基板設計

リフローとは?フローとの違いとリフロー炉の仕組みを図解|SMD・DIPの使い分け

リフロー実装とフロー実装の違い。炉で温める vs はんだ池に通す

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こんな経験はありませんか?
  • 設計レビューで先輩が「これリフローで流せる?」と聞いてきたが、リフローが何かわからず黙ってしまった
  • 基板メーカーから「フロー面とリフロー面、どちらに部品を配置しますか?」と聞かれて固まった
  • 表面実装(SMD)と挿入実装(DIP)で、はんだ付け方法が違うことは知ってるけど、具体的にどう違うのか説明できない
  • 「両面実装の場合は工程が複雑」と言われたが、なぜ複雑なのかピンとこない
○ この記事でわかること
  • リフロー実装=「オーブンで温める」、フロー実装=「はんだ池に通す」というイメージ
  • 表面実装(SMD)はリフロー、挿入実装(DIP)はフローという基本ルール
  • 両面実装で工程が複雑になる理由
  • 設計者が知っておくべき「どちらの工法を選ぶか」の判断基準

基板を設計していると、必ず一度は「リフロー」「フロー」という言葉に出会います。なんとなく「はんだ付けの方法」だとはわかっていても、両者の違いを説明しろと言われると、意外と言葉に詰まりますよね。

結論を先に言います。リフローは「お菓子を焼くオーブン」、フローは「天ぷらの油」のようなものです。この記事では、この2つのイメージを軸に、現場で迷わない判断基準まで一気に解説します。

結論|リフローとフローの違い
リフロー(リフローはんだ付け)フロー(噴流はんだ付け)
やり方はんだペーストを印刷して部品を載せ、炉で基板ごと温めて溶かす溶けたはんだの波(噴流)に、基板の裏面を通す
主な部品表面実装部品(SMD)挿入部品(DIP)。接着剤で止めた裏面のチップ部品も
使う材料はんだペースト・メタルマスク棒はんだを溶かした槽・フラックス
装置リフロー炉フローはんだ付け装置(噴流はんだ槽)

ひとことで言うと、リフロー=「塗って、載せて、炉で温める」、フロー=「溶けたはんだに裏面をくぐらせる」です。

そもそも「はんだ付け」とは?基板と部品をくっつける接着剤

リフローとフローの話に入る前に、はんだ付けの基本をサクッと押さえておきましょう。はんだ付けとは、金属同士を「はんだ」という低融点合金で電気的・機械的に接続する技術です。

イメージとしては、金属専用の「熱で溶ける接着剤」と思ってください。常温では固体ですが、約220℃前後で溶けて、冷えると再び固まります。この「溶けて固まる」性質を使って、基板と部品をくっつけているのです。

ポイント
はんだ付けで重要なのは「いかに均一に、適切な温度で溶かすか」です。手作業で1個ずつ温めていたら、1枚の基板に何百個もある部品をはんだ付けするのに丸1日かかってしまいます。そこで登場するのが、量産向けの2つの工法「リフロー」と「フロー」です。
はんだ付けは、熱で溶けて金属どうしをつなぐ金属専用の接着剤のようなものだと示した図

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リフローでもフローでも、はんだを付けたくない所を守っているのが基板の緑色の膜「ソルダーレジスト」です。

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リフロー実装とは?「お菓子を焼くオーブン」のイメージ

リフロー実装は、英語で「Reflow(再び溶かす)」という意味です。あらかじめ基板にペースト状のはんだを塗っておき、その上に部品を載せて、オーブンで丸ごと加熱する方法です。

リフローの3ステップ

STEP 1
はんだペーストを
基板に塗る
→
STEP 2
部品を
ペーストの上に載せる
→
STEP 3
リフロー炉で
加熱して溶かす

イメージとしてはクッキー作りを思い浮かべてください。生地(=はんだペースト)を天板(=基板)に絞り出し、チョコチップ(=部品)を載せて、オーブン(=リフロー炉)で焼く。これがリフロー実装の流れです。

現場の声
リフロー炉の中は、ただ熱いだけではありません。「予熱→本加熱→冷却」と温度が階段状に変化する温度プロファイルがあり、これを正しく設定しないと、はんだが溶けきらない・部品が壊れるといった不良が出ます。設計者は「自分の部品がリフロー温度(約240〜260℃)に耐えられるか」をデータシートで必ず確認します。
リフロー炉とは

リフロー炉は、基板をコンベアで流しながら、いくつかの温度の区間(ゾーン)を順に通して温める装置です。熱風を吹きつけて温める方式が広く使われ、窒素を流して酸化を抑える炉もあります。

