電気のしくみ(暮らしと現場)

感震ブレーカーとは?種類の違いと後付けの選び方|通電火災を防ぐしくみ

地震で揺れる住宅の分電盤の写真に、感震ブレーカーとは・揺れたら電気を止める・6割・大地震の火災の約6割は電気が原因の文字

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感震ブレーカーとは、震度5強相当の揺れでブレーカーを自動で落とし、地震のあとの電気火災(通電火災)を防ぐ器具です。分電盤・コンセント・簡易の3タイプの違いは種類の節、後付けの選び方は後付けの節へ。

結論|まず30秒でわかる答え

阪神・淡路大震災と東日本大震災では、原因が確認された火災の約6割が電気関係でした。分電盤タイプ・コンセントタイプ・簡易タイプがあり、止める範囲と工事の要否がちがいます。

地震で揺れる住宅の分電盤の写真に、感震ブレーカーとは・揺れたら電気を止める・6割・大地震の火災の約6割は電気が原因の文字

なぜ感震ブレーカーが必要?大地震の火災の約6割は電気が原因

大きな地震の火災のうち、原因が確認されたものの約6割は電気関係でした。感震ブレーカーは、この電気の火災を揺れの段階で断つための器具です。

内閣府の資料は、過去の大きな地震の火災を原因別にまとめています。出火原因が確認された火災のうち、電気関係の割合は次のとおりです。

地震火災の件数(原因が確認されたもの)電気関係割合
阪神・淡路大震災139件85件約61%
東日本大震災110件71件約65%

首都直下地震の被害想定(中央防災会議の作業部会)では、火災による被害を最大で焼失約43万棟と見込み、電気関係の出火を防いで初期消火の成功率を上げれば、人や建物の被害を約9割減らせると試算しています。これを受けて、国は感震ブレーカーの普及を進めてきました。

POINT|ふつうのブレーカーとのちがい

ふつうのブレーカー(漏電ブレーカー・安全ブレーカー)は、電気の流れすぎや漏れを見張って止めます。感震ブレーカーは揺れを見張って止めます。電気そのものに異常がなくても、揺れたら止めるのがちがいです。

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分電盤の中の3つのブレーカーの役割を押さえると、感震ブレーカーがどこに付くかがわかります

つまり、感震ブレーカーは「電気の異常」ではなく「地震」をきっかけに電気を止める、もう1つの安全装置です。

阪神・淡路大震災は139件中85件(61%)、東日本大震災は110件中71件(65%)が電気関係の火災

通電火災とは?電気が戻った瞬間に起きる火災

通電火災とは、地震で止まった電気が戻ったときに、倒れた電気器具や傷んだ配線から出火する火災です。家の人が避難していて、消す人がいないことが被害を大きくします。

内閣府のガイドラインは、地震の電気火災を出火の場面ごとに整理しています。その1つが、次の流れです。

① 揺れ

電気ストーブや照明が倒れる。家具が倒れて、コードや壁の中の配線を傷める。

② 停電・避難

電気が止まり、家の人は避難して家が留守になる。

③ 電気が戻る

倒れた器具に電気が流れ、近くの布や紙が熱せられる。傷んだ配線の1点が熱くなる。

④ 出火

そこから燃え広がる。家に人がいないので、初めの火を消せない。

たとえると

コンロに鍋をかけたまま、ガスの元栓が止まったとします。元栓が開いたとき(電気が戻ったとき)に台所にだれもいなければ、空だきになって危ない。感震ブレーカーは、揺れた時点で「元栓を閉めたまま」にしておく役です。

在宅中でも、夜の揺れのあとにブレーカーを自分で落としてから避難するのは簡単ではありません。感震ブレーカーは、人の手を借りずにそれを代わりにやります。

つまり、通電火災は「電気が戻る」と「人がいない」が重なったときに起きるので、揺れた時点で電気を止めておくことが対策になります。

揺れでストーブが倒れ配線が傷む、停電して避難、電気が戻り傷んだ所が熱くなる、近くの布に燃え移るの4段階

傷んだ配線はなぜ熱くなる?発熱を計算してみる

電気の熱は「電流の2乗×抵抗」で決まります。揺れで接続が傷んで抵抗が0.001Ω から0.1Ω に増えると、同じ15A でも発熱は0.225W から22.5W へ100倍になります(抵抗は例の値)。

