家電のアンペア一覧が要るのは、たとえば冬の朝です。エアコンの暖房を入れ、電子レンジでパンを温め、洗面所でドライヤーをつけた瞬間に、家じゅうが真っ暗になる。どの家電が何アンペアなのかが分かれば、落ちる組み合わせは前もって避けられます。
筆者がこの記事を書いたのは、このブログの「ブレーカーが落ちる原因」や「タコ足配線」の記事が、休日によく読まれているからです。家で家電を使う時間が長い日ほど、「この家電は何アンペア?」を1枚で見たい場面が増える。そこで、電力会社とメーカーの資料の数字だけで早見表を作りました。
電気代(円)の話は、ここでは扱いません。見るのは電流(A)だけです。

家電のアンペア早見表(主な22品目)
家電の電流は、100Vなら消費電力(W)を100で割ったアンペア(A)が目安です。大きいのは電子レンジ・アイロン・卓上IH・電気ケトル・炊飯器の13〜15A、ドライヤー・オイルヒーター・セラミックファンヒーターの約12Aで、2つ重ねると1回路の20Aを超えます。
キッチンの家電
| 家電 | 条件 | 消費電力の例 | 電流の目安(100V) |
|---|---|---|---|
| 電子レンジ | 30Lクラス | — | 15A |
| 電気ケトル | 湯沸かし時 | 1,300W | 13A |
| IHジャー炊飯器 | 5.5合・炊飯時 | — | 13A |
| 食器洗い乾燥機 | 100V 卓上タイプ | — | 13A |
| 卓上IHクッキングヒーター | 100V | — | 14A |
| オーブントースター | 1,200W の機種 | 1,200W | 12A |
| ホットプレート | 1,200W の機種 | 1,200W | 12A |
| 電動ポット | 湯沸かし時 | 700W | 7A |
| 冷蔵庫 | 450Lクラス | — | 2.5A |
くらしの家電
| 家電 | 条件 | 消費電力の例 | 電流の目安(100V) |
|---|---|---|---|
| ヘアードライヤー | 強(弱に切り替えると約6A) | — | 12A |
| アイロン | — | — | 14A |
| 掃除機 | 強(弱は約2A) | — | 10A |
| ドラム式洗濯乾燥機 | 9kg・乾燥時(洗濯時は約2A) | — | 13A |
| 液晶テレビ | 42型 | — | 2.1A |
| 照明 | 1部屋のシーリングライト | — | 1.0A |
冬の暖房器具(強・弱で変わる)
| 家電 | 条件 | 消費電力の例 | 電流の目安(100V) |
|---|---|---|---|
| エアコン(暖房) | 10畳用の平均(立ち上がりは約20A) | — | 6.6A |
| オイルヒーター | 強1,200W(中700W・弱500W) | 1,200W | 12A |
| セラミックファンヒーター | 強1,170W(弱640W)・50Hz | 1,170W | 11.7A |
| 電気ストーブ | 強800W(弱400W) | 800W | 8A |
| 電気カーペット | 3畳・全面(半面は約4A) | — | 8A |
| こたつ | 強(弱は約1A) | — | 5A |
| 電気しき毛布 | シングル・定格54W | 54W | 約0.5A |
出典:東京電力エナジーパートナー「主な電気機器のアンペアの目安」「わが家のアンペアチェック」(消費電力の例が「—」の行)、メーカーの公式の仕様ページ(W が書いてある行。型番は記事末の資料)。W の行は W÷100 で A にしました。どれも目安で、機種・設定・年式で変わります。手元の家電は、本体の銘板か取扱説明書の「定格消費電力」で確かめてください。
暖房器具は、強と弱で電流が倍ほど変わります。オイルヒーターは強1,200W・中700W・弱500Wの3段、セラミックファンヒーターは強1,170W・弱640W。弱にするだけで、同じ回路にもう1台つなげる余裕が生まれます。
表を作るとき、資料で数字が分かれた家電がありました。電子レンジです。東京電力の目安は15A、パナソニックの仕様ページのオーブンレンジ(NE-MS4D)はレンジの消費電力1,420Wで、100で割ると14.2A。筆者は15Aを採りました。機種によって1,400〜1,500W台まで幅があるので、大きい方で見ておく方が、ブレーカーの判断では安全側だからです。
セラミックファンヒーターも、仕様ページを読んで気づいたことがあります。消費電力が「1,170/1,120W(50/60Hz)」と2つ書かれている。東日本の50Hzと西日本の60Hzで、少し値が違います。表には大きい方の50Hzの値を載せました。
