※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。
電線の許容電流を調べると、同じ VVF 1.6mm なのに 19A と書く資料と 18A と書く資料があります。
どちらも正しい値です。違うのは、前提の温度と敷設の条件だけ。この記事では、種類ごとの値を1枚の表に並べ、表の下に必ず条件を書きました。

電線の許容電流 早見表(IV・VV・CV・CVT)
よく使う太さの許容電流を、条件ごとの列に分けて1枚にしました。左の2列は周囲温度30℃の内線規程の値、右の2列は周囲温度40℃・気中のメーカーの値です。列が違えば前提が違うので、列をまたいで比べないでください。
| 太さ | IV がいし引き(30℃) | IV 管に3本以下/VV 3心以下(30℃) | CV 3心(40℃・気中) | CVT(40℃・気中) |
|---|---|---|---|---|
| 1.6mm(単線) | 27 | 19 | — | — |
| 2.0mm(単線) | 35 | 24 | — | — |
| 2.6mm(単線) | 48 | 33 | — | — |
| 3.2mm(単線) | 62 | 43 | — | — |
| 2sq | 27 | 19※ | 23 | — |
| 3.5sq | 37 | 26※ | 33 | — |
| 5.5sq | 49 | 34 | 44 | — |
| 8sq | 61 | 42 | 54 | — |
| 14sq | 88 | 61 | 76 | 86 |
| 22sq | 115 | 80 | 100 | 110 |
| 38sq | 162 | 113 | 140 | 155 |
| 60sq | 217 | 152 | 190 | 210 |
| 100sq | 298 | 208 | 260 | 290 |
| 150sq | 395 | 276 | 340 | 380 |
| 200sq | 469 | 328 | 410 | 465 |
| 250sq | 556 | 389 | 470 | 535 |
| 325sq | 650 | 455 | 555 | 635 |
単位は A。30℃の2列:内線規程 1340-1表・1340-2表(パナソニックの抜粋、HS&T の IV カタログと同じ値)。電技解釈 146-1表・146-2表とも同じ値。※は内線規程の抜粋に無い行で、電技解釈 146-2表×0.70 を7捨8入した計算値。40℃の2列:HS&T(住電日立ケーブル)のカタログ、JCS 0168 による気中暗渠布設・1条。CVT の列は遮へい付き(CVT-S)の表。60sq 以上の VV 3心以下は IV と値が違う(60sq 150A・100sq 202A)。
表の数字は、電技解釈(電気設備の技術基準の解釈)の 146-2表の値に、管に3本入れたときの係数0.70を掛け、小数点以下を「7捨8入」したものと全行で一致しました。2sq なら 27×0.70=18.9 で19A、22sq なら 115×0.70=80.5 で80A です。筆者は 2sq から 325sq まで13行と、単線の4行を計算して照らしました。ずれは0行。
VVF(住宅の屋内配線に使う平たいケーブル)は「VV ケーブル3心以下」の列で読みます。1.6mm なら19A、2.0mm なら24A、2.6mm なら33A です。単線の行を見ます。
幹線の電線は「機器の定格電流の合計×1.25倍」以上。表の値をどう使うかを電験の過去問で確かめられます

