- 機械科目、公式が多すぎてどれから覚えればいいかわからない
- 変圧器・誘導機・同期機…分野ごとにバラバラで頭が整理できない
- 試験直前にサッと見返せる「公式の全体像」がほしい
- 機械の頻出公式を分野別に1ページで総ざらい
- 各公式の「覚え方」と「どの問題で使うか」
- 優先して覚えるべき“骨格の5公式”
電験三種 機械の公式は数が多く見えますが、まず覚えるべき“骨格”は5つだけです。同期速度 Ns=120f/p、すべり s=(Ns−N)/Ns、変圧器の巻数比 a=V1/V2、直流機の起電力 E=kΦN、同期発電機の出力 P=(VE/Xs)sinδ。この5本を軸に、各分野の公式を枝としてぶら下げていくと、驚くほどスッキリ整理できます。このページはその全体像を1枚でまとめた“公式の地図”です。
機械は「4機(変圧器・誘導機・同期機・直流機)+パワエレ+その他(照明・電熱・電動機応用)」で構成されます。この記事も同じ順番で、頻出公式を漏れなく並べます。まずは全体像から見ていきましょう。
目次
まず覚える|機械の骨格となる5公式
細かい公式に入る前に、これだけは最優先という“背骨”の5公式を押さえます。ここが分かっていると、他の公式の意味も理解しやすくなります。
| 分野 | 公式 | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 誘導機・同期機 | Ns = 120f / p | 回転磁界の速さ(同期速度) |
| 誘導機 | s = (Ns − N) / Ns | 同期速度との“ズレの割合” |
| 変圧器 | a = V1/V2 = N1/N2 | 電圧比=巻数比 |
| 直流機 | E = kΦN | 起電力は磁束×回転数に比例 |
| 同期機 | P = (VE/Xs) sinδ | 同期発電機の出力 |
記号の意味:f=周波数[Hz]、p=極数、Ns=同期速度[min⁻¹]、N=回転速度、s=すべり、V=電圧、N(変圧器では)=巻数、Φ=磁束、k=機械定数、Xs=同期リアクタンス、δ=負荷角。まずこの記号だけ覚えれば、以降がぐっと読みやすくなります。

① 変圧器の公式一覧
変圧器は「電圧を変える機械」です。巻数比を軸に、電流・インピーダンス・効率へと公式が広がります。
巻数比・電圧・電流・インピーダンス
| 公式 | 意味・覚え方 |
|---|---|
| a = V1/V2 = N1/N2 = I2/I1 | 電圧比=巻数比。電流は逆比(電圧が上がると電流は下がる) |
| Z1 = a² × Z2 | 一次側から見たインピーダンスは巻数比の“2乗”倍 |
電流だけは「逆比」になります。電圧が2倍になる巻数比なら、電流は1/2倍。エネルギー(電力)は保存されるからです。インピーダンスは巻数比の“2乗”倍なのも要注意です。
損失・効率
| 公式 | 意味・覚え方 |
|---|---|
| η = 出力 / (出力+鉄損+銅損) ×100 | 効率。損失は鉄損と銅損の2つだけと考える |
| 最大効率条件:鉄損 = 銅損 | 2つの損失が等しいとき効率が最大になる |
| 銅損 ∝ 負荷率² | 銅損は負荷の“2乗”に比例。鉄損は負荷に関係なく一定 |
鉄損=「鉄(コア)はずっと磁化されるので、負荷ゼロでも一定」。銅損=「銅線に電流が流れるほど発熱、電流の2乗で効く」。この2つのイメージがあれば、最大効率=鉄損=銅損も腑に落ちます。
変圧器の損失・効率をもっと深く理解したい人は、変圧器の損失と効率|鉄損・銅損・最大効率条件で図解しています。三相結線(Y・Δ)や並行運転まで含めた全体像は変圧器の完全攻略マップからたどれます。

② 誘導機(誘導電動機)の公式一覧
誘導機は機械科目の最頻出分野です。すべてのカギは「同期速度」と「すべり」の2つ。ここが機械攻略の心臓部です。
同期速度・すべり・回転速度
| 公式 | 意味・覚え方 |
|---|---|
| Ns = 120f / p | 同期速度=回転磁界の速さ。極数pが多いほど遅い |
| s = (Ns − N) / Ns | すべり=同期速度と実回転のズレの割合 |
| N = Ns(1 − s) | 実際の回転速度。すべりの分だけ遅れる |
回転磁界(先を走るランナー)に、回転子(追いかけるランナー)がわずかに遅れてついていく。この“遅れの割合”がすべりです。ぴったり追いつくと(s=0)力が出せないので、必ず少しだけ遅れて回ります。
すべりは機械で最も問われる概念です。「滑り 公式」で検索する人が多いのも納得の重要度。意味と計算を徹底的に噛み砕いた滑り(すべり)s|誘導電動機の超重要キーワードは必ず押さえておきましょう。
電力・トルク・効率の比例配分
| 公式 | 意味・覚え方 |
|---|---|
| P2 : Pc2 : Pm = 1 : s : (1−s) | 二次入力:二次銅損:機械出力の黄金比 |
| 二次銅損 Pc2 = s × P2 | すべりの分が銅損として熱になる |
| 機械出力 Pm = (1−s) × P2 | 残りが実際の出力になる |
| 二次効率 η2 = 1 − s | すべりが小さいほど効率が良い |
| T = Pm / ω = P2 / ωs | トルクは出力÷角速度 |
「1 : s : (1−s)」の比だけ覚えれば、二次入力・銅損・出力・効率がすべて芋づる式に出せます。誘導機の計算問題はこの比が主役です。
トルクと出力の関係、比例推移、始動法など誘導機の全体像は誘導機完全攻略ロードマップで順番に学べます。

