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こんな悩みはありませんか?
- 「FG・SG・LG・PGND…回路図にグランドの記号が多すぎて、何が何だかわからない」
- 「全部まとめて繋げば0Vでしょ?」と思ってたら、ノイズで機器が誤動作した
- 「フレームグランドとシグナルグランドの違いって何?」と聞かれて答えられなかった
- グランドの種類を分ける理由が腑に落ちない。なぜ1本じゃダメなのか?
○ この記事でわかること
- FG・SG・LG・PGNDの4種類のグランドの役割を「家の配管」で完全にイメージできる
- それぞれの接続先・流れる電流・記号が一覧表で整理できる
- グランドを分けないと何が起きるか(ノイズ混入・誤動作・感電)を具体例で理解
- 実機の設計でどこで繋ぎ、どこで分けるかの判断基準がわかる
回路図を開くと、GNDの記号がいくつも並んでいて混乱した経験はありませんか?
FG、SG、LG、PGND…。「全部グランドなんだから、まとめて繋げばいいのでは?」と思うのは自然なことです。
でも、その「まとめて繋ぐ」がノイズ・誤動作・感電事故の原因になります。
この記事では、4種類のグランドの違いを「家の配管」というたとえを使って、初心者でも直感的に理解できるように解説していきます。配管を間違えると汚水が飲み水に混ざるように、グランドを間違えるとノイズが信号に混入して機器が壊れるのです。
結論|まず30秒でわかる答え
FGは機器の金属の筐体を大地につなぎ、漏電などの異常電流を逃がして感電を防ぐグランドです。SGは信号の電位の基準、LGはノイズフィルタで捕まえたノイズをFGへ逃がすグランド、PGNDはモーターや電源などの大電流の帰り道です。役割の違うグランドを1本にまとめると、大電流やノイズが信号の基準を揺らすため、分けて配線し、決めた場所でつなぎます。
| 略語 | 英語 | 日本語 | つなぐ先 | ふだん流れる電流 |
| FG | Frame Ground | フレームグランド(筐体の接地) | 機器の金属の筐体 → 大地 | ほぼ0(異常時に流れる) |
| SG | Signal Ground | シグナルグランド | マイコン・ICの0V | 小さい信号の帰り道 |
| LG | Line filter Ground | ラインフィルタのグランド | ノイズフィルタのYコンデンサ → FG | 高い周波数のノイズ |
| PGND | Power Ground | パワーグランド | MOSFET・モーターなどの帰り道 | 数A〜数十Aの大電流 |
FGとアースの違い:アース(接地)は「大地につなぐこと」、FGは「機器の金属の枠(フレーム)」のことです。FGを電源コードの接地線(緑や緑と黄の線)で大地につなぐと、FG=保護接地(アース)になります。電源ユニットの「FG端子」は、この保護接地につなぐための端子です。0Vの基準としての GND とアースの違いはGNDとはで説明しています。
全体像|4種類のグランドを「家の配管」で理解する
あなたの家には「4本の配管」がある
家の中には目的の違う配管が何本も通っています。飲み水の管、トイレの排水管、雨どいの排水管…。これらを1本にまとめたら大惨事ですよね。
電子機器の中のグランドもまったく同じです。役割が違うグランドを1本にまとめると大惨事になります。
FG
フレームグランド
避雷針・雨どい
落雷の電流を安全に
大地に逃がす
SG
シグナルグランド
浄水用の配管
飲み水レベルの清潔さが
求められる
LG
ラインフィルタGND
浄水器のフィルター
外から入る汚れを
ここで止める
PGND
パワーグランド
工場の排水管
大量の汚水が
ドバドバ流れる
この4本の配管を1本にまとめたらどうなるか?を想像してみてください。工場の汚水が浄水用の配管に逆流し、飲み水が汚染されますよね。電子機器でも同じことが起きます。パワー回路のノイズ電流がシグナルグランドに流れ込み、マイコンが誤動作するのです。
この記事の核心
「グランド」は1種類ではない。役割が違う4つのグランドを正しく分離し、正しい場所で接続することが、ノイズに強く安全な機器を作る大前提です。
