回路設計

オペアンプの使い方|非反転増幅回路・反転増幅回路を5Vで組む

ブレッドボードに挿した8本足のオペアンプのICと抵抗、奥で小さい波が大きい波になる光の写真に、オペアンプの使い方入門・3つの回路・フォロワ・非反転・反転増幅の文字

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非反転増幅回路のゲインは 1+R2÷R1、反転増幅回路は −R2÷R1 です。5V だけで組む手順は非反転増幅回路と反転増幅回路の節、出力=入力のボルテージフォロワは回路1にあります。

結論|まず30秒でわかる答え

オペアンプの使い方の基本は、出力を−入力に戻すことです。戻すと、オペアンプは+入力と−入力の電圧を同じにしようと出力を動かします。
①そのまま戻す → ボルテージフォロワ(出力=入力)
②抵抗2本で一部を戻す → 非反転増幅(ゲイン=1+R2÷R1)
③入力を−側から入れる → 反転増幅(ゲイン=−R2÷R1)
5Vだけで使うなら、出力が電源の端まで振れる「レールtoレール」の品種(MCP6002 など)を選びます。

この記事に出てくる言葉

わからない言葉が出てきたら、ここに戻ってきてください。本文でも、初めて出たところで言い換えます。

オペアンプ2つの入力の電圧の差を、とても大きくして出力する部品(IC)
+入力・−入力電圧を比べる2本の入口。+は非反転入力、−は反転入力とも呼ぶ
片電源+5V と GND(0V)の2本だけで動かすこと。±の電源は「両電源」
負帰還(ふきかん)出力を−入力に戻すつなぎ方。オペアンプの使い方の基本
ゲイン出力が入力の何倍になるか。増幅率とも呼ぶ
ボルテージフォロワ出力が入力と同じ電圧になる回路(ゲイン1倍)
レールtoレール出力(や入力)が、電源の端(0V や 5V)のすぐ近くまで届く性質
パスコンIC の電源ピンのすぐ近くに置くコンデンサ。電源のゆれを吸う

オペアンプは、センサーの小さな電圧を大きくしたり、抵抗の大きい回路の電圧をそのまま次へ渡したりする、アナログ回路の主役の部品です。ところが、理屈の説明から入ると「仮想短絡」「負帰還」といった言葉で止まりがちです。

この記事では、理屈は1つのルールだけにしぼり、5V で動く実物の部品(MCP6002・LM358)を使って、回路を組んで測るところまで進みます。

ブレッドボードに挿した8本足のオペアンプのICと抵抗、奥で小さい波が大きい波になる光の写真に、オペアンプの使い方入門・3つの回路・フォロワ・非反転・反転増幅の文字

この記事で作るもの:センサーの0〜0.5Vを、0〜4.6Vに大きくする

この記事のゴールは、0〜0.5V しか出ないセンサーの電圧を、5V のマイコンで読みやすい0〜4.6V に大きくする回路です。部品はオペアンプ1個と抵抗2本です。

マイコンの A/D 変換(電圧を数字に変える機能)は、5V の幅を細かく区切って読みます。0〜0.5V の信号をそのまま入れると、使える目盛りは全体の1割だけです。

そこで、オペアンプで信号を約9倍にして、目盛りの9割以上を使えるようにします。これが「非反転増幅」という回路で、この記事の後半で値を決めます。

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つまり、オペアンプは「小さい信号を、次の回路が扱いやすい大きさにそろえる」部品です。

非反転増幅の回路図。センサーの0〜0.5Vを+入力へ、R1 10kΩとR2 82kΩで出力の一部を−入力に戻し、出力0〜4.6Vをマイコンへ。右に入力0.5Vと出力4.6Vの棒グラフと電源5Vの線

