※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

BGAとは?底面にはんだボールを並べたICパッケージ
BGAは、ICの裏側に、はんだの小さな玉を碁盤の目のように並べたパッケージです。名前は Ball(球)+ Grid(碁盤の目)+ Array(並び)の頭文字で、「ボール・グリッド・アレイ」と読みます。
そもそもパッケージとは、ICの本体(シリコンのチップ)を守り、基板にはんだ付けできるようにする「入れ物」のことです。チップは爪の先ほどの大きさで、そのままでは基板につけられません。そこで樹脂などで包み、外に電極を出します。この電極の出し方の違いが、そのままBGA・QFP・QFNという種類の違い。
BGAの中はこうなっている
| 部分 | 役割 |
|---|---|
| チップ(ダイ) | ICの本体。回路が作り込まれたシリコンの小片 |
| 封止樹脂(モールド) | チップを包んで、湿気やほこり、衝撃から守る |
| サブストレート(中継の基板) | チップの細かい電極を、裏面のボールの位置まで配線で広げる小さな基板 |
| はんだボール | リフロー(炉で温めるはんだ付け)で溶けて、基板のパッドとつながる電極 |

BGAをのせる「プリント基板」そのものの構造と種類は、次の記事で基礎から図解しています。
基板の構造・作り方・種類をはじめから
BGA・QFP・QFNの違いは「電極がどこにあるか」
BGA・QFP・QFNの違いは、電極の場所です。QFPは外周の横、QFNは底面の外周、BGAは底面全体にあります。どれも基板の表面にのせてはんだ付けする「表面実装」の部品です。
| パッケージ | 名前の意味 | 電極の場所と形 |
|---|---|---|
| QFP | Quad Flat Package(4方向に足がある平たいパッケージ) | 4辺から、カモメの翼のように曲がった足(リード)が横に出る |
| QFN | Quad Flat No-lead(足のないQFP) | 底面の外周に平らな電極。中央に大きな放熱パッドがあるものが多い |
| BGA | Ball Grid Array(ボールを碁盤の目に並べたもの) | 底面全体に、はんだボールが碁盤の目に並ぶ |
データシートの「QFN-32」「LQFP-64」「BGA-256」の数字は、電極(ピン)の数です。LQFPのLはLow profile(薄型)の意味で、形はQFPの仲間です。
QFPもQFNもBGAも「のせる部品」。その前の大分類から確かめる