4種類のグランドの土台は「GNDは0Vの線ではなく電流の帰り道」という考え方です。まだの方は先にこちらを。
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FGとは?|筐体(きょうたい)を大地に接続するグランド
FG(Frame Ground / フレームグランド)は、機器の金属筐体(ケース・シャーシ)を大地(Earth)に接続するためのグランドです。別名「保護接地」「PE(Protective Earth)」とも呼ばれます。
家の配管で言えば「避雷針と雨どい」です。落雷(サージ電圧)や漏電電流という「想定外の大量の水」を、人体に触れさせずに安全に大地へ逃がす役割を持っています。
FGの基本情報
| 正式名称 | Frame Ground / Chassis Ground |
| 接続先 | 大地(Earth)=電源コードの3本目(緑/黄色の線) |
| 流れる電流 | 通常はゼロ。異常時(漏電・サージ)に大電流が一瞬流れる |
| 目的 | ①感電防止 ②サージ(雷・静電気)の逃がし先 ③EMIシールド |
| 回路図の記号 | 三本線のアース記号(⏚)または「FG」「PE」と表記 |
FGがないと何が起きるか?|感電事故
機器内部の電源回路が故障し、AC100Vが金属筐体に漏電したとします。FGが接続されていれば、漏電電流はFG→大地へ流れ、漏電ブレーカーが即座に動作して回路を遮断します。
しかし、FGが接続されていなければ、漏電電流は人体→大地という経路で流れます。これが感電事故です。人体に数十mA流れるだけで心臓が停止する危険があります。
○
FGあり(安全)
漏電電流 → FG → 大地
→ ブレーカー動作 → 遮断
人体に電流は流れない
×
FGなし(危険)
漏電電流 → 人体 → 大地
→ ブレーカー動作せず
感電事故 → 最悪死亡
FGは「安全規格」で義務付けられている
IEC 62368-1(以前は IEC 60950-1)などの安全規格では、基礎絶縁と保護接地で感電を防ぐ「クラスⅠ機器」は、人が触れる金属部分を保護接地(FG/PE)につなぐことが求められます(二重絶縁・強化絶縁のクラスⅡ機器は保護接地を使いません)。これは人命に直結する設計要件であり、「つけ忘れ」は許されません。
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SG(シグナルグランド)|「浄水配管」の役割
SGとは?|信号回路の電位基準となるグランド
SG(Signal Ground / シグナルグランド)は、マイコン・オペアンプ・ADC・通信ICなど信号回路の電位基準(0V)として機能するグランドです。
家の配管で言えば「浄水用の配管」です。飲み水レベルの清潔さが求められ、少しでも異物(ノイズ)が混入すると「味(信号品質)」が変わってしまいます。
SGの基本情報
| 正式名称 | Signal Ground / SGND / DGND / AGND |
| 接続先 | 信号回路ICのGNDピン。電源の0V基準点 |
| 流れる電流 | 微小(μA〜数十mA)、低ノイズ |
| 目的 | 信号の正確な読み取りに必要な安定した電位基準を提供 |
| サブカテゴリ | DGND(デジタル)、AGND(アナログ)に細分化されることも |
SGが汚れると何が起きるか?|信号の誤読・誤動作
SGの電位がノイズで揺れると、ICはその揺れを「信号の一部」と誤認します。たとえば、12ビットADCが3.3V基準で動作している場合、1LSB(最小分解能)はわずか0.8mVです。SGが1mV揺れるだけで、測定値が1〜2ビット狂います。
これは浄水に1滴の汚水が混ざっただけで味が変わるのと同じです。SGは「最も静かで、最もきれいでなければならない」グランドなのです。
DGND(デジタルGND)とAGND(アナログGND)の違い
SGはさらにDGNDとAGNDに細分化されることがあります。デジタルIC(マイコンなど)はクロック信号による高速スイッチングノイズを出すため、微小信号を扱うアナログIC(ADC・オペアンプ)とはGNDを分けるのが理想です。考え方はパワーGNDとの分離と同じで、「加害者と被害者を分ける」のが原則です。