オペアンプの記号と5本の端子:入力2本・出力1本・電源2本

オペアンプの記号は三角形です。左に入力が2本(+と−)、右の先に出力が1本、上下に電源が2本あります。

端子役目
+入力(非反転入力)比べる電圧の1つ。電流はほとんど流れ込まない
−入力(反転入力)比べる電圧のもう1つ。ふつうは出力から戻す線をつなぐ
出力比べた結果で電圧を出す。ここから電流を取り出せる
V+(電源の+)片電源なら +5V など
V−(電源の−)片電源なら GND(0V)

回路図では、電源の2本(V+・V−)が省かれていることがよくあります。図に描かれていなくても、実物のオペアンプには必ず電源をつなぎます。

もう1つ大事なのは、出力は電源の間(片電源なら0V〜5V)しか動けないことです。計算で −1V や 6V が出ても、その電圧は出せません。

つまり、オペアンプは「入力2本・出力1本・電源2本」の5本の端子の部品で、出力は電源の範囲の中でしか動きません。

三角形のオペアンプの記号に、−入力(反転入力)・+入力(非反転入力)・出力・V+(電源の+)・V−(GND)の5本の端子。入力は電流がほとんど流れ込まない、出力は電源の間しか動けない

実物のピン配置:8本足に2回路入っている品種が多い

ブレッドボードでよく使う8本足(DIP-8)のオペアンプは、中に2回路入っています。MCP6002 と LM358 は、ピンの並びが同じです。

ピン名前ピン名前
1出力A8V+(電源)
2−入力A7出力B
3+入力A6−入力B
4V−(GND)5+入力B

IC の上の面には、半円の切り欠きか丸い印があります。切り欠きを上にして見たとき、左上が1番で、反時計回りに8番まで続きます。

1回路だけ使うときも、残りのBを放っておかないでください。TI の資料では、使わない回路の入力や出力を浮かせると予想しない動きにつながるとして、フォロワ(後で説明)につないで+入力を電源の中間(同じ値の抵抗2本で分けた電圧)に置く方法を示しています。

注意|品番が少し違うだけでピンが違う

1回路入りの小さいパッケージ(SOT-23-5 など)は、品番の末尾でピンが入れ替わることがあります。たとえば MCP6001 と MCP6001R は、電源の+のピンが5番と2番で逆です。必ずデータシートのピン配置の図で確かめます。

つまり、ピン配置は「切り欠きの左上が1番」。品番を変えたら、データシートの図を見直します。

DIP-8のピン配置。1出力A、2−入力A、3+入力A、4 V−(GND)、5+入力B、6−入力B、7出力B、8 V+(電源)。切り欠きの左上が1番

基本のルール:オペアンプは「+と−を同じにしよう」と出力を動かす

オペアンプは、+入力と−入力の電圧の差を、およそ10万倍にして出力します。出力を−入力に戻しておくと、差がほぼ0になるところで出力が落ち着きます。

たとえば、+入力に2.0V を入れ、出力を−入力にそのまま戻したとします。

−入力が低いとき

出力(=−入力)が1.0V なら、+の方が高い。オペアンプは出力を上げる

−入力が高いとき

出力が3.0V なら、−の方が高い。オペアンプは出力を下げる

そろったとき

出力が2.0V になると差がほぼ0。そこで止まる

差を10万倍するのに、出力が無限に大きくならないのは、出力が上がると−入力も一緒に上がり、差が縮むからです。LM358 のデータシートでは、この倍率(開ループ利得)が標準で100V/mV、つまり約10万倍です。

たとえると

エアコンの温度の調整に似ています。部屋が設定より寒ければ暖め、暑ければ冷やし、設定の温度になったら落ち着きます。+入力が「設定温度」、−入力が「今の温度」です。

つまり、どの回路も「出力を動かして、−入力を+入力にそろえる」。このルール1つで、この記事の回路はすべて計算できます。

出力を−入力に戻したオペアンプの3つの場面。+入力2.0Vに対し、出力1.0Vなら上げる、3.0Vなら下げる、2.0Vでそろって止まる

ルールが効くのは、出力を−入力に戻したときだけ

「+と−がそろう」のは、出力を−入力に戻す線(負帰還)があるときだけです。戻す線がないと、わずかな差でも出力は電源の端に張り付きます。

戻す線がない回路で、+入力が1.001V、−入力が1.000V だとします。差は0.001V ですが、10万倍すると100V です。電源は5V しかないので、出力は電源の端(約5V)に張り付きます。