同じ太さでも許容電流の値が資料で違う3つの理由
許容電流は「導体の温度を、絶縁体が耐えられる温度より上げない電流」です。だから、絶縁体の耐熱温度・周囲温度・熱の逃げやすさの3つが変わると、同じ太さでも値が変わります。
電線に電流を流すと、導体の抵抗で熱が出ます。熱は絶縁体とシース(外側の被覆)を通って外へ逃げます。出る熱と逃げる熱がつり合ったときの導体の温度が、絶縁体の限界を超えない電流。これが許容電流です。決め手は熱。
| 理由 | 例 | 値への効き方 |
|---|---|---|
| 1 絶縁体の耐熱温度 | ビニル(IV・VVF・VCT)60℃/耐熱ビニル(HIV)75℃/架橋ポリエチレン(CV・CVT)90℃ | 耐熱温度が高いほど、同じ太さで多く流せる |
| 2 前提の周囲温度 | 内線規程・電技解釈は30℃、電線メーカーの JCS 0168 の表は40℃が多い | 前提が10℃高いと、ビニルなら約0.82倍 |
| 3 熱の逃げやすさ | がいし引き(空中)>ケーブル1条>管に3本>管に7本以上 | こもるほど小さい |
VVF 1.6mm は19A か18A か
冒頭の食い違いは、2の周囲温度と3の敷設の違いで説明がつきます。19A は内線規程の値で、周囲温度30℃。18A は HS&T(住電日立ケーブル)のカタログの値で、JCS 0168(日本電線工業会の許容電流の計算方法)による基底温度40℃・気中暗渠布設の2心の値です。同じカタログの3心は15A でした。条件が違えば数字も違います。
この記事の早見表は、住宅や盤の配線の設計でふつう引かれる内線規程の値(19A)を載せました。迷ったのは、40℃の部屋に通すなら18A の方が実態に近いからです。結局、表は条件ごとに列を分け、40℃の場所は次の節の補正係数で直す形にしました。
ここで混乱しやすいのですが、補正係数は「表の前提の温度」から直します。30℃の表なら30℃基準、40℃の表なら40℃基準です。

周囲温度の補正係数:√((60−θ)/30) を掛ける
周囲温度が30℃を超える場所では、30℃の表の値に許容電流補正係数を掛けます。ビニル絶縁の電線なら係数は √((60−θ)/30) で、40℃なら約0.82、50℃なら約0.58 です。
θ(シータ)は周囲温度です。30℃以下のときは30として計算します。式の 60・75・90 は、それぞれの絶縁体の許容温度です。
| 周囲温度 | ビニル(60℃) | 耐熱ビニル(75℃) | 架橋ポリエチレン(90℃) |
|---|---|---|---|
| 30℃ | 1.00 | 1.22 | 1.41 |
| 35℃ | 0.91 | 1.15 | 1.35 |
| 40℃ | 0.82 | 1.08 | 1.29 |
| 45℃ | 0.71 | 1.00 | 1.22 |
| 50℃ | 0.58 | 0.91 | 1.15 |
電技解釈 146-3表の式から計算(calc.py)。ビニルの列は、VCT のメーカーの補正係数の表(35℃0.91・40℃0.82・45℃0.71・50℃0.58)と一致した。耐熱ビニル・架橋ポリエチレンの係数は、30℃の表(ビニルの値)に掛けて使う電技解釈の考え方の値で、CV・CVT のメーカーの40℃の表に掛けるものではない。
例:IV 2sq を40℃の天井裏で使う
耐熱ビニルの係数が30℃で1を超えるのは、30℃の表がビニル(60℃)の値だからです。同じ太さでも、耐熱の高い絶縁体なら多く流せる、という意味になります。逆ではありません。

管に入れる本数の補正:電流減少係数
絶縁電線を電線管に入れるときは、管の中の本数に応じた電流減少係数を掛けます。3本以下で0.70、4本で0.63、7〜15本で0.49 です。周囲温度の補正と重なるときは、両方を掛けます。
| 同じ管の中の電線数 | 電流減少係数 | 5.5sq(49A)に掛けた値 |
|---|---|---|
| 3以下 | 0.70 | 34A |
| 4 | 0.63 | 31A |
| 5〜6 | 0.56 | 27A |
| 7〜15 | 0.49 | 24A |
| 16〜40 | 0.43 | 21A |
| 41〜60 | 0.39 | 19A |
| 61以上 | 0.34 | 16A |
係数は電技解釈 146-4表。右の列は 49A×係数を7捨8入した計算値で、内線規程の本数別の表(パナソニックの抜粋)と全行一致。
管の中では、電線どうしが互いの熱で温め合い、空気の流れもありません。本数が増えるほど1本あたりの許容電流が下がるのはこのためです。熱の逃げ場がないからです。
例題:単相25A の負荷、40℃の天井裏、IV を管に3本
許容電流が足りても、長い配線では電圧が下がりすぎることがあります。電圧降下の計算式と許容値はこちら