LG(ラインフィルタグランド)|「浄水器フィルター」の役割
LGとは?|ノイズフィルタ専用のグランド
LG(Line Filter Ground / ラインフィルタグランド)は、AC電源入力部に設置するEMIフィルタ(ラインフィルタ)のコンデンサ(Yコンデンサ)を接地するための専用グランドです。
家の配管で言えば「浄水器のフィルター」です。水道管(AC電源ライン)から入ってくる汚れ(コモンモードノイズ)を、家の中に入る前にこのフィルターで濾し取ります。そして、濾し取った汚れは専用の排水口(FG=大地)へ流します。
LGの基本情報
| 正式名称 | Line Filter Ground |
| 接続先 | Yコンデンサの中点 → FG(筐体/大地) |
| 流れる電流 | 高周波ノイズ電流(コモンモードノイズのバイパス電流) |
| 目的 | AC電源ラインのコモンモードノイズを大地に逃がし、機器内部に入れない |
| 重要な注意点 | LGはFGに直接繋ぐ。SGやPGNDには絶対に接続しない |
LGをSGに繋いでしまう失敗が非常に多い
LGには高周波ノイズ電流が流れています。これをSG(信号グランド)に接続してしまうと、「フィルターで捕まえたノイズを信号回路にわざわざ注入する」という最悪の結果になります。フィルターの意味がなくなるどころか、フィルターがない方がマシという状況に。LGは必ず最短経路でFG(筐体)に繋ぐのが鉄則です。
注意|LGの意味は図面で確かめる
この記事のLGは「電源ライン(Line)のフィルタのグランド」の意味です。会社や図面によっては、LGを「ロジック(論理回路)のグランド」の意味で使うこともあります。読み違えると逆のつなぎ方になるので、図面の凡例で確かめてください。
PGND(パワーグランド)|「工場の排水管」の役割
PGNDとは?|パワー回路の大電流が帰るグランド
PGND(Power Ground / パワーグランド)は、MOSFET・IGBT・モータードライバ・DC-DCコンバータなどパワー回路の大電流が帰る道です。
家の配管で言えば「工場の排水管」です。大量の水(電流)がドバドバ流れ、スイッチングのたびに流量が急変します。汚れ(ノイズ)も激しく、他の配管に絶対に混ぜてはいけません。
PGNDの基本情報
| 正式名称 | Power Ground / PGND |
| 接続先 | パワー素子(MOSFET等)のソース/エミッタ → 入力コンデンサ → 電源 |
| 流れる電流 | 大電流(数A〜数十A)、スイッチングで急変(高dI/dt) |
| 目的 | パワー回路の電流帰還路。ノイズの発生源でもある |
| 設計上の注意 | 太く・短く引く。SGとは分離し、1点で接続 |
PGNDとSGを混ぜると何が起きるか?
PGNDのパターンには、スイッチング素子のON/OFFに伴う数A〜数十Aの電流が数十nsで急変します。この急激な電流変化がGNDパターンのインダクタンスで電圧に変換され、GNDバウンスを引き起こします。
PGNDとSGを共有した場合の具体的な被害
被害①
ADCの測定値が狂う:PGND電位が1mV揺れるだけで、12ビットADCの測定値が1〜2ビット変動。温度センサーなどの精密測定が使い物にならなくなる
被害②
マイコンが暴走する:GNDバウンスでマイコンのVIH/VILしきい値が揺れ、ロジックが誤動作。最悪ウォッチドッグタイマーが作動しリセット多発
被害③
通信エラーが多発する:UARTやSPIの信号波形にノイズが重畳し、ビットエラー率が急増。データ化けが発生
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4種類のグランド完全比較表
一目でわかる比較表
| 項目 |
FG |
SG |
LG |
PGND |
| 配管のたとえ |
避雷針・雨どい |
浄水配管 |
浄水器フィルター |
工場の排水管 |
| 接続先 |
大地(Earth) |
信号ICのGND |
Yコン → FG |
パワー素子 |
| 流れる電流 |
通常0A 異常時のみ大 |
μA〜数十mA 低ノイズ |
高周波 ノイズ電流 |
数A〜数十A 高ノイズ |
| ノイズの性質 |
