電線・ケーブルと配線

電線の許容電流 早見表|IV・VVF・CV・CVTの太さ別一覧と温度の補正

電線の許容電流 早見表のアイキャッチ。ケーブルの切り口の写真に、VVF 1.6mm 19A と補正係数の式

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電線の許容電流を調べると、同じ VVF 1.6mm なのに 19A と書く資料と 18A と書く資料があります。

先に答え

電線の許容電流(電線を熱くしすぎずに流し続けられる電流の上限)は、電線の種類と太さに加えて、周囲温度と敷設のしかた(空中・管の中・束ねる本数)で決まります。周囲温度30℃の内線規程の表では、VVF 1.6mm が19A、2.0mm が24A。周囲温度40℃・気中のメーカーの表では、CVT 22sq が110A、CV 3心 22sq が100A です。

どちらも正しい値です。違うのは、前提の温度と敷設の条件だけ。この記事では、種類ごとの値を1枚の表に並べ、表の下に必ず条件を書きました。

電線の許容電流 早見表のアイキャッチ。ケーブルの切り口の写真に、VVF 1.6mm 19A と補正係数の式

電線の許容電流 早見表(IV・VV・CV・CVT)

よく使う太さの許容電流を、条件ごとの列に分けて1枚にしました。左の2列は周囲温度30℃の内線規程の値、右の2列は周囲温度40℃・気中のメーカーの値です。列が違えば前提が違うので、列をまたいで比べないでください。

太さIV がいし引き(30℃)IV 管に3本以下/VV 3心以下(30℃)CV 3心(40℃・気中)CVT(40℃・気中)
1.6mm(単線)2719——
2.0mm(単線)3524——
2.6mm(単線)4833——
3.2mm(単線)6243——
2sq2719※23—
3.5sq3726※33—
5.5sq493444—
8sq614254—
14sq88617686
22sq11580100110
38sq162113140155
60sq217152190210
100sq298208260290
150sq395276340380
200sq469328410465
250sq556389470535
325sq650455555635

単位は A。30℃の2列:内線規程 1340-1表・1340-2表(パナソニックの抜粋、HS&T の IV カタログと同じ値)。電技解釈 146-1表・146-2表とも同じ値。※は内線規程の抜粋に無い行で、電技解釈 146-2表×0.70 を7捨8入した計算値。40℃の2列:HS&T(住電日立ケーブル)のカタログ、JCS 0168 による気中暗渠布設・1条。CVT の列は遮へい付き(CVT-S)の表。60sq 以上の VV 3心以下は IV と値が違う(60sq 150A・100sq 202A)。

表の数字は、電技解釈(電気設備の技術基準の解釈)の 146-2表の値に、管に3本入れたときの係数0.70を掛け、小数点以下を「7捨8入」したものと全行で一致しました。2sq なら 27×0.70=18.9 で19A、22sq なら 115×0.70=80.5 で80A です。筆者は 2sq から 325sq まで13行と、単線の4行を計算して照らしました。ずれは0行。

VVF(住宅の屋内配線に使う平たいケーブル)は「VV ケーブル3心以下」の列で読みます。1.6mm なら19A、2.0mm なら24A、2.6mm なら33A です。単線の行を見ます。

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電線の許容電流 22sq の比較。IV がいし引き115A、IV 管に3本80A、CV 単心130A、CVT 110A、CV 3心100A

同じ太さでも許容電流の値が資料で違う3つの理由

許容電流は「導体の温度を、絶縁体が耐えられる温度より上げない電流」です。だから、絶縁体の耐熱温度・周囲温度・熱の逃げやすさの3つが変わると、同じ太さでも値が変わります。

電線に電流を流すと、導体の抵抗で熱が出ます。熱は絶縁体とシース(外側の被覆)を通って外へ逃げます。出る熱と逃げる熱がつり合ったときの導体の温度が、絶縁体の限界を超えない電流。これが許容電流です。決め手は熱。

たとえると

湯船に蛇口でお湯を足しながら、栓を少し抜いている状態に似ています。お湯の入れ方(電流)が同じでも、浴室が寒ければ(周囲温度が低い)、栓が大きければ(熱が逃げやすい)、湯の温度は上がりにくくなります。

