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ポータブル電源で家電が動く時間は、容量(Wh)×0.8÷消費電力(W)で出せます。1,000Wh なら LED 電球(8W)で約100時間、冷蔵庫で約20時間で、容量ごとの目安は早見表、冷蔵庫の計算は年間消費電力量の節へ。

ポータブル電源の容量(Wh)と定格出力(W)は別の数字
ポータブル電源の仕様で大事な数字は2つです。容量(Wh)は「どれだけ長く」、定格出力(W)は「一度にどれだけ」の電気を出せるかを表します。
ポータブル電源は、大きなリチウムイオン電池に、家庭のコンセントと同じ交流100V を作る回路を組み合わせた箱です。仕様表には数字がたくさん並びますが、停電への備えで見るのは次の2つだけです。
| 数字 | 意味 | 決めるもの |
|---|---|---|
| 容量(Wh、ワットアワー) | ためておける電気の量 | 家電が何時間動くか |
| 定格出力(W、ワット) | 一度に出し続けられる電気の大きさ | どの家電を同時に使えるか |
Wh は「W(電力)×h(時間)」の単位です。100W の家電を1時間使うと 100Wh、10W の家電を10時間使っても 100Wh です。つまり容量 Wh を家電の W で割ると、使える時間が出ます。
W と Wh の違いを「速さと距離」で整理すると、容量の計算が迷わなくなります
つまり、まず「何時間使いたいか」で容量 Wh を、「何を同時に使いたいか」で定格出力 W を決める、という順番です。

使える時間の計算式:容量×0.8÷消費電力
家電がポータブル電源で何時間動くかは、容量(Wh)×0.8÷消費電力(W)で見積もります。0.8 は、電池の直流を家庭用の交流に変えるときのロスを見込んだ目安です。
電池にたまっているのは直流の電気です。家庭の家電は交流100V で動くので、ポータブル電源の中のインバーター(直流を交流に変える回路)で変換してから出しています。この変換で一部が熱になって失われ、電池の残りを守る制御にも少し使われます。
そのため、表示の容量をそのまま全部は使えません。メーカーの説明でも、出力するときのロスを見込んで容量の80%で計算する例が使われています。
直流を交流に変えるインバーターのしくみと、なぜ熱が出るのかがわかります
例題:1,000Wh で 100W の家電は何時間動く?
つまり、仕様表の容量は「満タンの量」で、使える量はその8割くらい、と覚えておけば大きく外しません。

早見表:容量ごとに家電が何時間動くか
300Wh〜2,000Wh の容量ごとに、よく使う家電が何時間動くかを計算しました。冷蔵庫以外の消費電力は例(仮の値)なので、手もとの家電のラベルの数字に置き換えてください。
| 家電(例) | 消費電力 | 300Wh | 500Wh | 1,000Wh | 2,000Wh |
|---|---|---|---|---|---|
| LED電球(1個) | 8W | 約30時間 | 約50時間 | 約100時間 | 約200時間 |
| 扇風機(DCモーター) | 20W | 約12時間 | 約20時間 | 約40時間 | 約80時間 |
| ノートパソコン | 45W | 約5.3時間 | 約8.9時間 | 約18時間 | 約36時間 |
| 液晶テレビ(32型) | 50W | 約4.8時間 | 約8.0時間 | 約16時間 | 約32時間 |
| 冷蔵庫(平均) | 約41W | 約5.9時間 | 約9.9時間 | 約20時間 | 約39時間 |
| 電気毛布(中) | 40W | 約6.0時間 | 約10時間 | 約20時間 | 約40時間 |
| スマホの充電 | 1回 約20Wh | 約12回 | 約20回 | 約40回 | 約80回 |
計算はすべて「容量×0.8÷消費電力」です。たとえば 500Wh で液晶テレビ(50W)なら、500×0.8÷50=8時間になります。
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冷蔵庫の「約41W」は、実在の411L の冷蔵庫(パナソニック NR-E431GV)の年間消費電力量 355kWh/年を、1年の時間(8,760時間)で割った平均です。冷蔵庫の計算のしかたは次の節で説明します。
スマホは、電池の容量が約19Wh(5,000mAh・3.87V の例)の機種を、充電のロスを含めて1回 約20Wh とおいて計算しました。
ボルト・アンペア・ワットの関係(W=V×A)を家電の例で確かめられます
つまり、表の行を自分の家電に入れ替えれば、自分の家で何時間もつかがすぐに出せます。