サージ (瞬間的) |
被害者 (汚染されたくない) |
捕獲されたノイズ (逃がす側) |
加害者 (ノイズ発生源) |
| 分けないと… |
感電事故 |
信号誤読・暴走 |
フィルタ無意味化 |
GNDバウンス |
| パターン設計 |
太く、筐体へ直結 |
ノイズ源から隔離 |
最短でFGへ |
太く・短く |
接続関係の全体図|「どこで分け、どこで繋ぐか」
グランド接続の全体像
LG
→
FG
(筐体/大地)
←
1点接続
→
SG
LG → FG(直接接続)|PGND ↔ SG(1点接続)|FG ↔ SG/PGND(1点接続)
回路図のグランド記号で見分ける
回路図では、グランドを記号で描き分けます。接地(アース)は長さの違う横線3本、保護接地はそれを丸で囲んだ形、フレーム(筐体=FG)はくし形、信号グランド(SG)は三角形で描くことが多いです。ただし形は会社や図面で違うことがあるので、迷ったら図面の凡例を確かめます。
回路図のグランド記号の見分け方
よくある失敗パターン3選|現場で起きやすい例
失敗①|LGをSGに繋いでしまい、フィルタが逆効果に
EMIフィルタのYコンデンサのGND側を、FG(筐体)ではなくSG(信号GND)に接続してしまったケースです。フィルタが捕まえたコモンモードノイズが、そのまま信号回路のGNDに流れ込みました。結果、フィルタを入れたのにEMI試験でむしろ放射ノイズが悪化。配管のたとえで言えば、浄水器で濾し取った汚れを飲み水の配管に流しているようなものです。
失敗②|PGNDとSGを共通パターンで引いて、ADCの値が安定しない
MOSFETのソース端子とマイコンのGNDピンを同じ銅箔パターンで共有してしまったケースです。スイッチングのたびにGNDが数十mV揺れ、ADCの読み取り値がバラつきました。配管のたとえで言えば、工場の排水管と浄水配管を1本にしたため、水圧の変動で蛇口から出る水の量が不安定になった状態です。
失敗③|FGを接続し忘れて、筐体に触れると「ビリビリ」くる
試作基板でFG(保護接地)の配線を忘れたまま動作確認をしたケースです。Yコンデンサ経由でAC電源のノイズ電流が筐体に漏れ、金属筐体に触れると微弱な感電が発生しました。これはまだ「ビリビリ」レベルで済みましたが、電源回路の絶縁が壊れた場合、AC100Vが筐体に直結する致命的な事故に繋がります。
これら3つの失敗に共通すること
いずれも「グランドの種類を意識せず、とりあえず繋いだ」ことが原因です。グランドは全部同じではありません。FG・SG・LG・PGNDにはそれぞれ明確な役割があり、正しい相手に正しい方法で接続する必要があるのです。
基板の空いた所を銅で埋めてGNDにする「ベタGND」の考え方は、次の記事で図解しています。
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【完全図解】「ベタGND」とは?|なぜ基板のあちこちが銅で塗りつぶされているのか
なぜ基板のあちこちが銅で塗りつぶされているのか
まとめ|グランドは「分ける→正しく繋ぐ」が大原則
| グランド |
一言でまとめると |
間違えると |
| FG |
避雷針。異常電流を大地に逃がす |
感電事故 |
| SG |
浄水配管。信号の電位基準を静かに保つ |
信号誤読・暴走 |
| LG |
浄水器フィルター。ノイズを捕まえてFGに逃がす |
フィルタが逆効果 |
| PGND |
工場の排水管。大電流の帰り道 |
GNDバウンス・誤動作 |
設計で迷ったときの判断基準
「この電流はどの配管を通るべきか?」と自問してください。異常電流なら避雷針(FG)へ。ノイズを濾した排水ならフィルター(LG)からFGへ。大電流なら工場の排水管(PGND)へ。信号の帰りなら浄水配管(SG)へ。流す先を間違えなければ、グランド設計は怖くありません。
最後にひとこと
グランドの設計は地味ですが、ノイズの問題の多くは、グランドの分け方とつなぎ方が関係しています。「全部繋げばいい」から卒業し、「分けて、正しい場所で繋ぐ」という考え方を持つだけで、あなたが設計する機器の品質は劇的に変わります。この記事をきっかけに、ぜひGNDパターンの引き方の実践記事にも進んでみてください。