温度は「予熱 → 均熱 → 本加熱(ピーク)→ 冷却」と変えます。この温度と時間の決め方(温度プロファイル)はリフロー炉の温度プロファイルで解説しています。

なお「リフロー」は、めっきを溶かして整える「リフローめっき」や、Webの表示の言葉としても使われます。この記事は、はんだ付けのリフローの話です。

リフロー実装の3ステップ(メタルマスクではんだペーストを塗る・部品を載せる・リフロー炉で加熱する)を、クッキー作りにたとえて示した図

フロー実装とは?「天ぷら油の池」のイメージ

フロー実装は、別名「噴流はんだ付け」とも呼ばれます。溶けた液体状のはんだが入った"はんだ池"の上を基板の裏面が通過することで、リードがはんだに浸かって接合される方法です。

フローの3ステップ

STEP 1
部品のリードを
基板の穴に挿す
→
STEP 2
フラックスを
裏面に塗布
→
STEP 3
はんだ池の上を
基板が通過

イメージとしては天ぷら屋さんを思い浮かべてください。串に刺した具材(=部品をリードで固定した基板)を、熱い油(=溶けたはんだ)の上にサッとくぐらせる。基板の裏側に出ているリードだけが「はんだの池」に触れて、接合されるのです。

注意
フロー実装で重要なのは「基板の裏面しかはんだが触れない」という点です。表面に部品が載っていても、基板の表側(部品がある側)ははんだに触れません。だからこそ、リード部品(DIP)の足を裏面まで貫通させる必要があるのです。
フロー実装の3ステップ(リードを穴に挿す・裏面にフラックスを塗る・はんだの波の上を通す)を、天ぷらを揚げることにたとえて示した図

リフロー vs フロー|決定的な違いを並べて理解する

ここまでの内容を、2つの工法を並べて比較してみましょう。一番大事な違いは「はんだの状態」と「加熱方法」です。

リフロー実装

  • イメージ:オーブン
  • はんだ:ペースト状(半固体)
  • 加熱:基板を炉に入れて全体を温める
  • 対象部品:表面実装(SMD)
  • はんだが触れる面:部品が載っている面

フロー実装

  • イメージ:天ぷら油の池
  • はんだ:液体状(完全に溶けている)
  • 加熱:液体はんだに裏面だけ接触
  • 対象部品:挿入実装(DIP)
  • はんだが触れる面:基板の裏面のみ
比較項目 リフロー フロー
英語 Reflow Soldering Flow Soldering
別名 リフローはんだ付け 噴流はんだ付け
ピーク温度 約240〜260℃ 約250〜260℃
部品が熱を受ける時間 数分間(じっくり) 数秒間(一瞬)
小さな部品 ◎ 得意 △ 苦手
大電流部品 △ 苦手 ◎ 得意
オーブンのように基板全体を加熱するリフローと、天ぷら鍋のようにはんだの波に裏面だけを当てるフローの違いを比べた図

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部品で決まる|SMDはリフロー、DIPはフロー

ここまで来れば、もう「どちらの工法を使うか」は迷いません。使う部品の種類で、ほぼ自動的に決まるからです。

表面実装(SMD)→ リフロー一択

表面実装部品(SMD: Surface Mount Device)は、基板の表面にペタッと載せるタイプの部品です。チップ抵抗・チップコンデンサ・QFN・BGAなど、現代の電子機器のほとんどがこれに該当します。

SMDの多くは、はんだペーストを使うリフローで実装します。ただし、チップ抵抗やチップコンデンサなどの小さな部品は、基板の裏面に接着剤で止めてからフローではんだ付けすることもあります(はんだの波に直接触れるので、細かいピッチのICには向きません)。

挿入実装(DIP)→ 基本はフロー

挿入実装部品(DIP: Dual Inline Package)は、基板に空けた穴にリードを挿し込んで使う部品です。電解コンデンサ、大型コネクタ、トランス、リレーなど、機械的強度が必要な部品や大電流部品に多く使われます。

