回路設計

ハーフブリッジとフルブリッジ(Hブリッジ)の違い|貫通電流とデッドタイムを図解

ハーフブリッジ・フルブリッジ駆動の基本。貫通電流を防ぐ設計

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

こんな経験はありませんか?
  • 「ハーフブリッジ」「フルブリッジ」という言葉を先輩は当たり前のように使うが、何が違うのか説明できない
  • 試作機を電源ONした瞬間、「バチッ」と音がしてMOSFETが2個とも黒焦げになった
  • 「貫通電流」「デッドタイム」と聞くが、なぜ必要なのか具体的な理由がわからない
  • 客先レビューで「デッドタイムは何ns設定していますか?」と聞かれて答えられなかった
○ この記事でわかること
  • ハーフブリッジとフルブリッジの違いが3秒でわかる図解
  • 「貫通電流」が起きる物理的メカニズム
  • デッドタイムの決め方と現実的な数値レンジ
  • 専用ゲートドライバICを使うべき理由

結論を先に言います。上下のMOSFETが「同時にON」した瞬間、電源とGNDが直結します。電流を制限するものがほとんどないので、定格を大きく超える電流が流れ、両方のMOSFETが短い時間で壊れることがあります。これが「貫通電流」の正体。

この事故を防ぐために必要なのが「デッドタイム」。上のMOSFETがOFFしてから、下のMOSFETがONするまでの「両方OFF」の時間を意図的に作ります。今回の記事では、その仕組みと設計の考え方を徹底的に図解します。

ゲート駆動の記事(全4本)
  1. ゲートドライバIC
  2. スイッチング波形の読み方
  3. ハイサイドとローサイド
  4. ハーフブリッジ・フルブリッジ(この記事)

ハーフブリッジ・フルブリッジとは?構成の違い

名前は難しそうですが、構造はシンプル。ハイサイドMOSFETとローサイドMOSFETを「縦に積んだ1セット」がハーフブリッジ、「2セット並べた」のがフルブリッジ。それだけです。

ハーフブリッジとフルブリッジの比較
ハーフブリッジフルブリッジ(Hブリッジ)
スイッチの数2個(1レグ)4個(2レグ)
負荷のつなぎ方中点とGND(または中点と電源の中間点)の間2つの中点の間
負荷にかかる電圧0〜+V の一方向(コンデンサで中点を作れば ±V/2)+V と −V の両方向
電流の向きを変えるできない(中点を作る方式を除く)できる(モータの正転・逆転)
主な使い道降圧DC-DC、同期整流、ハーフブリッジ型の電源DCモータの正逆転、単相インバータ、絶縁型DC-DCの1次側

「Hブリッジ」と「フルブリッジ」は同じ回路の呼び方の違いです。モータ駆動では Hブリッジ、電源やインバータではフルブリッジと呼ぶことが多いです。

ハーフブリッジ

MOSFET 2個(ハイサイド1個 + ローサイド1個)。
出力は2個の中点(スイッチングノード)から1本。
DC-DCコンバータの基本構成

フルブリッジ(Hブリッジ)

MOSFET 4個(ハーフブリッジを2セット)。
出力は2つの中点から2本。
DCモータの正逆転、単相インバータに使用

共通する重要ワード「アーム」

パワエレの世界では、ハイサイドMOSFETを「上アーム」、ローサイドMOSFETを「下アーム」と呼びます。腕(アーム)が上下に伸びているイメージ。

そして「レグ(脚)」という言葉もよく出てきます。これは「上アーム+下アームの1セット」のこと。ハーフブリッジ=1レグ、フルブリッジ=2レグ、3相インバータ=3レグ、と数えます。

現場の声
客先や上司との会話では「U相の上アームが…」「W相の下アームが…」のような言い方が頻出します。「上アーム = ハイサイド」「下アーム = ローサイド」と頭の中で即変換できるようにしておきましょう。
ハーフブリッジ(MOSFET2個・出力1本)とフルブリッジ(Hブリッジ、MOSFET4個でDCモータを駆動)の回路図の比較
ハーフブリッジとフルブリッジの回路

