機械科目の解説

単巻変圧器とは?自己容量と負荷容量の違いと計算|電験三種 機械・計算ツール付き

単巻変圧器を表すアイキャッチ。鉄心に巻いた1本の巻線の途中からタップを出している

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単巻変圧器は、一次と二次で巻線の一部を共用する変圧器で、大きさを決める自己容量は (VH−VL)IH、負荷に送る負荷容量は VHIH です。2つの違いは自己容量と負荷容量の節、計算は計算ツールで確かめられます。

結論|まず30秒でわかる答え

共通部分を分路巻線、共通でない部分を直列巻線といいます。負荷に送る容量(負荷容量)は VHIH ですが、変圧器の大きさを決める自己容量は (VH−VL)IH だけで済みます。電圧の比が1に近いほど自己容量が小さくなり、材料が少なく、漏れ磁束と電圧変動率も小さくなります。

単巻変圧器を表すアイキャッチ。鉄心に巻いた1本の巻線の途中からタップを出している

単巻変圧器とは?巻線を共用する変圧器

ふつうの変圧器は、一次巻線と二次巻線が別々で、電気的には絶縁されています。単巻変圧器は、1本の巻線の途中からタップを出して、一次と二次で巻線の一部を共用します。

部分名前流れる電流(昇圧の場合)
一次と二次に共通な部分分路巻線(共通巻線)IL − IH
共通でない部分直列巻線IH

低圧側(電圧 VL、電流 IL)から入れて、高圧側(VH、IH)に取り出すと、昇圧の単巻変圧器になります。巻線のインピーダンスと励磁電流を無視すると、入る容量と出る容量は等しく VLIL = VHIH です。

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変圧器の基本式

単巻変圧器のつくりの図。ふつうの変圧器は一次と二次が別の巻線。単巻変圧器は一部を共用し、共通部分が分路巻線(電流I_L−I_H)、共通でない部分が直列巻線(電流I_H)

自己容量と負荷容量のちがい

式意味
負荷容量(線路容量)VHIH(= VLIL)負荷に送る容量
自己容量(VH − VL)IH(= VL(IL − IH))巻線が電磁誘導で受け渡す容量。変圧器の大きさを決める

自己容量は「直列巻線の電圧 × 直列巻線の電流」で求めます。直列巻線にかかるのは、高圧側と低圧側の電圧の差だけです。

公式
自己容量 ÷ 負荷容量 = (VH − VL) ÷ VH = 1 − VL/VH

残りの容量は、巻線を通ってそのまま(導電的に)負荷へ流れます。だから、電圧の比が1に近いほど、自己容量はずっと小さくて済みます。

例:6,000V を 6,600V に上げて、330kV·A を送る

STEP 1

高圧側の電流 IH = 330,000 ÷ 6,600 = 50 A(直列巻線の電流)

STEP 2

低圧側の電流 IL = 330,000 ÷ 6,000 = 55 A、分路巻線は 55 − 50 = 5 A

STEP 3

自己容量 = (6,600 − 6,000) × 50 = 30 kV·A

STEP 4

負荷容量の 1 − 6,000/6,600 ≒ 9.1% の大きさの変圧器で足りる

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自己容量と負荷容量の図。自己容量は(V_H−V_L)×I_Hで直列巻線の電圧と電流の積、負荷容量はV_H×I_H。6,000Vから6,600Vなら330kV·Aを送るのに自己容量は30kV·Aで約9.1%

単巻変圧器の長所と短所

長所短所
自己容量が小さいので、小形・軽量・安価一次と二次が絶縁されていない(高圧側の異常電圧が低圧側に及ぶ)
銅損が少なく効率がよい漏れインピーダンスが小さく、短絡電流が大きい
漏れ磁束が少なく、電圧変動率が小さい電圧の比が大きいと、利点が小さくなる

電圧の比が1に近い場所で使うのが基本です。送電系統どうしをつなぐ連系用変圧器(たとえば275kVと154kV)、配電線の電圧調整、誘導電動機の始動補償器などに使われます。