ドライヤーはなぜ1,200Wも使う?熱を出す家電の電気の流れ

消費電力(W)から電流(A)を出す計算
家庭の100Vの家電は、電流(A)=消費電力(W)÷100で求められます。1,200Wのドライヤーなら12A、700Wの電動ポットなら7Aです。モーターやインバーターの家電は力率の分だけ、計算より少し大きい電流が流れます。
式の元は、電力=電圧×電流(W=V×A)です。家のコンセントは100Vなので、両辺を100で割れば電流が出ます。100Wで1A、1,000Wで10A。暗算で足りる。
「出力」と「消費電力」を取り違えない
電子レンジの「1,000W」「600W」は、食べ物を温める力(高周波出力)です。コンセントから取る電力ではありません。パナソニックの NE-MS4D の仕様では、最高出力1,000Wに対して、レンジの消費電力は1,420Wでした。電流を出すときに使うのは、1,420Wの方。
出力の1,000Wで割ると10A。実際の約14Aより4A少なく見積もってしまいます。ブレーカーの判断で一番まずい間違いです。
力率の分だけ、電流は少し大きくなる
W は、実際に熱や動きになった電力(有効電力)です。モーターやインバーターを使う家電は、電圧と電流の波が少しずれるため、W÷100より少し大きい電流が流れます。このずれの割合が力率です。力率0.9の家電で1,000Wなら、1,000÷(100×0.9)≒11.1A。ヒーターのように熱を出すだけの家電は、力率がほぼ1なので、W÷100がそのまま使えます。
業務用の機器や発電機・UPS のように、容量が kVA で書かれているときの電流の出し方(単相・三相)はこちら:kVAとkWの換算|単相・三相のA(アンペア)早見表と力率の計算ツール付き
同時に使える組み合わせの判定表(20Aの回路・30A/40Aの契約)
同時に使えるかは、壁のコンセント1か所で15A、分電盤の回路1つで20A、家全体で契約のアンペア(30A・40Aなど)の3つの上限で決まります。電子レンジと電気ケトルを同じ回路で使うと28Aで20Aを超え、その回路のブレーカーが落ちます。
| 見張る場所 | 上限 | 超えると |
|---|---|---|
| 壁のコンセント1か所(2口) | 15A(1,500W) | ブレーカーは落ちないことが多い。プラグや差し込み口が熱を持つ |
| 分電盤の回路1つ(安全ブレーカー) | 20A(2,000W) | その回路の部屋だけ止まる |
| 家全体(アンペアブレーカー) | 契約のアンペア(30A・40Aなど) | 家全体が止まる |
回路20A・コンセント1,500W は北海道庁のサイトの資料(北海道グリーンファンド作成)と、このブログのブレーカー・タコ足配線の記事の値。家によっては回路のブレーカーが20Aでないこともあります。分電盤のブレーカーの表示で確かめてください。
回路とコンセントの組み合わせ(7通り)
| 場面 | 同時に使う家電 | 合計 | 上限 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| キッチンの1回路 | 電子レンジ+電気ケトル | 28A | 20A | ×(8.0A 超える) |
| キッチンの1回路 | オーブントースター+電気ケトル | 25A | 20A | ×(5.0A 超える) |
| キッチンの1回路 | IHジャー炊飯器+冷蔵庫 | 15.5A | 20A | ○(残り 4.5A) |
| 洗面所の1回路 | セラミックファンヒーター+ヘアードライヤー | 23.7A | 20A | ×(3.7A 超える) |
| 居間の1回路 | オイルヒーター+こたつ | 17A | 20A | ○(残り 3.0A) |
| 居間の1回路 | 電気カーペット+こたつ+液晶テレビ | 15.1A | 20A | ○(残り 4.9A) |
| 壁のコンセント1か所(2口) | オイルヒーター+ヘアードライヤー | 24A | 15A | ×(9.0A 超える) |
A は上の早見表の値。○=3A 以上の余裕、△=余裕が3A 未満、×=上限を超える。同じ部屋のコンセントでも、別の回路につながっていることがあります。
洗面所のセラミックファンヒーターとドライヤーの組み合わせは、冬に多い形です。合計23.7Aで、20Aの回路を超えます。ヒーターを弱の640W(6.4A)にすれば18.4A。ぎりぎり収まる計算です。
居間のオイルヒーター(強)とこたつ(強)は17A。ここにドライヤーを足すと29Aになり、落ちます。
家全体の組み合わせ(冬の朝の例)
| 家電 | 電流の目安 |
|---|---|
| エアコン(暖房) | 6.6A |