ハイサイドとローサイドのスイッチを動かすには、マイコンとの間に「ゲートドライバIC」が要ります。

【完全図解】ゲートドライバICとは?|なぜマイコン直結ではダメなのか
あわせて読みたい
【完全図解】ゲートドライバICとは?|なぜマイコン直結ではダメなのか

なぜマイコン直結ではダメなのかを図解

ハーフブリッジの動作原理|2つのMOSFETの「シーソー」

ハーフブリッジの動作は、上アームと下アームが交互にON/OFFする「シーソー」と覚えてください。出力点の電圧は、その都度「電源電圧」か「0V」のどちらかに切り替わります。

状態 上アーム 下アーム 出力電圧
状態1 ON OFF +V(電源電圧)
状態2 OFF ON 0V(GND)
状態3 × ON ON 貫通電流発生
状態4(デッドタイム) OFF OFF 不定(負荷次第)
ポイント
出力電圧を「+V」と「0V」で高速に切り替え、その時間比率(デューティ比)を変えることで「平均電圧」を自在に操るのがPWM制御の本質です。デューティ50%なら平均電圧は+V/2、デューティ80%なら平均0.8×V。

このシーソー動作のおかげで、降圧コンバータ・昇圧コンバータ・モータ駆動など、あらゆるパワエレ回路の基礎ブロックとして使われます。

図:上と下、ONになっている方で電気の道が決まります

ON OFF OFF OFF OFF ON OFF OFF

橙の粒が電気です。上ONのときだけ電気が負荷まで届き、下ONのときは出力がGNDにつながって0V=消灯。この点灯と消灯の時間の割合を変えるのがPWMです。両方OFF(デッドタイム)を必ず挟むのがポイント。

ハーフブリッジの上側MOSFETがON・下側がOFFで出力が+Vになる状態を、シーソーにたとえた図
ハーフブリッジは上下が交互に切り替わる
おすすめの本

「ハーフブリッジ・フルブリッジ駆動」は、回路シミュレータで電圧や電流の波形を見ながら確かめると理解が深まります。無料の回路シミュレータLTspiceを使って、電子回路を学べる本です(オーム社、渋谷道雄 著)。

貫通電流のメカニズム

ここがこの記事で最も大事な部分です。上アームと下アームが同時にONした瞬間、何が起きるのかを物理的に理解しましょう。

同時ONで起きること

上アームがONなら電源(+V)からスイッチングノードへ電流が流れる経路ができます。下アームがONならスイッチングノードからGNDへ電流が流れる経路ができます。

両方が同時にONすると、電源(+V)からMOSFET2個を通って、直接GNDまで一本道ができます。間にあるのは2個のMOSFETのオン抵抗(Rds(on))だけ。例えば10mΩ×2個=20mΩしかありません。

オームの法則で計算してみる
電源48V ÷ 抵抗0.02Ω = 2400A。これが瞬間的に流れます。MOSFETの定格電流が30Aだったら、約80倍の電流。実際は配線のインダクタンスや素子の性質で電流は計算より小さくなりますが、それでも定格を大きく超え、短い時間で素子が壊れるおそれがあります。
現場の声
試作機の電源を入れた瞬間に「パンッ」という破裂音とともにMOSFETが黒焦げになった経験がある方は、ほぼ間違いなくこの貫通電流が原因です。制御信号のタイミング、デッドタイム設定、ゲート抵抗のバランスのどこかにバグがあります。

図:上下が同時にONすると、電気は負荷を素通りしてGNDへ

ON OFF 正常:電気は負荷(ランプ)へ流れる ON ON 来ない 両方ON → 48V ÷ 0.02Ω = 2400A が直進 短い時間で MOSFET 2個とも壊れる

赤い粒の速さに注目してください。上下が同時にONすると、電源とGNDが一本道でつながり、間にあるのはオン抵抗0.02Ωだけ。負荷には1粒も届きません。これを防ぐのがデッドタイムです。

「同時ONしないつもり」でも起きる理由

ここが厄介なところ。マイコンが「上アームOFF、下アームON」と命令しても、現実にはMOSFETのターンオフには時間がかかる。ナノ秒単位ですが、確実に時間がかかります。

だから「上アームを切った直後に下アームを入れる」とすると、上アームがまだ完全に切れていないうちに下アームがONして、一瞬だけ両方ONの状態ができてしまうのです。これが貫通電流の典型パターン。

