基板設計

ICのピン番号・ピン配置の見方|1番ピンから反時計回りで数える

ICのピン番号の数え方ルール。なぜ反時計回りなのか

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こんな経験はありませんか?
  • データシートのピン配置図を見ても、どこからどう数えればいいかわからない
  • ICの表面に「丸い窪み」「半円のへこみ」「●」があるけど、何の意味?
  • 基板にICを実装したら向きが逆で、慌てて剥がした経験がある
  • 「Pin1はどこ?」と先輩に聞かれて固まった
  • QFPやBGAになると、ますますどう数えるのか自信が持てない
○ この記事でわかること
  • ICのピン番号は「左上のピン1から反時計回り」というシンプルなルール
  • ピン1マーキングの3パターン(●、半円、ノッチ)の見分け方
  • パッケージ別(DIP・QFP・QFN・BGA)の数え方の違い
  • ICを基板に実装するときの向き合わせの正解
  • 明日から「Pin1はここです」と即答できるようになる

こんにちは、シラスです。
電子回路の超基本中の基本、それが「ICのピン番号の数え方」です。新人時代に誰もが一度は迷う、しかし誰も体系的に教えてくれない、地味だけど超重要な知識。

データシートのピン配置を間違えて読むと、回路図が間違う→基板が間違う→組み立てたら煙が出る、という連鎖事故になります。ピン1の位置を勘違いしてICを真逆に実装すると、電源を入れた瞬間に煙が上がることもあります。

この記事では、ICのピン番号の数え方を「本のページをめくる動き」のたとえで完全図解します。読み終えたあと、どんなパッケージを見ても迷わずPin1を見つけられるようになっているはずです。

結論|まず30秒でわかる答え

ICのピン番号は、上から見て1番ピンの目印(丸いくぼみ・●印・半円の切り欠き)のすぐ横を1番とし、反時計回りに2、3…と数えます。DIP・SOP・QFP・QFN はこのルールで共通で、BGA だけは「A1・B2」のように行(アルファベット)と列(数字)で呼びます。データシートのピン配置図が Top View(上から見た図)か Bottom View(裏から見た図)かを先に確かめると、向きの間違いを防げます。

基本ルール:左上のPin1から反時計回り

鉄則のルール
ICを「上から見て」、左上のピン1から反時計回りにピン2、3、4…と数える

これだけ覚えておけば、ほとんどのICで通用します(例外もあるので、最後は必ずデータシートで確かめます)。「上から見る」というのは、ICが基板に乗った状態を上方向から見下ろした視点のことです。

ポイントは2つ:

①Pin1の位置

マーキング(●や半円)で
必ず示されている

↺

②回る向き

反時計回り
(左下→右下→右上の順)

覚え方のコツ
「本を開くようにめくる動き」と覚えましょう。本のページは、左上から始まって、左下に降りて、右下に渡って、右上に戻ります。日本語の縦書きの本と同じ流れですね。
ICのピン番号の数え方のルールの図。Pin1から左上を起点に反時計回りに数える
ICのピン番号はPin1から反時計回りに数える

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データシートの「ピン配置図」の読み方|3つの手順

ICのピン配置は、データシートの「Pin Configuration(ピン配置)」や「Pin Assignment」という欄に図で載っています。ここを読み違えないために、次の3つの順で確かめます。

手順見るところ確かめること
1図の下の注記(Top View / Bottom View)上から見た図か、裏から見た図か。BGA や QFN は両方が載っていることがある
2図の横のパッケージ名(例:SOIC-8、TSSOP-20、QFN-32)手元の部品と同じパッケージか。同じ型番でもパッケージが違うとピン配置が変わることがある
3ピン説明の表(Pin Description / Pin Functions)番号ごとの名前(VCC・GND・NC など)と働き。NC は「どこにもつながっていない」、EP(Exposed Pad)は裏の放熱パッド

たとえば8ピンの SOP(SOIC-8)なら、上から見て左の列が上から1・2・3・4、右の列が下から5・6・7・8です。16ピンの DIP と同じ「左列を下り、右列を上る」流れになります。

1番ピンの目印が見えないときの確かめ方

小さなパッケージでは、くぼみや●印が浅くて見えにくいことがあります。そのときは、次の順で確かめます。

  • ルーペやスマートフォンのカメラで拡大し、斜めから光を当ててくぼみの影を探す
  • SOP などでは、パッケージの片側の長辺だけが斜めに削られている(面取り)ことがある。どちら側が1番ピン側かはデータシートの外形図で確かめる
  • 型番の印字が読める向きを、データシートの図の印字の向きと見比べる(この記事の Q5 の方法)
つまり