| 電子レンジ | 15A |
| ヘアードライヤー | 12A |
| 冷蔵庫 | 2.5A |
| 照明 | 1A |
| 合計 | 37.1A |
合計は37.1A。30Aの契約では超えて、家全体のブレーカーが落ちます。40Aなら残り2.9A。ただ、エアコンは運転を始めた直後に約20Aまで流れることがあり、この瞬間だけ見ると50.5Aです。40Aでも落ちうる。暖房を先に入れて部屋が暖まってから、電子レンジとドライヤーを使う。この順番だけで避けられます。
契約のアンペアをいくつにするかは、この記事では扱いません。分電盤の記事の「契約アンペアの決め方」の節で、変えるときの注意と一緒にまとめています。
契約アンペアの決め方と、分電盤の3つのブレーカーの役割

冬にブレーカーが落ちやすい理由と、落とさない使い方
冬にブレーカーが落ちやすいのは、エアコンの暖房の立ち上がり(約20A)と、10Aを超える暖房器具が、電子レンジやドライヤーと同じ時間帯に重なるからです。暖房器具を弱にする、使う時間をずらす、大きな家電を別の回路に分ける、の3つで避けられます。
東京電力の目安では、エアコンの暖房は平均6.6Aなのに、立ち上がり時などは20A。冷房の平均5.8Aより、暖房の方が大きい値です。寒い朝ほど、部屋を一気に暖めようとして大きな電流が流れます。
電気ストーブ・オイルヒーター・セラミックファンヒーターは、どれも電気を熱に変えるだけの家電です。強にすると800〜1,200W、8〜12A。1台で回路の半分を使います。
| やること | どれだけ減るか(早見表の値) |
|---|---|
| 暖房器具を強から弱に | オイルヒーター 12A→5A、セラミックファンヒーター 11.7A→6.4A、電気ストーブ 8A→4A |
| 時間をずらす | エアコンの立ち上がり(約20A)が落ち着いてから、電子レンジ(15A)やドライヤー(12A)を使う |
| 回路を分ける | ドライヤーは洗面所、ヒーターは居間など、別のブレーカーの回路のコンセントを使う |
| 電気カーペットは半面に | 3畳の全面8A→半面4A |
どのコンセントがどの回路かは、分電盤の安全ブレーカーに書かれた部屋の名前で見当がつきます。表示がない家もある。そのときは、無理に調べずに使い方の方で工夫するのが安全です。
回路を増やす、200Vのコンセントを足すといった工事は、電気工事士の資格がいる作業です。この記事では、工事の手順は扱いません。工事店に相談してください。
挿しっぱなしのプラグのほこりが燃える、トラッキング現象のしくみ
同時に使えるかの判定ツール
同時に使う家電にチェックを入れると、合計の電流(A)と、壁のコンセント15A・回路20A・契約30A/40Aの4つの上限に対する判定を出します。値は本文の早見表と同じ目安です。
判定は、電力会社の目安と同じく、電流を単純に足した値で出しています。手元の家電の W が分かれば、早見表の代わりにその W を100で割った値で見てください。
家電のアンペアでよくある間違い
家電のアンペアでよくある間違いは、電子レンジの出力を消費電力と取り違える、壁のコンセントの口ごとに1,500W使えると思う、回路と家全体の上限を混同する、エアコンの立ち上がりを数えない、の4つです。
| 間違い | 何が起きるか | 正しくは |
|---|---|---|
| 電子レンジの「1,000W」で計算する | 電流を約4A 少なく見積もる | 銘板の消費電力(1,400W台)で割る。約14〜15A |
| 2口のコンセントで口ごとに1,500W | 合計3,000W 近くを1か所につなぎ、差し込み口が熱を持つ | 2口合わせて1,500W(15A)まで |
| 契約40Aなら1部屋で40A使える | 回路の20Aで、その部屋のブレーカーが落ちる | 部屋(回路)は20A、家全体が契約のアンペア |
| エアコンは平均の6.6Aで足す | 立ち上がりの約20Aの瞬間に落ちる | 暖房を入れた直後は大きな家電を重ねない |
筆者がここで言えないこともあります。日本の多くの家は単相3線式という配線で、100Vの家電は2つの系統に分かれてつながっています。どの部屋がどちらの系統かは家ごとに違い、片方に家電が偏ると、合計が契約より小さくても落ちることがある。この記事の判定は電力会社の目安と同じく単純に足した値なので、細かいところは家の分電盤で変わります。
200VのIHクッキングヒーターやエアコンも、同じ理由で数え方が変わります。東京電力の目安では、200VのIHは20〜30A(最大使用時58A)。100Vの家電と同じ物差しで足さず、分電盤の記事と100Vと200Vの違いの記事で確かめてください。