上側と下側のMOSFETが同時にONになり、電源からGNDへ貫通電流が流れるしくみ。48VでRds(on)の合計20mΩなら計算上2400A
貫通電流のメカニズム

デッドタイムの考え方|「両方OFF」の時間を意図的に作る

貫通電流を防ぐ唯一の方法、それがデッドタイム(dead time)です。「上アームをOFFにしてから、下アームをONにするまでに、わざと両方OFFの時間を設ける」設計手法。

STEP 1

上アームをOFFにする:マイコンがOFF信号を送る。MOSFETのゲート電荷が放電され、完全にOFFするまで数十〜数百ns待つ。

STEP 2

デッドタイム(両方OFF):両方のMOSFETを意図的にOFFのまま保持する時間。100ns〜数μs。この間、出力電圧は負荷に依存(モータなら還流ダイオード経由)。

STEP 3

下アームをONにする:上アームが完全にOFFしていることを確認してから、下アームをON。安全に切替完了。

デッドタイムの現実的な数値

用途 デバイス デッドタイム目安
小型DC-DC(〜48V) Si MOSFET 50〜200ns
産業用インバータ(400V) IGBT 1〜3μs
EV用インバータ(800V) SiC MOSFET 100〜500ns
小型LED駆動 GaN HEMT 10〜50ns
デッドタイムは長すぎてもダメ
「安全のために長めに」は半分正解。長すぎるデッドタイムは出力電圧の歪み・効率低下・モータの振動増加を招きます。短すぎず長すぎず、デバイス特性とゲート抵抗から計算で求める設計が必要です。
上アームと下アームのゲート信号と出力電圧のタイミングチャート。上アームをOFFしてから下アームをONするまでに両方OFFのデッドタイムを入れ、出力は+Vから0Vに切り替わる
デッドタイムの考え方
おすすめの本

パワーエレクトロニクスの基本から順に学び直したいときに向いています。パワーエレクトロニクスの基本を、つまずいている人向けにやさしく解説した入門書です(オーム社)。

MOSFETスイッチング波形の読み方|Vgs・Vds・Idの3波形で動作を理解する
あわせて読みたい
MOSFETスイッチング波形の読み方|Vgs・Vds・Idの3波形で動作を理解する

Vgs・Vds・Idのスイッチング波形の読み方

デッドタイムの計算|データシートの値から最小値を出す

「長すぎず短すぎず」のデッドタイムは、MOSFET(又はIGBT)とゲートドライバのデータシートの値から見積もれます。パワー半導体メーカーのアプリケーションノートで紹介されている、次の目安の式がよく使われます。

デッドタイム(最小)= {(td(off)max − td(on)min) + (tpdd max − tpdd min)}× 1.2
記号意味
td(off)maxターンオフ遅れ時間の最大値(OFFの命令から実際に切れ始めるまで)
td(on)minターンオン遅れ時間の最小値
tpdd max − tpdd minゲートドライバの伝搬遅延のばらつき(上下のドライバで遅れ方がずれる分)
× 1.220%の余裕

考え方は「上アームがいちばん遅く切れて、下アームがいちばん早く入る」最悪の組み合わせでも、両方ONにならない時間を確保する、というものです。データシートの遅れ時間は測定条件(ゲート抵抗・温度)で変わるので、実際のゲート抵抗と温度での値を使います。

例:Si MOSFETのハーフブリッジ

データシートの値の例として、td(off)max = 60ns、td(on)min = 10ns、ドライバの伝搬遅延が 30〜50ns とします。

手順計算
素子の遅れの差60 − 10 = 50 ns
ドライバのばらつき50 − 30 = 20 ns
余裕を掛ける(50 + 20) × 1.2 = 84 ns

デッドタイムが出力電圧をずらす量

デッドタイムの間は、出力の電圧が負荷電流の向きで決まり、指令どおりの電圧が出ません。1回のスイッチングでデッドタイムぶん電圧がずれるので、平均の出力電圧のずれはおよそ デッドタイム × スイッチング周波数 × 電源電圧 です。たとえば 1μs・20kHz・300V なら 1×10⁻⁶ × 20,000 × 300 = 6V ずれます。デッドタイムを長くしすぎると、モータの電流がゆがむのはこのためです。

デッドタイムの計算ツール

入れた数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。目安の式なので、最後は実機の波形(上下のゲート電圧とドレイン電流)で両方ONになっていないことを確かめてください。

