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- 需要率・負荷率・不等率の、分母と分子がいつもごちゃごちゃになる
- 不等率だけ、なぜ割り算の向きが逆なのかがわからない
- 変圧器容量の計算で、どこで割ってどこで掛けるのか迷う
- 3つの指標が「何と何の比べっこ」なのか
- 不等率が必ず1以上になる理由
- 変圧器容量を決める計算の手順(途中式つき)
需要率・負荷率・不等率は、電気設備の大きさを決めるための3つのものさしです。名前が似ているので、はじめは混乱して当然です。この記事では、それぞれが「何と何を比べているのか」を一つずつ整理し、最後に変圧器容量を決める計算までつなげます。
需要率は「設備容量のうち、実際に同時に使った最大の電力の割合」、負荷率は「最大の電力に対する平均の電力の割合」、不等率は「それぞれの最大電力の合計を、全体をまとめたときの最大電力で割った値」です。需要率と負荷率は100%以下、不等率は1以上になります。変圧器容量は、設備容量×需要率の合計を不等率で割り、さらに力率で割って[kVA]で求めます。
そもそも3つの指標は何のためにある?
3つの指標は、「つないである機械を、全部いっぺんに最大で使うことはない」という事実を数字にしたものです。この事実を使わないと、変圧器や電線を必要以上に大きくしてしまいます。
たとえば、工場にモーターや照明などの設備が合計500kWぶん並んでいるとします。でも、すべての機械が同じ瞬間にフル稼働することは、まずありません。実際に同時に使う電力の最大は、300kWほどにとどまります。
100席あるレストランを思い浮かべてください。満席になる日はめったになく、いちばん混む昼どきでも60席ほどしか埋まりません。それなのに、毎日100人分の料理を仕込んだら、材料が無駄になります。電気設備も同じで、「並んでいる設備の合計」ではなく「実際にどこまで使うか」で大きさを決めます。
そのために使うのが、次の3つのものさしです。
| 指標 | ひとことで言うと |
|---|---|
| 需要率 | 並んでいる設備のうち、最大でどれだけ使ったか |
| 負荷率 | いちばん使ったときに比べて、ふだんはどれだけ使っているか |
| 不等率 | それぞれのピークが、どれだけ時間的にずれているか |
つまり、3つとも「設備を必要な分だけの大きさにする」ための数字です。

需要率とは?設備のうち「最大でどれだけ使ったか」
需要率は、設備容量(つないである機械の定格の合計)に対して、最大需要電力(実際に同時に使った電力のいちばん大きい値)がどれくらいかを表す割合です。
需要率[%] = 最大需要電力 ÷ 設備容量 × 100
数字を入れてみる
設備容量が500kWの工場で、最大需要電力が300kWだったとします。
分子に最大需要電力、分母に設備容量を置きます。300kW ÷ 500kW
割り算をします。300 ÷ 500 = 0.6
100を掛けて%にします。0.6 × 100 = 60%
需要率は60%です。並んでいる設備の6割までしか、同時には使っていないということです。
設備を全部同時に最大で使うことはないので、需要率はふつう100%以下になります。逆に言えば、需要率がわかれば「設備容量×需要率」で最大需要電力を見積もれます。設計ではこの使い方がいちばん大切です。

負荷率とは?「ピークに比べて、ふだんどれだけ使っているか」
負荷率は、ある期間の平均需要電力(ならした電力)が、同じ期間の最大需要電力に対してどれくらいかを表す割合です。期間を1日にすれば日負荷率、1か月なら月負荷率、1年なら年負荷率と呼びます。
負荷率[%] = 平均需要電力 ÷ 最大需要電力 × 100
平均需要電力は「電力量÷時間」で出す
ここでつまずきやすいのが、平均需要電力の出し方です。電力計で記録されるのは、電力量(使った電気の総量。単位はkWh)です。これを時間で割ると、平均の電力(kW)になります。
先ほどの工場で、1日の使用電力量が4,800kWh、最大需要電力が300kWだったとします。
1日は24時間なので、電力量を24で割って平均需要電力を出します。4,800kWh ÷ 24h = 200kW
平均需要電力を最大需要電力で割ります。200kW ÷ 300kW = 0.667
100を掛けて%にします。0.667 × 100 = 約66.7%
kWとkWh、電力と電力量の違いを速さと距離で整理できます
レストランの昼のピークが60席、1日をならした平均が40席なら、負荷率は約67%です。負荷率が高いほど、一日中まんべんなく席が埋まっていて、店(設備)を無駄なく使えている、ということです。
平均は最大を超えないので、負荷率も100%以下です。負荷率が高いほど、設備を遊ばせずに使えていると言えます。