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変圧器の損失と効率

単巻変圧器の長所と短所の図。長所は小形・軽量・安価、効率がよい、漏れ磁束が少なく電圧変動率が小さい。短所は一次と二次が絶縁されていない、短絡電流が大きい

電験三種の過去問で確かめる

平成25年度 問8・令和6年度下期 問8(再出題)

共通な部分は分路巻線、共通でない部分は直列巻線。二次端子電圧と二次電流の積は負荷容量。巻線の一部が共通なので漏れ磁束が少なく、電圧変動率が小さい。

令和5年度上期 問15:3,000V → 3,300V

STEP 1

一次電流100A:負荷容量 3,000 × 100 = 300 kV·A

STEP 2

(a) 直列巻線の電流 = 二次電流 IH = 300,000 ÷ 3,300 ≒ 90.9 A

STEP 3

(b) 自己容量 = (3,300 − 3,000) × 90.91 ≒ 27.3 kV·A

平成30年度 問9:6,000V → 6,600V、200kW・力率0.8

STEP 1

IH = 200,000 ÷ (6,600 × 0.8) ≒ 37.88 A

STEP 2

自己容量 = 600 × 37.88 ≒ 22.7 kV·A

平成19年度 問6:6,000V → 6,600V、100kW・力率0.75

STEP 1

IH = 100,000 ÷ (6,600 × 0.75) ≒ 20.20 A

STEP 2

自己容量 = 600 × 20.20 ≒ 12.1 kV·A

負荷の電力(kW)が与えられたら、力率で割って電流を出すのを忘れないようにしましょう。

単巻変圧器の自己容量の計算ツール

昇圧の単巻変圧器の電圧と、負荷の大きさを入れてください。各巻線の電流と、自己容量・負荷容量を出します。

入れた数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。巻線のインピーダンスと励磁電流は無視しています。初期値は平成30年度 問9の数値です。

単巻変圧器のよくある間違い

よくある間違い正しい考え方
共通部分が直列巻線共通部分は分路巻線、共通でない部分が直列巻線
自己容量 = VHIHそれは負荷容量。自己容量は (VH−VL)IH
kWをそのまま電圧で割る力率で割ってから電流を出す
漏れ磁束が多い巻線を共用するので少ない。電圧変動率も小さい
一次と二次が絶縁されている絶縁されていないのが短所
単巻変圧器のよくある間違いの図。共通部分は分路巻線、自己容量は(V_H−V_L)I_H、kWは力率で割ってから電流を出す、漏れ磁束は少ない

よくある質問

Q. 単巻変圧器とは?

A. 一次と二次で巻線の一部を共用する変圧器です。共通部分を分路巻線、共通でない部分を直列巻線といいます。

Q. 単巻変圧器の自己容量の求め方は?

A. 直列巻線の電圧×直列巻線の電流で、(V_H−V_L)×I_Hです。分路巻線の容量V_L(I_L−I_H)とも等しくなります。

Q. 自己容量と負荷容量の違いは?

A. 負荷容量は負荷に送る容量V_H I_H、自己容量は巻線が受け渡す容量で、変圧器の大きさを決めます。

Q. 単巻変圧器の長所は?

A. 自己容量が小さいので小形・軽量で、効率がよく、漏れ磁束が少なく電圧変動率が小さいことです。

Q. 単巻変圧器の短所は?

A. 一次と二次が絶縁されていないこと、漏れインピーダンスが小さいので短絡電流が大きいことです。

まとめ
  • 共通部分は分路巻線、共通でない部分は直列巻線
  • 負荷容量=VHIH
  • 自己容量=(VH−VL)IH
  • 自己容量÷負荷容量=1−VL/VH
  • 小形・高効率・電圧変動率小、ただし絶縁されていない
単巻変圧器のまとめの図。共通部分は分路巻線・共通でない部分は直列巻線、自己容量(V_H−V_L)I_H、負荷容量V_H I_H、比は1−V_L/V_H
この記事の理解を深める本と道具
おすすめの本

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S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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