この記事には「qfn」「qfp」と検索して来る人も多く、Bing のクリックの半分ほどがこの2語でした。そこでQFPとQFNで迷う点も、ここで答えます。
QFPの見分け方とリード浮き
QFPは、4辺から足が横に出ていて、真横から見るとカモメの翼のように曲がっています(ガルウイング)。はんだの山(フィレット)が外から見えるので、ルーペや外観検査装置で確かめられます。
QFPで多い不良がリード浮きです。足の一部がパッドから浮いて、はんだでつながらない状態。原因は、運ぶときやトレーから出すときの足の曲がり、足先の高さのばらつき(コプラナリティ)、基板の反りの3つが代表です。真上からだと見落とします。斜めから見てください。0.5mmピッチ以下では、隣の足どうしがつながるブリッジも起きやすくなります。
足先の高さのばらつきの許容値は、部品ごとの外形図に書かれています。資料によって値が違うため、この記事では数字を挙げません。ブリッジなどほかの不良の見分け方ははんだ付け不良5選で図解しています。
QFNの見分け方と、放熱パッドのはんだ付け
QFNは足のない四角いパッケージで、底面の外周に平らな電極、中央に大きな放熱パッド(エクスポーズドパッド)があります。足が出ないので、同じピン数のQFPより小さい。
危ないのは、見えない放熱パッドの下。広いパッドにはんだペーストを全面に塗ると、ガスの逃げ場がなくなって空洞(ボイド)が残りやすい。ペーストが多すぎると部品が浮いて、外周の電極が届きにくくもなります。そこで、メタルマスクの開口を格子などに分けて、塗る量を減らします。TIのQFNの実装資料では、パッドの面積の50〜70%ほどが目安。開口の形はデータシートの推奨に合わせます。
QFNの基板で、何を先に見るか。筆者なら、外周の電極より先に、放熱パッドの下のビアとペーストの開口を確かめます。理由は、外周は横から見えても、放熱パッドの下は外観検査で見えず、不良があっても出荷前に気づきにくいからです。ビアの数と置き方はサーマルビアの設計で計算しています。
車載向けには、電極の側面に段差をつけてめっきし、横にもはんだの山ができる「ウェッタブルフランク」のQFNもあります。外観検査装置で確かめやすくするための形です。
BGAのメリット|同じ大きさでピン数が何倍にもなる
BGAの一番のメリットは、同じ大きさのパッケージでピン数を何倍にもできることです。外周だけを使うQFPと、面全体を使うBGAを、同じ14mm角で計算して比べてみます。
QFPのピン数は「外周の長さ」に比例しますが、BGAのボールの数は「面積」に比例します。パッケージを大きくするほど差は広がり、CPUやFPGAでは1,000個を超えるBGAも使われています。実際のボールの数と並び方は、ICごとにデータシートで確かめてください(中央を空けたものもあります)。
ピン数のほかのメリット
- 小さくできる:足が横に飛び出さないので、基板の上で占める面積がパッケージの大きさとほぼ同じ。
- 高速の信号に強い:チップからボールまでの道のりが短く、寄生インダクタンス(配線の長さによるじゃまな性質)が小さい。
- 熱を逃がしやすい:たくさんのボールを通して、熱を基板へ逃がせる。
- はんだ付けで位置がそろう:溶けたはんだの表面張力で、少しずれてのせても正しい位置に引き寄せられる(セルフアライメント)。

BGAのデメリット|見えない・直しにくい・湿気に弱い
BGAのデメリットは、はんだ付けの部分が外から見えないことと、それによって検査・修理・基板が大がかりになることです。BGAを採用するかどうかは、設計者だけでなく製造と品質の部門も一緒に決めます。
| デメリット | なぜ困るか | どう対策するか |
|---|---|---|
| はんだ付けが見えない | 内側のボールは目でも顕微鏡でも確かめられない | X線検査で、ボールの形やボイド(中の空洞)を見る |
| 修理がむずかしい | はんだごてでは外せない | 専用のリワーク装置(部品を温めて外し、付け直す装置)を使う |
| 基板の層が増える | 内側のボールから配線を引き出す道がない | ビア(層をつなぐ穴)で内層へ逃がす。多層基板になる |
| 湿気に弱い | 吸った水分がリフローの熱で一気に膨らみ、パッケージが割れる(ポップコーン現象) | 防湿袋を開けてからの時間を管理し、超えたらベーキング(乾燥)する |
| 温度変化に弱いことがある | ICと基板の伸び縮みの差(熱膨張係数の差)が、はんだボールにかかる | 基板材料を選ぶ。必要ならアンダーフィル(すき間を樹脂で埋める)を使う |

BGAの実装と検査|リフローでつけてX線で確かめる
BGAはリフローではんだ付けし、X線検査ではんだの状態を確かめます。流れは次のとおりです。
X線・AOI・ICTで、外から見えないBGAのはんだをどう確かめるかを比べています。
X線検査で見る不良
| 不良 | どんな状態か |
|---|---|
| ボイド | ボールの中にできた空洞。許容の目安は IPC の規格(IPC-7095・IPC-A-610)や客先の基準で決まり、規格の版でも数字が違う。大きさだけでなく、パッドとの境目にあるかどうかも重要 |
| ブリッジ | 隣のボールどうしがはんだでつながり、ショートしている |
| ヘッドインピロー | ボールとペーストが溶け合わず、枕に頭をのせたように接しているだけの状態。真上からのX線では見つけにくい |
| 未はんだ(オープン) | 基板の反りなどで、ボールがパッドに届いていない |
リフロー炉で何が起きているのか、フロー実装との違いから