不等率とは?なぜ必ず1以上になるのか
不等率は、いくつかの負荷(電気を使う設備や需要家)について、それぞれの最大需要電力を足したものを、全体をまとめたときの最大需要電力(合成最大需要電力)で割った値です。単位はなく、%でもありません。
不等率 = 各負荷の最大需要電力の合計 ÷ 合成最大需要電力
ピークの時刻がずれるから、合計より小さくなる
事務所棟と工場棟の2つがある敷地を考えます。事務所棟のピークは朝10時で200kW、工場棟のピークは昼過ぎの14時で150kWでした。2つをまとめて1台の変圧器から送ると、敷地全体のピークは300kWでした。
それぞれの最大需要電力を足します。200kW + 150kW = 350kW
合成最大需要電力で割ります。350kW ÷ 300kW = 1.166…
不等率は約1.17です。
事務所棟が200kWを使っている10時に、工場棟はまだ100kWしか使っていない、といったことが起きます。ピークが同じ時刻に重ならないので、全体のピークは単純な合計(350kW)より小さくなります。だから、合計を全体のピークで割った不等率は、必ず1以上になります。
家族4人がそれぞれ10分ずつお風呂に入るとき、全員が同時に入ることはありません。浴槽を4人分の大きさにしなくてよいのは、入る時間がずれているからです。不等率は、この「ずれ」の大きさを表す数字です。
全部のピークがぴったり同じ時刻なら、不等率はちょうど1です。ピークがばらけるほど大きくなります。不等率が大きいほど、まとめて1台の変圧器から送ったときに、容量を小さくできます。

需要率・負荷率・不等率の関係を1枚で整理
3つの指標は、ばらばらの知識ではなく、ひとつながりの流れの中で使います。設備容量から出発して、最大需要電力、合成最大需要電力、平均需要電力へと順に進みます。
| 指標 | 分子 | 分母 | 値の範囲 | 大きいと |
|---|---|---|---|---|
| 需要率 | 最大需要電力 | 設備容量 | 100%以下 | 設備を同時によく使う |
| 負荷率 | 平均需要電力 | 最大需要電力 | 100%以下 | 設備を遊ばせずに使える |
| 不等率 | 各負荷の最大需要電力の合計 | 合成最大需要電力 | 1以上(単位なし) | ピークがよくずれている |
流れで覚える
設備容量 × 需要率 = それぞれの最大需要電力
それぞれの最大需要電力の合計 ÷ 不等率 = 合成最大需要電力
合成最大需要電力 × 負荷率 = 平均需要電力(さらに時間を掛けると電力量)
需要率と負荷率は「掛けて小さくする」、不等率は「割って小さくする」と覚えると、計算の向きを間違えにくくなります。どれも、実際に必要な大きさへ近づけるための操作です。

変圧器容量を計算してみる(途中式つき)
変圧器容量は、合成最大需要電力を力率で割って、kVA(キロボルトアンペア)で求めます。変圧器は、つながる機械の力率がわからないので、kWではなくkVA(皮相電力)で大きさが決められているからです。
例題:3つの需要家に1台の変圧器で送る
| 需要家 | 設備容量 | 需要率 |
|---|---|---|
| A | 200kW | 60% |
| B | 150kW | 70% |
| C | 100kW | 50% |
3つの間の不等率は1.2、全体の力率は0.85とします。必要な変圧器容量を求めます。
それぞれの最大需要電力を出します(設備容量×需要率)。
A:200kW × 0.6 = 120kW
B:150kW × 0.7 = 105kW
C:100kW × 0.5 = 50kW
足し合わせます。120 + 105 + 50 = 275kW
不等率で割って、合成最大需要電力を出します。275kW ÷ 1.2 = 約229.2kW
力率で割って、kVAに直します。229.2kW ÷ 0.85 = 約269.6kVA
計算値を上回る標準の容量を選びます。この例では300kVAです。
kWをkVAに直すときに使う、力率の意味がわかります
設備容量の合計450kWを、そのまま力率で割ると約529kVAになり、本来の約2倍の変圧器を選んでしまいます。需要率と不等率を入れ忘れないことが、この計算のいちばんのポイントです。変圧器の標準容量はメーカーや種類で異なるので、実際の選定では資料で確認してください。
負荷率から1日の電力量も出せる
同じ例で、全体の日負荷率が55%だとします。1日の使用電力量は、次のように求めます。
合成最大需要電力に負荷率を掛けて、平均需要電力を出します。229.2kW × 0.55 = 約126.0kW
24時間を掛けて電力量にします。126.0kW × 24h = 約3,025kWh
つまり、設備容量、需要率、不等率、力率、負荷率がそろえば、変圧器の大きさから1日の電力量まで、一本の流れで求められます。

