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- ヒートポンプって、結局どういうしくみなの?
- 外が0℃なのに、エアコンはどこから熱を持ってくるの?
- 電気より多くの熱が出る(COPが3以上)のはなぜ?
- ヒートポンプとは何か、熱を「運ぶ」という考え方
- 冷媒と4つの部品のはたらき、冷房と暖房の切り替え
- COPが1をこえる理由と、外気温で下がる理由
- 温度を入れるとCOPの目安を出す計算ツール
ヒートポンプとは、熱を「つくる」のではなく、低い温度の場所から高い温度の場所へ熱を「運ぶ」しくみです。冷媒という液体を、蒸発器・圧縮機・凝縮器・膨張弁の4つの部品に順に回し、外気より冷たくした冷媒で外の熱を吸い、圧縮して熱くした冷媒で部屋に熱を出します。エアコンは四方弁で冷媒の流れを逆にして、冷房と暖房を切り替えます。運ぶ熱は使う電気の3〜6倍ほどにもなります。

ヒートポンプとは?熱を「くみ上げる」ポンプ
水は高い所から低い所へ流れますが、ポンプを使えば低い所から高い所へくみ上げられます。熱も同じで、ふつうは温かい所から冷たい所へ流れますが、ヒートポンプを使うと冷たい所から温かい所へ熱を運べます。「熱(heat)のポンプ(pump)」という名前のとおりです。
| 暖房のしかた | 熱の出し方 | 電気1に対して出る熱 |
|---|---|---|
| 電熱ヒーター・電気ストーブ | 電気を電熱線で熱に変える(ジュール熱) | 1まで |
| ヒートポンプ(エアコンの暖房など) | 外の空気の熱を集めて、部屋に運ぶ | 3〜6ほど(条件による) |
0℃の外気にも熱はある
「外が0℃なのに、熱なんてあるの?」と思うかもしれません。熱がまったくない温度は、絶対零度の−273℃です。0℃の空気にも、そこから273℃分の熱が残っています。ヒートポンプは、外気よりさらに冷たくした冷媒を外に通して、このうすく広がった熱を集めてきます。
電気で加熱する6つの方法

ヒートポンプの仕組み|冷媒と4つの部品
ヒートポンプの中には、冷媒(れいばい)という、低い温度で蒸発する液体がパイプの中を回っています。冷媒は、液体から気体になるときにまわりから熱をうばい、気体から液体にもどるときに熱を出します。汗が乾くと体がひんやりするのと同じ「気化熱」です。
| 部品 | 冷媒に起きること | 熱の動き |
|---|---|---|
| ① 蒸発器 | 低い温度の液体が気体になる | まわり(暖房なら外気)から熱を吸う |
| ② 圧縮機(コンプレッサー) | 気体をギュッと押し縮める | 温度と圧力が上がる(電気を使うのはここ) |
| ③ 凝縮器 | 高い温度の気体が液体にもどる | まわり(暖房なら部屋)に熱を出す |
| ④ 膨張弁 | 細いすき間を通して圧力を一気に下げる | 温度が下がり、外気より冷たくなる |
暖房のときの1周
外気が0℃のとき、膨張弁を出た冷媒は外気より冷たい(たとえば−10℃くらい)ので、室外機の蒸発器で外気から熱を吸って気体になります。圧縮機で押し縮めると、自転車の空気入れの先が熱くなるのと同じで温度が上がり、室温より十分高い温度(およそ40〜80℃)になります。この熱い冷媒が室内機の凝縮器で部屋に熱を出し、液体にもどって膨張弁へ。これをくり返して、外の熱を部屋に運び続けます。
冷蔵庫も同じしくみ

エアコンが冷房も暖房もできる理由|四方弁
冷房と暖房のちがいは、冷媒が回る向きだけです。向きを切り替えるのが四方弁(しほうべん)という部品で、線路のポイントのように冷媒の通り道を入れかえます。
| 運転 | 室内機 | 室外機 | 室外機から出る風 |
|---|---|---|---|
| 冷房 | 蒸発器(部屋の熱を吸う) | 凝縮器(熱を外に捨てる) | 温かい風 |
| 暖房 | 凝縮器(部屋に熱を出す) | 蒸発器(外の熱を吸う) | 冷たい風 |
冬に暖房が止まる「霜取り運転」
暖房のとき、室外機の熱交換器は外気より冷たいので、空気の中の水分がこおりついて霜になります。霜がつくと熱を吸えなくなるので、エアコンはときどき四方弁を切り替えて冷媒を冷房の向きに流し、室外機を温めて霜をとかします。このあいだ暖房が止まりますが、故障ではありません。