冷蔵庫は「定格」ではなく「年間消費電力量」で計算する
冷蔵庫は、定格消費電力ではなく年間消費電力量を8,760時間で割った平均で計算します。355kWh/年の冷蔵庫なら平均 約41W で、1,000Wh で約20時間です。定格で計算すると約3時間になり、6倍以上ずれます。
冷蔵庫のラベルには、ふつう2種類の数字が書かれています。
| 数字 | 例(NR-E431GV) | 意味 |
|---|---|---|
| 定格消費電力 | 電動機 87W/電熱装置 169W | コンプレッサー(電動機)や霜取りのヒーター(電熱装置)が動いているときの最大 |
| 年間消費電力量 | 355kWh/年 | 決められた試験方法(JIS C 9801-3:2015)で1年間使ったときの量 |
冷蔵庫のコンプレッサーは、庫内が冷えたら止まり、温まったらまた動きます。霜取りのヒーターは時々しか動きません。だから、ずっと定格の電力を使い続けているわけではありません。
平均の W を出す手順
一方で、定格の数字はむだではありません。コンプレッサーと霜取りのヒーターが重なった瞬間や、コンプレッサーが動き出す瞬間には大きな電力が流れます。時間(容量)は平均で、出力(W)は定格や起動の大きさで考えるのが正しい使い分けです。
つまり、冷蔵庫は「年間 kWh ÷ 8,760」で平均を出して時間を計算し、ポータブル電源の定格出力は冷蔵庫の定格より十分大きいものを選びます。

停電1日分の容量を計算してみる(例)
照明・スマホ・テレビ・冷蔵庫を1日使う例では、合計 約1,181Wh を0.8で割って約1,476Wh が必要です。冷蔵庫を除くと約260Wh で、必要な容量が5倍以上ちがいます。
停電に備えるときは、家電ごとに「消費電力×使う時間」を出して足し、最後に0.8で割り戻します。次の例は、停電中に最低限使いたいものを並べたものです(冷蔵庫以外は仮の値)。
| 家電 | 消費電力 | 使う時間・回数 | 1日の量 |
|---|---|---|---|
| LED電球 | 8W | 6時間 | 48Wh |
| スマホの充電 | 1回 20Wh | 3回 | 60Wh |
| 液晶テレビ | 50W | 2時間 | 100Wh |
| 冷蔵庫 | 41W | 24時間 | 973Wh |
| 合計 | 約1,181Wh |
「冷蔵庫も動かしたいか」が、容量の選び方のいちばん大きな分かれ目です。冷蔵庫をあきらめて保冷剤とクーラーボックスで乗り切るなら、小さめの容量で足ります。逆に冷蔵庫を動かしたいなら、1,000Wh でも1日もちません。
つまり、まず冷蔵庫を入れるかどうかを決め、そのあと日数を掛ける、という順番で考えると迷いません。

定格出力(W)の選び方:同時に使う家電の合計より大きく
定格出力は、同時に使う家電の消費電力の合計より大きいものを選びます。電気ケトルやドライヤーのような1,200W 前後の家電は、定格出力が小さいポータブル電源では使えません。
ポータブル電源は、定格出力をこえる家電をつなぐと、保護の機能が働いて出力が止まります。容量がどれだけ残っていても、出力が足りなければ使えません。
| 使い方(例) | 同時に使う W の合計 | 目安の定格出力 |
|---|---|---|
| LED電球+スマホ+扇風機 | 8+20+20 = 約48W | 300W 級で足りる |
| 冷蔵庫(定格 256W)+テレビ+LED電球+スマホ | 256+50+8+20 = 約334W | 500W 以上(起動の分も見る) |
| 電気ケトル(1,250W の例) | 1,250W | 1,500W 級 |
冷蔵庫のようにモーターで動く家電は、動き出す瞬間に定格より大きな電力が流れることがあります。ポータブル電源の仕様に「瞬間最大出力」が書いてあれば、そこも確かめてください。
つまり、容量(Wh)で時間を、定格出力(W)で使える家電を決める、という2段階で選びます。

停電に備えるポータブル電源の選び方3ステップ
停電に備えるポータブル電源は、使う家電を書き出す→Wh を足して0.8で割る→同時に使う W と定格出力を比べる、の3ステップで決まります。
太陽光パネルで充電できる機種もありますが、晴れの日中に限られ、出せる電力は天気でかなり変わります。停電の日数が延びるなら「何Wh 充電できるか」も足し算に入れますが、まずは充電なしで何日もつかを基準にすると安全側です。
つまり、自分の家の数字で3ステップを1回計算しておけば、店頭やカタログで迷う時間がぐっと減ります。

よくある間違い4つ
ポータブル電源の容量選びでは、mAh と Wh の取り違え、冷蔵庫を定格で計算する、出力を見ない、しまいっぱなしにする、の4つの間違いが起きやすいです。
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| mAh(ミリアンペアアワー)の数字で容量を比べる | 電圧がちがうと比べられない。Wh(電圧×mAh÷1,000)で比べる |
| 冷蔵庫を定格 256W で計算し「約3時間しかもたない」と思う | 年間 355kWh から平均 約41W で計算すると約20時間 |
| 容量 Wh だけで選び、定格出力 W を見ない | 同時に使う W の合計 < 定格出力 を確かめる |
| 買ったまま押し入れにしまっておく | 取扱説明書どおりに時々充電し、残量を確かめる。使える温度の範囲も守る |
1つ目の mAh は、モバイルバッテリーでよく使われる単位です。mAh は電流×時間なので、電池の電圧がわからないと電気の量(Wh)になりません。3.6V・10,000mAh なら 3.6×10,000÷1,000=36Wh です。
つまり、比べるときはいつも Wh、冷蔵庫はいつも平均、選ぶときは出力も、と覚えておけば4つとも防げます。

よくある質問(FAQ)