③ 同期機(同期発電機・電動機)の公式一覧
同期機は「回転磁界と同じ速度で回る機械」です。発電所の発電機がこれ。出力と短絡比が頻出です。
| 公式 | 意味・覚え方 |
|---|---|
| Ns = 120f / p | 同期速度(すべりゼロで回る) |
| P = (VE / Xs) sinδ | 三相出力。δ=90°で最大 |
| Pmax = VE / Xs | 最大出力(sinδ=1のとき) |
| 短絡比 Ks = Is / In = 100 / %Zs | 短絡電流÷定格電流。%Zsの逆数×100 |
出力の公式 P=(VE/Xs)sinδ は「電圧V×起電力E÷リアクタンスXs、角度で調整(sinδ)」。負荷角δが大きいほど出力が増え、90°でピーク。それを超えると脱調(追いつけず止まる)します。
短絡比は「大きいほど安定・頑丈だが大型で高コスト」。水車発電機は短絡比が大きく、タービン発電機は小さい、という特徴もセットで覚えると論説問題に強くなります。
V曲線・力率改善・並行運転まで含めた同期機の全体像は同期機完全攻略ロードマップで整理できます。

④ 直流機(直流発電機・電動機)の公式一覧
直流機は起電力EとトルクTの2本柱。この2つの公式から、速度制御まで枝が伸びます。
| 公式 | 意味・覚え方 |
|---|---|
| E = kΦN | 起電力は磁束Φ×回転数Nに比例 |
| T = k'ΦIa | トルクは磁束Φ×電機子電流Iaに比例 |
| V = E + Ia×Ra(電動機) | 端子電圧=逆起電力+抵抗降下 |
| E = V − Ia×Ra(発電機) | 起電力=端子電圧+抵抗降下(発電機は+) |
| N ∝ (V − IaRa) / Φ | 回転数は電圧に比例・磁束に反比例(速度制御) |
速度制御は N∝(V−IaRa)/Φ が全て。電圧Vを変える「電圧制御」、磁束Φを変える「界磁制御」、抵抗を変える「抵抗制御」の3つは、この式のどこをいじるかの違いです。
発電機は E=V+IaRa、電動機は V=E+IaRa。抵抗降下の“向き”が逆になります。発電機は「作った電気を送り出す」、電動機は「電気を受け取って回る」と考えると符号を間違えません。
分巻・直巻・複巻など種類ごとの特性の違いは直流発電機の種類と外部特性(他励・分巻・直巻・複巻)で一覧比較しています。直流機全体は直流機の完全攻略マップからどうぞ。

⑤ パワーエレクトロニクスの公式一覧
パワエレは「電気の形を変える」分野。整流回路(交流→直流)とチョッパ(直流→直流)の平均電圧が頻出です。
整流回路(交流→直流)の平均電圧
| 回路 | 平均直流電圧 Ed |
|---|---|
| 単相半波整流 | Ed = 0.45 × E(=√2E/π) |
| 単相全波(ブリッジ)整流 | Ed = 0.90 × E(=2√2E/π) |
| 三相全波整流 | Ed = 1.35 × E(線間電圧基準) |
「半波0.45 → 全波0.90(2倍)→ 三相1.35(3倍)」と、0.45刻みで増えると覚えると楽です。※Eは交流の実効値。
直流チョッパ(直流→直流)
| 回路 | 出力電圧(通流率d) |
|---|---|
| 降圧チョッパ | Vd = d × V(入力より低い) |
| 昇圧チョッパ | Vd = V / (1 − d)(入力より高い) |
| 昇降圧チョッパ | Vd = V × d / (1 − d) |
通流率d(デューティ比)は「ONしている時間の割合(0〜1)」。降圧はd倍にそのまま比例、昇圧は(1−d)で割る、という違いに注意。dが1に近づくほど昇圧チョッパの出力は急上昇します。
各トポロジーの動作原理と使い分けはスイッチング電源トポロジー一覧(降圧・昇圧・絶縁型まで全網羅)で図解しています。試験対策としてのB問題の解法はパワエレB問題の解法パターンが役立ちます。