COP(成績係数)|電気より多くの熱が出る理由
COPは、出てくる熱(または冷房で運んだ熱)を、使った電気で割った値です。COP=4なら、電気1で熱4を部屋に届けています。
「電気より熱が多いのは、エネルギーがふえていておかしい」と感じるかもしれません。でも、ヒートポンプの電気は熱をつくるためではなく、外の熱を運ぶために使われています。部屋に届く熱は、外から運んできた熱と、圧縮機で使った電気が熱に変わった分の合計なので、エネルギーの合計はちゃんと合っています。
COPの上限は温度差で決まる
どんなによい機械でも、COPには理論の上限があります。冷媒が熱を吸う温度をT低、熱を出す温度をT高(どちらも絶対温度=℃+273)とすると、暖房のCOPの上限は T高÷(T高−T低) です。たとえば、熱を出す温度40℃(313K)、吸う温度−10℃(263K)なら、313÷50≒6.3です。実際の機器は損失があるので、この上限の5〜7割ほどになります。
| わかること | 理由 |
|---|---|
| 外気温が下がるとCOPが下がる | T低が下がり、温度差(T高−T低)が大きくなる |
| 設定温度を上げるとCOPが下がる | T高が上がり、温度差が大きくなる |
| 暖房のCOPは冷房より1大きい(同じ温度差なら) | 圧縮機の電気も熱になって部屋に出るから |
COPの計算問題は、電験三種の機械でも出ます。くわしい計算は、ヒートポンプとCOPの記事にまとめています。
冷房と暖房でCOPが違う理由

ヒートポンプのCOPの計算ツール
外気温と、届けたい温度(部屋の温度や、給湯ならお湯の温度)を入れてください。冷媒の温度の目安から、理論上のCOPの上限と、実際の機器の目安を出します。
入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。
ヒートポンプが使われているもの
| 機器 | 熱をどこからどこへ運ぶか |
|---|---|
| エアコン(冷房) | 部屋の熱を外へ |
| エアコン(暖房) | 外の熱を部屋へ |
| 冷蔵庫 | 庫内の熱を外(本体の裏や側面)へ |
| ヒートポンプ給湯機 | 外の空気の熱を集めてお湯をわかす |
| ヒートポンプ式の洗濯乾燥機 | 空気を冷やして水分をとり、その熱で温風をつくる |
エアコンの圧縮機は、インバータでモーターの回転数を変えて、必要な分だけ冷媒を回しています。モーターやインバータのしくみも、あわせて読むとつながります。
直流を交流に変えるインバータ
ヒートポンプのよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| ヒートポンプは電気で熱をつくっている | 熱をつくるのではなく、外から運んでいる |
| 0℃の外気には熱がない | 絶対零度(−273℃)より高ければ熱はある |
| COPが1をこえるのはおかしい | 運んだ熱+電気の分が出るので、エネルギーは合っている |
| 寒くてもCOPは変わらない | 外気温が下がると温度差が大きくなり、COPは下がる |
| 霜取りで暖房が止まるのは故障 | 室外機の霜をとかすための正常な運転 |

電気の仕組みがわかってきたら、電験三種や第二種電気工事士の勉強に進むのもひとつの道です。独学が不安なら、講義と問題演習がセットになった通信講座を使う方法もあります。アガルートアカデミーには電験三種や電気工事士の講座があります。料金や内容は公式サイトで確かめてください。
よくある質問
- ヒートポンプ=熱を低い温度の所から高い温度の所へ運ぶしくみ
- 冷媒が蒸発器・圧縮機・凝縮器・膨張弁を回り、蒸発で熱を吸い、凝縮で熱を出す
- エアコンは四方弁で冷媒の向きを逆にして、冷房と暖房を切り替える
- COPは3〜6ほど。上限はT高÷(T高−T低)で、外気温が下がると小さくなる
- 霜取り運転は、室外機の霜をとかすための正常な運転

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メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
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