ピン配置図は「Top View かどうか」「パッケージ名が同じか」「NC・EP の扱い」の3点を見てから使う。目印が見えないときは、拡大と外形図で確かめてから実装する。

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BGA・QFP・QFN はパッケージの形で数え方と検査のしかたが変わります。違いを図で整理しています。

ピン配置について、ほかによく聞かれること

Q. ICのピン配置はどこを見ればわかる?

A. データシートのピン配置図で確かめます。上から見た図(Top View)か、パッケージ名が合うかを先に見ます。

Q. ICの1番ピンの目印が見えないときは?

A. ルーペで拡大し、くぼみ・●印・面取りを探します。どれが1番ピン側かはデータシートの外形図で確かめます。

Q. BGAのピン番号はどう数える?

A. BGA は行をアルファベット、列を数字で表し、角の A1 が基準です。I や O などの紛らわしい文字は飛ばします。

なぜ「反時計回り」なのか?歴史的な理由

時計回りでも良さそうなのに、なぜ世界共通で「反時計回り」と決まっているのでしょうか?よく言われる説明は「ICを裏返したときに、時計回りで数えやすくするため」です(規格の文書に理由が書かれているわけではなく、慣習として定着したものです)。

表から見たとき

Pin1から反時計回りに数える

裏から見たとき

Pin1から時計回りに数える

古い時代のIC実装では、基板の裏側からピン番号を読み取る作業が頻繁にありました。表から反時計回り=裏から時計回りという関係になるので、裏返した状態でも自然に数えられるようになっているのです。

補足:DIPパッケージが起源
この「反時計回り」のルールは、DIP(穴に差し込むタイプ)の時代に確立されました。基板の裏側からハンダ付けする作業で、ピン番号を簡単に追えるように設計されたのです。現代のSMD(表面実装)では裏返すことはほぼないですが、慣習として「反時計回り」が継承されています。
ICを表から見ると反時計回り、裏から見ると時計回りになり、ピン番号の向きが反転することを示す図
表から見ると反時計回り、裏から見ると時計回り

Pin1マーキング3つのパターン

ICの表面には、必ず「ここがPin1ですよ」と示すマーキングが入っています。これがないと、設計者も製造現場も向きを判断できません。代表的な3パターンを覚えておきましょう。

パターン①:丸いくぼみ(インデックス)

最も一般的なのが、ICの左上に小さな丸いくぼみ(円形ディンプル)があるパターン。樹脂パッケージの表面に、爪の先ほどの小さな円形のへこみがあります。これがPin1のすぐ横に位置しています。

採用パッケージ マーキングの様子
DIP / SOIC パッケージ左上の角に円形ディンプル
QFN / QFP 表面の左上または中央近くにディンプル

パターン②:半円のへこみ(ノッチ)

DIPパッケージで最もよく見るのが、パッケージの短辺に半円形のへこみがあるパターン。このノッチを上にしたとき、左側がPin1になります。

ノッチの向き
「ノッチを上に向けたとき、ノッチの左側がPin1」これだけ覚えれば、すべてのDIPパッケージで迷いません。

パターン③:印刷の●印(ドットマーク)

パッケージ表面に印刷で「●」や「○」が描かれているパターン。シルク印刷の文字(型番)と並んで、Pin1の角に小さなドットが付いています。最近のICではこのパターンが多いです。

パターン④:BGA特有のマーキング

BGA(底面ハンダボール)パッケージでは、底面側にも識別マークがあります。一般的にはパッケージの角を斜めにカットするか、ボール配置の1個だけを取り除くなどの方法でPin A1(=Pin1)を示します。

注意
BGAでは数字ではなく「A1」「A2」…「B1」「B2」…のようにアルファベット+数字でピンを呼びます。Pin1の代わりにPin A1を見つけることが目的になります。
関連記事
QFP・QFN・BGAパッケージ入門|ICの「足の付き方」で何が変わるか →
ICのPin1の見つけ方3パターンの図。QFPの丸いくぼみ、DIPの半円のノッチ、QFNの印刷の点
Pin1の見つけ方3パターン:くぼみ・ノッチ・印刷の点

DIPパッケージの数え方

最も古典的で、教科書でもよく出てくるのがDIP(Dual Inline Package)です。「Dual=2列」+「Inline=直線」で、足が2列に並んだパッケージです。