よくある質問
Q. FGとは?
A. Frame Ground(フレームグランド)の略で、機器の金属の筐体を大地につなぐグランドです。漏電やサージの電流を大地へ逃がし、感電を防ぎます。
Q. SGとは?
A. Signal Ground(シグナルグランド)の略で、マイコンやセンサなど信号回路の0Vの基準です。ノイズが混ざると信号の読み取りがずれるので、静かに保ちます。
Q. FGとLGの違いは?
A. FGは筐体を大地につなぐ安全のためのグランド、LGはノイズフィルタのYコンデンサが捕まえたノイズを流すグランドです。LGは最短でFGにつなぎます。
Q. FGとアースは同じ?
A. アースは大地につなぐこと、FGは筐体のことです。FGを接地線で大地につなぐと、FGがアース(保護接地)の役目をします。
NEXT STEP
次に読むべき記事|「分ける」が分かった人が、次に必ずぶつかるのは「どこで1点に繋ぐか」です
FG・SG・LG・PGND。記号の違いが整理できると、回路図の見え方が変わります。ですが、設計の本番はここからです。
なぜなら、GNDは「分ける」だけでは絶対に完成せず、必ずどこかで一点接続するか、絶縁で完全に切り離すかを決めなければならないからです。分けっぱなしのGNDは、浮いた電位がノイズを拾うアンテナに変わります。
◆ この先の読み方
「記号の意味」を土台に、①0Vという幻想を捨てる基礎 → ②リターンパスで決まる実装 → ③感電を防ぐ安全設計、の順に進めば、GNDは「なんとなく落とす場所」から「意図して設計する回路」に変わります。
GNDを制する4ステップ(全体像)
| A |
「0V」という思い込みを捨てる GNDは基準点であって0Vではない/銅箔にも抵抗とインダクタンスがある |
| B |
リターンパスで配線を決める 電流は必ず戻る/ベタGNDの切り方/プレーン分割とスリットの罠 |
| C |
安全としてのFGを理解する 保護接地は感電を防ぐ命綱/漏電遮断との連携/沿面・空間距離 |
| D |
絶縁とコモンモードを設計する 絶縁で切る/差動で受ける/測定でGNDを壊さない |
まずこの3本|GNDの次に読む優先順位
STEP 1 / 基礎編 ― GNDは0Vではない
GNDとは何か?「0V」という思い込みを捨てるところから
FG・SG・PGNDを分ける理由は、突き詰めると「GNDに電位差が生まれるから」の一言です。銅箔にも抵抗とインダクタンスがあり、大電流が流れれば数百mVは平気で揺れます。この揺れが、分離設計のすべての出発点です。
▶ GNDの正体を読む
STEP 2 / 実装編 ― 一点接地を図面に落とす
GNDパターンの正しい引き方|一点接地とベタGNDの使い分け
「SGとPGNDを分ける」と決めたあと、では基板のどこで繋ぐのか。この一点を間違えると、分けた意味がゼロになるどころか、かえってループが増えてノイズが悪化します。図面レベルの具体策はこちらです。
▶ GNDパターン設計を読む
STEP 3 / 事故編 ― 実際に壊れるのはこの瞬間
オシロのGNDは電源と繋がっている!知らずに使うと基板が燃える話
「グランドを分けないと機器が壊れる」を、最も生々しく体感できるのが測定現場です。オシロのプローブGNDはコンセントのアース、つまりFGに直結しています。これをSGやPGNDに繋いだ瞬間、意図しない短絡経路が完成します。
▶ 基板が燃える理由を読む
A|土台を固める(GNDと電流の基礎)
GND分離の話が腹落ちしない原因は、ほぼ「電流がどこを戻っているか」を意識していないことにあります。
B|SGとPGNDを実装に落とす(基板パターン編)
分離の思想は、最終的にアートワークの銅箔形状として表現されます。ここを外すと図面上の分離は絵に描いた餅です。
C|FGは「ノイズ対策」ではなく「命を守る配線」
▼ ここを混同すると事故になります|FG(フレームグランド)の第一目的は感電防止です。ノイズの都合でFGを触る前に、安全側の理屈を必ず押さえてください。
D|測定でGNDを間違えると、本当に壊れます
GND分離の理解度が一番シビアに問われるのが測定です。ここを知らないまま実験すると、基板もオシロも一瞬で失います。
E|「分ける」の最終形=絶縁と差動
GNDを完全に切り離しても信号を伝えたい。その要求に応えるのが絶縁と差動という2つの技術です。
どれから読むか迷ったら|あなたの状況で選ぶ
◆ この記事の結論をもう一度
FG・SG・LG・PGNDは、記号が4つあるのではありません。「守りたいものが4つ違う」から、分けているだけです。FGは人命を、SGは信号の正確さを、PGNDは大電流の帰り道を、LGは外から入るノイズを機器の中に入れないためにあります。
そして最も大切なのは、分けたあとに「どこで一点に集めるか」を自分の意図で決めること。ここを曖昧にしたまま図面を出すと、量産後に原因不明の不具合として必ず返ってきます。
次は GNDとは何か?「0V」という思い込みを捨てる へ。分離の理由が、理屈として一段深く腹落ちするはずです。
S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年
メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
この記事の理解を深める本と道具
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気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。
つまずきやすい「違い」を一気に解決
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