理由例値への効き方
1 絶縁体の耐熱温度ビニル(IV・VVF・VCT)60℃/耐熱ビニル(HIV)75℃/架橋ポリエチレン(CV・CVT)90℃耐熱温度が高いほど、同じ太さで多く流せる
2 前提の周囲温度内線規程・電技解釈は30℃、電線メーカーの JCS 0168 の表は40℃が多い前提が10℃高いと、ビニルなら約0.82倍
3 熱の逃げやすさがいし引き(空中)>ケーブル1条>管に3本>管に7本以上こもるほど小さい

VVF 1.6mm は19A か18A か

冒頭の食い違いは、2の周囲温度と3の敷設の違いで説明がつきます。19A は内線規程の値で、周囲温度30℃。18A は HS&T(住電日立ケーブル)のカタログの値で、JCS 0168(日本電線工業会の許容電流の計算方法)による基底温度40℃・気中暗渠布設の2心の値です。同じカタログの3心は15A でした。条件が違えば数字も違います。

この記事の早見表は、住宅や盤の配線の設計でふつう引かれる内線規程の値(19A)を載せました。迷ったのは、40℃の部屋に通すなら18A の方が実態に近いからです。結局、表は条件ごとに列を分け、40℃の場所は次の節の補正係数で直す形にしました。

ここで混乱しやすいのですが、補正係数は「表の前提の温度」から直します。30℃の表なら30℃基準、40℃の表なら40℃基準です。

許容電流が変わる理由。絶縁体の耐熱温度60・75・90℃、周囲温度の前提30℃と40℃、熱の逃げやすさ

周囲温度の補正係数:√((60−θ)/30) を掛ける

周囲温度が30℃を超える場所では、30℃の表の値に許容電流補正係数を掛けます。ビニル絶縁の電線なら係数は √((60−θ)/30) で、40℃なら約0.82、50℃なら約0.58 です。

許容電流補正係数(電技解釈 146-3表)
ビニル:√((60−θ)/30) 耐熱ビニル:√((75−θ)/30) 架橋ポリエチレン:√((90−θ)/30)

θ(シータ)は周囲温度です。30℃以下のときは30として計算します。式の 60・75・90 は、それぞれの絶縁体の許容温度です。

周囲温度ビニル(60℃)耐熱ビニル(75℃)架橋ポリエチレン(90℃)
30℃1.001.221.41
35℃0.911.151.35
40℃0.821.081.29
45℃0.711.001.22
50℃0.580.911.15

電技解釈 146-3表の式から計算(calc.py)。ビニルの列は、VCT のメーカーの補正係数の表(35℃0.91・40℃0.82・45℃0.71・50℃0.58)と一致した。耐熱ビニル・架橋ポリエチレンの係数は、30℃の表(ビニルの値)に掛けて使う電技解釈の考え方の値で、CV・CVT のメーカーの40℃の表に掛けるものではない。

例:IV 2sq を40℃の天井裏で使う

STEP 1

30℃の表の値を引く:IV 2sq(がいし引き)は27A

STEP 2

40℃の補正係数:√((60−40)÷30) = √0.667 = 0.816

STEP 3

掛ける:27 × 0.816 = 22.0A(30℃のときより約5A 小さい)

耐熱ビニルの係数が30℃で1を超えるのは、30℃の表がビニル(60℃)の値だからです。同じ太さでも、耐熱の高い絶縁体なら多く流せる、という意味になります。逆ではありません。

許容電流の周囲温度の補正係数のグラフ。ビニルは40℃で0.82、50℃で0.58。耐熱ビニルと架橋ポリエチレン

管に入れる本数の補正:電流減少係数

絶縁電線を電線管に入れるときは、管の中の本数に応じた電流減少係数を掛けます。3本以下で0.70、4本で0.63、7〜15本で0.49 です。周囲温度の補正と重なるときは、両方を掛けます。