ハーフブリッジ専用ゲートドライバICを使う理由

ハーフブリッジ・フルブリッジを設計するなら、専用のハーフブリッジゲートドライバICを使うのが定石です。なぜか。理由は3つあります。

① 上アーム・下アームを1つのICで駆動できる

専用IC1個で、上下2個のMOSFETを駆動できます。基板面積も部品点数も少なくて済む。代表例:IR2104、UCC27200、L6491など。ただし、デッドタイムを内蔵しているかは品番によって違います(IR2104は内蔵、UCC27200は上下の入力が独立していてデッドタイムはマイコン側で作る)。必ずデータシートで確かめましょう。

② デッドタイムが内蔵されている

デッドタイムを内蔵した品番(IR2104など)なら、マイコンから1本のPWM信号を入れるだけで、ICが自動で「上アームOFF→デッドタイム→下アームON」を生成してくれる。デッドタイム時間を外付け抵抗で調整できる品番もある。

③ シュートスルー保護機能が入っている

品番によっては、万が一マイコンが「両方ON」の信号を出してしまっても、IC側で「両方ON状態を強制的に禁止」するロジック(インターロック)が入っています。これだけで初心者の試作事故が激減します。

ポイント
専用ICでも単体ドライバ2個でも、回路は組めます。でも初心者ほど専用ICを使うべきです。「自分で何とかしようとする設計」は事故の元。先輩エンジニアほど「枯れた専用IC」を選びます。
デッドタイム内蔵のハーフブリッジドライバICのブロック図の例。1つのPWM入力から上下のゲート信号HO・LOを作る。ピン配置は架空の例
ハーフブリッジドライバICの中身

ハイサイドの MOSFET を駆動する電源を作るのが、ブートストラップ回路です。

ブートストラップ回路の仕組み|ハイサイド駆動の「電源問題」を解決する
あわせて読みたい
ブートストラップ回路の仕組み|ハイサイド駆動の「電源問題」を解決する

ハイサイド駆動の「電源問題」を解決する

フルブリッジ(Hブリッジ)の動作と用途

フルブリッジは、ハーフブリッジを2セット並べ、その中間に負荷をはさむ構成です。アルファベットの「H」の形に似ているので「Hブリッジ」とも呼ばれます。

4つのMOSFETの組み合わせで「正転・逆転・停止」

動作 Q1(左上) Q2(右上) Q3(左下) Q4(右下) 負荷
正転 ON OFF OFF ON →
逆転 OFF ON ON OFF ←
停止(フリー) OFF OFF OFF OFF 惰性回転
ブレーキ OFF OFF ON ON 急停止
禁止 × ON ― ON ― 貫通電流

特に重要なのは「左の上下(Q1とQ3)が同時ON」「右の上下(Q2とQ4)が同時ON」が絶対NGということ。同じレグの上下アームで貫通電流が起きるからです。

フルブリッジの代表用途

  • DCモータの正逆転制御:ロボット、電動工具、リフトなど
  • 単相インバータ:DC→AC変換(家庭用太陽光発電のパワコンなど)
  • 絶縁型DC-DCコンバータの1次側:トランスに正負の電圧を交互にかける
  • 絶縁型ハイパワーアンプ(D級アンプ):オーディオ用
フルブリッジでDCモータを駆動する動作モード(正転・逆転・フリー・ブレーキ)と、同じレグの上下を同時にONする禁止パターン
フルブリッジの動作モードと禁止パターン
おすすめの本