CV・CVT・KIV の許容電流は、メーカーの表の条件を読んで使う
CV・CVT(架橋ポリエチレン絶縁のケーブル)は、メーカーが JCS 0168 で計算した表を使います。HS&T の表は周囲温度40℃・気中暗渠・1条の値で、22sq なら CVT 110A、CV 3心 100A、CV 単心(3条)130A です。
CVT は、CV の単心ケーブルを3本より合わせた形です。同じ 22sq で比べると、1本のシースに3心を入れた CV 3心(100A)より、CVT(110A)の方が大きい値でした。3本それぞれの外側から熱が逃げるため、と考えられます。差は約1割。
「気中暗渠」は、日の当たらない空中やケーブルラック・ピットの上に置く条件です。地中に埋める(直埋)・管に通す(管路)ときは、同じメーカーの別の表を引きます。条件が多いため、この記事では管路・直埋の値は載せていません。表の取り違えを避けるため。
KIV(盤の中の配線)はメーカーで値が2通り
| 太さ | 稲葉電線 | 東日京三 | KHD |
|---|---|---|---|
| 0.75sq | 12 | 12 | 14 |
| 1.25sq | 16 | 16 | 19 |
| 2sq | 22 | 22 | 27 |
| 3.5sq | 33 | 33 | 37 |
| 5.5sq | 45 | 45 | 49 |
| 8sq | — | 57 | 61 |
| 14sq | — | 83 | 88 |
単位は A。どれも周囲温度30℃・気中1条の値(各社の仕様書・カタログ)。KHD の値は電技解釈 146-2表と同じ。—は資料に記載なし。
KIV(電気機器用ビニル絶縁電線。制御盤の中の配線に使う)は、調べた3社で値が分かれました。稲葉電線と東日京三は 0.75sq で12A、KHD は14A です。KHD の値は電技解釈の 146-2表と同じ数字でした。どれも30℃の値。
この記事は、小さい側(稲葉電線・東日京三)を早見の目安にします。盤の中は電線が束になり、周囲温度も上がりやすいからです。最後は、実際に使う電線のメーカーの表で確かめてください。
基板の上の「電線」=銅箔パターンの許容電流は、IPC-2221 の式で幅から決めます

早見表で電線の太さを決める4ステップ
電線の太さは、①流す電流を決める→②種類と敷設に合う表の列を選ぶ→③温度と本数で補正する→④電圧降下と遮断器も確かめる、の順で決めます。表の数字を引くのは②で、そこで終わりにしないことが肝心です。
筆者なら、表を引く前に「その電線が通るいちばん暑い場所の温度」を先に決めます。理由は、30℃と50℃では係数が1.00と0.58で、4割も違うからです。電流の見積もりを1割詰めるより、温度の前提を外さない方が効きます。
盤の上部・天井裏・屋外の日なたの配管は、部屋の温度より高くなりがちです。測れないときもあります。温度がわからないときは、40℃の表(メーカーの表)か、30℃の表に40℃の補正を掛けた値で見ておくと、細すぎる電線を選びにくくなります。

許容電流の早見表でよくある間違い5つ
早見表の間違いは、ほとんどが「表の前提の条件を読まずに数字だけ使う」ことから起きます。温度・本数・列の取り違えの5つを先に知っておけば防げます。
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| 30℃の表の値を、40℃以上になる盤の中や天井裏にそのまま使う | 補正係数を掛ける(ビニルなら40℃で約0.82倍) |
| 管に何本も入れるのに、がいし引きの列で読む | 管なら本数の電流減少係数を掛ける(3本以下でも0.70) |
| 30℃の内線規程の値と、40℃のメーカーの値を混ぜて比べる | 比べるのは同じ条件の列どうし |
| 許容電流だけで決めて、電圧降下を見ない | 長い配線は電圧降下でもう1サイズ太くなることがある |
| 遮断器の定格を、補正後の許容電流より大きくする | 電線を守る遮断器は、許容電流以下の定格にするのが基本(幹線の細かい条件は電技解釈 第148条) |
4つ目の電圧降下は、許容電流とは別の理由で太さを決めます。許容電流は「熱」、電圧降下は「末端の電圧」の問題です。両方を満たす太い方を選びます。片方だけでは足りない。

よくある質問(FAQ)