BGAの基板設計|内側のボールから配線をどう引き出すか
BGAの基板設計でいちばん大事なのは、内側のボールからの配線の引き出し方です。外側の1〜2列は表面の配線でそのまま外へ出せますが、内側のボールは周りをほかのボールに囲まれていて、表面には道がありません。
| 引き出し方 | やり方 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| ドッグボーン | パッドから短い配線を斜めに出し、ボールのすき間にビアを置いて内層へ落とす(形が骨に似ている) | 0.8mmピッチ以上など、すき間にビアが入る場合 |
| ビアインパッド | パッドの真下にビアを開け、穴を埋めてふさぐ | 0.5mmピッチ以下など、すき間にビアが入らない場合(基板の費用は上がる) |
内側の列が多いほど、引き出すための層が増えます。ボールの列数が多いBGAでは4層以上の多層基板になることが多く、基板の費用に直結します。ピッチが狭いと、配線の幅とすき間、ビアの穴の大きさも基板メーカーの標準を超えやすくなるので、部品を決める前に基板メーカーの仕様を確かめておきます。
ビアにも種類がある。BGAの引き出しで使う穴の違い

BGA・QFP・QFNの比較表と、仲間のパッケージ
QFPは扱いやすさ、QFNは小ささと放熱、BGAはピン数と高速性が強みです。一覧で比べると、選ぶときの基準がはっきりします。
| 比べる点 | QFP | QFN | BGA |
|---|---|---|---|
| 電極の場所 | 外周の横(足) | 底面の外周(+放熱パッド) | 底面全体(ボール) |
| ピン数 | 中くらい | 少なめ〜中くらい | 多い |
| 基板の上の面積 | 大きい(足の分) | 小さい | ピン数のわりに小さい |
| 放熱 | 弱め | 強い(放熱パッド) | 強い |
| はんだの目視 | できる | 側面だけ | できない(X線) |
| 手はんだ・修理 | できる | ホットエアーが必要 | リワーク装置が必要 |
| 基板の層数 | 2層でも作りやすい | 2層でも作りやすい | 多層になりやすい |
| よく使われるIC | マイコン・汎用IC | 電源IC・小型機器のIC | CPU・FPGA・メモリ・SoC |
データシートで見かける仲間
| 名前 | 仲間 | 特徴 |
|---|---|---|
| SOP・SOIC・TSSOP | QFPの仲間 | 2辺だけに足がある。TSSOPは薄型 |
| LQFP・TQFP | QFPの仲間 | 薄型のQFP |
| DFN・SON | QFNの仲間 | 2辺だけに底面の電極がある |
| LGA | BGAの仲間 | ボールの代わりに平らな電極(ランド)が碁盤の目に並ぶ |
| FBGA・CSP・WLCSP | BGAの仲間 | ピッチが細かい小型のBGA。WLCSPはチップとほぼ同じ大きさ |

BGA・QFP・QFNの選び方|4つの順番で決める
パッケージは、ピン数→製造の設備→大きさと熱→修理のしかた、の順に確かめると迷いません。同じICに複数のパッケージがある場合の決め方です。

BGAの見えない所で起きるボイドなど、はんだ付けの代表的な不良は次の記事で5つに分けて図解しています。
ブリッジ・イモハン・チップ立ち・ボイド・はんだ不足
BGAでよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| 外側のボールが顕微鏡できれいなら合格 | 見えるのは外周だけ。内側はX線で確かめる |
| 防湿袋を開けたまま、何日も置いてからリフローする | MSLの時間を超えたらベーキングする。開けた日時を記録する |
| 回路図ができてから基板の層数を考える | BGAは引き出しで層数が決まる。部品を選ぶ段階で層数と費用を見積もる |
| ボイドがあれば必ず不良 | 小さなボイドはよくある。大きさ(使う規格の版・客先の基準で確かめる)と位置で判断する |
| フットプリントを自分で寸法を変えて作る | データシートの推奨ランドパターンに合わせる |
よくある質問