⑥ 照明・電熱・電動機応用の公式一覧
4機とパワエレ以外の「その他」分野です。ここは公式がシンプルなので、確実に得点源にできます。
照明
| 公式 | 意味 |
|---|---|
| E = I / r²(点光源の照度) | 照度は光度I÷距離の2乗(逆2乗の法則) |
| 水平面照度 Eh = (I/r²)cosθ | 斜めからの光はcosθをかける |
| 平均照度 E = FNU M / A | 光束F×灯数N×照明率U×保守率M÷面積A |
光束F[lm]=光の量、光度I[cd]=光の強さ、照度E[lx]=照らされた明るさ、輝度L[cd/m²]=まぶしさ。まずこの区別から。
電熱
| 公式 | 意味 |
|---|---|
| Q = mcΔT | 熱量=質量×比熱×温度差 |
| Q = Pt(=電力×時間) | 投入した電気エネルギー |
| 効率 η = mcΔT / (Pt) | 加熱効率=必要な熱÷投入電力量 |
| COP = 移動熱量 / 消費電力 | ヒートポンプの成績係数 |
Q=mcΔT と Q=Pt を「=」で結ぶのが電熱計算の定番。ただし単位を揃えること(1kWh=3600kJなど)。ここでの取りこぼしが多いです。
電動機応用(巻上機・ポンプ・送風機)
| 用途 | 所要動力の公式 |
|---|---|
| 巻上機・エレベータ | P = mgv / η [W] |
| ポンプ(揚水) | P = 9.8QH / η [kW](Q[m³/s]) |
| 送風機 | P = Qp / η [W] |
| はずみ車(回転エネルギー) | W = ½ Jω²(GD²との関係あり) |
回転速度nを変えると、風量Q∝n、圧力H∝n²、動力P∝n³。つまり回転を半分にすると動力は1/8(=(1/2)³)に激減します。省エネ問題の定番です。
巻上機・ポンプ・送風機の具体的な計算手順は電動機応用の計算(巻上機・ポンプ・送風機・エレベータの所要出力)で例題つきで解説しています。

⑦ 自動制御・情報(デジタル)の重要ポイント
機械の後半で出る自動制御と情報分野は、公式というより“考え方”が中心。頻出ポイントだけ押さえます。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 1次遅れ要素 | 時定数τ、63.2%到達がカギ |
| ゲイン[dB] | g = 20 log₁₀(出力/入力) |
| 安定判別 | ナイキスト線図で(−1, j0)の左右 |
| 2進数変換 | 10進→2進は割り算の余り |
自動制御の解法パターンは自動制御の全パターン攻略(出題傾向と解法フローチャート)で、機械全体の攻略順は機械の全体像と勉強戦略(10分野の攻略法)で確認できます。

公式でよくやる間違い・つまずき
①「同期速度と回転速度」を混同する
Ns(同期速度=磁界の速さ)とN(実際の回転速度)は別物です。誘導機はNsより必ず少し遅く回ります(s>0)。すべりの計算で分母をNにしてしまうミスが定番です。分母は必ずNsです。
②変圧器の電流を「比例」と勘違い
電圧は巻数に比例しますが、電流は逆比です。インピーダンスは巻数比の2乗倍。この「比・逆比・2乗」の使い分けが混乱ポイントです。
回転速度は[min⁻¹](毎分)と[s⁻¹](毎秒)が混在します。角速度ω=2πN/60 の「/60」を忘れるとトルク計算が60倍ずれます。電熱のkWhとkJ換算(×3600)も同様に注意。
③発電機と電動機で符号を逆にする
直流機の起電力の式は、発電機 E=V+IaRa、電動機 V=E+IaRa。抵抗降下の向きが逆です。「どっちが電気を送り出す側か」で判断すると迷いません。

よくある質問(FAQ)
- 骨格は5公式:Ns=120f/p、s=(Ns−N)/Ns、a=V1/V2、E=kΦN、P=(VE/Xs)sinδ。
- 誘導機は「1:s:(1−s)」の比が計算の主役。
- 変圧器は電圧=比・電流=逆比・Z=2乗倍。最大効率は鉄損=銅損。
- パワエレは整流0.45刻み、チョッパは降圧dV・昇圧V/(1−d)。
- 電動機応用の比例則 P∝n³(回転半分で動力1/8)は必出。
- 単位(/60、×3600)と符号(発電機/電動機)のミスに要注意。
公式は「暗記」ではなく「意味とセットで理解」すると忘れません。各分野の詳しい導出や計算例は、本文中でリンクした個別記事でじっくり確認してください。この一覧は、試験直前の総点検にも使えるようブックマークしておくのがおすすめです。

自動車部品メーカーで電気設計・品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて電気を学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
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