このように「差だけを見て、出力を上か下に振り切る」使い方は、コンパレータ(比較器)と呼ばれる別の使い方です。この記事の3つの回路は、すべて戻す線がある使い方です。

+と−の電圧がほぼ同じになることを、教科書では「仮想短絡(イマジナリーショート)」と呼びます。式での導き方は、理論の記事にまとめています。

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つまり、戻す線は −入力へ。+入力に戻すと、ルールが効かず出力が端に張り付きます。

左は戻す線ありで+入力1.000Vに出力1.000Vが落ち着く。右は戻す線なしで差0.001Vを約10万倍して出力が電源の端の約5Vに張り付く

回路1 ボルテージフォロワ:出力=入力(ゲイン1倍)

ボルテージフォロワは、出力を−入力にそのまま戻した回路です。出力は入力と同じ電圧になります。大きくしないのに使うのは、入力から電流をほとんど取らないからです。

ボルテージフォロワ
Vout = Vin(ゲイン1倍)

なぜ出力=入力になるかは、ルールで説明できます。−入力は出力と線でつながっているので「−入力=出力」。+入力は「入力」。オペアンプが+と−をそろえるので、出力=入力になります。

うれしいのは、入力側から電流をほとんど取らないことです。MCP6002 の入力バイアス電流(入力の端子に流れる電流)は、標準で1pA(1兆分の1A)です。一方、出力からは数mA の電流を出せます。

POINT|フォロワは「電圧の中継ぎ役」

前の回路の電圧を変えずに受け取り、後ろの回路には自分の出力から電流を出します。前の回路から見ると、後ろに何もつながっていないのと同じです。

つまり、ボルテージフォロワは電圧を大きくしない代わりに、「前の回路に負担をかけずに、同じ電圧を渡す」回路です。

ボルテージフォロワの回路図。入力2.5Vを+入力へ、出力を−入力にそのまま戻して出力2.5V。入力から取る電流はほぼ0(MCP6002は標準1pA)

フォロワの効き目:つなぐ先が電圧を下げなくなる

5V を100kΩ と100kΩ で分けて、2.5V を作ったとします。電池の電圧を測るときなど、電流をむだにしないために大きな抵抗を使う場面です。

ここに10kΩ の回路を直接つなぐと、下の100kΩ と10kΩ が並列になり、約9.1kΩ になります。電圧は 5V×9.1÷(100+9.1)≒0.42V まで下がってしまいます。

間にフォロワをはさむと、オペアンプの入力はほとんど電流を取らないので、分圧は2.5V のまま。10kΩ に流れる0.25mA は、オペアンプの出力が出します。出力は2.5V です。

つなぎ方つなぐ先にかかる電圧
10kΩ を直接つなぐ約0.42V(狙いの2.5V から大きくずれる)
フォロワをはさむ2.5V(狙いどおり)
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回路2 非反転増幅回路:ゲイン=1+R2÷R1

非反転増幅は、出力を抵抗2本(R2 と R1)で分けて、その一部を−入力に戻す回路です。入力と同じ向きで、1+R2÷R1 倍に大きくなります。

非反転増幅
Vout = Vin × (1 + R2 ÷ R1)

式は、ルールと分圧の式の2つだけで出せます。

① −入力の電圧

出力 Vout を R2 と R1 で分けた電圧。V−=Vout×R1÷(R1+R2)

② ルール

オペアンプが+と−をそろえるので、V−=V+=Vin

③ ①と②から

Vout×R1÷(R1+R2)=Vin なので、Vout=Vin×(R1+R2)÷R1=Vin×(1+R2÷R1)

たとえば R1=10kΩ、R2=82kΩ なら、ゲインは 1+82÷10=9.2倍です。R2 を0Ω(線)にして R1 を外すとゲインは1倍になり、ボルテージフォロワと同じになります。