パワーエレクトロニクスの全体を、図でつかみたいときに向いています。パワーエレクトロニクスを、カラーの図解で解説した本です。

設計時のチェックリスト|試作前に必ず確認

ハーフブリッジ・フルブリッジ回路を試作する前に、以下を必ず確認してください。1つでも見落としがあると、電源ONの瞬間にMOSFETが昇天します。

○ 試作前チェックリスト
  • デッドタイムは十分か?(MOSFETのターンオフ時間 + マージン)
  • 専用ハーフブリッジドライバICを使っているか?(または同等のシュートスルー保護があるか)
  • ゲート抵抗は適切か?(小さすぎるとリンギング、大きすぎると遅延)
  • 電源ラインに大容量電解コンデンサを配置したか?(瞬間電流の供給源)
  • パターンのループ面積は最小化されているか?(寄生インダクタンスの最小化)
  • ハイサイド用のブートストラップ/絶縁電源は機能しているか?
  • 初回投入時、低電圧(5V程度)で動作確認をする予定か?(いきなり定格電圧はNG)
  • 過電流保護回路(OCP)は機能しているか?
現場の声
電源を初めて入れるときは、「電流計測器を直列に入れて、定格の1/10程度の電圧から徐々に上げる」方法が安全です。何かおかしければ電流値が異常値を示すので、すぐに電源を切れば被害を最小限にできます。「いきなりフル電圧」はベテランほどやりません。
ブリッジ回路を試作する前のチェックリスト8項目(デッドタイム・ドライバIC・ゲート抵抗・電解コンデンサ・ループ面積・ブートストラップ・段階的な投入・過電流保護)
ブリッジ回路の試作前チェックリスト

よくある質問

Q. ハーフブリッジとフルブリッジの違いは?

A. ハーフブリッジは上下2個のスイッチで出力が1本、フルブリッジは2組4個で出力が2本です。フルブリッジは出力の向きを逆にできます。

Q. 貫通電流とは?

A. 上下のスイッチが同時にONして、電源からGNDへ負荷を通らずに流れる大電流です。オン抵抗しかないので一瞬で素子が壊れます。

Q. デッドタイムは何nsにすればいい?

A. 素子の遅れ時間とドライバの伝搬遅延のばらつきから計算し、2割ほど余裕を足します。Si MOSFETでは数十〜数百nsが目安です。

Q. デッドタイムを長くしすぎるとどうなる?

A. 出力電圧が指令からずれ、効率が下がり、モータの電流がゆがみます。ずれはデッドタイム×周波数×電源電圧ほどです。

Q. ハーフブリッジ用のゲートドライバICは必要?

A. 使うのが定石です。上下を1つのICで駆動でき、品番によってはデッドタイムの生成や同時ONを防ぐ機能も入っています。

Q. HブリッジでなぜQ1とQ3(同じ側の上下)を同時にONしてはいけない?

A. 同じレグの上下が同時にONすると、電源からGNDへ負荷を通らない道ができ、貫通電流が流れるからです。対角のQ1とQ4、Q2とQ3の組み合わせだけを使います。

Q. 「ブリッジ回路」で調べるとほかの回路も出てくるのは?

A. 抵抗を測るホイートストンブリッジや、交流を直流にするダイオードブリッジも「ブリッジ」と呼びます。この記事のブリッジは、スイッチで電源の+とGNDを切り替える駆動の回路です。

次に読むなら、この1本

ハーフブリッジ・フルブリッジを組み合わせると、直流を交流に変えるインバータになります。

インバーターとは?直流を交流に変える仕組みを図解|単相・三相ブリッジ・PWM・VVVF
次のステップ
インバーターとは?直流を交流に変える仕組みを図解|単相・三相ブリッジ・PWM・VVVF

単相・三相ブリッジとPWMの仕組み

続きを読む →

まとめ|「両方ONを絶対に避ける」がすべて

この記事の結論
  • ハーフブリッジ = MOSFET 2個(1レグ)。フルブリッジ = MOSFET 4個(2レグ)
  • 上下アームが同時にONすると貫通電流(数百〜数千A)でMOSFETが瞬時に破壊される
  • これを防ぐため「デッドタイム」を意図的に挿入する設計が必須
  • デッドタイム時間はデバイス次第(Si MOSFETなら50〜200ns、IGBTなら1〜3μs)
  • 専用ハーフブリッジゲートドライバICを使えば、デッドタイム生成・シュートスルー保護が標準装備

ハーフブリッジ・フルブリッジは、DC-DCコンバータからEVのインバータまで、あらゆるパワエレ回路の基礎です。「上下アームの同時ONを絶対に避ける」という1点さえ徹底すれば、設計の8割は安全圏に入れます。

次は、3相インバータ(3レグ構成)に進む準備が整いました。3つのハーフブリッジが120°ずつ位相をずらして動作する仕組みは、ハーフブリッジを完全に理解した上でこそ腑に落ちる世界です。

テーマ別に、もっと深く学ぶ

気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。

つまずきやすい「違い」を一気に解決
計算力アップ・資格対策
S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

-回路設計
-