実務ではどこで使う?
3つの指標は、試験のためだけのものではありません。工場やビルの電気設備を計画するとき、実際にこの順番で考えます。
| 場面 | 使う指標 | 考えること |
|---|---|---|
| 受電設備・変圧器の容量を決める | 需要率・不等率 | 大きすぎると無駄、小さすぎると過負荷になる |
| 設備を増やすとき | 需要率 | 新しい機械の分で、最大需要電力がどれだけ増えるか |
| 複数の建物・系統をまとめるとき | 不等率 | 別々に変圧器を置くより、まとめたほうが小さくできるか |
| 設備をうまく使えているか見る | 負荷率 | ピークを下げて平均に近づけられないか(作業時間をずらすなど) |
たとえば、電気を多く使う作業の時間帯を分けると、ピークが下がって負荷率が上がり、同じ変圧器でより多くの設備をまかなえるようになります。
変圧器を増やすときに必要な、並行運転の条件がわかります
実際の設計では、将来の設備の増加や、モーターの始動電流なども考えて余裕を持たせます。計算で出した値は「最低限必要な大きさ」で、そこに余裕を足して最終的な容量を決めます。

よくある間違い・つまずきポイント
計算問題で点を落とすのは、ほとんどが次の5つです。解き終わったら、この順に見直してください。
1. 不等率を掛けてしまう
不等率は1以上なので、掛けると合成最大需要電力が合計より大きくなってしまいます。「まとめると小さくなる」ので、不等率は割ります。答えが合計より大きくなったら、向きを間違えています。
2. 力率で割り忘れる
変圧器の容量はkVAです。kWのまま答えると、力率0.85なら約15%小さい変圧器を選ぶことになり、過負荷になります。単位を見て、kWとkVAのどちらを聞かれているか確かめます。
3. 負荷率の分母を設備容量にする
負荷率の分母は最大需要電力です。設備容量を分母にするのは需要率です。「負荷率は平均と最大の比べっこ」と覚えておくと混ざりません。
4. 変圧器効率の「負荷率」と混同する
変圧器の効率の計算では、「定格の何割の出力で使っているか」を負荷率と呼ぶことがあります。この記事の負荷率(平均÷最大)とは別の意味です。問題文で、何を何で割った値なのかを必ず確かめます。
5. 平均電力を出すとき、時間で割り忘れる
電力量(kWh)をそのまま平均電力(kW)として使うと、1日なら24倍も大きな値になります。電力量は時間で割ってから、負荷率の式に入れます。

よくある質問
まとめ:3つのものさしで、設備を必要な大きさにする
- 需要率 = 最大需要電力 ÷ 設備容量。設備のうち、最大でどれだけ使ったか(100%以下)
- 負荷率 = 平均需要電力 ÷ 最大需要電力。ピークに比べて、ふだんどれだけ使っているか(100%以下)
- 不等率 = 各最大の合計 ÷ 合成最大。ピークのずれの大きさ(1以上)
- 変圧器容量 ≧ Σ(設備容量×需要率)÷ 不等率 ÷ 力率 [kVA]
- 需要率と負荷率は掛ける、不等率は割る、最後に力率で割る
まずは例題の5ステップを、自分の手で一度計算してみてください。数字を変えても同じ流れで解けることがわかれば、試験でも実務でも迷わなくなります。

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ここまでで、需要率・負荷率・不等率を使って変圧器の大きさを決める流れがわかりました。次は、その変圧器から先の配電線で、電圧や電力の損失がどうなるかを見ていきましょう。
テーマ別に、もっと深く学ぶ
気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。