つまり、非反転増幅は「分圧の式を逆に使う」回路。出力の一部(R1÷(R1+R2))が入力と同じになるように、出力が大きくなります。

非反転増幅の回路図と式の導き方。−入力の電圧はVout×R1÷(R1+R2)、ルールでVinと等しいので、Vout=Vin×(1+R2÷R1)。例 10kΩと82kΩで9.2倍

計算例:センサーの0〜0.5Vを、5Vのマイコンで読む

STEP 1 ゲインを決める

出力の目標を、電源の5V の端から少し離して約4.5V にします。4.5V÷0.5V=9倍

STEP 2 抵抗を決める

1+R2÷R1=9 なので R2÷R1=8。R1=10kΩ にすると R2=80kΩ。80kΩ は E24 系列(売っている値の並び)にないので、近い82kΩ にします

STEP 3 確かめる

ゲインは 1+82÷10=9.2倍。0.5V のとき 0.5×9.2=4.6V。MCP6002 の出力の上限(5V から約0.025V 下)より低いので OK

センサーの電圧出力(×9.2)
0V0V(実際は出力の下限の数十mV 浮く)
0.10V0.92V
0.25V2.30V
0.50V4.60V

R1 を10kΩ にしたのは、出発点としてよく使われる値だからです。目安として1kΩ〜100kΩ の間で選びます。小さすぎると出力から R1・R2 に流れる電流が増え、大きすぎるとノイズや入力の電流の影響を受けやすくなります。この例では、4.6V÷92kΩ=0.05mA しか流れません。

注意|82kΩ でなく75kΩ を選ぶと

75kΩ(E24)にするとゲインは8.5倍で、0.5V のとき4.25V。こちらでも動きます。上限に近づけたくないなら小さい側、目盛りを広く使いたいなら大きい側と、目的で選びます。

3ステップ。目標4.5V÷0.5V=9倍、R2÷R1=8でR1 10kΩならR2 80kΩをE24の82kΩに、ゲイン9.2倍で0.5Vが4.6V。入力0・0.10・0.25・0.50Vに対する出力の表

5Vだけで使うときの落とし穴:出力が電源いっぱいまで振れない品種がある

オペアンプの出力は、品種によって電源の端まで届きません。LM358 を5V で使うと、出力の上限は約3.5V です。5V だけで使うなら、出力が電源の端まで振れる「レールtoレール」の品種を選びます。

LM358 は昔からある定番のオペアンプで、3〜30V の広い電源で使えます。ただし TI のデータシートでは、出力の上限が電源より約1.5V 低く(5V・負荷2kΩ以上)、入力の上限も電源より1.5V 低い((V+)−1.5V)と書かれています。

さきほどの9.2倍の回路を LM358 で組むと、出力は約3.5V で頭打ちになります。3.5V÷9.2≒0.38V なので、センサーが0.38V を超えた分は読めません。

品種(5V で使う)出力が届く範囲入力に入れられる範囲
LM358(TI)約0V〜約3.5V0V〜約3.5V
MCP6002(Microchip)約0.025V〜約4.975V−0.3V〜5.3V

数字はデータシートの条件(温度25°C・負荷の抵抗など)での値です。負荷が重い(抵抗が小さい)ほど、出力は端まで届きにくくなります。

つまり、5V の片電源で出力を4V 以上まで使うなら、「出力レールtoレール」と書かれた品種を選びます。オペアンプの選び方は、連載の次の記事でくわしく扱います。

入力と出力のグラフ。計算どおり9.2倍の線に対し、MCP6002は約4.97Vまで出るが、LM358は約3.5Vで頭打ちになり入力約0.38Vから先は読めない(イメージ)