STEP 1

ICを上から見たとき、ノッチ(半円のへこみ)を上に向ける。これでICの「正しい向き」が決まります。

STEP 2

ノッチの左側がPin1。そこから下方向にピン2、ピン3…と数えます。

STEP 3

下端まで来たら、右列に渡って下から上へ。最後のピンは右上になります。

例えば16ピンのDIPなら、左列が上から1〜8、右列が下から9〜16という配置になります。

位置 ピン番号(16ピンの例)
左列・上→下 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8
右列・下→上 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16
現場の声
DIPでよくあるミスが「ノッチを下に向けて数える」こと。これだとピン番号が180度ずれて、回路が完全に動かなくなります。ノッチは必ず上に。これだけは絶対のルールです。
DIPパッケージのピン番号の数え方の図。ノッチを上にして左上から左下へ、右下から右上へ数える(16ピンDIPは左1〜8、右9〜16)
DIPパッケージのピン番号の数え方

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QFPパッケージの数え方

QFP(4辺すべてに足があるパッケージ)の数え方も基本は同じ。Pin1マーキングから反時計回りに数えます。

STEP 1

パッケージ表面のディンプル(丸いくぼみ)または●印を見つける。

STEP 2

そのマーキングが左上の角に来るようにICの向きを合わせる。マーキング横の角の足がPin1。

STEP 3

Pin1から左辺を下方向に2, 3, 4…と数える。

STEP 4

左下まで来たら、下辺を右方向に進む。

STEP 5

右下→右上→左上の順に4辺を一周。最後のピンはPin1の真上の足になります。

例えば64ピンQFPなら、各辺16ピンずつ。Pin1〜16が左辺、17〜32が下辺、33〜48が右辺、49〜64が上辺です。

辺 ピン番号(64ピンQFPの例)
左辺(上→下) 1〜16
下辺(左→右) 17〜32
右辺(下→上) 33〜48
上辺(右→左) 49〜64
テストポイントの役割|なぜ基板に「使わない丸」を残すのか
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テストポイントはなぜ基板に残すのか

QFP-64のピン番号の数え方の図。左辺1〜16、下辺17〜32、右辺33〜48、上辺49〜64
QFP-64のピン番号:左辺から反時計回りに1〜64

QFNパッケージの数え方

QFNは足が見えない代わりに、底面外周のパッドがピンに相当します。数え方はQFPと完全に同じ。Pin1マーキングから反時計回りです。

QFN特有の注意
QFNは表面のマーキングが小さく、ぱっと見でわかりにくいことがあります。データシート上には必ず詳しいマーキング位置が記載されているので、確認を怠らないでください。

QFNでもう1つ重要なのが放熱パッド(中央の大きな金属パッド)。これはピン番号には含まれませんが、データシート上では「Exposed Pad」「Thermal Pad」「EP」などと表記されます。基板への接続も忘れずに。

BGAのボール番号の数え方の図。行はA,B,C…、列は1,2,3…で、A1がPin1に相当し、IとOは使わない
BGAのボール番号:行は英字、列は数字でA1がPin1

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BGAパッケージの数え方(行と列の交差点)

BGAは底面全体に碁盤目状にハンダボールが並んでいるため、数字だけのピン番号では足りません。「アルファベット(行)+ 数字(列)」の組み合わせで各ボールを呼びます。

座標 意味 方向
行(アルファベット) A, B, C, D… 上から下に向かって増える
列(数字) 1, 2, 3, 4… 左から右に向かって増える

基準となるのは左上のA1。これがPin1相当で、ここから列番号と行番号を組み合わせてA1, A2, A3…B1, B2, B3…と呼びます。

BGAの落とし穴:I・O・Q・S・X・Zは使わない
行のアルファベットでは、数字と紛らわしい「I」「O」、書き間違いやすい「Q」「S」「X」「Z」は省略されることが多いです。AからHまで来たら次はJ、というルール。データシートの行記号は必ず確認してください。
現場の声
BGAは底面が見えないため、A1の位置が「上から見たとき」「下から見たとき」で違います。データシートには通常「Top View(上から見た図)」と「Bottom View(底面から見た図)」の両方が載っているので、CADでフットプリントを作るときはどちらの図を見ているのか必ず確認しましょう。
ICを逆向きに実装すると電源ONで煙が出ることと、基板の印とICの点を一致させる確認の図
ICを逆向きに実装すると煙が出る