同じ管の中の電線数電流減少係数5.5sq(49A)に掛けた値
3以下0.7034A
40.6331A
5〜60.5627A
7〜150.4924A
16〜400.4321A
41〜600.3919A
61以上0.3416A

係数は電技解釈 146-4表。右の列は 49A×係数を7捨8入した計算値で、内線規程の本数別の表(パナソニックの抜粋)と全行一致。

管の中では、電線どうしが互いの熱で温め合い、空気の流れもありません。本数が増えるほど1本あたりの許容電流が下がるのはこのためです。熱の逃げ場がないからです。

例題:単相25A の負荷、40℃の天井裏、IV を管に3本

STEP 1

3.5sq を試す:37A × 0.816(40℃)× 0.70(3本)

STEP 2

37 × 0.816 = 30.2、30.2 × 0.70 = 21.1A。25A に足りない

STEP 3

5.5sq を試す:49A × 0.816 × 0.70

STEP 4

49 × 0.816 = 40.0、40.0 × 0.70 = 28.0A。25A を超えるので 5.5sq

注意|補正は掛け算で重なる

30℃の表だけを見ると、3.5sq の管に3本は26A で、25A に足ります。40℃の補正を忘れると、1サイズ細い電線を選んでしまう例です。

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CV・CVT・KIV の許容電流は、メーカーの表の条件を読んで使う

CV・CVT(架橋ポリエチレン絶縁のケーブル)は、メーカーが JCS 0168 で計算した表を使います。HS&T の表は周囲温度40℃・気中暗渠・1条の値で、22sq なら CVT 110A、CV 3心 100A、CV 単心(3条)130A です。

CVT は、CV の単心ケーブルを3本より合わせた形です。同じ 22sq で比べると、1本のシースに3心を入れた CV 3心(100A)より、CVT(110A)の方が大きい値でした。3本それぞれの外側から熱が逃げるため、と考えられます。差は約1割。

「気中暗渠」は、日の当たらない空中やケーブルラック・ピットの上に置く条件です。地中に埋める(直埋)・管に通す(管路)ときは、同じメーカーの別の表を引きます。条件が多いため、この記事では管路・直埋の値は載せていません。表の取り違えを避けるため。

KIV(盤の中の配線)はメーカーで値が2通り

太さ稲葉電線東日京三KHD
0.75sq121214
1.25sq161619
2sq222227
3.5sq333337
5.5sq454549
8sq—5761
14sq—8388

単位は A。どれも周囲温度30℃・気中1条の値(各社の仕様書・カタログ)。KHD の値は電技解釈 146-2表と同じ。—は資料に記載なし。

KIV(電気機器用ビニル絶縁電線。制御盤の中の配線に使う)は、調べた3社で値が分かれました。稲葉電線と東日京三は 0.75sq で12A、KHD は14A です。KHD の値は電技解釈の 146-2表と同じ数字でした。どれも30℃の値。

この記事は、小さい側(稲葉電線・東日京三)を早見の目安にします。盤の中は電線が束になり、周囲温度も上がりやすいからです。最後は、実際に使う電線のメーカーの表で確かめてください。

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早見表で電線の太さを決める4ステップ

電線の太さは、①流す電流を決める→②種類と敷設に合う表の列を選ぶ→③温度と本数で補正する→④電圧降下と遮断器も確かめる、の順で決めます。表の数字を引くのは②で、そこで終わりにしないことが肝心です。

STEP 1 電流

負荷の定格電流を出す。電動機があるなら、幹線は電技解釈 第148条の1.25倍・1.1倍の考え方で上乗せする

STEP 2 表の列

電線の種類(IV・VVF・CV・CVT・KIV)と、空中か管か1条かで、早見表の列を選ぶ

STEP 3 補正

その場所のいちばん暑いところの温度で補正係数を掛け、管なら本数の係数も掛ける

STEP 4 確かめ

長い配線は電圧降下を計算する。電線を守る遮断器の定格が、補正後の許容電流以下かを見る

筆者なら、表を引く前に「その電線が通るいちばん暑い場所の温度」を先に決めます。理由は、30℃と50℃では係数が1.00と0.58で、4割も違うからです。電流の見積もりを1割詰めるより、温度の前提を外さない方が効きます。