回路3 反転増幅回路:入力を−入力側から入れると、向きが逆になる

反転増幅は、入力を R1 を通して−入力に入れ、R2 で出力から−入力に戻す回路です。ゲインは −R2÷R1 で、出力の向きが入力と逆になります。

反転増幅
Vout = −(R2 ÷ R1)× Vin

R1=10kΩ、R2=20kΩ、入力0.5V で考えます。+入力は GND(0V)につないでいます。

① −入力は0V

+入力が0V なので、ルールで−入力も0V に保たれる

② R1 の電流

R1 の両端は0.5V と0V。電流は 0.5V÷10kΩ=50µA。オペアンプの入力には入らないので、全部 R2 へ流れる

③ 出力の電圧

R2 で 50µA×20kΩ=1.0V 下がるので、出力は 0V−1.0V=−1.0V。式でも −(20÷10)×0.5=−1.0V

出力がマイナスになるので、この形のままでは ±の電源(例:+5V と −5V)で使います。

つまり、反転増幅は「R1 で電流を作り、R2 で電圧に戻す」回路。向きが逆になり、入力から Vin÷R1 の電流を取ります。

反転増幅の回路図(±5V)。入力0.5VからR1 10kΩに50μA、R2 20kΩで1.0V下がり出力は−1.0V

5Vだけで反転増幅を使うには:+入力を2.5Vにする

+入力を GND のまま5V だけで動かすと、計算では −1.0V でも、出力は GND より下に出せません。出力はほぼ0V に張り付きます。

そこで、+入力を電源の真ん中の2.5V にします。2.5V は、5V を10kΩ と10kΩ で分けて作れます。こうすると、出力は2.5V を中心に上下に動けます。

+入力を2.5V にした反転増幅
Vout = 2.5V − (R2 ÷ R1)×(Vin − 2.5V)
入力計算出力
2.5V2.5 − 2 × 02.5V
2.7V2.5 − 2 × 0.22.1V
2.3V2.5 − 2 ×(−0.2)2.9V

音の信号のように、0V を中心に上下にゆれる信号を5V だけで扱うときにも、同じように真ん中の電圧を基準にします。

左は+入力をGNDのままで出力がほぼ0Vに張り付く失敗、右は+入力を2.5Vにして入力2.7Vで出力2.1V、2.3Vで2.9V

3つの回路のくらべ:迷ったらフォロワと非反転増幅から

3つの回路は、ゲイン・向き・入力から取る電流・5V だけで使えるかが違います。5V の片電源なら、まずフォロワと非反転増幅から使います。

フォロワ非反転増幅反転増幅
ゲイン1倍1+R2÷R1−R2÷R1
出力の向き入力と同じ入力と同じ逆
入力から取る電流ほぼ0ほぼ0Vin÷R1
5V だけでそのまま使えるそのまま使える+入力に中間の電圧
よく使う場面つなぐ先の影響を消す小さい信号を大きく向きを逆に・足し算

反転増幅は、入力を複数つなぐと足し算(加算回路)にできるなど、応用の広い形です。加算・減算・積分・微分の回路は、応用の記事にまとめています。

つまり、「渡すだけ」ならフォロワ、「大きくする」なら非反転増幅、「逆にする・足す」なら反転増幅、と目的で選びます。

フォロワ・非反転増幅・反転増幅の比較表。ゲイン、出力の向き、入力から取る電流、5Vだけで使えるか、よく使う場面

ブレッドボードで組む:非反転増幅(MCP6002)

ブレッドボードでは、IC を中央の溝をまたぐように挿し、8番を5V、4番を GND につなぎます。8番のすぐ近くに0.1µF のパスコンを入れます。

① IC を挿す

切り欠きを左にして、溝をまたぐように挿す。下の列の左から1・2・3・4番、上の列の右から5・6・7・8番

② 電源をつなぐ

8番の列を +5V のレールへ、4番の列を GND のレールへ。8番の列と GND の間に0.1µF のパスコン

③ 抵抗と入力

R2(82kΩ)を1番の列と2番の列の間に、R1(10kΩ)を2番の列と GND の間に。センサーの出力を3番の列へ

④ 出力

1番の列からマイコンの A/D の入力へ。センサーとマイコンの GND も同じ GND につなぐ

パスコンは、電源のゆれを吸い取るコンデンサです。MCP6002 のデータシートでは、0.01〜0.1µF を電源ピンから2mm 以内に置き、1µF 以上のコンデンサを100mm 以内に置くように書かれています。