ICの向きを基板に正しく合わせる方法

ピン番号を理解したら、次は基板にICを正しい向きで実装することが大切です。間違った向きで実装すると、電源を入れた瞬間にICが煙を出します。

基板側のシルク印刷を確認

基板のシルク印刷には、ICのフットプリント周辺に「●」「1」「▲」「半円のマーク」などが必ず印字されています。これがPin1の位置を示しています。

正しい合わせ方

  • 基板シルクの●とICのPin1マーキングを同じ位置に合わせる
  • ICを上から見た向きで合わせる
  • 実装前に最終目視で確認

よくあるミス

  • 180度逆向きで実装
  • シルクの●を見落とす
  • 裏返しのままハンダ付け
  • 類似ICの向きを見て勘違い
実装現場のコツ
マウンタ(自動実装機)でICを実装する場合は、Pin1の向きが部品データに登録されています。手実装の場合のみ、人間の判断が頼り。試作段階では「基板シルクの●とICの●を必ず1秒見直す」だけで、向き間違いの多くは防げます。
ICのTop ViewとBottom Viewの違いの図。上から見た図と底面から見た図ではピン配置が鏡像になる
Top ViewとBottom Viewではピン配置が鏡像になる

よくある間違いとFAQ

Q1. データシートの「Top View」と「Bottom View」が混乱する…

データシートのピン配置図には、必ず「Top View(上から見た図)」と「Bottom View(底面から見た図)」のどちらかが書かれています。視点が逆になると、ピン番号も鏡像になるため要注意。

視点 用途
Top View 基板に実装した状態を上から見た図。回路図や配線確認時に使う
Bottom View 底面側から見た図。CADでフットプリントを作る時の参考

Q2. SOICやTSSOPはDIPと同じ数え方?

基本的に同じです。SOIC(小型版DIP)やTSSOP(薄型版)も「ノッチ(目印)を上に向けて、左上のPin1から反時計回り」のルールです。表面実装になっただけで、数え方の哲学は変わっていません。

Q3. データシートに「Pin1 indicator」と書かれているが…

これは「Pin1の位置を示すマーキング」のこと。英語のデータシートでは、Pin1マーキングをこう呼びます。「Pin1 indicator: dimple at top-left corner」のように書かれていれば、「左上の角にディンプルがありますよ」という意味です。

Q4. マーキングが2箇所ある場合は?

高ピン数のQFPやBGAでは、Pin1マーキングが「ディンプル+●印」のように2種類同時に付いていることがあります。これは製造工程で1つが消えても、もう1つで判別できるよう冗長化しているため。両方とも同じPin1の位置を示しています。

Q5. シルクと部品の向きを確認する一番確実な方法は?

確実な方法は「型番の文字の向き」を見ることです。データシートのトップビューで、ICの型番(例:「STM32F407」)が読める向きが、基板実装時の正しい向きの基準。シルク印刷の文字も読める向きに合わせれば、ほぼ間違いません。

データシートのTop ViewとBottom Viewを読み違えると基板の配線が全部逆になる失敗例と、View表記を最初に確認する対策の図
Top/Bottom Viewの読み違えによる失敗と対策

まとめ:3つのルールを覚えれば迷わない

この記事のポイント
  • 基本ルール:ICを上から見て、左上のPin1から反時計回りに数える
  • Pin1マーキングは3パターン:①丸いくぼみ ②半円のノッチ ③印刷の●印
  • BGAだけは特殊:「アルファベット+数字」(A1, A2…)で呼ぶ
  • 反時計回りの理由:裏返したときに時計回りで数えやすくするため(DIP時代の名残)
  • 実装時の確認:基板シルクの●とICのPin1マーキングを同じ位置に合わせる
  • データシート読解:「Top View」と「Bottom View」を必ず区別する

ICのピン番号の数え方は、回路設計の入り口にして最重要な基礎知識です。一見地味ですが、ここを間違えると「設計ミスが製造後に発覚→ボード作り直し→数百万円の損失」という最悪の連鎖に発展します。

明日、データシートを開いたときに「ピン1はここだな」と即答できるようになっていれば、今日の30分の学習投資はもう元が取れています。先輩から「Pin1どこ?」と聞かれたら、迷わず指差せるエンジニアへ。一歩前進です。

設計画面でICのPin1の位置を確認する技術者のイラスト
設計画面でPin1の位置を確かめる
この記事の理解を深める本と道具
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メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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