DIP部品はリードが基板の裏側まで貫通するので、フロー(はんだ池)に裏面をくぐらせれば、リードの先端と基板の銅箔が同時にはんだ付けされます。

表面実装部品(SMD)はリフロー、穴に挿す挿入実装部品(DIP)はフローと、部品の種類で工法が決まることを示した図

両面実装はなぜ複雑?「2回オーブンに入れる」という現実

ここで一つ疑問が出てきます。「基板の両面に部品を載せたい場合は、どうするの?」という問題です。

答えは「2回オーブンに入れる」です。クッキーで例えると、片面焼いて、ひっくり返して、もう片面のチョコチップを載せて、また焼く。これと同じことを基板でもやります。

両面リフローの工程

STEP 1

B面(裏側)にはんだペーストを塗り、軽い部品を載せる

STEP 2

1回目のリフロー炉でB面をはんだ付け

STEP 3

基板をひっくり返し、A面(表側)にはんだペーストを塗って部品を載せる

STEP 4

2回目のリフロー炉でA面をはんだ付け(B面の部品は接着剤や表面張力で落ちないようにする)

注意
2回目のリフローでB面のはんだも一緒に再溶融します。重い部品をB面に置くと、自重で落下するリスクがあるため、設計段階で「重い部品をどちらの面に置くか」を決めることが重要です。一般的には軽い部品をB面、重い部品をA面(最後にリフローされる側)に配置します。

SMDとDIPが混在する場合

現実の基板では、SMDとDIPが混在するケースがほとんどです。工程の組み方は基板ごとに違いますが、たとえば両面にSMDがある場合は次のようになります(下の図のように、片面リフロー+裏面のチップ部品とDIPをまとめてフロー、という組み方もあります):

  1. リフローでSMDを実装(A面・B面それぞれ)
  2. DIP部品をリードを穴に挿し込む(手挿入または自動挿入機)
  3. フローでDIPの裏面をはんだ付け

つまり、1枚の基板で「リフロー → リフロー → フロー」と最大3回も加熱工程を通過するということです。だから、両面実装の基板は工程が複雑で、コストも高くなるのです。

B面に部品を載せて1回目のリフロー、ひっくり返してA面を塗って2回目のリフローを行う両面リフローの4ステップと、重い部品はA面に置くことを示した図
部品が混ざった基板の工程の例。A面にSMDを載せてリフロー、B面のチップ部品を接着剤で固め、DIPを挿してフローではんだ付けする
部品が混ざった基板の工程の例(片面リフロー+フロー)

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設計者が知っておくべき判断基準

ここまで読めば、設計レビューで「これリフローで流せる?」と聞かれても、もう怖くありません。判断基準は次の3つです。

判断基準①:部品の耐熱温度はリフローに耐えられるか?

SMD部品のデータシートには「リフロープロファイル」という項目があります。ピーク温度260℃に耐えられない部品はリフローできません。耐熱性の低い部品(一部のコネクタ、電解コンデンサなど)は、リフロー後に手はんだで取り付けるか、フローで処理します。

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判断基準②:機械的強度は十分か?

コネクタや大型部品など、機械的なストレスがかかる部品は、SMDよりもDIP(フロー)のほうが強度が出ます。基板を貫通するリードがアンカーの役割を果たすからです。USBコネクタなどは、SMDタイプもありますが、抜き差しの多い用途ではDIPタイプが選ばれます。

判断基準③:大電流が流れるか?

パワーエレクトロニクス分野では、大電流が流れる部品(パワー半導体、大型インダクタなど)は、リードを基板に貫通させるDIPタイプが選ばれることが多いです。大きなはんだ量で接合できるフローのほうが、電流容量と放熱の面で有利だからです。

リフローはオーブンで焼く(SMD向け)、フローは天ぷら油に通す(DIP向け)という覚え方をまとめた図

リフローやフローで起きやすいはんだ付けの不良は、次の記事で5つに分けて図解しています。

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まとめ|オーブンと天ぷら油で覚えれば一生忘れない

最後に、この記事の内容を一行で復習しておきましょう。

結論
リフロー=オーブンで焼く(SMD向け)
フロー=天ぷら油の池に通す(DIP向け)

このイメージさえ持っていれば、現場で「リフロー面」「フロー面」と言われても、頭の中で工程をイメージできます。データシートを見るときも、「あ、これはオーブンに耐えないとダメな部品か」と即座に判断できるようになります。

基板設計は、回路図を書くだけでは終わりません。「この基板はどうやって作られるのか」を理解しているかどうかが、現場で頼られる設計者になれるかの分岐点です。次の記事で、さらに一歩踏み込んだ実装知識を身につけていきましょう。

この記事の理解を深める本と道具
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基板のはんだ付けを自分でやってみるなら、温度を調整できるはんだこてが扱いやすいです。白光(HAKKO)のダイヤル式温度制御はんだこてです。温度を200〜500℃で設定でき、プリント基板やICのはんだ付けに使えます。

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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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