使わない B 側(5・6・7番)は、7番と6番をつないでフォロワにし、5番を5V と GND の中間(同じ値の抵抗2本で分けた電圧)につないでおきます。

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ブレッドボードの配線図。MCP6002を溝をまたいで挿し、8番を+5Vレール、4番をGNDレール、8番の列とGNDの間にパスコン0.1μF、R2 82kΩを1番と2番の列の間、R1 10kΩを2番の列とGNDの間、センサーを3番、1番から出力

組んだら測って確かめる:3番・2番・1番の電圧

テスターの黒を GND に当てたまま、赤で3か所の電圧を測ります。

測る所例(センサー0.300V のとき)見る点
① 3番(+入力)0.300Vセンサーの電圧
② 2番(−入力)0.300V①と同じなら、ルールどおり動いている
③ 1番(出力)2.76V0.3×9.2=2.76V になっているか

②が①とずれるときは、多くの場合、出力が電源の端に張り付いています。戻す線(R2)が2番につながっているか、R1 と R2 が入れ替わっていないか、8番と4番に電源が来ているかを見直します。数値は計算から出したイメージで、実際は部品のばらつきで少しずれます。

非反転増幅の回路図と測る所の表。3番0.300V、2番0.300V、1番2.76V(0.3×9.2)。数値はイメージ

よくある失敗4つ:振れない・ピン違い・+と−が逆・電源なし

オペアンプの回路が動かないときの原因は、出力が上まで振れない品種・ピンの取り違え・+と−の取り違え・電源のつなぎ忘れの4つが代表です。

失敗1:出力が上まで出ない

LM358 を5V で使い、出力を4V 以上まで出そうとすると、約3.5V で止まります。5V だけで使うなら、出力レールtoレールの品種を選びます。

失敗2:ピンの取り違え

ピンの並びは品番ごとに決まっています。8本足の2回路入りは多くが同じ並びですが、1回路入りの5本足では、MCP6001 と MCP6001R のように電源のピンが入れ替わる例があります。

失敗3:+と−を逆につなぐ

戻す線を+入力につなぐと、出力が少し動いただけで差が広がり、電源の端に張り付きます。戻す線は必ず−入力へ。

失敗4:電源・パスコンを忘れる

回路図に V+・V− が描かれていないと、配線を忘れがちです。8番と4番に電源が来ているかをテスターで確かめ、8番のすぐ近くにパスコンを入れます。

つまり、動かないときは「電源のピン → 出力の上限 → +と−の向き」の順に確かめると、早く原因にたどり着けます。

4つの失敗。LM358を5Vで使うと出力は約3.5Vまで、MCP6001とMCP6001Rは電源のピンが5番と2番で逆、戻す線を+入力につなぐと張り付く、電源とパスコンの配線忘れ

よくある質問(FAQ)