電流が流れると、抵抗のある所で熱が出ます(ジュール熱)。この熱の大きさは次の式です。

公式
発熱 P(W)= 電流 I(A)² × 抵抗 R(Ω)

ふだん、コンセントの中やコードの付け根の接続は、抵抗がとても小さいのでほとんど熱が出ません。ところが、揺れで家具がコードを押しつぶしたり、差し込みがゆるんだりすると、電気の通り道が細くなって接続の抵抗が上がります。ここに 15A(1,500W の電気ストーブくらいの電流)が流れた場合を計算します。

STEP 1

しっかりつながっている(例 0.001Ω):15² × 0.001 = 225 × 0.001 = 0.225W

STEP 2

傷んで接触が悪い(例 0.1Ω):15² × 0.1 = 225 × 0.1 = 22.5W

STEP 3

抵抗が100倍になったので、熱も100倍。しかもその熱が、小さな1点に集まる

注意|外から見えない

22.5W は、はんだごての先と同じくらいの熱です。壁の中やコードの付け根の1点でこれが続くと、まわりの樹脂やほこりが焦げ始めます。内閣府の留意点も「壁内の配線の損傷や電気製品内部の損傷等は、外見では発見できない場合がある」としています。

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つまり、揺れで傷んだ配線は、電気が戻ると見えない所で熱を出します。電気を止めておけば、この熱は出ません。

15A流したとき、0.001Ωの接続は0.225W、0.1Ωに傷んだ接続は22.5Wの発熱。抵抗は例の値

感震ブレーカーの種類:分電盤・コンセント・簡易の3タイプ

感震ブレーカーには、家じゅうの電気を止める分電盤タイプ、1か所のコンセントだけ止めるコンセントタイプ、工事なしで付ける簡易タイプがあります。止める範囲が広いほど確実で、そのぶん停電への備えが要ります。

種類止める範囲揺れてから工事価格(ガイドライン)
分電盤タイプ家じゅう全部基本型は約3分後必要(電気工事士)高価。増設型は比較的安価
コンセントタイプ付けたコンセントだけ(屋内配線は対象外)すぐ差込型は不要・埋込型は必要比較的安価(1か所なら)
簡易タイプ家じゅう全部(ブレーカーを落とす)揺れと同時不要安価

分電盤タイプ

分電盤の中のセンサーが揺れを感じ、ブレーカーを落として家じゅうの電気を止めます。基本型は、揺れを感じてから約3分待ってから止めるので、そのあいだは明かりがついたままです。止める範囲が広く、作動の信頼性も高い形です。

コンセントタイプ

センサー付きのコンセント(または差し込む器具)で、そこにつないだ電気器具だけを止めます。電気ストーブなど、倒れると危ない器具に向いています。ほかの部屋の照明は消えません。ただし、コンセントまでの壁の中の配線は守れません。

簡易タイプ

重りやバネで、今のブレーカーのつまみを物理的に下げる器具です。工事なしで付けられますが、付け方しだいで作動にばらつきが出るおそれがあると、ガイドラインは書いています。揺れと同時に家じゅうが真っ暗になるので、別に明かりの用意が要ります。

つまり、どれを選ぶかは「どこまで止めたいか」と「止まったあと困らないか」で決まります。

分電盤タイプは家じゅう・約3分後・工事必要、コンセントタイプはそのコンセントだけ、簡易タイプは家じゅう・揺れと同時・工事不要の比較表

いつ動く?震度5強相当で作動し、震度4相当では動かない

内閣府のガイドラインの性能評価試験では、震度5強相当の揺れで作動し、震度4相当では作動しないことを確かめます。分電盤タイプの基本型は、感じてから約3分後に止めます。

震度5強は、気象庁の説明で「棚の食器や本が落ちることが多くなる」「固定していない家具が倒れることがある」揺れです。電気器具が台から落ちたり、家具が倒れて燃えやすい物が器具にふれたりするおそれが高くなります。震度4は、つり下げた電灯が大きく揺れる程度で、そこまでの危険は小さいと整理されています。