盤の上部・天井裏・屋外の日なたの配管は、部屋の温度より高くなりがちです。測れないときもあります。温度がわからないときは、40℃の表(メーカーの表)か、30℃の表に40℃の補正を掛けた値で見ておくと、細すぎる電線を選びにくくなります。

電線の太さを決める4ステップ。25A・40℃・管に3本で 3.5sq は21.1A で不足、5.5sq は28.0A で足りる

許容電流の早見表でよくある間違い5つ

早見表の間違いは、ほとんどが「表の前提の条件を読まずに数字だけ使う」ことから起きます。温度・本数・列の取り違えの5つを先に知っておけば防げます。

間違い正しくは
30℃の表の値を、40℃以上になる盤の中や天井裏にそのまま使う補正係数を掛ける(ビニルなら40℃で約0.82倍)
管に何本も入れるのに、がいし引きの列で読む管なら本数の電流減少係数を掛ける(3本以下でも0.70)
30℃の内線規程の値と、40℃のメーカーの値を混ぜて比べる比べるのは同じ条件の列どうし
許容電流だけで決めて、電圧降下を見ない長い配線は電圧降下でもう1サイズ太くなることがある
遮断器の定格を、補正後の許容電流より大きくする電線を守る遮断器は、許容電流以下の定格にするのが基本(幹線の細かい条件は電技解釈 第148条)

4つ目の電圧降下は、許容電流とは別の理由で太さを決めます。許容電流は「熱」、電圧降下は「末端の電圧」の問題です。両方を満たす太い方を選びます。片方だけでは足りない。

許容電流の早見表のよくある間違い4つと正しい使い方

よくある質問(FAQ)

Q. VVF 1.6mmの許容電流は何Aですか?

A. 内線規程の表(周囲温度30℃・VVケーブル3心以下)で19Aです。メーカーの40℃・気中の表では2心18A・3心15Aです。

Q. CVT 22sqの許容電流は何Aですか?

A. HS&Tのカタログ(周囲温度40℃・気中暗渠・1条)で110Aです。管路や直埋では別の表の値になります。

Q. 許容電流の周囲温度の補正係数はどう計算しますか?

A. ビニル絶縁の電線は√((60−周囲温度)÷30)で、40℃なら約0.82、50℃なら約0.58を30℃の表の値に掛けます。

Q. 電線管に入れると許容電流はどれくらい下がりますか?

A. 電技解釈146-4表の電流減少係数を掛け、同じ管に3本以下で0.70、4本で0.63、7〜15本で0.49になります。

まとめ
  • 許容電流は、種類・太さ・周囲温度・敷設のしかたで決まる
  • 30℃の表(内線規程・電技解釈):VVF 1.6mm 19A・2.0mm 24A・2.6mm 33A
  • 40℃・気中の表(メーカー・JCS 0168):CVT 22sq 110A・CV 3心 22sq 100A
  • 周囲温度の補正(ビニル):√((60−θ)/30)、40℃で約0.82
  • 管の本数の補正:3本以下0.70・4本0.63・7〜15本0.49。補正は掛け算で重なる

次の一歩として、いま設計している配線の「いちばん暑い場所の温度」と「管の本数」をメモし、早見表の値に2つの係数を掛けてみてください。1サイズ上げるべきかがすぐにわかります。

電線の許容電流 早見表のまとめ
参考にした資料

(2026年10月に確認)

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

この記事の理解を深める本と道具
おすすめの道具

流れている電流を、回路を切らずに測りたいときに便利です。電線をはさむだけで交流の電流を測れる、日置電機のACクランプメーター CM3289です。

おすすめの本

電線の太さと許容電流の関係を、工場やビルの設備保全の仕事の流れの中で押さえ直したい人に向いています。技術評論社の『[カラー図解]電気エンジニア1年目の教科書 〜電気系設備保全・生産技術の実務のための基本〜』(シマタケ 著)で、目次に「電線サイズと許容電流」の節があります。

S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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