を見ています。
B問題を8分にするか10分にするかは迷いました。差は2分。10分にすると理論は 56+30=86分で、見直しが4分しか残りません。この記事は、見直しの時間を先に確保できる8分を採りました。CBTは時間内なら自分で試験を終えられるので、見直しの時間を残す癖をつけておくと、終わり方を自分で選べます。
配分の練習は、過去問1回分を画面に出し、タイマーを90分(法規は65分)に合わせて通しで解くのが近道です。A問題で4分を過ぎたら印を付けて次へ進み、最後に戻る。この「飛ばして戻る」を家で何度かやっておくと、本番で1問に詰まって時間を溶かすことが減ります。
どの問題で点を取るか。B問題から逆算する得点の組み立て方はこちら

CBTの予約の組み方:1日で4科目か、分けるか
CBTは科目ごとに日を分けて予約できます。1日で4科目なら試験335分と休み21分で5時間56分、2日に分けるなら理論+電力が187分・機械+法規が162分、1科目ずつなら毎回受付からやり直しです。働きながら受けるなら、2日に分ける組み方が無理のない案です。
数字の出し方です。4科目の試験時間は 90+90+90+65=335分。まとめて予約すると科目の間の休みは7分(メモ用紙の交換を含む)が3回で21分。合わせて356分=5時間56分です。昼休みはありません。理論を受けたあとで、ほかの科目だけ欠席することもできません。
出典:試験センター 令和8年度上期の受験案内(受験科目の確認・科目別合格制度)。「向く人」は記事の案です。
筆者なら、理論を単独の日に予約します。理由は、理論は筆者が交流でつまずいた科目で、計算を型に分けて立て直すまでに時間がかかったからです。苦手な科目ほど、前の科目の疲れを持ち込まない日に置きたい。法規のように覚える量が多い科目は、ほかの科目と同じ日でも崩れにくいと考えます。
1〜2科目に絞る受け方が選べるのは、科目合格の決まりがあるからです。合格した科目は、最初に合格した回から連続5回まで免除されます(申込の時に免除の申請が要ります)。年2回の試験なので、おおよそ2年半かけて4科目をそろえればよい計算です。その途中で令和10年度の完全CBTをまたぐ人は、後半の科目をCBTで受けます。
独学で計画が立てにくいときは、通信講座の時間割に乗る手もあります。SATの電験三種講座(第三種電気主任技術者講座)を見る
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科目合格が何回目まで有効か、自分の受験回で数える方法はこちら

電験三種のCBTのよくある誤解5つ
CBTについてよく聞く「問題が簡単」「自宅で受けられる」「もう筆記がない」「電気工事士と同じ令和9年度から」「あとで問題が公開される」は、どれも試験センターの案内や10月30日の発表と違います。
最後の項目は、受験したあとにも気をつけたい点です。受験案内では、SNSや掲示板に問題の具体的な中身や、出題を示す書き込みをすると違反とみなす場合があるとされています。「この分野が出た」くらいの書き込みでも避けておくのが安全です。