揺れガイドラインの試験考え方
震度5強相当作動することを確かめる器具の落下・家具の転倒で火が出るおそれが高い
震度4相当作動しないことを確かめるむやみに止めて生活に困らないように
POINT|停電中の揺れにも対応

分電盤タイプは、ブレーカーが落ちる前に停電した場合でも、電気が戻ったときに自動で止める機能を備えている、とガイドラインは整理しています。通電火災の「電気が戻る瞬間」を狙った働きです。

性能の目安として、分電盤タイプは日本配線システム工業会の規格(JWDS0007 付2)、コンセントタイプと簡易タイプは日本消防設備安全センターの制度で、第三者の評価・認証が行われています。買うときは、こうした評価を受けた製品かどうかを見ると安心です。

つまり、感震ブレーカーは「大きな揺れでは必ず止め、小さな揺れでは止めない」ように試験で確かめられています。

震度5強相当の揺れを感じてから約3分の待ち時間のあとにブレーカーが落ちる。停電中に揺れたら復電時に自動遮断

感震ブレーカーを後付けするには?家の分電盤から選ぶ

今の家に後付けするなら、まず分電盤に漏電ブレーカーがあるかを見ます。あれば感震リレーを外付けする増設型が付けられます。分電盤の工事は電気工事士が行います。

STEP 1 分電盤を開けて見る

漏電ブレーカー(テストボタンが付いている大きめのブレーカー)があるかを確かめる。カバーを開けて見るだけにし、中の配線にはさわらない。

STEP 2 漏電ブレーカーがある

感震リレーを外付けする「増設型」が付けられる。揺れを感じると、既設の漏電ブレーカーを働かせて電気を止める。取り付けは電気工事が必要。

STEP 3 漏電ブレーカーがない・古い

感震機能が入った分電盤に替えるか、工事のいらない簡易タイプを選ぶ。分電盤の交換も電気工事士の仕事。

STEP 4 止めたくない電気を考える

在宅の医療機器や夜の明かりがあるなら、止まったあとの電源(バッテリー・足元灯)を先に用意する。

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注意|分電盤の中は自分でさわらない

分電盤の中の配線をつなぎ替える作業は、電気工事士法で電気工事士でなければできない作業です。簡易タイプのように工事のいらない器具も、取扱説明書どおりに付けてください。

自治体によっては、感震ブレーカーの購入や設置に補助を出しています。補助の有無と条件はお住まいの市区町村で確かめてください。

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つまり、後付けは「漏電ブレーカーがあるか」で増設型か交換かが分かれ、どちらも工事は電気工事士に頼みます。