Q. オペアンプの使い方の基本は?

A. 出力を−入力に戻して使います。戻すとオペアンプは+と−の電圧を同じにしようと出力を動かします。

Q. ボルテージフォロワは何に使う?

A. 前の回路から電流をほとんど取らずに同じ電圧を渡すときに使います。抵抗の大きい分圧の後などです。

Q. 非反転増幅のゲインの式は?

A. ゲインは1+R2÷R1です。R1が−入力とGNDの間、R2が出力と−入力の間の抵抗です。

Q. 5Vだけでオペアンプを使うときの注意は?

A. 出力が電源の端まで振れるレールtoレールの品種を選びます。LM358は5Vで出力が約3.5Vまでです。

Q. 反転増幅を5Vの片電源で使うには?

A. +入力をGNDでなく電源の中間の2.5Vにします。出力は2.5Vを中心に上下に動けるようになります。

Q. 使わないオペアンプのピンはどうする?

A. 浮かせずにフォロワにつなぎ、+入力を電源の中間の電圧に置く方法がメーカーの資料で示されています。

まとめ
  • オペアンプは入力2本・出力1本・電源2本。回路図で省かれても電源は必ずつなぐ
  • ルールは1つ:出力を−入力に戻すと、+と−が同じになるように出力が動く
  • ボルテージフォロワ:出力=入力。前の回路に負担をかけずに電圧を渡す
  • 非反転増幅:ゲイン1+R2÷R1。0〜0.5V を R1 10kΩ・R2 82kΩ で0〜4.6V に
  • 反転増幅:ゲイン −R2÷R1。5V だけなら+入力を2.5V に
  • 5V だけで使うならレールtoレールの品種(MCP6002 など)。ピン配置はデータシートで確かめる

次の一歩として、手元の回路図からオペアンプを1つ探し、「出力が−入力にどう戻っているか」を指でたどってみてください。戻し方がわかれば、その回路のゲインが式で読めるようになります。

参考にした資料

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

この記事の理解を深める本と道具
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S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。

つまずきやすい「違い」を一気に解決
インピーダンスとは?抵抗との違いと求め方を図解|計算ツール付き
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インピーダンスとは?抵抗との違いと求め方を図解|計算ツール付き

抵抗とインピーダンスの違い。フォロワの「入力インピーダンスが大きい」の意味がわかる

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差動信号はなぜノイズに強い?同相ノイズ除去とCMRRを図解
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差動信号はなぜノイズに強い?同相ノイズ除去とCMRRを図解

1本の信号と差動の信号の違い。オペアンプが「差」を見る理由につながる

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コモンモードノイズとノーマルモードノイズの違い|対策とコモンモードチョーク・Yコンデンサを図解
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コモンモードノイズとノーマルモードノイズの違い|対策とコモンモードチョーク・Yコンデンサを図解

コモンモードとノーマルモード、増幅の前に知りたいノイズの違い

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抵抗・コンデンサ・コイルの違い|受動部品3兄弟を図解
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抵抗・コンデンサ・コイルの違い|受動部品3兄弟を図解

抵抗・コンデンサ・コイル、オペアンプのまわりに置く部品の役目の違い

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計算力アップ・資格対策
周波数伝達関数とボード線図|ゲイン[dB]と位相[°]のグラフを読む・書く
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周波数伝達関数とボード線図|ゲイン[dB]と位相[°]のグラフを読む・書く

ゲインを dB で表し、周波数でどう変わるかをグラフで読めるようになる

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オームの法則 V=IR とは?電圧・電流・抵抗の関係を「水道管」で図解|例題つき
計算力アップ
オームの法則 V=IR とは?電圧・電流・抵抗の関係を「水道管」で図解|例題つき

反転増幅の「R1 の電流」の計算の土台、オームの法則を確かめられる

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合成抵抗の求め方|直列・並列・和分の積からブリッジ回路まで例題で図解(計算ツール付き)
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合成抵抗の求め方|直列・並列・和分の積からブリッジ回路まで例題で図解(計算ツール付き)

フォロワの例で出てきた「並列で約9.1kΩ」を自分で計算できる

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分圧・分流の法則|公式と覚え方、分圧回路・分流器の計算を例題で図解
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分圧・分流の法則|公式と覚え方、分圧回路・分流器の計算を例題で図解

非反転増幅の式のもとになる分圧の式を、例題で練習できる

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トランジスタ増幅回路の計算|hパラメータ等価回路で電圧増幅度を求める方法
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トランジスタ増幅回路の計算|hパラメータ等価回路で電圧増幅度を求める方法

オペアンプの前に使われていた、トランジスタの増幅回路の計算

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RC時定数の決め方|フィルタ・遅延・チャタリング除去の部品値を実例で
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RC時定数の決め方|フィルタ・遅延・チャタリング除去の部品値を実例で

センサーの信号のノイズを抵抗とコンデンサで落とす、値の決め方の実例

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-回路設計
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