分電盤に漏電ブレーカーがあれば感震リレーを外付けする増設型、なければ分電盤ごと交換か簡易タイプ

感震ブレーカーが作動したら:電気を戻す前の点検

感震ブレーカーが作動したら、ガスのにおい・燃えやすい物・プラグ・水ぬれを点検してから電気を戻します。戻したあとも、こげ臭ければすぐブレーカーを落とします。

内閣府の「感震ブレーカーの取扱いの留意点」は、避難先から帰ったときの点検を次の順にまとめています。

1

照明がつかなければ、感震ブレーカーが作動していないかを見る。ガスのにおいがしたら、まず換気とガス会社への連絡。

2

ヒーター・白熱灯のまわりに燃えやすい物がないかを見る。

3

すぐに使わないアイロン・ドライヤーなどのプラグを抜く。

4

電気製品やコンセントが水にぬれていないかを見る。

5

感震ブレーカーを戻す(分電盤タイプはふつうのブレーカーと同じくスイッチを戻す。詳しくは製品の説明書)。

6

しばらく様子を見る。こげ臭いなど異常を感じたら、ブレーカーを落としてもう一度点検する。

つまり、感震ブレーカーは「止める」ところまでで、戻すのは人の仕事です。点検の順番を家族で決めておくと、帰宅後に迷いません。

作動の確認、ガスのにおい、可燃物、プラグを抜く、水ぬれ、戻したあとも様子を見るの6つのチェック

感震ブレーカーのよくある勘違い4つ

感震ブレーカーがあれば停電の備えはいらない、揺れたらすぐ真っ暗になる、分電盤タイプは自分で付けられる、動いたらすぐ戻す、の4つは勘違いです。

勘違い正しくは
感震ブレーカーがあれば、停電の備えはいらない止まったあとの明かり・医療機器のバッテリーは別に用意する(内閣府も先に停電対策をと呼びかけている)
揺れたら、すぐ家じゅう真っ暗になる分電盤タイプの基本型は約3分待ってから止める。簡易タイプは揺れと同時
分電盤タイプは自分で取り付けられる分電盤の工事は電気工事士が行う
動いたらすぐブレーカーを戻せばいい可燃物・プラグ・水ぬれを点検してから戻す

つまり、感震ブレーカーは「止める」ための器具で、「止まったあとの暮らし」は別に備える、と分けて考えると勘違いが防げます。

停電の備えはいらない、すぐ真っ暗になる、自分で取り付けられる、すぐ戻す、の4つの勘違いと正しい考え方

よくある質問(FAQ)

Q. 感震ブレーカーとは何ですか?

A. 大きな揺れを感じると自動でブレーカーを落とし、地震のあとの電気火災を防ぐ器具です。分電盤・コンセント・簡易の3タイプがあります。

Q. 感震ブレーカーは何度の揺れで作動しますか?

A. 内閣府のガイドラインの試験では、震度5強相当で作動し、震度4相当では作動しないことを確かめます。

Q. 感震ブレーカーは後付けできますか?

A. 分電盤に漏電ブレーカーがあれば、感震リレーを外付けする増設型を後付けできます。工事は電気工事士が行います。

Q. 通電火災とは何ですか?

A. 地震で止まった電気が戻ったとき、倒れた電気器具や傷んだ配線から出る火災です。避難で留守だと消せません。

Q. 感震ブレーカーが作動したらどうしますか?

A. ガスのにおい・燃えやすい物・プラグ・水ぬれを点検してから戻します。こげ臭ければすぐ落とします。

まとめ
  • 感震ブレーカーは、揺れを感じて電気を止め、地震のあとの電気火災を防ぐ
  • 大地震の火災(原因が確認されたもの)の約6割は電気関係(阪神61%・東日本65%)
  • 傷んだ接続は抵抗が増え、同じ電流でも発熱が大きくなる(P=I²R)
  • 分電盤タイプは家じゅう、コンセントタイプは1か所、簡易タイプは工事なし
  • 漏電ブレーカーがあれば増設型を後付けできる(電気工事士の工事)
  • 作動したら点検してから戻す。停電の備え(明かり・バッテリー)は別に用意

次の一歩として、家の分電盤のカバーを開けて、漏電ブレーカーがあるかを見てみてください。あれば増設型、なければ交換か簡易タイプ、と選ぶ形が決まります。

電気火災の割合、作動の震度、3タイプ、後付け、点検、停電の備えの6つのチェック
参考にした資料

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

この記事の理解を深める本と道具
簡易タイプの例

工事をせずに、揺れで家じゅうの電気を止める簡易タイプを付けたいときの例です。リンテック21の感震ブレーカーアダプター ヤモリ(GV-SB1)です。分電盤のブレーカーに貼り付けて使い、作動の震度を5強と6弱から選べます。日本消防設備安全センターの推奨品です。

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簡易タイプの例

同じ簡易タイプで、おもり玉の落下でブレーカーを落とす形の例です。エヌ・アイ・ピーのスイッチ断ボールIII です。震度5強相当以上(調整できます)の揺れでおもり玉が落ち、家庭用のブレーカーを落とします。日本消防設備安全センターの推奨品です。

セキチュー楽天市場店
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コンセントタイプの例

電気ストーブなど、倒れると危ない器具だけを止めたいときのコンセントタイプの例です。日本防災スキームのコンセントタイプ感震ブレーカー coco断(SND250GE)です。壁のコンセントに差し、つないだ機器(3口まで)だけを震度5強相当以上の揺れで止めます。日本消防設備安全センターの推奨品です。

ケーズデンキ 楽天市場店
¥12,100 (2026/10/27 12:22時点 | 楽天市場調べ)
S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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